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語源で覚える】secure| “cure” は、あの「治す」と同じでした

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「セキュリティ」「セキュアな通信」。すっかり日本語になった言葉ですが、secure をじっと見ると、真ん中に cure がいます。

そう、「治す」のあの cure です。そして、これは空似ではありません。secure の cure と、治療の cure は、本当に同じ語源です。

ではなぜ「治す」が「安全」になるのか。鍵は、cure のもともとの意味が「治す」ではなかった・・・というところにあります。

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secure を分解してイメージで覚える|真ん中の “cure” が入り口

secure をパーツで見ると、こうなります。

se(〜から離れて)+ cure(cura=心配・世話)

ここで、cure の原義を押さえてください。cure はもともと「治す」ではなく、「気にかけること・心配・世話」を表す言葉でした。病気の人を「気にかけて世話をする」ところから、あとになって「治療する」の意味が生まれています。順番が逆なんです。

そうすると、secure はこう読めます。

se(離れて)+ cura(心配)=「心配から離れている」

心配事の外側に立っている状態。だから「安心している」「安全だ」。secure という単語は、要塞や鍵の話をしているようでいて、実は心のありかを指す言葉として生まれました。

実際、1530年代の secure は「心配も恐れもない」という意味でした。「物理的にしっかり固定されている」という、今よく使う機械的な意味のほうが、むしろ後から(19世紀)加わったものです。

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secure の基本の意味と使い方

secure は形容詞と動詞の両方で使えます。

形容詞「安全な、しっかりした、不安のない」

  • a secure connection(安全な接続)
  • a secure job(安定した仕事)
  • Make sure the lid is secure.(ふたがしっかり閉まっているか確かめて)

動詞「守る、固定する、確保する」

  • secure the door(ドアをしっかり閉める)
  • secure a seat(席を確保する)
  • secure funding(資金を確保する)

動詞の「確保する、手に入れる」は18世紀に加わった意味です。「安全にする」→「自分のものとして押さえる」と広がったと考えると、つながりが見えてきます。

使い分け|unsecured と insecure は、どう違う?

secure の否定形は2つあり、使い分けがはっきりしています。

語意味使う場面
insecure自信がない、不安な/安全でない人の気持ち、システムの脆弱性
unsecured固定されていない/担保のない物理的な固定、金融(無担保)

insecure は1640年代から「安全でない」の意味で使われていましたが、「自信がない」という心理的な意味が加わったのは1935年と、意外に新しいものです。今では feel insecure(不安を感じる)のほうが主役になっています。

unsecured は、物が固定されていない状態と、金融の「無担保」を指します。

  • an unsecured loan(無担保ローン)
  • an unsecured cargo(固定されていない積荷)

ここで、secure のもう一つの顔が出てきます。名詞 security には「安全」のほかに「担保・証券」の意味があり、これは1832年のアメリカ英語から。collateral security(契約の履行を担保する財産)という言い方の省略です。unsecured loan の「無担保」は、この系統から来ています。

ちなみに unsecure という形容詞も1630年代から存在しますが、現在はほぼ使われません(辞書でも廃語扱い)。「安全でない」は insecure、「固定されていない・無担保の」は unsecured・・・この2つで覚えておけば十分です。

cura(心配・世話)でつながる単語ネットワーク

cure の原義「気にかける・世話をする」を知ると、ばらばらに見えていた単語が一列に並びます。

単語意味イメージ
cure治す、治療原義は「世話をすること」
curious好奇心が強い/奇妙な原義は「注意深い・熱心な」。気にかける人
curator学芸員、キュレーターコレクションの世話をする人
accurate正確なac(〜に)+cura=注意を向けて作られた
manicureマニキュア、爪の手入れmanus(手)+cura=手の世話
pedicureペディキュア、足の手入れpes(足)+cura=足の世話
procure調達する、確保するpro(前もって)+curare=手を尽くして手に入れる
sinecure閑職、名ばかりの役職sine(〜なしで)+cura=世話のいらない職

おもしろいのは sinecure です。sine(なしで)+cura で「心配のいらない仕事」。se(離れて)+cura の secure と、作り方がほとんど同じ。片方は「安心」、もう片方は「給料だけもらう閑職」という皮肉な言葉になりました。

curious も見逃せません。今は「好奇心が強い」ですが、原義は「注意深い、熱心な」。気にかけるからこそ、知りたくなる・・・その流れが残っています。

se(離れて)でつながる単語ネットワーク

もう一方の se(〜から離れて)。これも立派な一族を持っています。

単語意味語源
separate分ける、別々のse(離れて)+parare(準備する)
secret秘密se(離れて)+cernere(分ける)=分けて隠された
select選ぶse(離れて)+legere(集める)=選り分ける
seclude隔離するse(離れて)+claudere(閉じる)
segregate分離するse(離れて)+grex(群れ)=群れから離す
sever切り離すseparare の別形(フランス語経由)

secure・separate・secret。この3語が同じ se- を持っていると知るだけで、「se で始まったら、何かから離れる話かもしれない」と読めるようになります。

securus から英語に入った、もう一つの流れ

ここまでは「secure の中身」の話でした。最後に「secure の兄弟」を見ておきます。ラテン語 securus は、フランス語を通ってもう一度英語に入り、別の姿になっています。

単語意味語源
sure確かな古仏 seur ← securus
surely確かにsure+-ly
assure保証する、安心させるad(〜へ)+securus
ensure確実にするen(〜にする)+seur(sure)
insure保険をかけるensure の綴り違いから分化
insurance保険insure+-ance

