「インスピレーショナル」、カタカナにすると長くて覚えにくい・・・そう感じませんか。でも、分けてみると案外シンプルです。
真ん中に spir(息をする) がいます。spirit(精神・魂)と同じ根っこです。語源をたどると spirare(ラテン語:息をする)で、spirit は「命の息吹」という意味で生まれた言葉でした。息と命と精神が、むかしは同じ一語だった。
その spir に in(中に) を足したのが inspire。「中に息を吹き込む」。そこから「感動させる・奮い立たせる」という意味が育ちました。
inspirational は、inspire → inspiration → inspirational と積み上がった形容詞です。
「中に息を吹き込まれるような体験」=感動、というイメージ。なんだか腑に落ちませんか。
inspirational をパーツで覚える|spir(息をする)が意味の中心
inspirational は、こう積み上がっています。
inspire(息を吹き込む)→ inspiration(吹き込まれた状態・ひらめき)→ inspirational(〜の性質を持つ)
パーツで見るとこうなります。
in(中に)+ spir(息をする)+ -ation(名詞化)+ -al(〜の性質を持つ)
意味の中心は spir。ラテン語では spirare(息をする)が転じて、「神が命を吹き込む」という意味に広がりました。聖書の創世記に、神が土でつくった人の鼻に「命の息(breath of life)」を吹き込んだ場面があります。ラテン語訳聖書でこの「吹き込む」に使われたのが inspirare です。
「中に(in)息を吹き込む(spirare)」→ 人の心に力や活力を吹き込む → 感動させる。inspirational は、その「息を吹き込まれるような性質を持つもの」。心を揺さぶるスピーチや、立ち上がる力をくれる言葉・物語に使われる形容詞です。
inspirational の基本の意味と使い方
inspirational は「感動的な」「人を奮い立たせる」「やる気にさせる」を表す形容詞です。
- an inspirational speech(感動的なスピーチ)
- an inspirational figure(人々を奮い立たせる人物)
- an inspirational story(心を動かす話)
ただの「いい話」ではなく、「聞いた後に何かしたくなる・前に進みたくなる」という感覚がこもっています。中に息を吹き込まれた、というイメージそのものです。
inspiring との使い分け
inspiring と inspirational はどちらも「感動的な」と訳せますが、ニュアンスが違います。
- inspiring:いまここで心を揺さぶっている、動きのある感覚。「そのスピーチを聞いている最中にグッときた」
- inspirational:そういう力を備えた存在・性質。「あの先生は、存在そのものが人を奮い立たせる」
an inspiring speech(聞いているその場で胸が熱くなるスピーチ)と、an inspirational teacher(生き方として人を動かすような先生)。使い分けの感覚は、「動き(体験)」か「属性(性質)」かで決まります。TOEIC の語彙・品詞問題でも、このニュアンスが問われることがあります。
“spir(息をする)” でつながる単語ネットワーク
spir を知ると、一見バラバラに見える単語がまとまって見えてきます。どれも「息」の動きから生まれています。
| 単語 | 接頭辞+語根 | コアイメージ | 意味 |
|---|---|---|---|
| spirit | spir+-it | 体に宿る命の息吹 | 精神、魂、気迫 |
| inspire | in(中に)+spir | 心の中に息を吹き込む | 感動させる、奮い立たせる |
| expire | ex(外へ)+spir | 最後の息を外へ吐き出す | 息を引き取る、期限が切れる |
| aspire | ad(〜へ)+spir | 目標に向かって息を荒げる | 熱望する、志す |
| conspire | con(共に)+spir | 息をひそめて密かに合わせる | 共謀する、企てる |
| respire | re(再び)+spir | 繰り返し息を吸い直す | 呼吸する |
| perspire | per(通り抜けて)+spir | 皮膚の毛穴を通して蒸気を出す | 汗をかく |
「spir が入っていたら、たぶん”息・命・精神”の話」・・・そう見えてくると、初見の単語でも意味の見当がつきます。inspirational は、この spir 一族への入り口でもあります。
派生語 Word Family
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| inspire | 動詞 | 感動させる、奮い立たせる | インスパイア /ɪnˈspaɪər/ |
| inspired | 形容詞 | 感動を受けた、ひらめきに満ちた | インスパイアード /ɪnˈspaɪərd/ |
| inspiring | 形容詞 | 感動させるような、鼓舞するような | インスパイアリング /ɪnˈspaɪərɪŋ/ |
| inspiration | 名詞 | 感動、ひらめき、インスピレーション | インスピレーション /ˌɪnspɪˈreɪʃən/ |
| inspirational | 形容詞 | 感動的な、人を奮い立たせる | インスピレーショナル /ˌɪnspɪˈreɪʃənl/ |
TOEIC・英検での出題傾向
inspirational は、TOEIC では人物紹介・インタビュー・企業の記念スピーチなどの文脈で登場します。inspirational leader、inspirational message、inspirational story といった形が定番です。英検では準2級〜2級レベルで出てきます。inspire(動詞)と inspiring(形容詞)は特に頻出なので、セットで押さえておくとどちらが来ても安心です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を考えてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Her speech was truly inspirational.
