中学・高校の英語で、理由もわからないまま丸暗記した表現はありませんか。その筆頭格が be supposed to(〜することになっている・〜するはずだ)だと思います。
be があって、supposed があって、to がある。なのに訳は「〜することになっている」。形と意味がどうにも結びつかなくて、「そういうものだ」と飲み込んだ人は多いはずです。
実はこれ、suppose という一語を知るだけで、まるごと腑に落ちます。そして最後にもう一つ、後半の -pose が、写真を撮るときの「ポーズ」とまったく同じ綴りだという話も待っています。
suppose を分解してイメージで覚える
suppose をパーツで見ると、こうなります。
sup(下に)+ pose(置く)
もとになったラテン語は supponere。sub(下に)+ ponere(置く)で、「下に置く」という意味の動詞です。※ sup- は、後ろに続く p の音に引きずられて形を変えた sub- です。
では「下に置く」が、どうして「仮定する」になるのか。
何かを考えるとき、私たちはまず土台になる前提を、議論の一番下に置きます。その土台の上に、理屈を積み上げていく。この「下に置く土台」こそが、仮定です。
- Suppose he is right.(彼が正しいと仮定してみよう)
「彼が正しい」という板を一枚、思考の床に敷く。その上で話を進める。それが suppose です。
おもしろいのは、この発想がギリシャ語にもそっくりそのまま存在すること。hypothesis(仮説)は hypo(下に)+ thesis(置くこと)で、文字どおり「下に置くこと」。ラテン語とギリシャ語が、別々の場所で同じ比喩を思いついたわけです。「仮定=下に置く」は、どうやら人間に共通の感覚らしい・・・そう思うと、この語源はぐっと覚えやすくなります。
suppose の基本の意味と使い方
suppose は「仮定する」「〜だと思う」を表す動詞です。断定より一歩引いた、やわらかい言い方になります。
- I suppose you are right.(たぶんあなたが正しいんだと思う)
- Suppose it rains tomorrow.(明日、雨が降るとしよう)
- Let’s suppose the plan works.(その計画がうまくいくと仮定しよう)
命令形の Suppose 〜 は、if の代わりに文頭に置いて「〜だとしたら」を作れます。会話でも議論でも便利な形です。
もう一つ、日常会話でよく聞くのが I suppose so.。「まあ、そうですね」という、やや消極的な同意です。
I think so. より気持ちの温度が低く、「乗り気ではないけれど認める」ときに使われます。この距離感も、「断定ではなく、とりあえず下に置いてみる」という語源から素直に出てきます。
be supposed to|丸暗記したあの表現の正体
ここが本題です。be supposed to を、形のまま読んでみてください。
be + supposed(仮定された)+ to do
そう、suppose の受け身です。直訳すれば「〜すると仮定されている」。
誰に仮定されているのか。周りの人に、職場に、社会に、です。みんなが「この人は9時に来るものだ」という前提を置いている。だから You are supposed to be here at nine.(9時にここにいることになっている)。
この「周りが置いた前提」という感覚を押さえると、使い分けが一気にはっきりします。
- You are supposed to wear a tie.(ネクタイを着けることになっている)・・・規則・慣習として期待されている
- The movie is supposed to be good.(あの映画は面白いらしい)・・・世間がそう仮定している=評判
- You are not supposed to park here.(ここに駐車してはいけないことになっている)・・・禁止をやわらかく伝える
must や have to が「自分の内側や法の強制」だとすると、be supposed to は「周りが置いた前提」。だから少しやわらかく、そして「でも実際は違うかもね」という含みも持ちます。I was supposed to call her.(電話するはずだったのに)と言えば、していないことが伝わります。
ちなみに、この「〜する義務がある」という受け身の用法は、記録の上では 1859年ごろから広まったとされています。suppose 自体が英語に入ったのが1300年ごろですから、ずいぶん後になって育った意味です。
発音にも小さな仕掛けがあります。形容詞の supposed(いわゆる・〜とされる)は -ed をズィッドと読むことが多いのに対し、be supposed to の supposed は ストと濁りません。辞書では、この2つを区別するためにそうなった、と説明されています。
suppose・assume・presume・guess の使い分け
どれも「思う・仮定する」ですが、重心が違います。
| 単語 | 重心 | ニュアンス |
|---|---|---|
| suppose | 下に置く | 根拠は問わず、とりあえず前提にする。やわらかい |
| assume | 自分のほうへ取る | 確かめずに「そうだ」と決めてかかる。やや強い |
| presume | 先に取る | 根拠があって、そう推定する。やや硬い・法律的 |
| guess | 当てる | 根拠が薄い当て推量。会話的(米ではI thinkに近い) |
迷ったら suppose が一番安全です。断定を避けつつ、失礼にもならない。会話でも文章でも使える、守備範囲の広い一語です。
“-pose(ポーズ)” でつながる単語ネットワーク
さて、ここからが二つ目の発見です。
suppose の後半 -pose・・・この綴り、写真を撮るときの「ポーズ」とまったく同じです。そして偶然ではありません。
英語の pose(ポーズを取る)は、古フランス語の poser(置く)から来ています。もとをたどるとラテン語 pausare(止まる・休む)。pause(一時停止)と同じ語です。体の動きを止めて静止する・・・それが「ポーズを取る」。
