「drawer(ドロワー)」は、あの家具の「引き出し」のことです。でも、よく見ると draw(引く)が入っていますよね。
「線を引く」「絵を描く」のイメージが強い draw ですが、語源をたどると「引っ張る・引き出す」という動作が核にあります。そこから「引くもの=引き出し」という意味が生まれました。
そしてもう一つ面白いのが、同じ綴りの drawer が「絵を描く人」という意味にもなること。さらに2つの意味で発音(音節数)が変わるという、英語らしい仕掛けもあります。
この記事では、その理由と draw からつながる仲間たちを整理します。
drawer を分解してイメージで覚える
drawer をパーツで見ると、こうなります。
draw(引く・引っ張る)+ er(〜するもの・〜する人)
「引くもの」→ 前に引っ張って中身を取り出す → 引き出し。そのまま、ですね。
昔の家具は、引き出し部分が前後にスライドする仕組みでした。使うたびに「前に引っ張って」中身を出す。その動作が draw にぴったりはまり、「引くもの=drawer」という言葉が定着しました。etymonline によると、家具の引き出しとしての使用例は1570年代から確認されています。
なぜ同じ drawer が「絵を描く人」にもなるの?
draw には「引く・引っ張る」のほかに、「線を引く」→「絵を描く」という意味があります(こちらは1200年代から)。
絵を描くとき、ペンや鉛筆を紙の上で引っ張るように走らせる。draw の核にある「引く」動作が、ここにも生きています。
だから draw+er は、
- 引くもの → 引き出し(家具)
- 引く人=線を引く人 → 絵を描く人
という2方向の意味を持つことになります。
※ 発音のポイント:同じ綴りですが、意味によって音節数が変わります。
| 意味 | 音節 | 米音 | 英音 |
|---|---|---|---|
| 引き出し(家具) | 1音節 | /drɔːr/ | /drɔː/(draw と同音) |
| 絵を描く人 | 2音節 | /ˈdrɔː.ɚ/ | /ˈdrɔː.ə/ |
動作主を表す -er が独立した音節になるかどうか、というところで分かれます。
なお、現代英語で「絵を描く人」を指す場合は artist や illustrator と呼ぶのが一般的です。drawer はあくまで語源的な対応関係を示すときに引き合いに出される語で、単独では使われにくい表現です。
drawer の基本の意味と使い方
drawer は名詞で、主に以下の意味で使います。
- 引き出し(家具):The key is in the top drawer.(鍵は一番上の引き出しにある)
- 絵を描く人(語源的な意味):a skilled drawer of portraits(肖像を描く腕のいい人)
- drawers(複数形):「引っ張ってはく下着・ズボン下」の意味も。1560年代から使用例があります。
“draw(引く)” でつながる単語ネットワーク
draw(古英語 dragan=引く・運ぶ)を知っておくと、まったく別に見える単語が一気につながります。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| drawing | 描画、スケッチ | ペンを引いて線を描く行為 |
| withdraw | 引き下げる、撤退する、引き出す | with(離れて・後ろへ)+ draw=手元や後ろに引き戻す |
| withdrawal | 撤退、引き出し、(薬の)離脱症状 | withdraw の名詞形 |
| drawback | 欠点、障害 | 後ろに引き戻すもの → 足を引っ張るもの |
| overdraw | 引きすぎる(預金など) | 過度に引き出す |
| redraw | 描き直す、再び引く | re(再び)+ draw |
| drawn | 引かれた、疲れ果てた | draw の過去分詞 |
ちなみに、withdraw の with- は「〜と一緒に」ではなく、「離れて・後ろへ(away/against)」という古英語の意味です。withstand(逆らって立つ・耐える)、withhold(差し控える)とも同じ with- です。「draw の仲間と見ると意味が読みやすい」という単語が、この一族には多くいます。
派生語 Word Family
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| draw | 動詞 | 引く、描く、引き出す | ドロー /drɔː/ |
| drawer | 名詞 | 引き出し、絵を描く人 | ドロワー /drɔːr/ |
| drawing | 名詞 | 描画、スケッチ | ドローイング /ˈdrɔːɪŋ/ |
