「今年こそ英語日記」と買ったノートが、3ページ目で止まっている。
書きたいことはあるのに、いざ書こうとすると英語が出てこない。
そんな経験はないでしょうか。
先にお伝えします。続かないのは、長く・正しく書こうとしたからです。
私は教職歴46年、のべ1万人の生徒・学生と英語を勉強してきました。その経験から言えるのは、英語日記は3行で十分だということ。そして、書くことには英語力の向上を超えた、もうひとつの大切な役割があるということです。
この記事では、英語日記が続かない3つの理由と、3行から始めるライティング習慣の作り方を解説します。
※この記事は「英語4技能ロードマップ」のライティング編、シリーズの最終回です。4技能全体の学ぶ順番はこちらの設計図をご覧ください。
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【内部リンク:英語4技能はどの順番で学ぶ?挫折しない学習ロードマップ完全ガイド】
先に結論です。英語日記が続かない理由は3つ。
- 長く・正しく書こうとしている──時間がかかり、手が止まる
- 「日記=出来事の報告」だと思い込んでいる──毎日は事件が起きないから、ネタが切れる
- 何のために書くのかが曖昧──添削も点数もなく、意味を見失う
対策は、3行の型で書く × 辞書なしで書いて後から見直す × 振り返りで「学ぶ意味」を確かめる。順に説明します。
英語日記が続かない3つの理由
理由① 長く・正しく書こうとしている
「日記だから」と5行、10行と書こうとする。完璧な英文にしようと辞書を引きながら書く。1日目はできても、これでは毎日30分コースです。忙しい日に書けなくなり、そこで途切れます。
日記に必要なのは量でも正確さでもありません。3行。まずはそれで十分です。
理由② 「日記=出来事の報告」だと思い込んでいる
日記と聞くと、今日あった出来事を報告するものだと考えがちです。しかし、大人の毎日にそうそう事件は起きません。「今日も特に何もなかった」でネタが尽きるのは当然です。
後ほど紹介する3行の型は、出来事だけに頼らない設計になっています。気持ちを1行書ければ、その日の日記は成立します。
理由③ 何のために書くのかが曖昧
リスニングには「聞き取れた」、リーディングには「読み終えた」という手応えがあります。ところがライティングは、書いても添削されず、点数も出ない。効果が見えないまま義務感だけが残り、やがて意味を見失います。
実は、ここにこそ日記の本当の役割が隠れています。次の章でお話しします。
書くことは「学ぶ意味を確かめる装置」
ライティングは、4技能の仕上げです。聞いて、話して、読んで得た英語を、自分のことを表現する言葉に変換する活動だからです。
自分の生活の出来事や気持ちを英語で書くことには、はっきりした学習効果があります。身の回りのことを一度英語で表現すると、次に同じものを見たとき、すっと英語で言えるようになります。そして自分の気持ちを表現したフレーズは、教科書の例文よりはるかに記憶に定着しやすいのです。自分の感情と結びついた言葉は、忘れにくいからです。
さらに、カウンセラーとしてお伝えしたいことがあります。心理学には、自分の経験や感情を書くことが心の整理につながるという研究の蓄積があり(expressive writing:筆記表現と呼ばれます)、カウンセリングの現場でも「書く内省」は広く使われています。
英語の3行日記は、その小さな実践です。数週間分を読み返してみてください。そこには、英語で綴られた自分の日々と気持ちの変化が残っています。「自分はなぜ英語を学んでいるのか」が、自分の言葉で確認できる──日記は、動機づけを更新し続ける装置なのです。
3行日記の型──事実・気持ち・ひとこと
型はシンプルです。
- 1行目:今日の事実──I had a long meeting today.
- 2行目:感じたこと──I was tired, but I did my best.
- 3行目:明日へのひとこと──Tomorrow will be a better day.
これで完成です。所要時間は5分もかかりません。言いたいことが複雑なときは、スピーキング編でお伝えした「ブレイクダウン」の出番です。自分の使える単語で言える形まで、内容を分解してください。
全部 I… で始まってしまう問題
ここで、長年の指導で必ず出会う癖をひとつ。早稲田の学生に英文を書く練習をしてもらったとき、主語が I で始まる英文ばかり書く学生の多さに驚いたことがあります。I did… I went… I was… 。これでは、自分で読み返しても楽しくありません。
処方箋は簡単で、直前の文の最後に来た名詞を、次の文の主語にすることです。
I watched an old movie tonight. The movie was about a small bakery in Paris. Paris is now on my list of places to visit.
