なぜ今、氷河期世代の年金額を知るべきなのか
「老後の年金、実際にいくらもらえるの?」
この疑問を抱えたまま、漠然とした不安だけを感じていませんか?
就職氷河期世代にとって、年金問題は他人事ではなく、10〜20年後に確実にやってくる現実です。しかし、具体的な金額を知らなければ、今何をすべきかも分かりません。
この記事では、氷河期世代が実際に受け取れる年金額を雇用形態別・年収別にシミュレーションし、さらに税金や社会保険料を差し引いた本当の手取り額まで明らかにします。
「知らなかった」では済まされない。今知ることが、未来を変える第一歩です。
年金制度の基本:氷河期世代が押さえるべきポイント
まずは年金制度の基本を整理しましょう。複雑に見えますが、仕組みを理解すれば自分の将来が見えてきます。
日本の年金は「2階建て構造」
日本の公的年金は、以下の2層構造になっています。
【1階部分】国民年金(基礎年金)
- 20歳以上60歳未満のすべての国民が加入
- 40年間(480ヶ月)保険料を納めると満額受給
- 2024年度の満額:年額83万1,700円(月額約6.9万円)
【2階部分】厚生年金
- 会社員・公務員が加入(国民年金に上乗せ)
- 報酬比例:給料が高いほど、加入期間が長いほど増える
- 国民年金だけの人との差は月7〜10万円以上
つまり、自営業者やフリーランス、非正規雇用で厚生年金に加入していない人は1階部分のみ。会社員として厚生年金に加入していた人は1階+2階を受け取れます。
この差が、氷河期世代の老後格差を決定づけます。
氷河期世代が直面する「年金の現実」
現在の年金受給者と氷河期世代では、状況が大きく異なります。
現在の年金受給者(2023年度)
- 国民年金のみ:平均月5.8万円
- 厚生年金(国民年金含む):平均月14.6万円
氷河期世代の予測
- 非正規雇用期間が長い→厚生年金加入期間が短い
- 低賃金→報酬比例部分が少ない
- マクロ経済スライド(年金の減額調整)→受給額は現在より目減り
つまり、現在の平均額よりも少ない年金で老後を迎える可能性が高いのです。
【パターン別シミュレーション】氷河期世代の年金額はこうなる

ここからは、具体的なシミュレーションを見ていきましょう。氷河期世代の代表的な雇用パターンごとに、年金額を計算します。
パターン①:ずっと非正規雇用(国民年金のみ)
【前提条件】
- 20歳〜60歳まで40年間、国民年金のみ加入
- 厚生年金の加入歴なし
- 保険料は全期間納付
【年金額(年額/月額)】
- 国民年金:83万1,700円/月6.9万円
【手取り額(65歳以上)】
- 税金:0円(課税最低限以下)
- 国民健康保険料:年約8万円
- 介護保険料:年約7万円
- 手取り:約68万円/月5.7万円
【現実】 この金額では、どう頑張っても生活できません。総務省の家計調査によると、単身高齢者の生活費は月14〜15万円必要です。つまり、毎月9万円の赤字が発生します。
パターン②:20代は非正規、30代から正社員(厚生年金15年加入)
【前提条件】
- 22歳〜32歳:非正規雇用(国民年金のみ)
- 33歳〜60歳:正社員(厚生年金加入、平均年収350万円)
- 厚生年金加入期間:27年
【年金額(年額/月額)】
- 国民年金:83万1,700円/月6.9万円
- 厚生年金:約45万円/月3.8万円
- 合計:約128万円/月10.7万円
【手取り額(65歳以上)】
- 所得税:年約1.5万円
- 住民税:年約2万円
- 国民健康保険料:年約11万円
- 介護保険料:年約9万円
- 手取り:約104万円/月8.7万円
【現実】 国民年金のみよりはマシですが、それでも月5〜6万円の赤字。貯蓄を切り崩す生活が続きます。
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パターン③:ほぼ正社員だが低賃金(厚生年金35年加入)
