「ダイバーシティ(diversity・多様性)」という言葉、最近あちこちで見かけますよね。その形容詞が diverse(多様な) です。じっと見ると、頭に di がいます。
この di、実は日本語になっている「ディする」の dis と同じ仲間です。
「ディする」=相手を下げる・遠ざける・突き放す・・・そう、dis には「離れて」「遠ざける」「バラバラの方向へ」
というイメージがあります。この入り口を持っておくと、diverse の意味が丸暗記なしですっと入ってきます。
そしてこの記事のもう一人の主役が、真ん中の vers(回る・向く)。di(離れて)+ vers(向く)で「いろんな方向をバラバラに向いている」・・・これがそのまま「多様な」になります。語源が、そのまま覚え方になる単語です。
ちなみに vers(回る・めぐる)が「回る」だとわかるのは、universe(宇宙)を思い浮かべると早いです。
uni(1つ)+ vers(回る)。星々がめぐりながら、大きな全体として1つにまとまる。それが宇宙です。diverse はその逆で、みんなが別々の方を向いている状態、というわけです。
※ この記事は、姉妹編の anniversary(記念日)と同じ vers(回る)一族です。anniversary が「an(年)+vers=毎年めぐって戻ってくる日」なら、こちらは「di(離れて)+vers=いろんな方向を向く=多様」。同じ vers でも、組む相手(an と di)と話の軸がまったく違います。あわせて読むと、vers 一族が立体的になります。
【語源で覚える】anniversary|隠れた “an” は、あの a・an・one?

diverse を分解してイメージで覚える|di(離れて)+ vers(回る)
diverse をパーツで見ると、こうなります。
di(dis=離れて・遠ざける)+ vers(回る・向く)+ e
覚え方はシンプルです。頭の di を「ディする(dis)」と重ねてください。ディする=相手を遠ざける・突き放す。ここから di=離れて・バラバラの方向へ というイメージをつかみます。
そこに真ん中の vers(回る・向く) が合わさると、「バラバラの方向を向く」・・・つまり、みんなが同じ方を向かず、それぞれ違う方を向いている状態。それが diverse(多様な)です。
「離れて(di)、いろんな方向を向く(vers)」。この一枚の絵が、diverse をそのまま説明しています。
diverse の基本の意味と使い方
diverse は「多様な」「種々の」を表す形容詞です。ただ数が多いのではなく、「種類・性質がいろいろで、バラエティに富んでいる」というニュアンスがあります。
- a diverse team(多様なメンバーのチーム)
- diverse cultures(多様な文化)
- a diverse range of products(多様な種類の製品)
「バラバラの方向を向いている=いろんな性質が集まっている」。vers(いろんな方向へ向く)の語源を知ると、この「種類の豊かさ」という感覚が腑に落ちます。
使い分け|diverse と various
似た「いろいろな」でも、軸が少し違います。
| 語 | ニュアンス | イメージ |
|---|---|---|
| various | いくつもの・さまざまな(数・種類が複数) | 「何種類もある」という数の話 |
| diverse | 多様な・種類に富む(違いの幅を強調) | 「性質がバラバラで幅広い」という質の話 |
various は「several different(いくつもの)」に近く、diverse は「幅広く違いがある」ことそのものを強調します。diversity(多様性)が社会のテーマ語になっているのも、この「違いの幅」を大事にする語だからです。
“vers(回る・向く)” でつながる単語ネットワーク
diverse の芯 vers/vert(回る・向きを変える/ラテン語 vertere)を知っておくと、まったく別ジャンルに見える単語が一気につながります。anniversary(毎年めぐる)とは違う、diverse ならではの「向きを変える」広がりです。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| universe | 宇宙 | uni(1つ)+vers=すべてが1つに回りまとまる |
| reverse | 逆にする、後退 | re(後ろへ)+vers=向きを後ろに回す |
| convert | 変換する、改宗する | con(すっかり)+vert=すっかり向きを変える |
| adverse | 逆の、不利な | ad(〜へ)+vers=向かってくる、逆らう |
| controversy | 論争 | contro(反対に)+vers=意見が反対に向き合う |
| version | 版、バージョン | 向きを変えて作った別の形 |
「vers/vert が入っていたら、たぶん”回る・向きを変える”話」・・・そう見えるようになると、初見の単語でも意味が推測できます。diverse は「いろんな方向へ向く」で、この vers 一族の入り口の一つです。
“di(dis=離れて)” でつながる単語ネットワーク
一方で、頭の di(dis=離れて・遠ざける・逆へ)をたどると、「離す・遠ざける・打ち消す」系の単語がまとまって見えてきます。「ディする」の感覚がそのまま効きます。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| disagree | 意見が合わない | dis(逆へ)+agree=賛成から離れる |