- He is one of the most inspirational teachers I have ever met.
- That movie told an inspirational story of courage.
- You can find inspiration in the most unexpected places.
- The book inspired many readers to change their lives.
- Her story inspired me to keep going.
- What inspires you most in your daily life?
- An inspirational leader brings out the best in others.
- Even a small act of kindness can be inspirational.
- You don’t need to be famous to be inspirational.
語源メモ|spirare から生まれた言葉
inspirational のたどり着く先は、ラテン語の動詞 inspirare(吹き込む・息をかける)。分けると in-(中に)+ spirare(息をする)。
spirare は spirit(精神・魂)の語源でもあり、古代ラテン語では「息」と「命」と「精神」が近い意味でつながっていました。spirare → spiritus(息・命の息吹)→ spirit という流れです。
inspirare はもともと「神が命の息を吹き込む」という神学的な文脈で使われ、中世フランス語を経て英語に入りました(inspire は14世紀中頃、inspirational は1878年の初出)。
spir の一族はどれも「息」の動きをベースにしています。expire(外へ息を吐く → 期限切れ・息を引き取る)、aspire(〜へ息を向ける → 熱望する)、conspire(一緒に息を合わせる → 共謀する)、perspire(皮膚の毛穴を通り抜けて蒸気を出す → 汗をかく)。17世紀の医学では、毛穴は「目に見えない息(蒸気)を外に出す通気孔」として説明されていました。
まとめ
inspirational は、in(中に)+ spir(息をする)+ -ation + -al で「中に息を吹き込まれるような性質を持つもの」=感動的な・人を奮い立たせる。
- inspire → inspiration → inspirational・・・動詞から名詞、名詞から形容詞へと積み上がる
- spir(spirare)・・・息をする。spirit と同じ根。inspire / expire / aspire / conspire / perspire が仲間
- inspiring と inspirational・・・「動き(体験)」か「属性(性質)」かの違い
中に息を吹き込まれた瞬間、人は動き出せる。inspirational は、その力を持つものへ贈る言葉です。

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- spirit の語源 → (近日中に公開)
- aspire の語源(熱望する)→ (近日中に公開)
翻訳練習の解答例
- 彼女のスピーチは、本当に感動的だった。
- 彼は、私が出会った中でもっとも人を奮い立たせる先生の一人だ。
- その映画は、勇気の感動的な物語を描いていた。
- まったく思わぬ場所に、インスピレーションは転がっている。
- その本は、多くの読者が人生を変えるきっかけになった。
- 彼女の話が、私が前に進み続ける力をくれた。
- 日々の生活の中で、あなたがいちばん刺激を受けるのは何ですか?
- 感動的なリーダーは、人の中にある最善の力を引き出す。
- 小さな親切の一つひとつが、誰かにとっての感動になることがある。
- 有名じゃなくても、誰かを奮い立たせることはできる。