【前提条件】
- 22歳〜60歳:正社員(厚生年金加入)
- 平均年収:300万円(氷河期世代の低賃金層)
- 厚生年金加入期間:38年
【年金額(年額/月額)】
- 国民年金:83万1,700円/月6.9万円
- 厚生年金:約50万円/月4.2万円
- 合計:約133万円/月11.1万円
【手取り額(65歳以上)】
- 所得税:年約1.8万円
- 住民税:年約2.5万円
- 国民健康保険料:年約12万円
- 介護保険料:年約10万円
- 手取り:約107万円/月8.9万円
【現実】 長く働いても低賃金だと、年金額は思ったより増えません。やはり月5〜6万円の赤字が続きます。
パターン④:正社員で平均的な年収(厚生年金38年加入)
【前提条件】
- 22歳〜60歳:正社員(厚生年金加入)
- 平均年収:450万円(全国平均に近い)
- 厚生年金加入期間:38年
【年金額(年額/月額)】
- 国民年金:83万1,700円/月6.9万円
- 厚生年金:約80万円/月6.7万円
- 合計:約163万円/月13.6万円
【手取り額(65歳以上)】
- 所得税:年約3万円
- 住民税:年約4万円
- 国民健康保険料:年約15万円
- 介護保険料:年約12万円
- 手取り:約129万円/月10.8万円
【現実】 ようやく赤字幅が月3〜4万円まで縮小。それでも貯蓄の切り崩しは避けられません。
パターン⑤:高年収の会社員(厚生年金38年加入)
【前提条件】
- 22歳〜60歳:正社員(厚生年金加入)
- 平均年収:600万円(大企業・専門職レベル)
- 厚生年金加入期間:38年
【年金額(年額/月額)】
- 国民年金:83万1,700円/月6.9万円
- 厚生年金:約110万円/月9.2万円
- 合計:約193万円/月16.1万円
【手取り額(65歳以上)】
- 所得税:年約5万円
- 住民税:年約6万円
- 国民健康保険料:年約20万円
- 介護保険料:年約15万円
- 手取り:約147万円/月12.3万円
【現実】 ようやく生活費(月14〜15万円)に近づきますが、それでも月2〜3万円の赤字。余裕のある生活には届きません。
年金から引かれるもの:「額面」と「手取り」の差を知る
多くの人が見落としているのが、年金も給与と同じく、税金や社会保険料が引かれるという事実です。
年金から天引きされる4つの項目
①所得税(復興特別所得税含む)
- 年金は「雑所得」として課税対象
- 65歳以上で年金額が158万円以上の場合に課税
- 公的年金等控除により、実際の課税額は抑えられる
②住民税
- 前年の所得に応じて課税
- 年金額が155万円以上の場合に課税されることが多い
③国民健康保険料(後期高齢者医療保険料)
- 75歳未満:国民健康保険
- 75歳以上:後期高齢者医療保険
- 所得に応じて保険料が変動(年間10〜20万円程度)
④介護保険料
- 65歳以上の全員が納付義務
- 所得に応じて段階的に変動(年間5〜15万円程度)
手取り率の目安
年金額によって手取り率は変わりますが、おおよその目安は以下の通りです。
- 年金月10万円以下:手取り率約90〜95%(税金がほぼかからない)
- 年金月10〜15万円:手取り率約85〜90%
- 年金月15〜20万円:手取り率約80〜85%
つまり、年金額面の10〜20%が税金・保険料で消えると考えておく必要があります。
氷河期世代が今からできる「年金を増やす5つの方法」
現実を知った今、「じゃあどうすればいいの?」という疑問が湧くはずです。ここでは、今からでも年金を増やす方法を紹介します。
①国民年金の未納期間を追納する
国民年金には「追納制度」があります。過去10年以内の未納分は、後から納付できます。
効果:
- 1年分の追納で、年金額が年約2万円増える
- 10年分追納すれば、生涯で約20万円×平均余命分の増加
注意点:
- 追納できるのは10年以内まで
- 早めに手続きをしないと、追納権利が消滅