つまり、sure も insurance も、たどれば secure と同じ securus です。「心配から離れた状態」という一点から、「確かだ」「保証する」「保険」まで枝分かれしている・・・そう見ると、ensure と insure と assure の紛らわしさも、少し腑に落ちます(この3語の使い分けは別記事で詳しく扱っています)。

派生語|secure まわり

単語品詞意味発音
secure形容詞・動詞安全な/確保するセキュア /sɪˈkjʊr/
securely副詞しっかりと、安全にセキュアリー /sɪˈkjʊrli/
security名詞安全、警備、担保・証券セキュリティ /sɪˈkjʊrəti/
secured形容詞固定された、担保付きのセキュアド /sɪˈkjʊrd/
unsecured形容詞固定されていない、無担保のアンセキュアド /ˌʌnsɪˈkjʊrd/
insecure形容詞不安な、安全でないインセキュア /ˌɪnsɪˈkjʊr/

TOEIC・英検での出題傾向

secure は、TOEIC で非常に出番の多い語です。動詞の secure a contract(契約を獲得する)、secure funding(資金を確保する) はビジネス文書の定番。名詞 security は security badge、security check、building security など、オフィス・空港の場面で頻出します。

英検では2級〜準1級で、形容詞の「安全な」「安定した」を中心に登場します。financial security(経済的な安定)のような抽象的な使い方も押さえておくと安心です。

unsecured は金融文脈(unsecured loan)に偏るので、TOEICのPart7で見かける可能性はありますが、優先度は secure 本体のほうが高めです。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Your data is secure here.
  2. Please secure the door before you leave.
  3. She worked hard and secured a place on the team.
  4. He finally feels secure in his new job.
  5. The old meaning of “secure” was simply “free from care.”
  6. You are more secure than you think.
  7. Save a little each month, and your future will feel more secure.
  8. Secure your own mask first, then help the person beside you.
  9. A secure person is not someone without worries.
  10. Being secure means your worries no longer decide who you are.

語源メモ|se と cura が出会う言葉

secure は、ラテン語 securus(心配がない、安全な)に由来し、1530年代の英語に入りました。securus は *se cura の形で、se(〜から離れて、〜なしで)+ cura(心配・世話)。

その cura が、英語の cure(治療)の大元です。cure は1300年ごろの英語では「世話・注意」の意味で、「治療」の意味がつくのは14世紀後半から。つまり cure の「治す」は後発で、「世話をする」が先でした。この順番を知っていると、curator(世話をする人)や accurate(注意して作られた)の意味もすんなり入ります。

一方で、cura そのものの出どころは分かっていません。古いラテン語の coira- まで遡れますが、そこから先は語源不詳とされています。

ここは間違えやすいので注意:英語の care(気にかける)は、cura とは無関係です。care は古英語 caru(悲しみ、不安)から来たゲルマン系の語で、ラテン語の cura とは系統が別。意味がよく似ているので同じ語源だと思われがちですが、偶然の一致です。「cure と care は親戚」と覚えてしまうと、そこだけ誤りになります。

また、secure の「しっかり固定された」という機械的な意味は1841年から、「盗聴されていない」(secure line)は1961年からと、いずれも近代以降に加わった用法です。もとは一貫して「心配から離れている」という、心の状態を指す言葉でした。

まとめ

secure は、se(離れて)+ cura(心配・世話)で「心配から離れている」=安全な・安心している。

  • se(離れて)・・・separate/secret/select/seclude/segregate などの一族へ
  • cura(心配・世話)・・・cure/curious/curator/accurate/manicure/sinecure などの一族へ
  • securus 直系・・・sure/assure/ensure/insure/security へ
  • 否定形は2つ。insecure(不安な・安全でない)と unsecured(固定されていない・無担保の)

真ん中にいる cure は、「治す」より前に「気にかける」でした。心配から少し離れて立てること・・・それが secure の、いちばん古い意味です。

secure の語源ワードマップ。中心は secure(=心配から離れている、安心・安全)で、se(離れて)+cura(心配・世話)に分解。覚え方のヒント(中の cure は「治す」の cure と同じ語源)、cura(世話)一族(cure / curious / curator / accurate / manicure / sinecure)、se(離れて)一族(separate / secret / select / seclude / segregate)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:se(離れて)+ cura(心配・世話)=「心配から離れている」
  • 覚え方のヒント:真ん中の cure は、あの「治す」の cure と同じ
  • cura(心配・世話)一族:cure/curious/curator/accurate/manicure/sinecure
  • se(離れて)一族:separate/secret/select/seclude/segregate

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翻訳練習の解答

  1. あなたのデータは、ここでは安全に守られている。
  2. 出かける前に、ドアをしっかり閉めてください。
  3. 彼女は努力して、チームでの居場所を手に入れた。
  4. 彼はようやく、新しい仕事で安心できるようになった。
  5. secure の古い意味は、ただ「心配がない」だった。
  6. あなたは、自分で思っているよりもずっと大丈夫だ。
  7. 毎月少しずつ貯めていけば、将来はもっと安心できるものになる。
  8. まず自分の酸素マスクをつけて、それから隣の人を助けよう。
  9. 安心している人とは、心配ごとがない人のことではない。
  10. 安心とは、心配があっても、自分を見失わなくなることだ。

NGSL 収録語用

この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。

出典:New General Service List Project