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【語源で覚える】season|シーズンが「味つけする」に化けた理由

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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料理番組の英語レシピを見ていると、こんな一行が出てきます。

Season the soup with salt and pepper.

スープを「季節する」・・・わけがありません。これは「塩とこしょうで味をととのえる」。シーズニングソルトの、あのシーズニングです。

「シーズン=季節」としか思っていなかった人には、ちょっとした事故のような一文です。別の単語がたまたま同じ綴りになった・・・そう考えたくなりますが、違います。季節の season と、味つけの season は、まぎれもなく同じ一語です。

つなぎ目は、意外なところにありました。種まきです。

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season の意味の中心|出発点はラテン語の「種をまく」

season のおおもとは、ラテン語の satio(サティオ)=種まき・植えつけ。これは動詞 serere(セレレ)=種をまく から作られた名詞で、さらにさかのぼると印欧祖語の *sē-(種をまく) にたどり着きます。

つまり season は、分解できるパーツを持った合成語ではなく、「種をまくこと」という一語がまるごと姿を変えてきた単語です。接頭辞も接尾辞もありません。そのぶん、意味がどう動いたかを追うのがそのまま覚え方になります。

意味の中心は、ひとことで言えばこうなります。

season =「ちょうどよい頃合い」

季節も、旬も、味つけも、ベテランも、全部ここから出ています。

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「種まき」から「味つけ」まで|意味が動いた道すじ

ここがこの単語のいちばん面白いところです。順番に並べると、飛躍がほとんどありません。

段階意味どこで・いつ
①種をまくこと(行為そのもの)ラテン語 satio
②種をまく時期・・・とくに春俗ラテン語で意味がずれる
③一年を区切る四つの時期のどれか古プロヴァンス語・古フランス語
④ちょうどよい時期、ふさわしい機会古フランス語 saison /英語に1300年ごろ
⑤実りが頃合いを迎えて、おいしくなる動詞 season が生まれる発想の橋
⑥香辛料を加えて味をよくする英語・14世紀末
⑦木材を寝かせて、使える状態にする1540年代
⑧人が経験を積んで、一人前になる1600年ごろ

②がポイントです。「種をまく行為」だった satio が、俗ラテン語の段階で「種をまく時期」に移り、しかもそれは春を指しました。一年でいちばん大事な種まきの季節だったからです。農業の現実が、そのまま言葉の意味になった形ですね。

そこから③で「春だけでなく、四季のどれでも」に広がり、④で「作物にとっての頃合い」が「ものごとの頃合い」一般に広がります。英語に入った1300年ごろの season は、すでに「季節」と「ちょうどよい時期」の両方を持っていました。

そして⑤です。果物は、頃合いに近づくほど味がよくなる・・・この「熟して味がよくなる」という感覚から、14世紀末に動詞の season(味をよくする)が生まれました。古フランス語の saisonner は「熟す」と「味つけする」の両方を意味していて、現代フランス語の assaisonner(味つけする)に残っています。

⑦と⑧は、その比喩をさらに伸ばしたものです。木材を長く寝かせて使える状態にすることを season と言い、やがて人間にも使われるようになりました。a seasoned teacher と言えば、長く寝かせて味の出た先生・・・つまりベテランの先生です。

「季節 → 味つけ」は飛躍に見えますが、あいだに「頃合い」と「熟す」を入れると、きれいな一本道になります。

season の基本の意味と使い方

名詞と動詞、両方よく使います。

名詞の season

  • the rainy season(雨季)
  • Strawberries are in season now.(いちごは今が旬です)
  • The hotel is quiet in the off-season.(オフシーズンのホテルは静かです)

動詞の season

  • Season the chicken with herbs.(ハーブで鶏肉に下味をつける)
  • a seasoned professional(経験を積んだプロ)

in season は「旬の」「食べごろの」。④の「ちょうどよい時期」がそのまま生きている表現です。スーパーの野菜売り場でも、人生の話でも使えます。

seasonal・seasoning・seasoned の使い分け

形が似ていて、役割がはっきり違う3つです。ここを整理しておくと実務で迷いません。

語品詞意味使う場面
seasonal形容詞季節の、季節によって変わるseasonal demand(季節需要)、seasonal workers(季節労働者)
seasoning名詞調味料、味つけseasoning salt、Add seasoning to taste.
seasoned形容詞味つけされた/経験豊富なseasoned fries、a seasoned negotiator
seasonable形容詞時期にかなった、折よいseasonable weather(時候にかなった天候)

とくに seasoned は二枚看板です。食べ物につけば「味つけ済み」、人につけば「ベテラン」。どちらも「じゅうぶんに寝かせて、仕上がっている」という同じ感覚から来ています。