②厚生年金への加入期間を延ばす
非正規雇用から正社員への転換、または厚生年金に加入できる企業への転職を検討しましょう。
効果:
- 1年間の厚生年金加入で、年金額が年約1〜3万円増える
- 加入期間が長いほど、複利的に増加
注意点:
- 2024年10月から、従業員51人以上の企業で週20時間以上働くパートも厚生年金加入対象に拡大
③付加年金を利用する(国民年金加入者のみ)
国民年金に月400円を上乗せして払うことで、将来の年金額を増やせます。
効果:
- 月400円×納付月数×200円が、毎年上乗せされる
- 10年間納付すれば、年金額が年2.4万円増える
- 2年で元が取れる超お得な制度
注意点:
- 国民年金第1号被保険者(自営業・フリーランス)のみ利用可能
- 厚生年金加入者は利用不可
④iDeCo(個人型確定拠出年金)で上乗せ
公的年金だけでは足りない分を、自分で積み立てる制度です。
効果:
- 掛金が全額所得控除→税金が安くなる
- 運用益も非課税
- 60歳以降に年金または一時金として受け取れる
注意点:
- 60歳まで引き出せない
- 運用リスクがある(元本割れの可能性)
- 手数料がかかる
⑤年金の繰り下げ受給を検討する
年金は65歳から受け取るのが原則ですが、受給開始を遅らせることで年金額を増やせます。
効果:
- 1ヶ月繰り下げるごとに0.7%増額
- 70歳まで繰り下げると42%増額
- 75歳まで繰り下げると84%増額(約2倍)
注意点:
- 繰り下げ期間中は年金を受け取れない→生活費を別途確保する必要
- 長生きすればお得、早く亡くなると損(損益分岐点は80代前半)
年金だけでは足りない:現実的な「老後資金計画」
ここまで見てきた通り、氷河期世代の年金だけでは、老後の生活費を賄えません。
では、どう備えるべきか?
必要な老後資金の目安
単身世帯の場合
- 月の生活費:14〜15万円
- 年金手取り:月6〜11万円(雇用形態により変動)
- 不足額:月3〜9万円
- 65歳〜85歳の20年間で、720万〜2,160万円の貯蓄が必要
夫婦世帯の場合
- 月の生活費:25〜26万円
- 年金手取り:月15〜20万円(夫婦の雇用形態により変動)
- 不足額:月5〜11万円
- 65歳〜85歳の20年間で、1,200万〜2,640万円の貯蓄が必要
老後資金を確保する現実的な方法
①収入を増やす
- 副業・兼業を始める
- スキルアップして転職・昇給を目指す
- 定年後も働き続ける前提で計画を立てる
②支出を減らす
- 住居費の見直し(シェアハウス・公営住宅など)
- 保険の見直し(不要な保険を解約)
- 通信費・サブスク費用の削減
③資産運用を始める
- NISA(少額投資非課税制度)の活用
- iDeCoでの積立投資
- インデックスファンドでの長期分散投資
※現在のように株価が乱高下を続ける時期には避けるべきでしょう。
※運用には知識が必要です。
④働き続ける選択肢を持つ
- 70歳まで働ければ、貯蓄の取り崩しを5年遅らせられる
- 年金の繰り下げ受給と組み合わせれば、生涯年金額が大幅増

まとめ:「知る」ことが、未来を変える第一歩
氷河期世代の年金額は、決して楽観できるものではありません。しかし、現実を知ることで、今から対策を打つことができます。
この記事で分かったこと
- 国民年金のみでは月6〜7万円しかもらえない
- 厚生年金に加入していても、低賃金なら月10〜12万円程度
- 税金・保険料で額面の10〜20%が引かれる
- 老後資金は単身で700万〜2,100万円、夫婦で1,200万〜2,600万円必要
今すぐできること
- ねんきん定期便で自分の加入状況を確認する
- 未納期間があれば追納を検討する
- 厚生年金に加入できる働き方を選ぶ
- iDeCoやNISAで老後資金を積み立て始める
- 生活コストを見直し、貯蓄を増やす
