「like は中学英語」と思っているかもしれません。でも、like という語には「好む」と「似ている」という2本の流れがあって、その両方が同じ根っこから出ています。
それがわかると、likable だけでなく alike・likely・likewise・dislike まで、like 一族の地図がいっぺんに広がります。
しかも、カタカナ語の「ビジネスライク」「ルックアライク」「ローグライク」にも、同じ like が入っています。日常の言葉の中に、もうすでに like が埋まっていました。
likable を分解してイメージで覚える
likable をパーツに分けると、こうなります。
like(好む)+ -able(〜の性質がある・されやすい)
「好まれやすい性質を持つ」→「好感が持てる・親しみやすい」。
-able は readable(読みやすい)、comfortable(快適な)でもお馴染みの接尾辞で、「〜しやすい」「〜の性質がある」を単語に付け加えます。like さえわかれば、-able がそのまま意味を完成させてくれます。
ちなみに、「なぜ『似ている』と『好き』が同じ like なのか?」という疑問には、日本語の感覚で答えが出せます。
「肌が合う」「波長が似ている」・・・日本語でも、「似ている」と「しっくりくる(好ましい)」はほぼ同じ感覚ですよね。自分と「同じ形(like)」だから、心地よくて「好き(like)」になる。like の2つの意味は、その感覚をそのまま英語にしたものです。
likable の基本の意味と使い方
likable は形容詞で、「好感が持てる」「親しみやすい」「感じが良い」という意味です。人の性格や雰囲気を指すことが多く、物より人につかうのが自然です。
- She is a very likable person.(彼女はとても感じの良い人だ)
- His calm voice makes him likable to almost everyone.(落ち着いた声が、ほぼ誰にでも好感を持たれる人にしている)
- The character was so likable that readers cried at the ending.(登場人物がとても親しみやすかったので、読者は結末で涙した)
「好感を持つ」側から言うより、「好感を持たれる性質がある」という向きに近い表現です。-able の「されやすい・性質がある」のニュアンスがそのまま生きています。
※ likable(アメリカ式)と likeable(イギリス式)はどちらも正しい綴りです。
“like” でつながる単語ネットワーク
like には「好む」と「似ている」という2本の流れがあります。どちらも語源は同じゲルマン祖語の「形・体」にあたる語で、「同じ形をしている」→「ぴったり合っている」→「好ましい・好まれる」という流れで、2つの意味がひとつの根から分かれてきました。
カタカナ語を見ると、like の「似ている」がすでに日常語になっているのがわかります。
- ビジネスライク(business-like):仕事の場のようなそぶり、事務的な
- ローグライク(roguelike):「ローグ」というゲームに似たジャンル
- ルックアライク(look-alike):そっくりさん、類似品。look(見える)+ alike(似ている)
SNSの「いいね!(Like)」ボタンも、「好む」の like が名詞・動詞として定着したものです。
「好む」の流れ
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| like | 好む、〜が好き | この記事の起点。SNSの「いいね」も同じ |
| liking | 好み、好意 | take a liking to 〜で「〜が好きになる」 |
| dislike | 嫌う、嫌悪 | dis-(否定)+like で逆転 |
| likable | 好感が持てる | like+-able。この記事の主役 |
「似ている」の流れ
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| alike | 似ている、同じように | 「同じ形をしている」が基本。look-alike にも |
| likeness | 似ていること、肖像 | 類似という性質そのもの |
| likewise | 同様に | like(同じ)+wise(やり方・方向) |
| likely | ありそうな、たぶん〜 | 過去の例に「似ている」から→今回も起こりそう |
| unlike | 〜と違って、異なる | un-(否定)+like |
| -like(接尾辞) | 〜のような | business-like / rogue-like など |
「like が入っていたら、好むか似ているかどちらかの話」・・・そう見えるようになると、初見の単語でも意味が推測しやすくなります。
派生語|likable まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| likable | 形容詞 | 好感が持てる | ライカブル /ˈlaɪkəbəl/ |
| likeable | 形容詞 | likable のイギリス式表記 | ― |
| likably | 副詞 | 感じ良く | ライカブリ |
| likability | 名詞 | 好感度 | /ˌlaɪkəˈbɪlɪti/ |
TOEIC・英検での出題傾向
TOEIC では、人事評価・採用場面・職場の雰囲気を描写する長文で likable が登場することがあります。「感じの良い」を、堅すぎず柔らかすぎない語感で表現できる語です。600〜730点帯を目安に押さえておきたいレベルです。
英検では2級〜準1級あたりで見かけます。alike・unlikely・likeness・likewise も同じ like 一族として、まとめて覚えると語彙問題での反応が速くなります。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。解答はこの記事の最後にあります。
- She is one of the most likable people I have ever met.
