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さまざまな音読のススメ(速音読をマスターするための流れ)

 英文を素早く音読する速音読。日本の学校では、音読や音声の指導を丁寧にしてくれるところが少ないため、最初は慣れないかもしれません。しかし、以下の手順に従って進めていただければ、短時間で驚くほどの効果がでます。ぜひ取り組んでみて下さい。

一語読み

 まさに、単語1つ1つを発音する音読法です。単語のストレス(一番強く読むところ)だけきちんと意識し、イントネーション等は考えずに発音して結構です。

 「単語1つずつ発音するなんて、めんどくさい」と思われるかもしれません。が、他の記事でも触れているように、中級者以上になると、自己流の間違った発音がなかなか直りません。Australiaを「オーストラーリア」と読む間違いが代表的な例です。それ以外にも、カタカナ語になっているものほどカタカナ発音で定着していることが多いです。

 カタカナ発音をそのままにしておくと、リスニングで不利になります。さらによくないのは、リスニング能力を高めるためにオーバーラッピングに取り組めば、カタカナ発音で定着してしまいます。これでは練習すればするほど、間違いを刷り込んでしまうことになります。

 単調な練習ですので、速度を上げて取り組むようにしてもよいでしょう。メトロノームアプリを使います。1拍ごとに、リズムに合わせて単語の発音をします。慣れて来たら速度をどんどん上げてみましょう。

 速度を上げて、発音がすぐ出てこなかったり、言い間違えたりする場合は、ネットの辞書や電子辞書でもう一度調べてよく聞いて下さい。別の記事で触れましたが、「聞こえたように発音する」が基本です。この地味な練習が、この後取り組む練習の効果を何倍にもしてくれます。

 ネットで<スマホアプリ メトロノーム 無料 アンドロイド ios>で検索すればいくつか無料のアプリが出てきます。

関連リンク:単語の発音の正確さ(リンクはこの記事の最後にあります)

フレーズ音読

 単語の発音が正確にできるようになったら、次はフレーズごとに分けて音読します。次のような英文をフレーズごとに区切ります。

 できるだけフレーズは短くします。単語5個以下がベストです。

The Adventures of Tom Sawyer is set in the 1840’s in the fictitious town of St. Petersburg, Missouri, where Tom lives with his deceased mother’s sister, Aunt Polly, and his half-brother, Sid.

参照先:https://etc.usf.edu/lit2go/34/the-adventures-of-tom-sawyer/

区切り方には2通りあります。を入れる方法と、改行する方法です。

/を入れる方法

The Adventures / of Tom Sawyer / is set / in the 1840’s / in the fictitious town / of St. Petersburg, / Missouri, /where Tom lives / with his deceased mother’s sister, / Aunt Polly, / and his half-brother, / Sid.

改行する方法
The Adventures
of Tom Sawyer
is set
in the 1840’s
in the fictitious town
of St. Petersburg,
Missouri,
where Tom lives
with his deceased mother’s sister,
Aunt Polly,
and his half-brother,
Sid.

改行を入れる場所
 次のような語句等の前でフレーズを区切ります。

  • ,(カンマ)の後
  • 前置詞(of, to, with, atなど)
  • 接続詞(and, but, when, after, beforeなど)

 フレーズを音読する時、かならず意味を頭に思い浮かべて下さい。フレーズごとに意味を理解しながら音読することで、英語の語順通りに内容理解ができるようになります。英文を音読する場合、意味を考えるのに行ったり来たりすることはありませんか? これを避けるため、フレーズを意味を考えながら音読するわけです。

 行ったり来たりしないので、リーディングの速度が向上することにつながります。これはTOEICのリーディングパートはもちろん、リスニングテストのPart3,4にも効果を発揮します。

フレーズ一息5回音読

 フレーズの意味を考えながら、英文の流れ通りに音読ができるようにした後は、スピードを上げる練習です。短く区切ったフレーズを、息継ぎせずに一息で5回読めるようにします。フレーズとフレーズの間に休みを入れてはいけません。

悪い例

The Adventures(休み)The Adventures(休み)The Adventures(休み)
The Adventures(休み)The Adventures

of Tom Sawyer(休み)of Tom Sawyer(休み)of Tom Sawyer(休み)of Tom Sawyer(休み)of Tom Sawyer

よい例

The Adventures The Adventures The Adventures The Adventures The Adventures

of Tom Sawyer of Tom Sawyer of Tom Sawyerof Tom Sawyer of Tom Sawyer

できれば、どの単語を一番強く読むのかを音声教材などで確かめながら音読するとよいでしょう。強く読む単語を丸で囲むと意識しやすくなります。

一息1文音読

 フレーズ音読がきちんとできるようになったら、英文1つを通して音読します。1文は息継ぎをしないよう努力します。しかし、フレーズで区切って練習した時と同じように、フレーズを意識して、最初の英文を1文ずつ1息で音読します。

英文1:
The Adventures of Tom Sawyer is set in the 1840’s in the fictitious town of St. Petersburg, Missouri,
英文2:
where Tom lives with his deceased mother’s sister,
英文3:
Aunt Polly, and his half-brother, Sid.

 最初の1文がかなり長いので、適度なところで区切りました。単語10個以上ある英文が一息で読めるようになるのがゴールです。
 余裕が出てきたら、1つの英文を一息で3回音読するような試みもしてみましょう。

2分繰り返し音読

 速音読の仕上げの活動です。練習をした英文を2分間繰り返し音読します。そして、2分間で何回読めたかを数えます。ある程度音読の練習をしている方の場合、1分を過ぎたあたりから変化を感じるはずです。

 練習の励みになる目標設定があります。2分間で、単語をいくつ音読できたかを記録する方法です。

 たとえば100語の英文を2分間で4回目に入ったところで時間切れになったとします。そうすると、

100語×3回+(途中までの単語数)=2分間で音読できた単語数

ということになります。

 音読の速度を上げると言っても、限りなく上がるわけではありません。5回程度、2分繰り返し音読に取り組むと、だいたい4回目、5回目あたりで語数が伸びなくなります。それがその時点での限界と考えてましょう。5回目でも語数が上がった場合は、6回目7回目と挑戦し、自分の限界を知る挑戦をしてもよいでしょう。

 そもそも、口の筋肉の動かし方には限界がありますから、音読の限界とは、自分の口の筋肉が動く限界であって、あなたの英語力の限界ではないことは頭に入れておいて下さい。

速音読の手順 まとめ

 最後に、速音読の効果がすぐに実感できる練習の流れをまとめます。

  • 英文を見ないでオリジナルの音声を聞く
  • 和訳等を見て内容を確認する
  • 一語読
  • フレーズ読み
  • フレーズ一息3回読み
  • 一息1文音読(もしくは3回音読)
  • 2分繰り返し音読
  • 英文を見ないでオリジナル音声をもう1度聞く

 2回目にオリジナル音声を聞くと、ゆっくりに聞こえるはずです。

 私は音読の授業を担当すると、まずこの手順でCNNの英文を音読してもらいます。少なくとも私の授業に出ている方は、「こんなに、ゆっくりに聞こえるようになるんだ」とおっしゃいます。

 バッティング練習をする時、少し重いバットで素振りをしてから、普段使っているバットを振ると、軽く感じると思います。それと同じような感じです。

 この流れは、15分から20分程度で終わりますから、たった20分の練習で、こんなにゆっくり聞こえるんだ、と驚くはずです。ぜひお試しください。

関連リンク:単語の発音の正確さ(リンクはこの記事の最後にあります)

出典 トム・ソーヤ
The Adventures of Tom Sawyer by Mark Twain

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