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【語源で覚える】equivalence|後半の val は、あの value と同じ

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「バリュー(value)」は、もうすっかり日本語ですよね。バリューセット、バリューチェーン、コスパならぬバリュー重視・・・。

その value と、equivalence(同等・等価)が同じ一族だと言われたら、どうでしょうか。equivalence を見たときに真っ先に目に入るのは、たいてい頭の equi(=equal、同じ) のほうだと思います。でも、この単語の本当の仕掛けは後半にあります。

val。これが value と同じ「価値がある・強い」です。

equi(同じ)+ val(価値がある)。つまり equivalence とは、「同じだけの価値を持っていること」。

形や見た目が違っても、はかりに乗せたら釣り合う・・・それが equivalence です。ここが腑に落ちると、value・valid・available・prevail といった、一見バラバラな単語が一本の線でつながります。

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equivalence を分解してイメージで覚える

equivalence をパーツで見ると、こうなります。

equi(aequus=同じ・水平な)+ val(valere=価値がある・強い)+ ence(〜であること)

絵にすると、天秤です。左の皿と右の皿に、形も素材も違うものが載っている。それでも棒は水平(equi)に止まっている。なぜなら、両方が同じだけの重み=価値(val)を持っているから。

この「形は違うのに、価値が釣り合う」という感覚が、equivalence のど真ん中にあります。

後半の val を value(価値)と重ねて覚えてください。value・valid・valuable・available・・・すべて同じ「価値がある・強い」の仲間です。equivalence は、その一族の入り口にもなっている単語です。

なお、発音のアクセントは2音節目に来ます。イクィヴァレンス /ɪˈkwɪvələns/。頭に力を入れて「エクイ・・・」と読みたくなりますが、強く読むのは quiv の部分です。

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equivalence の基本の意味と使い方

equivalence は「同等であること」「等価」を表す名詞です。形容詞の equivalent(同等の)とセットで覚えると早いです。

  • the equivalence of the two methods(その2つの方法が同等であること)
  • There is no exact equivalence between the two words.(その2語に、完全に対応する関係はない)
  • high school equivalency(高卒同等資格/アメリカでよく使う形)

使う場面は、数学・論理学・翻訳・学歴認定・ビジネス契約など、「別物だけど、同じ扱いにしてよい」と判断するところ全般です。

動詞まわりでいちばんよく見るのは、形容詞の形です。

  • be equivalent to 〜(〜に相当する)
  • One dollar is equivalent to about 150 yen.(1ドルは約150円に相当する)

equivalence と equality|似ているようで、見ているものが違う

ここが、この単語でいちばん押さえておきたいところです。どちらも日本語にすると「同じ」になりますが、はかっているものが違います。

単語語源の中心はかっているもの
equalityaequus(水平・平ら)量や程度が同じ
equivalenceaequus+valere(価値)価値や効果が同じ

equality は「数が同じ」「扱いが平等」。equivalence は「形は違うが、価値として釣り合う」。

たとえば、1000円札1枚と100円玉10枚。見た目も枚数も違うので equality ではありませんが、価値は同じなので equivalence です。翻訳で「原文と訳文が equivalent である」と言うときも、単語数が同じという意味ではなく、読んだ人に届く効果が釣り合っている、という意味で使います。

この違いが、equivalence に val(価値)が入っている理由そのものです。

val(価値がある・強い)でつながる単語ネットワーク

equivalence の後半 val(ラテン語 valere=強い・健康である・価値がある)を知っておくと、まったく別ジャンルに見える単語が一気につながります。

単語意味イメージ
value価値valere そのもの
valid有効な、妥当なvalidus=強い。強いから通用する
invalid無効な/病弱なin(否定)+valid
evaluate評価するex(外へ)+value=価値を取り出す
available利用できるavail(役に立つ)+able=価値を発揮できる
prevail勝る、広く行き渡るprae(前に)+valere=人より強い
valor勇気、武勇「価値」が人の資質に向かった形
valiant勇敢なvalor と同じルート
convalesce快方に向かうcon+valescere=強くなりはじめる
ambivalent相反する感情を抱いたambi(両側)+valentia(強さ)
valence原子価、(心理学の)誘意性valentia=強さ・結びつく力

「val が入っていたら、たぶん強さ・価値の話」・・・そう見えるようになると、初見の単語でも見当がつきます。

とくに convalesce(快方に向かう) は、valere のもう一つの顔である「健康である」が生きている単語です。ラテン語の valere は「強い」「元気である」「価値がある」を一つの語でまかなっていました。強いことと、元気なことと、値打ちがあることが地続きだった・・・そう考えると、val の守備範囲の広さに納得がいきます。

