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【語源で覚える】suppose|be supposed to は、なぜ「〜するはず」になるのか

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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中学・高校の英語で、理由もわからないまま丸暗記した表現はありませんか。その筆頭格が be supposed to(〜することになっている・〜するはずだ)だと思います。

be があって、supposed があって、to がある。なのに訳は「〜することになっている」。形と意味がどうにも結びつかなくて、「そういうものだ」と飲み込んだ人は多いはずです。

実はこれ、suppose という一語を知るだけで、まるごと腑に落ちます。そして最後にもう一つ、後半の -pose が、写真を撮るときの「ポーズ」とまったく同じ綴りだという話も待っています。

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suppose を分解してイメージで覚える

suppose をパーツで見ると、こうなります。

sup(下に)+ pose(置く)

もとになったラテン語は supponere。sub(下に)+ ponere(置く)で、「下に置く」という意味の動詞です。※ sup- は、後ろに続く p の音に引きずられて形を変えた sub- です。

では「下に置く」が、どうして「仮定する」になるのか。

何かを考えるとき、私たちはまず土台になる前提を、議論の一番下に置きます。その土台の上に、理屈を積み上げていく。この「下に置く土台」こそが、仮定です。

  • Suppose he is right.(彼が正しいと仮定してみよう)

「彼が正しい」という板を一枚、思考の床に敷く。その上で話を進める。それが suppose です。

おもしろいのは、この発想がギリシャ語にもそっくりそのまま存在すること。hypothesis(仮説)は hypo(下に)+ thesis(置くこと)で、文字どおり「下に置くこと」。ラテン語とギリシャ語が、別々の場所で同じ比喩を思いついたわけです。「仮定=下に置く」は、どうやら人間に共通の感覚らしい・・・そう思うと、この語源はぐっと覚えやすくなります。

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suppose の基本の意味と使い方

suppose は「仮定する」「〜だと思う」を表す動詞です。断定より一歩引いた、やわらかい言い方になります。

  • I suppose you are right.(たぶんあなたが正しいんだと思う)
  • Suppose it rains tomorrow.(明日、雨が降るとしよう)
  • Let’s suppose the plan works.(その計画がうまくいくと仮定しよう)

命令形の Suppose 〜 は、if の代わりに文頭に置いて「〜だとしたら」を作れます。会話でも議論でも便利な形です。

もう一つ、日常会話でよく聞くのが I suppose so.。「まあ、そうですね」という、やや消極的な同意です。

I think so. より気持ちの温度が低く、「乗り気ではないけれど認める」ときに使われます。この距離感も、「断定ではなく、とりあえず下に置いてみる」という語源から素直に出てきます。

be supposed to|丸暗記したあの表現の正体

ここが本題です。be supposed to を、形のまま読んでみてください。

be + supposed(仮定された)+ to do

そう、suppose の受け身です。直訳すれば「〜すると仮定されている」。

誰に仮定されているのか。周りの人に、職場に、社会に、です。みんなが「この人は9時に来るものだ」という前提を置いている。だから You are supposed to be here at nine.(9時にここにいることになっている)。

この「周りが置いた前提」という感覚を押さえると、使い分けが一気にはっきりします。

  • You are supposed to wear a tie.(ネクタイを着けることになっている)・・・規則・慣習として期待されている
  • The movie is supposed to be good.(あの映画は面白いらしい)・・・世間がそう仮定している=評判
  • You are not supposed to park here.(ここに駐車してはいけないことになっている)・・・禁止をやわらかく伝える

must や have to が「自分の内側や法の強制」だとすると、be supposed to は「周りが置いた前提」。だから少しやわらかく、そして「でも実際は違うかもね」という含みも持ちます。I was supposed to call her.(電話するはずだったのに)と言えば、していないことが伝わります。

ちなみに、この「〜する義務がある」という受け身の用法は、記録の上では 1859年ごろから広まったとされています。suppose 自体が英語に入ったのが1300年ごろですから、ずいぶん後になって育った意味です。