映画→その映画は、パリ→パリは、と名詞がバトンのようにつながっていくのがわかるでしょうか。文と文が自然につながり、視点も I の外に広がります。3行日記に慣れてきたら、ぜひ試してみてください。
なお、書く練習は「使える語彙(productive words)」を増やす、最も確実な方法でもあります。
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【内部リンク:「わかる英単語」と「使える英単語」の違いとは?】
わかる単語を使える単語にする方法の1つとして、メモを英語で取るという方法があります。これについては、別の記事で取り上げます。
👉 英語でメモを取ることの効果
書く順番──辞書なしで書く、見直す、副詞を足す
書き方にも、続けるための順番があります。辞書を引きながら書くのは、おすすめしません。
- まず辞書なしで書く──今の自分が使える単語で勝負します
- 見直す(proofreading)──書き終えてから読み返します。三単現、時制、冠詞。自分で気づいて直す作業が、文法力を最も確実に伸ばします
- 辞書を引いて、副詞を付け足す──最後の仕上げです

なぜ副詞なのか。以前、中学校の英語検定教科書をすべて分析したことがあります。中学3年間を通じて、副詞は全語彙のわずか1〜3%程度でした。使い方が難しいため、学校ではあまり扱われないのでしょう。
ところがTOEICでは品詞を判定する問題が頻出で、適切な副詞を選べるかどうかが繰り返し問われます。
学校で習わないのに、試験では問われる。このギャップを埋めるのが、日記での副詞の付け足しです。
コツは、動詞とペアで覚えること。I finished the report. と書いて見直したら、finally を足して I finally finished the report. に。
1語で達成感まで伝わる文になります。この「見直して1語足す」習慣が、正確さと表現の幅を同時に育てます。
AI添削との付き合い方──複数に聞けばいい
添削してくれる人を探すのは、なかなか大変です。そこでAIの出番ですが、「AIの英語って信用できるの?」という疑問もあるでしょう。
答えは簡単で、複数のAIに聞けばいいのです。
私は仕事柄、ネイティブチェックを依頼する機会が多くあります。
ではネイティブなら正解をくれるかというと、そうでもありません。
3人いれば、3人とも回答が異なることがあります。私たちの日本語でも同じですね。
「正しい英語」はひとつではないのです。ですから、初歩の段階でAIの精度を気にしすぎる必要はありません。
ただし、間違った英語が頭に残ってしまうのは避けたいところです。気になる表現は複数のAIに聞き比べ、必要に応じてAIが直した英語をネイティブに見てもらう習慣をつけておくと、安心して使えます。
どのAIをどう使うかは、こちらの記事で解説しています。
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【内部リンク:【2026年最新】大人のやり直し英語は「AI独学」が最短!挫折ゼロで話せるロードマップ】
書くネタと世界の広げ方──Reading diaryとSNS
3行日記に慣れたら、広げ方は2つあります。
ひとつはReading diary。
リーディング編で紹介した多読と組み合わせ、洋書から気に入った表現を書き出し、なぜ気に入ったのか、その前後のストーリーを英語でまとめてみるのです。
書くネタに困らないうえ、「読んだ」という手応えがぐっと強くなります。
知らない単語がほとんどない洋書なら、出てきた表現を借りて書くことで、表現の幅がそのまま広がります。
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【内部リンク:英語の多読が続かないのはなぜ?「読まされる読書」をやめる大人のリーディング習慣術】

もうひとつはSNS。日記はノートに書くものと思いがちですが、今はSNSがあります。英語で発信すれば、海外の人とのやりとりにつながることもあります。
私が教えた学生の話です。好きな海外アーティストのFacebookを見つけてコメントを書いたところ──なんと、本人から返信があったと大喜びしていました。
勇気さえあれば、そんなサプライズが待っていることもあるのです。書くことは、世界とつながる入口にもなります。
続けるための仕組み──3つだけ
- 書く話題は自分で選ぶ──出来事でも、気持ちでも、洋書の一文でも。決めるのはあなたです
- 日付を入れて溜めていく──日付の並んだ日記帳そのものが、続いてきた証拠になります
- ときどき読み返す──数週間分の振り返りが、「なぜ学ぶのか」を思い出させてくれます
途切れても大丈夫です。気持ちの1行だけでも、戻ってこられれば続いていることになります。
よくある質問
Q1. 文法ミスだらけでも、書く意味はありますか?
あります。仕事の文書では正確さが極めて重要ですが、日記は「自分がわかる」が出発点です。
辞書なしで書き、見直す。この2つを続けていれば、正確さは後から付いてきます。ミスを恐れて書かないことのほうが、ずっと大きな損失です。
Q2. 書くネタがない日はどうすればいいですか?
事件は要りません。3行の型なら、2行目の「感じたこと」だけでその日の日記は成立します。
I’m sleepy today. の1行でも立派な記録です。
それも思いつかない日は、Reading diaryとして洋書の気に入った一文を書き写し、ひとこと感想を添えてください。
Q3. 紙のノートとアプリ、どちらがいいですか?
続けやすいほうで構いません。手で書くと記憶に残りやすく、アプリはAI添削との相性が良い。
そしてもうひとつ、SNSで公開するという選択肢もあります。海外との接点が生まれる可能性があるのは公開型ならではです。人に見せたくない内容なら、紙や非公開メモが安心です。
まとめ:3行の日記が、学ぶ理由を教えてくれる
- 続かない理由は3つ:長く正しく書こうとする・出来事報告の思い込み・目的の曖昧さ
- 日記は3行でいい:事実・気持ち・ひとこと。I ばかりになったら、名詞をバトンにつなぐ
- 順番は、辞書なしで書く → 見直す → 副詞を1語足す
- AI添削は複数に聞く。ネイティブでも答えは割れるのだから、精度を気にしすぎない
- 書くことは、「なぜ英語を学ぶのか」を自分の言葉で確かめる装置
これで、聞く・話す・読む・書くの4技能サテライトがすべて揃いました。どの順番で、どんな比重で取り組むか──全体の設計図はロードマップ記事でご確認ください。
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【内部リンク:英語4技能はどの順番で学ぶ?挫折しない学習ロードマップ完全ガイド】
あなたの3行が、明日の学びを支えてくれますように。
次回は4技能相互の関係について深堀します。
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