もう一つの顔|equi(aequus=水平)の一族

一方、頭の equi(ラテン語 aequus=水平な・平らな・公平な)をたどると、「同じ・平ら」に関わる単語が並びます。

単語意味語源
equal等しいaequalis〈同じ〉
equity公平、株式aequitas〈公平さ〉
equator赤道地球を等分する線
equinox春分・秋分aequus+nox〈夜〉=昼夜が等しい日
equilibrium均衡aequus+libra〈天秤〉

equivalence は、この「水平(equi)」と「価値(val)」という2つの家族が出会う場所に立っている単語です。天秤が水平に止まっているのは、両側の価値が釣り合っているから。語源の構造が、そのまま意味の絵になっています。

※ equi 側の広がりは、equal の記事であらためて詳しく扱います。この記事では val 側を主役にしています。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
equivalence名詞同等であること、等価イクィヴァレンス /ɪˈkwɪvələns/
equivalent形容詞・名詞同等の/同等のものイクィヴァレント /ɪˈkwɪvələnt/
equivalently副詞同等に―
equivalency名詞同等(equivalence の別形。アメリカでは学歴の同等資格の意味でよく使う)―

TOEIC・英検での傾向

正直なところ、名詞の equivalence そのものがテストに出る頻度は、それほど高くありません。出会うのはほとんど形容詞の equivalent のほうです。

TOEIC では Part 5・Part 7 で be equivalent to 〜(〜に相当する)の形がよく登場します。金額・数量・役職・資格などを言い換える場面で使われるので、ビジネス文書を読むときに知っていると助かる一語です。英検なら準1級以上の語彙レベル。

ただし、この記事の価値はテスト対策よりも先にあります。val という語根を一度押さえておけば、value・valid・available・evaluate・prevail という高頻度語がまとめて手に入ります。equivalence 単体よりも、その入り口としての値打ちのほうが大きい単語です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. There is no exact equivalence between these two words.
  2. Our teacher explained the equivalence of the two fractions.
  3. Your past work has a clear equivalence to this new role.
  4. The university granted equivalence for her overseas credits.
  5. In math, equivalence means both sides carry the same value.
  6. Do not expect perfect equivalence between two languages.
  7. Equivalence is about value, not about shape.
  8. If you look closely, you will see the equivalence hidden in the numbers.
  9. Her patience and his kindness have a quiet equivalence.
  10. Finding that equivalence will make the whole problem easier for you.

語源メモ|aequus と valere が出会った言葉

equivalence は1540年代の英語に、フランス語 équivalence から入りました。さかのぼると中世ラテン語 aequivalentia、さらに後期ラテン語 aequivalentem(equivalent の語源)にたどり着きます。

その aequivalentem は、動詞 aequivalere(同等である)の現在分詞。分けると aequus(同じ・水平な)+ valere(強い・元気である・価値がある) です。形容詞 equivalent のほうが先に英語に入っていて、15世紀初め。名詞の equivalence はそれより1世紀以上あとに加わりました(別形の equivalency は1530年代)。

valere の広がり

valere は、印欧祖語の語根 *wal-(強くある) から来ています。この語根の子孫は、ラテン語経由の単語だけにとどまりません。

  • 古英語 wealdan(支配する)・・・現代英語の wield(振るう・行使する)
  • 古代教会スラヴ語 vlasti(支配する)
  • ケルト語 *walos-(支配者)、古アイルランド語 flaith(支配)

「強い」が「支配する」に転じるのは、言われてみれば自然な流れです。なお etymonline は、Donald・Harold・Gerald・Walter・Vladimir といった人名もこの語根に属する可能性があるとしています。ただし人名の語源は推定を含むため、ここでは「そう考えられている」というところまでにとどめます。

バレンタインの「バレン」も、この val

もう一つ、日本でもおなじみの単語がこの一族にいます。Valentine。後期ラテン語の人名 Valentinus から来ていて、その元はラテン語 valentia(強さ・力量)。valentia は valens(強い)の名詞形で、valens は valere の現在分詞です。

つまりバレンタインは、もともと「強い人」という意味の名前でした。恋愛とは何の関係もありません。2月14日と恋愛が結びついたのは14世紀のイギリスとフランスの宮廷の習慣からで、聖人そのものに恋愛的な逸話があったわけではない・・・etymonline はそう記しています。

