ゲームを始めると最初に出てくる「チュートリアル」。予備校や大学で個別に指導してくれる「チューター」。
この2つのカタカナ語に共通する文字の塊、見えますか。そう、tuto- です。
今回の主役 tuition(授業料・個別指導) も、全く同じ場所から来ています。チューター(tutor)・チュートリアル(tutorial)・そしてなぜか「直感」まで意味する intuition。根っこは一つ、ラテン語の tueri(見守る・保護する) です。
「授業料」という事務的なお金の言葉に、「温かく見守る」という語源が隠れていた。それが tuition です。
tuition を分解してイメージで覚える
tuition をパーツで見ると、こうなります。
tueri(見守る・保護する)+ -ition(〜すること)
語源の核は、ラテン語の動詞 tueri(見守る・保護する・世話をする)。
古代ローマでは、まだ幼い子どもを外の危険から守りながら、生活の礼儀や学問を側でじっと見守る保護者・後見人のことを tutor(見守る人) と呼んでいました。
- tutor(チューター)=側で見守り、保護しながら教える「人」
- tuition(テュー・イション)=側で見守り、保護しながら教える「行為(教育・個別指導)」
そして時代が進み、「見守りながら個別指導してくれるチューターに支払うお礼のお金」を、そのまま tuition(授業料・学費) と呼ぶようになりました。
「守ること」→「教えること」→「その対価」。意味の流れが一本筋でつながっています。
tuition の基本の意味と使い方
tuition は「授業料・学費」「個別指導・個人教授」を表す名詞です。
ただし、アメリカ英語とイギリス英語で重心が少し違います。
- アメリカ英語では「授業料・学費」が中心。大学や大学院に支払うお金そのものを指すことが多い。
- イギリス英語では「個別指導・教育という行為」の意味も日常的に使われる。
TOEIC では主にアメリカの文脈で「授業料」として登場します。英検やイギリス系の長文では「個別指導」の意味で出てくることもあるので、両方頭に入れておくと安心です。
使用例をいくつか。
- pay college tuition(大学の学費を払う)
- tuition fee(授業料・学費)
- private tuition in mathematics(数学の個人指導・個人レッスン)
- tuition assistance / reimbursement(企業の学費補助制度)※TOEICのPart 7で頻出
“tueri(見守る)” でつながる単語ネットワーク
tuition の語源 tueri(見守る・保護する)を知っておくと、普段使っているカタカナ語が一気につながります。
| 単語 | 語源構造 | イメージ |
|---|---|---|
| tutor | tueri+-or(人) | 見守る人 → 家庭教師・個別指導員 |
| tutorial | tutor+-ial | 見守りながら基本を教えるもの → チュートリアル・操作ガイド |
| intuition | in-(内側へ)+tueri | 自分の心の内側をじっと見つめること → 直感・ひらめき |
| intuitive | in-+tueri+-ive | 内なる感覚で見抜くような → 直感的な |
「チュートリアル(tutorial)」が「見守りながら基本を教えるもの」なら、そのまま tuition の語源と重なります。ゲームの操作ガイドに tutor の DNA が入っているのは、偶然ではないんです。
そして少し面白いのが intuition(直感) との関係。in-(内側を)+ tueri(じっと見つめる)。自分の心の内側をじっと観察して、ハッと答えが浮かぶ。それが直感の語源的な正体です。
外の誰かを見守るのが tuition、自分の内側を見つめるのが intuition。同じ「見守る(tueri)」が、方向を変えて二つの全然違う言葉になりました。
派生語|tuition まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| tuition | 名詞 | 授業料、学費、個別指導 | チューイション /tjuːˈɪʃən/ |
| tuition fee | 名詞句 | 授業料(最頻出フレーズ) | ― |
| tuition assistance | 名詞句 | 学費補助(TOEIC頻出) | ― |
| tutor | 名詞・動詞 | 家庭教師、個別指導員 / 個別指導する | チューター /ˈtjuːtər/ |
| tutorial | 名詞・形容詞 | チュートリアル、個別指導 / 指導の | チュートーリアル /tjuːˈtɔːriəl/ |
| intuition | 名詞 | 直感、直観、ひらめき | インチューイション /ˌɪntjuːˈɪʃən/ |
| intuitive | 形容詞 | 直感的な | インチューイティヴ /ɪnˈtjuːɪtɪv/ |
発音のポイント:tuition のアクセントは第2音節の -i-(イ) です。「チューイション」。アメリカ英語では「トゥーイション」寄りになります。
TOEIC・英検での出題傾向
TOEIC L&R では Part 7(読解)の、大学の募集要項・奨学金案内・企業の研修制度の文脈で登場します。特に tuition assistance(学費補助)・tuition reimbursement(授業料払い戻し) の形は頻出で、企業が従業員のスキルアップを支援する文脈でセットで出てきます。
英検では準2級〜準1級レベルで、教育格差・学生ローン・奨学金をテーマにした長文読解や英作文で出てきます。rising tuition costs(増え続ける学費)のような社会問題の文脈も要チェックです。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Tuition at this university is about 30,000 dollars a year.