| drawn | 形容詞・過去分詞 | 引かれた、疲れた表情の | ドローン /drɔːn/ |
| withdraw | 動詞 | 撤退する、引き出す | ウィズドロー /wɪðˈdrɔː/ |
| drawback | 名詞 | 欠点、障害 | ドローバック /ˈdrɔːbæk/ |
TOEIC・英検での出題傾向
draw 系の語彙は、TOEIC でも英検でもよく顔を出します。
- TOEIC:withdraw(撤退する・引き出す)、drawback(欠点)、drawing(図面・スケッチ)あたりが頻出。ビジネス文書や経済記事でよく登場します。drawer 単体は Part 1(写真描写)で「引き出しが開いている」といった場面で出ることも。
- 英検:draw a conclusion(結論を引き出す)、draw attention(注意を引く)など、draw を使ったイディオムが2級〜準1級レベルで問われます。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を考えてみてください。解答は記事の最後にまとめてあります。
- The key is in the top drawer.
- She opened the drawer and found an old letter.
- This artist is known as a careful drawer of portraits.
- Drawing helps you see things more clearly.
- Try to draw what you feel, not just what you see.
- The company decided to withdraw from the project.
- Every plan has its drawbacks — what matters is how you handle them.
- She withdrew her savings and started over.
- Don’t overdraw your account.
- Sometimes the best way forward is to redraw the plan.
語源メモ|dragan から drawer まで
draw は古英語 dragan(引く・運ぶ)に由来します。さらりと遡るとゲルマン祖語 *draganan に行き着き、drag(引きずる)や draught/draft(一気に飲む量・下書き)とも同じ家族です。古ノルド語 draga(引く)や現代ドイツ語 tragen(運ぶ・身につける)とも同根です。
drawer はその draw に名詞化の -er がついた形。14世紀半ばには「井戸から水を引く人」「荷を引っ張って運ぶ人」の意味で使われていました。また「ウエイター・バーテンダー(樽から酒を引き出す人)」の意味でも一時期使われており、シェイクスピアの『ヘンリー四世』にも酒場の給仕として登場します。
引き出し(家具)の意味が定着したのは1570年代。蓋つき箱が主流だった時代に、前後にスライドする引き出し形式が家具のイノベーションとして広まり、「引くもの」という名詞が必要になりました。
まとめ
drawer は draw(引く)+ er(もの・人)で「引くもの・引く人」。
- 引き出し(1音節):前に引いて中身を取り出す家具
- 絵を描く人(2音節):ペンを引いて線を描く人。現代では artist・illustrator が一般的
- どちらも「引く」が核にある

- 語源・中心:draw(古英語 dragan=引く・運ぶ)+ er
- draw 一族:drawing/withdraw/withdrawal/drawback/overdraw/redraw/drawn
- 同綴り・発音差:引き出し(1音節)vs 絵を描く人(2音節)
関連記事(内部リンク)
- withdraw の語源(引き下げる・撤退する) → (近日中に公開)
- drawback の語源(欠点・障害) → (近日中に公開)
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翻訳練習の解答例
- 鍵は一番上の引き出しにある。
- 彼女は引き出しを開けると、古い手紙を見つけた。
- このアーティストは、丁寧に肖像を描く人として知られている。
- 絵を描くと、ものがもっとよく見えてくる。
- 見えているものだけでなく、感じていることを描いてみよう。
- 会社はそのプロジェクトから撤退することに決めた。
- どんな計画にも欠点はある。大事なのは、それをどう乗り越えるかだ。
- 彼女は貯金を引き出して、やり直した。
- 口座を引き過ぎないように。
- 時に最善の前進は、計画を描き直すことだ。