そして suppose の -pose という綴りも、この同じフランス語 poser から来ています。つまり、
suppose の -pose と、カメラの前で取る「ポーズ」は、綴りの上で同じ一族
これを知ると、-pose で終わる単語が一気につながります。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| propose | 提案する、結婚を申し込む | pro(前に)+pose=相手の前に置く |
| purpose | 目的 | por(前へ)+pose=前に置いたもの=めざすもの |
| compose | 構成する、作曲する | com(一緒に)+pose=一緒に置く |
| expose | さらす、露出する | ex(外に)+pose=外に置く |
| impose | 課す、押しつける | im(上に・中に)+pose=上に置く |
| oppose | 反対する | op(向かいに)+pose=向かい側に置く |
| dispose | 処分する、配置する | dis(別々に)+pose=あちこちに置く |
| repose | 休息する | re(再び)+pose=また止まる |
| pause | 一時停止 | 止まること(この一族の原点) |
プロポーズ(propose)が「相手の前に、自分の気持ちを置く」だと思うと、ちょっと見え方が変わりませんか。そして purpose(目的)がこの一族だと気づくと、「目的=自分の前に置いたもの」という静かな納得があります。
poser(難問・気取った人)、poseur(気取り屋)も同じ一族です。
suppose から枝分かれする単語
suppose そのものから伸びた枝も見ておきましょう。
| 単語 | 意味 | 語源 |
|---|---|---|
| supposition | 仮定、推測 | 15世紀初め。もとは中世の論理学の用語 |
| presuppose | 前提とする | pre(前もって)+suppose |
| presupposition | 前提 | presuppose の名詞形 |
| supposedly | 〜とされている、おそらく | 1610年代。supposed+-ly |
| supposititious | 偽の、すり替えられた | 1610年代。「別のものを下に置いた」=すり替え |
| suppository | 座薬 | 14世紀末。文字どおり「下に置く」薬 |
最後の suppository(座薬)に目が留まった方へ。これは冗談ではなく、suppose とまったく同じラテン語 supponere から出た直系の兄弟です。しかも、こちらは比喩を使わず「下に置く」をそのままの意味で受け継いでいます。
つまり、
- suppose・・・前提を、頭の中で下に置く(比喩)
- suppository・・・薬を、体の下のほうに置く(文字どおり)
語源が「下に置く」だという何よりの証拠になっています。忘れにくさで言えば、これ以上の一手はないかもしれません。
中級者向け|-pose と -pound は双子
もう一歩だけ踏み込みます。英語には、同じラテン語からできたのに形が二通りあるペアがあります。
| フランス語経由(-pose) | ラテン語直輸入(-pound) | もとのラテン語 |
|---|---|---|
| propose(提案する) | propound(提起する) | proponere |
| compose(構成する) | compound(混合する) | componere |
| expose(さらす) | expound(詳しく説明する) | exponere |
片方はフランス語の poser の形で、もう片方はラテン語 ponere の形のまま英語に入ってきました。中身はほぼ同じ意味なのに、入ってきたルートが違うだけで、今では別の単語として使い分けられている・・・英語という言語の成り立ちが、きれいに見える例です。
(なお propound・compound の -d は、語源的には説明がつかない後付けだとされています。)
派生語 Word Family
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| suppose | 動詞 | 仮定する、〜だと思う | サポウズ /səˈpoʊz/ |
| supposed | 形容詞 | いわゆる、〜とされている | サポウズィッド /səˈpoʊzɪd/ |
| be supposed to | 熟語 | 〜することになっている | サポウスト トゥ /səˈpoʊst tə/ |
| supposedly | 副詞 | おそらく、〜とされるところでは | サポウズィドリ /səˈpoʊzɪdli/ |
| supposition | 名詞 | 仮定、推測 | サポズィション /ˌsʌpəˈzɪʃən/ |
| presuppose | 動詞 | 前提とする | プリーサポウズ /ˌpriːsəˈpoʊz/ |
TOEIC・英検での傾向
正直に言うと、suppose という動詞そのものが文法問題の正解になることは、それほど多くありません。
本番で効いてくるのは、圧倒的に be supposed to のほうです。TOEIC Part 2・Part 3 の会話で「〜することになっているんだけど」と予定や決まりを伝える場面、Part 7 のメールで「本来なら〜のはずだった」と行き違いを説明する場面で、ごく自然に出てきます。聞き取りでは supposed がサポウストと短く潰れるので、音で拾えるようにしておくと差がつきます。
supposedly(〜とされているが)は、やや硬めの読解文で「事実とは限らない」という含みを添える語として登場します。筆者のスタンスを読む手がかりになるので、見かけたら一拍置くと得です。
英検では準2級〜2級あたりから、I suppose / be supposed to の形で出てきます。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- I suppose you already know the answer.