| dislike | 嫌う | dis(逆へ)+like=好きの反対へ |
| disappear | 消える | dis(打ち消し)+appear=現れが消える |
| distance | 距離 | dis(離れて)+stance(立つ)=離れて立つ |
| discover | 発見する | dis(逆へ)+cover=覆いを外す |
| dismiss | 退ける、解散する | dis(離れて)+miss(送る)=送り出して遠ざける |
diverse は、この「di(離れて)」と「vers(向く)」が組み合わさった単語・・・そう捉えると、一語から二方向に世界が広がります。
派生語|diverse まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| diverse | 形容詞 | 多様な、種々の | ダイバース /daɪˈvɜːrs/ |
| diversity | 名詞 | 多様性 | ダイバーシティ /daɪˈvɜːrsəti/ |
| diversify | 動詞 | 多様化する、分散させる | ダイバーシファイ /daɪˈvɜːrsɪfaɪ/ |
| diversely | 副詞 | 多様に | ― |
| diversification | 名詞 | 多様化、分散 | ― |
TOEIC・英検での出題傾向
diverse と diversity は、ビジネス文脈でよく出る実用語です。TOEIC では a diverse workforce(多様な従業員)、a diverse product line(多様な製品ライン)、diversity training(多様性研修)といった形で、社内文書や採用・研修の話題に登場します。diversify は「(事業・投資を)多様化する・分散する」の意味で経済系の長文でも見かけます。英検では2級〜準1級レベルで押さえておきたい一語です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Our small team is diverse.
- This city is full of diverse people.
- A diverse group sees what one person cannot.
- Your friends are diverse, and that is a gift.
- Diversity grows from understanding and effort.
- Diverse voices make the world kinder.
- Keep your days diverse, and you will not grow tired.
- A diverse forest survives the storm.
- We are diverse, but our hearts beat as one.
- The more diverse your road, the more people you understand.
語源メモ|divertere が生んだ「多様な」
diverse は、ラテン語 diversus(いろんな方向へ向いた)に由来します。もとは動詞 divertere(別々の方へ向ける)の過去分詞で、分けると dis(離れて・別々に)+ vertere(回る・向きを変える)。「バラバラの方向へ向いた」→「さまざまな・多様な」となり、フランス語を経て英語に入りました。
覚え方に使った「ディする(diss)」は、この dis と同じ接頭辞ファミリーです。ディする(=disrespect / dismiss から来た俗語)は「相手を打ち消す・遠ざける・下げる」感覚。diverse の di はその中でも「別々の方向へ・離れて」の意味合い。
厳密には〈否定・拒絶のdis〉と〈分離のdis〉でニュアンスは少し違いますが、どちらも「離れる・遠ざける」という同じ dis の家族です。ここを整理しておくと、鋭い人に聞かれても迷いません。
真ん中の vers/vert は、universe・reverse・convert・adverse・controversy・version など、たくさんの単語に共通する「回る・向きを変える」の核。diverse を入り口に、この一族へ広げていけます。
まとめ
diverse は、di(dis=離れて)+ vers(回る・向く)+ e で「いろんな方向を向く」=多様な。
- di(dis)・・・離れて・遠ざける。「ディする」でおなじみ。disagree/distance/discover などの一族へ
- vers(vertere)・・・回る・向きを変える。universe/reverse/convert などの一族へ
- diverse は、その2つが組んで「バラバラの方向を向く=多様」になった単語
みんなが同じ方を向く必要はない。それぞれ違う方を向いているからこそ、全体が豊かになる。diverse は、そんな言葉です。

- 語源・中心:di(dis=離れて)+ vers(回る・向く)+ e =「いろんな方向を向く=多様」
- 覚え方フック:di → dis(ディする=遠ざける・離れて)
- vers(回る)一族:universe/reverse/convert/adverse/controversy/version
- dis(離れて)一族:disagree/dislike/disappear/distance/discover/dismiss
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