- She received private tuition to prepare for the exam.
- The company offers tuition assistance for employees who want to learn new skills.
- Rising tuition costs make it harder for students to choose their dream school.
- He paid his own tuition by working part-time every weekend.
- Private tuition helped her catch up with her classmates.
- You can apply for tuition reimbursement after you complete the course.
- Your tuition covers not just classes, but also access to the library and gym.
- Some employers cover tuition fees for job-related courses.
- Trust your intuition — it has been shaped by years of experience.
語源メモ|tueri という動詞のこと
tuition の語源は、ラテン語の動詞 tueri(見守る・保護する)。名詞形 tuitio(見守ること・保護・監護) が古フランス語を経て英語に入り、15世紀初めには「保護・監護」を意味する語として記録されています。16世紀になって「教育・指導」の意味が加わり、1828年頃に「授業料」という現代的な用法が定着しました。
tueri の起源はさらに遡ることができますが、etymonline によれば語源は「uncertain(不確か)」とされています。一説ではサンスクリット語の tavas-(強い・力強い)やギリシャ語の sōs(安全な・健全な)と同じ印欧語根にたどり着くとも言われますが、確定した説はありません。
確かなのは、tutor・tuition・tutorial・intuition が全員この tueri から来ている、という点です。
なお、intuition については「内側(in-)を見つめる(tueri)」という語源イメージが、日本語の「直感」の感覚とよく合っています。「論理で考えるのではなく、自分の内側をじっと見てわかること」。これは語源の構造とぴったり重なります。
まとめ
tuition は、ラテン語 tueri(見守る・保護する) から来た名詞で、「見守りながら教えること(個別指導)=その対価(授業料)」。
- tueri(見守る)・・・tutor(見守る人)/ tutorial(見守りながら教えるもの)/ intuition(内側を見つめること=直感)と全員同じ語源
- 英語圏の使い分け・・・アメリカ=授業料、イギリス=個別指導の意味も
- TOEIC頻出フレーズ・・・tuition fee / tuition assistance / tuition reimbursement
チューター(tutor)が見守りながら教え、その対価として払うのが tuition。チュートリアル(tutorial)はその見守り指導を凝縮したもの。そして自分の内側を見つめるのが intuition(直感)。一つの「見守る(tueri)」から、教育とお金と直感の言葉が枝分かれしていました。

- 語源・中心:tueri(見守る・保護する)→ tuition(見守って教えること・授業料)
- 見守る人・もの一族:tutor(チューター)/ tutorial(チュートリアル)/ tuition fee(授業料)
- 内を見つめる一族:intuition(直感)/ intuitive(直感的な)
- 重要フレーズ:tuition assistance / tuition reimbursement / private tuition
関連記事(内部リンク)
- tutorial の語源(チュートリアル)→ (近日中に公開)
- intuition の語源(直感)→ (近日中に公開)
- 【ピラー】英単語の語源・パーツ分解 全リスト → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/

翻訳練習の解答例
- この大学の授業料は、年間約3万ドルだ。
- 彼女は試験に備えるために、個別指導を受けた。
- その会社は、新しいスキルを身につけたい従業員に対して学費補助を提供している。
- 増え続ける学費が、学生が希望する学校を選びにくくしている。
- 彼は毎週末アルバイトをして、自分で学費を支払った。
- 個別指導のおかげで、彼女はクラスメートに追いつくことができた。
- コースを修了したあとに、授業料の払い戻しを申請できます。
- あなたの授業料には、授業だけでなく、図書館やジムの利用も含まれています。
- 雇用主の中には、業務に関連する講座の授業料を負担してくれるところもある。
- 直感を信じよう。それは長年の経験によって磨かれてきたものだから。