- Suppose you had one free day. What would you do?
- You are supposed to be here at nine.
- We are supposed to help each other.
- She supposed that the meeting would go well.
- I suppose it is time to start again.
- Let’s suppose the plan works.
- You are not supposed to carry all of it alone.
- Everyone supposed he would quit, but he kept going.
- Suppose no one is watching. What would you still choose to do?
語源メモ
suppose は、1300年ごろの英語に supposen(意見として持つ・議論の土台として仮定する)という形で入りました。真偽は問わず、とにかく前提として置く・・・という、もともと論理学寄りの語です。「ありそうだと認める」という日常的な意味は1520年代、「推論する」は1600年ごろに広がりました。
出どころはラテン語 supponere(下に置く・従属させる)。sub(下に)+ ponere(置く)で、suppository(座薬)はこの動詞の意味を文字どおり受け継いだ直系です。suppose のほうは、その比喩的な使い方から生まれました。
ただし、綴りには一つ段差があります。英語の suppose は、ラテン語から直接ではなく、古フランス語 suposer を通って入ってきました。このフランス語の形は、ラテン語 ponere ではなく poser(=俗ラテン語 pausare「止まる・休む」)の形に乗り換えたものです。
つまり suppose は、意味はラテン語 ponere(置く)から、形はフランス語 poser(ポーズ)からという、二つの出どころを持つ単語になっています。compose・propose・expose・oppose・dispose なども同じ事情を抱えていて、語源学者のスキートは19世紀末に「フランス語の歴史でもっとも注目すべき事実の一つ」と評しました。意味はラテン語の複合動詞と正確に対応しているのに、語の血筋としてはつながっていない・・・という、少しねじれた関係です。
この「ponere と pausare の入れ替わり」は、それだけで一記事になる大きな話なので、ここでは入り口までにとどめます。position・deposit・postpone・composite といった posit- の形を持つ語は、フランス語を経由せずラテン語 ponere の過去分詞 positus から来た、正真正銘の直系です。suppose の仲間と見た目は似ていますが、血筋は別・・・そう整理しておくと混乱しません。
なお、ラテン語 ponere のさらに奥の語源は諸説あり、定説と呼べるものはありません。
まとめ
suppose は、sup(下に)+ pose(置く)で「議論の土台として下に置く」=仮定する。
- be supposed to・・・suppose の受け身。「周りがそう前提を置いている」から「〜することになっている」
- -pose・・・写真の「ポーズ」と同じ綴り。propose/purpose/compose/expose/oppose へ
- supposition / presuppose / suppository・・・suppose から直接伸びた枝
- 「仮定=下に置く」の発想は、ギリシャ語の hypothesis(hypo+thesis)にもそのまま生きている
前提を一枚、下に敷いてみる。それだけで、話は前に進みます。

- 語源・中心:sup(sub=下に)+ pose(ponere=置く)=「議論の土台として下に置く」
- 覚え方のヒント:be supposed to =「周りがそう前提を置いている」
- -pose(ポーズ)一族:propose/purpose/compose/expose/impose/oppose/dispose/pause
- suppose の枝:supposition/presuppose/supposedly/suppository
NGSL(New General Service List)収録語
この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。
出典:New General Service List Project
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翻訳練習の解答例
- もう答えには、気づいているんじゃないかな。
- もし丸一日、自由な時間があったとしたら? あなたなら何をする?
- 9時にはここにいることになっているよね。
- 私たちは、困ったときはお互いに助け合うものだ。
- 彼女は、打ち合わせはうまくいくはずだと思っていた。
- そろそろ、また始めてもいい頃だと思う。
- この計画は、うまくいくものとして進めてみよう。
- それを全部、ひとりで背負う必要はないんだよ。
- 彼はきっと辞めるだろうと、誰もが思っていた。それでも彼は続けた。
- 誰も見ていないとしよう。それでも、あなたは何を選ぶだろうか。


