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【語源で覚える】implement|plenty(たくさん)と同じ “ple” が「実行する」になるしくみ

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「実行する」と「道具」、なぜ同じ単語? implement という語を見るたびに首をかしげた経験はないでしょうか。

じつはこの二つ、語源からたどると同じ一枚の絵になります。im(中へ)+ple(満たす)。「中を満たすもの」が道具で、「中を満たす行為」が実行。ここがわかると、TOEIC頻出の implementation もひとまとめに記憶できます。

今回の主役は真ん中の ple(plere=満たす)。でも「plere」と言われてもピンとこない。だからまず、知っている単語から入ります。

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「ple=満たす」は、plenty からイメージする

plenty という単語を知っていますか?

「たくさんの」「十分な」という意味です。

plenty of time で「時間がたっぷりある」。この「たっぷり」というのは、言い換えれば「中身が満ちている」ということです。

この「満たす・満ちている」が、ple のイメージです。

ple を見たら「満たす・満ちている」。

これが今回の出発点です。

このイメージを先に持っておくと、見慣れた単語がつながって見えてきます。

  • complete → すべて満たす → 完成させる
  • plenty → たっぷり満ちている → 豊富な
  • replenish → 再び満たす → 補充する
  • implement → 中を満たす → 実行する・道具
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implement を分解してイメージで覚える

implement をパーツで見るとこうなります。

im(in=中へ)+ ple(plere=満たす)+ ment(こと・もの)

「計画」は、立てただけでは中身が空気だけの空っぽの器です。そこに行動やシステムという実体を注ぎ込んで、中身をいっぱいにする(plere)。それが implement(実行する・実装する)の本質です。道具(implement)も同じ発想で「手の足りない部分を埋めてくれるもの」。

  • 「中を満たすもの」 → 道具(名詞)
  • 「中を満たす行為」 → 実行する(動詞)

ITエンジニアが「この機能をインプリする(実装する)」と言うときの「インプリ」は、この implement の略です。感覚的につかめていると、現場の英語が一段と読みやすくなります。

※ ここでの「im=中へ、ple=満たす、ment=もの・行為」という分解は学習用のイメージです。英語史では名詞の「道具・備品」として先に定着し、その後「義務や計画の中身を満たして成し遂げる」という動詞の用法が加わりました。中世ラテン語の implementum(満たすもの・設備)が出発点で、約300年かけて動詞として使われ始めた単語です。

implement の基本の意味と使い方

implement は動詞と名詞の二役をこなします。

動詞(実行する・実施する・実装する)

  • implement a plan(計画を実行する)
  • implement a new policy(新しい方針を施行する)
  • implement a system(システムを導入する)

名詞(道具・器具・手段)

  • farming implements(農機具)
  • writing implements(筆記用具)

日常で目にするのは動詞がほとんどです。特に IT やビジネス文書では「導入する・実装する」の意味で頻繁に使われ、TOEIC Part 7 の議事録・報告書にも定番で登場します。

“ple(plere=満たす)” でつながる単語ネットワーク

implement の核 ple(plere)を知っておくと、普段から使っている単語が一気に仲間に見えてきます。

単語意味イメージ
complete完成した、完成させるcom(すっかり)+ple=すべてを満たす
plentyたくさん、豊富plenus(満ちた)から。満ちている状態
supply供給するsub(下から)+ple=下から満たして届ける
replenish補充するre(再び)+ple=もう一度満たす
complement補完するcom+ple=足りないところを満たす
deplete枯渇させるde(取り除く)+ple=満ちていたものを減らす
surplus余剰、余分sur(超えて)+plus(満ちて多い)=器から溢れ出た分

surplus の plus はラテン語の「より多い」を表す比較級形で、ple と同じ印欧祖語の根っこを持っています。中世ラテン語 superplus(余り)を経て「満ちて器から溢れ出した分」がそのまま「余剰」になりました。