「まだ先の話」ではありません。10年後、20年後の自分を救えるのは、今のあなたの行動だけです。
年金の現実を直視し、一歩ずつ準備を進めていきましょう。
参考資料・関連リンク
氷河期世代の老後と年金・雇用の未来:迫りくる社会的課題への対策と展望
この記事で引用・参照した公的機関や信頼できる情報源のリンク集です。より詳しい情報を知りたい方は、以下の資料をご参照ください。
(キャリアセッション|伴走型キャリア支援サービスの体験面談申込 )
厚生労働省(年金制度・受給額関連)
年金制度全般
- 厚生年金保険・国民年金事業の概況(令和4年度)
年齢別・男女別の平均年金月額など、最新の統計データを掲載 - 年金制度
年金制度の仕組みと最新の制度改正情報
厚生年金の適用拡大
- 社会保険適用拡大特設サイト
パート・アルバイトの厚生年金加入条件の変更について
年金額の計算方法
- 老齢年金ガイド 令和6年度版(PDF)
年金額の詳しい計算方法を解説
日本年金機構
年金に関する手続き・相談
- 日本年金機構公式サイト
年金の受給手続き、ねんきん定期便の見方など - ねんきんネット
自分の年金記録をオンラインで確認できるサービス - 年金額の試算
将来受け取れる年金額の試算方法
追納・特例制度
- 国民年金保険料の追納制度
未納期間の追納方法と手続き - 付加年金
月400円で年金額を増やせる制度の詳細
総務省(家計・生活費関連)
家計調査
- 家計調査(家計収支編)2024年
高齢者世帯の生活費の詳細データ - 家計調査年報 2023年(令和5年)
単身世帯・二人以上世帯の消費支出統計
就職氷河期世代関連
政府の支援策
- 内閣官房:就職氷河期世代支援プログラム
政府による就職氷河期世代への支援策
研究・分析資料
- 懸念される就職氷河期世代の年金(nippon.com)
氷河期世代の年金問題を詳しく分析 - 就職氷河期世代以降が直面する老後の貧困リスク(nippon.com)
年金制度改革の必要性について論じた記事 - 基礎年金満額でも貧困リスク(時事通信)
氷河期世代の老後貧困問題に関する報道
年金の税金・手取り額関連
税制・控除
- 公益財団法人 生命保険文化センター:公的年金の税金
年金にかかる税金の計算方法を分かりやすく解説 - 国税庁:公的年金等の課税関係
公的年金等控除など税制の詳細
社会保険料
- 厚生労働省:後期高齢者医療制度
75歳以上が加入する医療保険制度 - 厚生労働省:介護保険制度
介護保険料の仕組みと金額
老後資金・資産形成関連
iDeCo(個人型確定拠出年金)
- iDeCo公式サイト
制度の詳細、加入方法、金融機関の比較
NISA(少額投資非課税制度)
- 金融庁:NISAとは
新NISA制度の概要と活用方法
老後の生活設計
- 公益財団法人 生命保険文化センター:老後の生活費
老後に必要な生活費の目安と試算方法
記事作成にあたって
この記事は、厚生労働省・日本年金機構・総務省などの公的機関が公表している最新の統計データおよび制度情報に基づいて作成されています。データは2025年9月時点のものであり、今後の制度改正や経済状況により内容が変わる可能性があります。
免責事項: この記事は情報提供を目的としており、個別の年金額や税額を保証するものではありません。
実際の年金額は、加入期間・報酬額・家族構成などにより異なります。
正確な年金額を知りたい方は、日本年金機構の「ねんきんネット」での試算、または年金事務所での相談をご利用ください。
著者情報:鈴木一世:大学教員(第2言語習得 英語科教育法 心理学 トレンドナビゲーター)
- 氷河期世代の老後と年金・雇用の未来:迫りくる社会的課題への対策と展望
- 就職氷河期世代の老後は孤独じゃない―希望ある「おひとりさま」の新しい生き方
- 就職氷河期世代|2040年問題と氷河期世代の介護・支援
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