- His calm voice makes him likable to almost everyone.
- A likable leader listens before they speak.
- The character was so likable that readers cried at the ending.
- What makes you likable is your honesty, not your perfect answers.
- Even in a difficult meeting, she stayed likable without losing her point.
- Being likable does not mean saying yes to everything.
- He had a way of being likable that put strangers at ease.
- Some people are likable before they say a single word.
- The most likable people I know never seem to be trying.
語源メモ|「好む」と「似ている」が同じ根から出た理由
likable は、like(好む)+ -able(〜の性質がある) から成ります。
like(好む)は、古英語 lician(好まれる・喜ばれる)に由来します。元々は「it pleases me(それが私を喜ばせる)」という形で、今の「I like it」とは主語が入れ替わっていました。
この lician は、ゲルマン祖語の *līką(形・体・同じ形)に遡ります。「同じ形をしている」→「性質が合っている」→「好まれる・喜ばれる」という流れです。「似ている」を意味する alike・likeness も、同じ *līką から来ており、「好む」と「似ている」は同じ場所から分かれた2本の流れです。
-able は、ラテン語 -abilis に由来する接尾辞で、「〜されやすい性質がある」を付け加えます。readable・comfortable・available など、英語で最も使われる接尾辞の一つです。
まとめ
likable は、like(好む)+ -able(〜の性質がある)で「好まれやすい性質を持つ」=「好感が持てる」。
- like(好む)の一族:liking/dislike/likable/likability
- like(似ている)の一族:alike/likeness/likewise/likely/unlike/-like(接尾辞)
- カタカナでも現役:ビジネスライク/ローグライク/ルックアライク/SNSの「いいね」
- 2つの一族は、ゲルマン祖語の「形・体(*līką)」という1点でつながっている
中学レベルの1語が、語彙の交差点だった。それを知るだけで、alike や likely が別の景色で見えてきます。

- 語源・中心:like(好む・似ている)+ -able(〜の性質がある)=好感が持てる
- like(好む)一族:liking/dislike/likable/likability
- like(似ている)一族:alike/likeness/likewise/likely/unlike
- カタカナ語:ビジネスライク/ルックアライク/ローグライク
- 覚え方のヒント:「肌が合う=性質が似ている=好き」→ like の2義はひとつの感覚
関連記事(内部リンク)
- -able の語源と仲間(readable / comfortable / available など)→ (近日中に公開)
- dislike の語源(dis- で裏返す)→ (近日中に公開)
- 英単語の語源・パーツ分解 全リスト → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/
翻訳練習の解答例
- 彼女は、私がこれまで会った中で最も好感の持てる人のひとりだ。
- 落ち着いた声が、彼をほぼ誰にでも好感を持たれる人にしている。
- 好感の持てるリーダーは、話す前に耳を傾ける。
- 登場人物がとても親しみやすかったので、読者は結末で涙した。
- あなたが好感を持たれる理由は、正解を出す力ではなく、正直さにある。
- 難しい会議の場でも、彼女は自分の主張を失わずに好感を持たれ続けた。
- 好感を持たれるということは、すべてに「はい」と言うことではない。
- 彼には、見知らぬ人を自然と安心させる、好感を持たれるたたずまいがあった。
- ひとことも発しない前から、好感を持たれる人がいる。
- 私が知る最も好感の持てる人たちは、そうしようとしている素振りをまったく見せない。