なお seasonal は、名詞の season が英語に入ってから500年以上あとの1829年に作られた、比較的新しい形です。「季節労働者」の意味で使われるようになったのは1904年から。思っているより若い単語です。

*sē-(種をまく)でつながる単語ネットワーク

season の根っこ「種をまく」をたどると、まったく違う顔をした単語たちが同じ家に並びます。

単語意味つながり
seed種英語に昔からある「まかれるもの」
sow種をまくラテン語 serere と同じ根から出た英語本来語
seminarセミナーラテン語 seminarium=苗床。苗を育てる場所
seminary神学校、養成所同じく「苗床」。人を育てる場所
seminal影響力の大きい、萌芽的な「種となる」→ 後の研究の出発点になる
disseminate(情報を)広めるdis(あちこちに)+ semen(種)=種をばらまく
sativa栽培種(学名)ラテン語 sativus=まかれた・栽培された

いちばん意外なのは seminar(セミナー)でしょう。もとは「苗床」。ドイツの大学で「教授のもとで学生が育つ場」を Seminar と呼んだのが英語に入り、1887年から使われています。種をまいて苗を育てる場所・・・と知ると、あの単語の手ざわりが少し変わります。

学名の sativa / sativum も同じ仲間です。Oryza sativa(イネ)、Allium sativum(ニンニク)、Lactuca sativa(レタス)。「栽培された=人が種をまいて育てた」という印がついているわけです。

注意点|season と series は、別の一族です

ここだけは気をつけてください。Netflixの「シーズン4」と「シリーズ」、似た場所で使う言葉ですが、語源はつながっていません。

ラテン語には、綴りがそっくりな動詞が2つありました。

  • serere(完了形 sēvī・種をまく) → satio → season、seed、sow、seminar
  • serere(完了形 seruī・つなぎ合わせる、一列に並べる) → series、serial、sermon、insert、assert、sort、consort

「種をまく」と「つなぎ合わせる」。見た目は双子でも、別の家系です。series(一列に並んだもの)、sermon(言葉を数珠つなぎにしたもの)、insert(あいだに差し込む)は後者のグループ。season はこちらには入りません。

もうひとつ。スペイン語の estación、イタリア語の stagione は「季節」を意味しますが、これは season の親戚ではなく、ラテン語 statio(立つ場所・駅)から来ています。英語の station と同じ系統です。印欧語族では、季節を表す語は「時間」を意味する語から作られるのがむしろ普通で、ラテン語の tempus(時)やドイツ語の Jahreszeit(年の時)がその形。「種まき」から季節の名前を作った英語・フランス語のほうが、少数派なんです。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
season名詞/動詞季節、時期/味つけするシーズン /ˈsiːzn/
seasonal形容詞季節の、季節的なシーズナル /ˈsiːzənl/
seasonally副詞季節的に―
seasonality名詞季節性―
seasoning名詞調味料、味つけシーズニング /ˈsiːzənɪŋ/
seasoned形容詞味つけされた、経験豊富なシーズンド /ˈsiːznd/
seasonable形容詞時期にかなった―
unseasonable形容詞時期はずれの―
off-season名詞オフシーズン、閑散期―

TOEIC・英検での傾向

season そのものは基礎語ですが、TOEICで点に直結するのは seasonal のほうです。seasonal demand(季節需要)、seasonal products(季節商品)、seasonal workers / seasonal staff(季節労働者)、seasonal discount(季節割引)といった形で、Part 5の語彙問題やPart 7の社内通知・広告に繰り返し出ます。

あわせて押さえたいのが peak season(繁忙期)/ off-season(閑散期)/ season ticket(定期券・シーズン券) の3つ。ホテル、旅行、小売の文脈で頻出します。season ticket は1820年から使われている古株の表現です。

英検では準2級〜2級で「季節」の season を、準1級以上で seasonal・seasoned の比喩的な用法を見かけます。a seasoned politician のような言い回しは、読解で出ても辞書を引けないので、「ベテランの」と即答できる状態にしておくと強いです。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Every season brings something new.
  2. Strawberries are in season now.
  3. You can season the soup with just a little salt.
  4. She is a seasoned teacher, and her students trust her.
  5. The small town is quiet during the off-season.
  6. Seasonal work gave him a fresh start.
  7. Take your time. Your season will come.
  8. This café changes its menu with the seasons.
  9. A seasoned traveler packs light and worries less.
  10. You have come through a hard season, and you are still standing.