「ple/plu が入っていたら、たぶん”満たす・多い”話」と見えてくると、初見の単語でも意味が推測できます。

“im(in=中へ)” でつながる単語ネットワーク

頭の im(in)の方向から見ても、動きのイメージが広がります。

単語意味イメージ
import輸入するim+port(運ぶ)=中へ運んでくる
include含むin+clude(閉じる)=中に閉じ込める
invest投資するin+vest(着る)=中に着込む → 資金を入れる
install設置するin+stall(置く)=中に据え付ける
inspire鼓舞するin+spire(息)=中に息を吹き込む

implement は「ple(満たす)」と「im(中へ)」、二方向に仲間が広がる単語です。

派生語|implement まわり

単語品詞意味発音記号カタカナ目安
implement動詞実行する、実施する、実装する/ˈɪmplɪment/インプリメント(語尾をはっきり)
implement名詞道具、器具/ˈɪmplɪmənt/インプリマント(語尾が曖昧)
implementation名詞実行、実施、実装/ˌɪmplɪmenˈteɪʃən/インプリメンテーション

動詞と名詞で末尾の母音がわずかに変わります。動詞は /ment/(メント・語尾をはっきり)、名詞は /mənt/(マント・曖昧音)。発音が気になる方は意識してみてください。

TOEIC・英検での出題傾向

implement は TOEIC では主に動詞として出ます。Part 5 では「他動詞なので直後に目的語が来る」点が問われやすく、Part 7 では議事録・ビジネスレポートで the implementation of the new system(新システムの導入)のような名詞形が出ます。

英検では2級〜準1級レベル。ビジネス文書の読解で登場します。IT・経営・法務のどの文脈でも使われるので、一語知っておくと応用範囲が広いです。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. The team will implement the new system next month.
  2. Good tools are the implements of good work.
  3. She worked hard to implement the plan on time.
  4. The implementation took longer than expected.
  5. You can implement small changes every day.
  6. We need to implement a fair policy for everyone.
  7. The farming implements were stored in the barn.
  8. Once you implement it, you will see the difference.
  9. The company successfully implemented the new guidelines.
  10. Every idea stays empty until you implement it.

語源メモ|plere と in が出会う言葉

implement はラテン語 implementum(満たすもの・設備・備品)に由来します。動詞 implere(中を満たす)から来ており、さらに分けると in(中へ)+ plere(満たす)。

「道具・家財道具」という名詞の意味で中世ラテン語から英語に入り、16〜17世紀のスコットランド法などで「義務・約束の中身を満たして成し遂げる」という動詞として使われ始めました。「計画という空の器に実体を注ぎ込む」という歴史的なメタファーが、そのまま現代の「実行する・実装する」につながっています。

ple(plere)は complete・plenty・supply・replenish・complement・deplete・surplus と広い一族を形成しています。im(in)の方も import・include・invest・install など多くの単語につながっています。

まとめ

implement は、im(in=中へ)+ ple(plere=満たす)で「中を満たすもの=道具」「中を満たす行為=実行」。

  • ple(plere)・・・満たす。plenty/complete/supply/replenish/complement/deplete の一族へ
  • im(in)・・・中へ。import/include/invest/install の一族へ
  • implement は、その2つが交わる入り口

「ple を見たら満たす」。この感覚が身につくと、単語が芋づる式につながりはじめます。

implement の語源ワードマップ。中心は implement(=中を満たすもの・行為)で、im(in=中へ)+ple(plere=満たす)に分解。覚え方のヒント(plenty→ple=満たす→implement)、ple(満たす)一族(plenty/complete/supply/replenish/complement/deplete/surplus)、im(中へ)一族(import/include/invest/install/inspire)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:im(in=中へ)+ ple(plere=満たす)=「中を満たすもの・行為」
  • 覚え方のヒント:plenty(たっぷり満ちている)→ ple=満たす、を先につかむ
  • ple(満たす)一族:plenty/complete/supply/replenish/complement/deplete/surplus
  • im(中へ)一族:import/include/invest/install/inspire

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翻訳練習の解答例

  1. そのチームは来月、新しいシステムを導入する予定だ。
  2. 良い道具は、良い仕事の手段になる。
  3. 彼女は計画を期限通りに実行しようと懸命に取り組んだ。
  4. 実施には予想より時間がかかった。
  5. 小さな変化なら、毎日実行できる。
  6. 全員に公平な方針を導入する必要がある。
  7. 農機具は納屋に保管されていた。
  8. 一度実行してみれば、違いがわかる。
  9. その会社は新しいガイドラインを無事に施行した。
  10. どんなアイデアも、実行するまでは中身が空っぽのままだ。
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