「セキュリティ」「セキュアな通信」。すっかり日本語になった言葉ですが、secure をじっと見ると、真ん中に cure がいます。
そう、「治す」のあの cure です。そして、これは空似ではありません。secure の cure と、治療の cure は、本当に同じ語源です。
ではなぜ「治す」が「安全」になるのか。鍵は、cure のもともとの意味が「治す」ではなかった・・・というところにあります。
secure を分解してイメージで覚える|真ん中の “cure” が入り口
secure をパーツで見ると、こうなります。
se(〜から離れて)+ cure(cura=心配・世話)
ここで、cure の原義を押さえてください。cure はもともと「治す」ではなく、「気にかけること・心配・世話」を表す言葉でした。病気の人を「気にかけて世話をする」ところから、あとになって「治療する」の意味が生まれています。順番が逆なんです。
そうすると、secure はこう読めます。
se(離れて)+ cura(心配)=「心配から離れている」
心配事の外側に立っている状態。だから「安心している」「安全だ」。secure という単語は、要塞や鍵の話をしているようでいて、実は心のありかを指す言葉として生まれました。
実際、1530年代の secure は「心配も恐れもない」という意味でした。「物理的にしっかり固定されている」という、今よく使う機械的な意味のほうが、むしろ後から(19世紀)加わったものです。
secure の基本の意味と使い方
secure は形容詞と動詞の両方で使えます。
形容詞「安全な、しっかりした、不安のない」
- a secure connection(安全な接続)
- a secure job(安定した仕事)
- Make sure the lid is secure.(ふたがしっかり閉まっているか確かめて)
動詞「守る、固定する、確保する」
- secure the door(ドアをしっかり閉める)
- secure a seat(席を確保する)
- secure funding(資金を確保する)
動詞の「確保する、手に入れる」は18世紀に加わった意味です。「安全にする」→「自分のものとして押さえる」と広がったと考えると、つながりが見えてきます。
使い分け|unsecured と insecure は、どう違う?
secure の否定形は2つあり、使い分けがはっきりしています。
| 語 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| insecure | 自信がない、不安な/安全でない | 人の気持ち、システムの脆弱性 |
| unsecured | 固定されていない/担保のない | 物理的な固定、金融(無担保) |
insecure は1640年代から「安全でない」の意味で使われていましたが、「自信がない」という心理的な意味が加わったのは1935年と、意外に新しいものです。今では feel insecure(不安を感じる)のほうが主役になっています。
unsecured は、物が固定されていない状態と、金融の「無担保」を指します。
- an unsecured loan(無担保ローン)
- an unsecured cargo(固定されていない積荷)
ここで、secure のもう一つの顔が出てきます。名詞 security には「安全」のほかに「担保・証券」の意味があり、これは1832年のアメリカ英語から。collateral security(契約の履行を担保する財産)という言い方の省略です。unsecured loan の「無担保」は、この系統から来ています。
ちなみに unsecure という形容詞も1630年代から存在しますが、現在はほぼ使われません(辞書でも廃語扱い)。「安全でない」は insecure、「固定されていない・無担保の」は unsecured・・・この2つで覚えておけば十分です。
cura(心配・世話)でつながる単語ネットワーク
cure の原義「気にかける・世話をする」を知ると、ばらばらに見えていた単語が一列に並びます。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| cure | 治す、治療 | 原義は「世話をすること」 |
| curious | 好奇心が強い/奇妙な | 原義は「注意深い・熱心な」。気にかける人 |
| curator | 学芸員、キュレーター | コレクションの世話をする人 |
| accurate | 正確な | ac(〜に)+cura=注意を向けて作られた |
| manicure | マニキュア、爪の手入れ | manus(手)+cura=手の世話 |
| pedicure | ペディキュア、足の手入れ | pes(足)+cura=足の世話 |
| procure | 調達する、確保する | pro(前もって)+curare=手を尽くして手に入れる |
| sinecure | 閑職、名ばかりの役職 | sine(〜なしで)+cura=世話のいらない職 |
おもしろいのは sinecure です。sine(なしで)+cura で「心配のいらない仕事」。se(離れて)+cura の secure と、作り方がほとんど同じ。片方は「安心」、もう片方は「給料だけもらう閑職」という皮肉な言葉になりました。
curious も見逃せません。今は「好奇心が強い」ですが、原義は「注意深い、熱心な」。気にかけるからこそ、知りたくなる・・・その流れが残っています。
se(離れて)でつながる単語ネットワーク
もう一方の se(〜から離れて)。これも立派な一族を持っています。
| 単語 | 意味 | 語源 |
|---|---|---|
| separate | 分ける、別々の | se(離れて)+parare(準備する) |
| secret | 秘密 | se(離れて)+cernere(分ける)=分けて隠された |
| select | 選ぶ | se(離れて)+legere(集める)=選り分ける |
| seclude | 隔離する | se(離れて)+claudere(閉じる) |
| segregate | 分離する | se(離れて)+grex(群れ)=群れから離す |
| sever | 切り離す | separare の別形(フランス語経由) |
secure・separate・secret。この3語が同じ se- を持っていると知るだけで、「se で始まったら、何かから離れる話かもしれない」と読めるようになります。
securus から英語に入った、もう一つの流れ
ここまでは「secure の中身」の話でした。最後に「secure の兄弟」を見ておきます。ラテン語 securus は、フランス語を通ってもう一度英語に入り、別の姿になっています。
| 単語 | 意味 | 語源 |
|---|---|---|
| sure | 確かな | 古仏 seur ← securus |
| surely | 確かに | sure+-ly |
| assure | 保証する、安心させる | ad(〜へ)+securus |
| ensure | 確実にする | en(〜にする)+seur(sure) |
| insure | 保険をかける | ensure の綴り違いから分化 |
| insurance | 保険 | insure+-ance |
つまり、sure も insurance も、たどれば secure と同じ securus です。「心配から離れた状態」という一点から、「確かだ」「保証する」「保険」まで枝分かれしている・・・そう見ると、ensure と insure と assure の紛らわしさも、少し腑に落ちます(この3語の使い分けは別記事で詳しく扱っています)。