【語源で覚える】valuation|「バレンタイン」や「valid」と同じ「強さ」から生まれた査定・企業価値の言葉

【語源で覚える】valuation|「バレンタイン」や「valid」と同じ「強さ」から生まれた査定・企業価値の言葉
valuation(評価・査定・企業価値)を語源から。根っこはラテン語 valere「強い・価値がある」で、バレンタインや valid と同じファミリー。evaluation との使い分け、ビジネス必須コロケーション、翻訳練習10問つき。

【語源で覚える】valid|バリュー・バレンタインと同じ “val” は「強い」

【語源で覚える】valid|バリュー・バレンタインと同じ “val” は「強い」
valid(有効な)を語源から。val はラテン語 valere「強い」。バリュー(value=価値)もバレンタインも、そして available も同じ val です。「力があるから効力がある」の一本で、value/avail/prevail/equivalent まで芋づる式に。バイタルとの違い、翻訳練習10問つき。

また、別れのあいさつにも val がいます

valediction(告別のことば)は1610年代。ラテン語 valedicere(別れを告げる)から来ていて、分けると vale + dicere(言う)。この vale は valere の二人称単数命令形で、意味は「お達者で」。

つまりローマ人の別れのあいさつは、「さようなら」ではなく「強くあれ・元気でいろ」でした。アメリカの卒業式で総代を務める学生を valedictorian と呼ぶのは、この vale(お達者で)を述べる役だからです。

まぎらわしい単語2つ

最後に、混同しやすいものを整理しておきます。

  • equivocal(あいまいな) は equivalence の仲間ではありません。こちらは aequus + vox / vocare(声・呼ぶ) で、「同じ重みの声が2つある」から「どちらとも取れる」。前半は共通ですが、後半が valere ではなく vox です。voice・vocal と同じ一族だと覚えてください。
  • vale(谷) も別物です。こちらはラテン語 vallis(谷)由来で、valley と同じルート。「お達者で」の vale とは綴りが同じだけの他人です。

なお、前半の aequus そのものの語源は、etymonline も「不明」としています。ラテン語より前はたどれていない、ということです。語源をさかのぼる旅は、どこかで必ず行き止まりに出会います。

まとめ

equivalence は、equi(aequus=同じ・水平)+ val(valere=価値がある・強い)+ ence で「同じだけの価値を持っていること」=同等・等価。

  • val(valere)・・・価値がある・強い。value/valid/available/prevail/evaluate の一族へ
  • equi(aequus)・・・同じ・水平。equal/equity/equator/equinox の一族へ
  • equivalence は、その2つが出会う天秤の上に立っている

equality が「量が同じ」なら、equivalence は「価値が釣り合う」。形が違っても、重みは同じ・・・そう考えられるようになると、英語も、そして人の見方も、少しだけ広くなります。

equivalence の語源ワードマップ。中心は equivalence(=形は違っても価値が釣り合うこと)で、equi(aequus=同じ・水平な)+val(valere=価値がある・強い)+ence に分解。val(価値・強い)一族(value / valid / available / evaluate / prevail / valor / convalesce / ambivalent)、equi(同じ・水平)一族(equal / equity / equator / equinox / equilibrium)、覚え方のヒント(val→value、天秤が水平に止まるのは両側の価値が釣り合うから)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:equi(aequus=同じ)+ val(valere=価値がある)+ ence =「同じだけの価値を持つこと」
  • 覚え方のヒント:val → value(バリュー)。形は違っても、価値が釣り合う天秤
  • val(価値・強い)一族:value/valid/available/evaluate/prevail/valor/convalesce/ambivalent
  • equi(同じ・水平)一族:equal/equity/equator/equinox/equilibrium

NAWL(New Academic Word List)収録語

この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project

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翻訳練習の解答

  1. この2つの単語に、きっちり対応する関係はない。
  2. 先生は、その2つの分数が同じ値であることを説明してくれた。
  3. あなたのこれまでの仕事は、この新しい役割とはっきり重なっている。
  4. 大学は、彼女が海外で取った単位を同等のものとして認めた。
  5. 数学では、equivalence は両辺が同じ値を持つことを意味する。
  6. 2つの言語のあいだに、完全な一致を求めないでいい。
  7. 等価とは、価値の話であって、形の話ではない。
  8. よく見てみれば、数字の中に隠れた等価関係が見えてくる。
  9. 彼女の忍耐と彼の優しさは、静かに釣り合っている。
  10. その等価関係に気づけば、問題全体がぐっと解きやすくなる。