語源メモ

season は1300年ごろに sesoun / seson の形で英語に現れ、最初から「一年のうちのある時期」と「ちょうどよい時期、ふさわしい機会」の二つの意味を持っていました。借りてきたのは古フランス語の seison / seson / saison(現代フランス語 saison)で、そのもとがラテン語の sationem(主格 satio)=「種まき、植えつけ」です。satio は動詞 serere(種をまく) の過去分詞の語幹から作られた行為名詞で、さらに印欧祖語 *sē-(種をまく) にさかのぼります。

意味の移り変わりで鍵になるのが、俗ラテン語の段階で起きた**「種をまく行為」から「種をまく時期」へのずれ**です。しかもそれは特定の季節・・・春を指しました。そこから古プロヴァンス語・古フランス語で「四季のどれか」に広がり、英語に入ります。熱帯の雨季・乾季にも使われるようになったのは1719年からです。

名詞 season の意味は、その後も枝分かれを続けました。

  • 狩猟の解禁期(in season)・・・14世紀末
  • スポーツや興行の開催期間・・・1680年代
  • 観光地がにぎわう時期・・・1705年
  • the season =年中行事そのもの(season’s greetings の由来)・・・1791年
  • season ticket(定期券・シーズン券)・・・1820年
  • off-season(閑散期)・・・1848年
  • Man for all seasons(どんな場面にも通じる人)・・・1510年代

動詞の season は14世紀末に sesounen「香辛料を加えて味をよくする」として登場します。名詞の season と、古フランス語 saisonner(熟す・味つけする)の両方から来ていて、発想のもとは「果物は頃合いに近づくほど口に合うようになる」という感覚でした。比喩的な用法は1510年代、木材などを「寝かせて使える状態にする」は1540年代、そこから人について「経験や時間によって使い物になる」は1600年ごろ。自動詞で「熟す、使える状態になる」は1670年代からです。

関連語の初出も押さえておきます。seasonable(時期にかなった)は1300年ごろで、もとは天候について「好都合な」の意味でした。seasoned(味つけされた)は15世紀半ば、「熟成した・固まった」が1540年代、「慣れた・経験を積んだ」が1640年代。seasoning(調味料)は1570年代、seasonal(季節の)は1829年です。

なお、印欧祖語の *sē- は再構された形で、Etymonline も「この語群の全部または一部を作っている可能性がある」という書き方をしています。seed・sow・seminar・seminary・seminal・disseminate・sativa が同じ根に由来するという説明は、現在の標準的な見方ですが、確定した事実というより再構にもとづく推定である点は押さえておいてください。

まとめ

season は、ラテン語の「種をまく」が形を変えてきた一語です。

  • 語源・中心・・・satio(種まき)← serere(種をまく)=「ちょうどよい頃合い」
  • 意味の道すじ・・・種まき → 種まきの時期(春) → 四季 → 旬・頃合い → 熟す → 味をよくする → 経験を積む
  • *sē-(種をまく)一族・・・seed/sow/seminar/seminary/seminal/disseminate/sativa
  • 別の一族・・・series/serial/sermon/insert/assert(こちらは「つなぎ合わせる」の serere)

旬を待つことも、味をととのえることも、人が経験を重ねて一人前になることも、英語では同じ一語でまかなえてしまう。種をまいて、頃合いを待つ・・・season の底には、ずっとその感覚が流れています。

season の語源ワードマップ。中心は season(=ちょうどよい頃合い)で、語源はラテン語 satio(種まき)← serere(種をまく)。種をまく一族(seed / sow / seminar / seminary / seminal / disseminate / sativa)、season の派生語(seasonal / seasoning / seasoned / seasonable / off-season)、覚え方のヒント(種まき→旬→熟す→味つけ→ベテラン)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:satio(種まき)← serere(種をまく)=ちょうどよい頃合い
  • 意味の変遷:種まき → 春 → 四季 → 旬 → 熟す → 味つけ → ベテラン
  • *sē-(種をまく)一族:seed/sow/seminar/seminary/seminal/disseminate/sativa
  • 派生語:seasonal/seasoning/seasoned/seasonable/off-season

NGSL(New General Service List)収録語

この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。
出典:New General Service List Project

なお、派生語の seasonal は TSL(TOEIC)と BSL(ビジネス)にも収録されています。

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翻訳練習の解答

  1. 季節がめぐるたびに、何か新しいものが運ばれてくる。
  2. いちごは、今がちょうど旬だ。
  3. ほんの少し塩を足すだけで、スープの味はととのう。
  4. 彼女はベテランの先生で、生徒たちから信頼されている。
  5. その小さな町は、シーズンを外すと静かになる。
  6. 季節仕事が、彼にもう一度やり直すきっかけをくれた。
  7. 急がなくていい。あなたの季節は、ちゃんとめぐってくる。
  8. このカフェは、季節に合わせてメニューを変えている。
  9. 旅慣れた人ほど、荷物は軽く、心配も少ない。
  10. 苦しい季節を抜けてきて、あなたは今も倒れずに持ちこたえている。