派生語|secure まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| secure | 形容詞・動詞 | 安全な/確保する | セキュア /sɪˈkjʊr/ |
| securely | 副詞 | しっかりと、安全に | セキュアリー /sɪˈkjʊrli/ |
| security | 名詞 | 安全、警備、担保・証券 | セキュリティ /sɪˈkjʊrəti/ |
| secured | 形容詞 | 固定された、担保付きの | セキュアド /sɪˈkjʊrd/ |
| unsecured | 形容詞 | 固定されていない、無担保の | アンセキュアド /ˌʌnsɪˈkjʊrd/ |
| insecure | 形容詞 | 不安な、安全でない | インセキュア /ˌɪnsɪˈkjʊr/ |
TOEIC・英検での出題傾向
secure は、TOEIC で非常に出番の多い語です。動詞の secure a contract(契約を獲得する)、secure funding(資金を確保する) はビジネス文書の定番。名詞 security は security badge、security check、building security など、オフィス・空港の場面で頻出します。
英検では2級〜準1級で、形容詞の「安全な」「安定した」を中心に登場します。financial security(経済的な安定)のような抽象的な使い方も押さえておくと安心です。
unsecured は金融文脈(unsecured loan)に偏るので、TOEICのPart7で見かける可能性はありますが、優先度は secure 本体のほうが高めです。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Your data is secure here.
- Please secure the door before you leave.
- She worked hard and secured a place on the team.
- He finally feels secure in his new job.
- The old meaning of “secure” was simply “free from care.”
- You are more secure than you think.
- Save a little each month, and your future will feel more secure.
- Secure your own mask first, then help the person beside you.
- A secure person is not someone without worries.
- Being secure means your worries no longer decide who you are.
語源メモ|se と cura が出会う言葉
secure は、ラテン語 securus(心配がない、安全な)に由来し、1530年代の英語に入りました。securus は *se cura の形で、se(〜から離れて、〜なしで)+ cura(心配・世話)。
その cura が、英語の cure(治療)の大元です。cure は1300年ごろの英語では「世話・注意」の意味で、「治療」の意味がつくのは14世紀後半から。つまり cure の「治す」は後発で、「世話をする」が先でした。この順番を知っていると、curator(世話をする人)や accurate(注意して作られた)の意味もすんなり入ります。
一方で、cura そのものの出どころは分かっていません。古いラテン語の coira- まで遡れますが、そこから先は語源不詳とされています。
ここは間違えやすいので注意:英語の care(気にかける)は、cura とは無関係です。care は古英語 caru(悲しみ、不安)から来たゲルマン系の語で、ラテン語の cura とは系統が別。意味がよく似ているので同じ語源だと思われがちですが、偶然の一致です。「cure と care は親戚」と覚えてしまうと、そこだけ誤りになります。
また、secure の「しっかり固定された」という機械的な意味は1841年から、「盗聴されていない」(secure line)は1961年からと、いずれも近代以降に加わった用法です。もとは一貫して「心配から離れている」という、心の状態を指す言葉でした。
まとめ
secure は、se(離れて)+ cura(心配・世話)で「心配から離れている」=安全な・安心している。
- se(離れて)・・・separate/secret/select/seclude/segregate などの一族へ
- cura(心配・世話)・・・cure/curious/curator/accurate/manicure/sinecure などの一族へ
- securus 直系・・・sure/assure/ensure/insure/security へ
- 否定形は2つ。insecure(不安な・安全でない)と unsecured(固定されていない・無担保の)
真ん中にいる cure は、「治す」より前に「気にかける」でした。心配から少し離れて立てること・・・それが secure の、いちばん古い意味です。

- 語源・中心:se(離れて)+ cura(心配・世話)=「心配から離れている」
- 覚え方のヒント:真ん中の cure は、あの「治す」の cure と同じ
- cura(心配・世話)一族:cure/curious/curator/accurate/manicure/sinecure
- se(離れて)一族:separate/secret/select/seclude/segregate
関連記事(内部リンク)
- ensure・insure・assure の違い → https://isseisuzuki.org/ensure-insure-assure-difference/
- insurance の語源(保険)→ https://isseisuzuki.org/insurance/
- separate の語源 → (近日中に公開)
- 【ピラー】【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶術で芋づる式に覚える
👇 → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/

翻訳練習の解答
- あなたのデータは、ここでは安全に守られている。
- 出かける前に、ドアをしっかり閉めてください。
- 彼女は努力して、チームでの居場所を手に入れた。
- 彼はようやく、新しい仕事で安心できるようになった。
- secure の古い意味は、ただ「心配がない」だった。
- あなたは、自分で思っているよりもずっと大丈夫だ。
- 毎月少しずつ貯めていけば、将来はもっと安心できるものになる。
- まず自分の酸素マスクをつけて、それから隣の人を助けよう。
- 安心している人とは、心配ごとがない人のことではない。
- 安心とは、心配があっても、自分を見失わなくなることだ。
NGSL 収録語用
この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。