発音にも小さな仕掛けがあります。形容詞の supposed(いわゆる・〜とされる)は -ed をズィッドと読むことが多いのに対し、be supposed to の supposed は ストと濁りません。辞書では、この2つを区別するためにそうなった、と説明されています。

suppose・assume・presume・guess の使い分け

どれも「思う・仮定する」ですが、重心が違います。

単語重心ニュアンス
suppose下に置く根拠は問わず、とりあえず前提にする。やわらかい
assume自分のほうへ取る確かめずに「そうだ」と決めてかかる。やや強い
presume先に取る根拠があって、そう推定する。やや硬い・法律的
guess当てる根拠が薄い当て推量。会話的(米ではI thinkに近い)

迷ったら suppose が一番安全です。断定を避けつつ、失礼にもならない。会話でも文章でも使える、守備範囲の広い一語です。

“-pose(ポーズ)” でつながる単語ネットワーク

さて、ここからが二つ目の発見です。

suppose の後半 -pose・・・この綴り、写真を撮るときの「ポーズ」とまったく同じです。そして偶然ではありません。

英語の pose(ポーズを取る)は、古フランス語の poser(置く)から来ています。もとをたどるとラテン語 pausare(止まる・休む)。pause(一時停止)と同じ語です。体の動きを止めて静止する・・・それが「ポーズを取る」。

そして suppose の -pose という綴りも、この同じフランス語 poser から来ています。つまり、

suppose の -pose と、カメラの前で取る「ポーズ」は、綴りの上で同じ一族

これを知ると、-pose で終わる単語が一気につながります。

単語意味イメージ
propose提案する、結婚を申し込むpro(前に)+pose=相手の前に置く
purpose目的por(前へ)+pose=前に置いたもの=めざすもの
compose構成する、作曲するcom(一緒に)+pose=一緒に置く
exposeさらす、露出するex(外に)+pose=外に置く
impose課す、押しつけるim(上に・中に)+pose=上に置く
oppose反対するop(向かいに)+pose=向かい側に置く
dispose処分する、配置するdis(別々に)+pose=あちこちに置く
repose休息するre(再び)+pose=また止まる
pause一時停止止まること(この一族の原点)

プロポーズ(propose)が「相手の前に、自分の気持ちを置く」だと思うと、ちょっと見え方が変わりませんか。そして purpose(目的)がこの一族だと気づくと、「目的=自分の前に置いたもの」という静かな納得があります。

poser(難問・気取った人)、poseur(気取り屋)も同じ一族です。

suppose から枝分かれする単語

suppose そのものから伸びた枝も見ておきましょう。

単語意味語源
supposition仮定、推測15世紀初め。もとは中世の論理学の用語
presuppose前提とするpre(前もって)+suppose
presupposition前提presuppose の名詞形
supposedly〜とされている、おそらく1610年代。supposed+-ly
supposititious偽の、すり替えられた1610年代。「別のものを下に置いた」=すり替え
suppository座薬14世紀末。文字どおり「下に置く」薬

最後の suppository(座薬)に目が留まった方へ。これは冗談ではなく、suppose とまったく同じラテン語 supponere から出た直系の兄弟です。しかも、こちらは比喩を使わず「下に置く」をそのままの意味で受け継いでいます。

つまり、

  • suppose・・・前提を、頭の中で下に置く(比喩)
  • suppository・・・薬を、体の下のほうに置く(文字どおり)

語源が「下に置く」だという何よりの証拠になっています。忘れにくさで言えば、これ以上の一手はないかもしれません。

中級者向け|-pose と -pound は双子

もう一歩だけ踏み込みます。英語には、同じラテン語からできたのに形が二通りあるペアがあります。

フランス語経由(-pose)ラテン語直輸入(-pound)もとのラテン語
propose(提案する)propound(提起する)proponere
compose(構成する)compound(混合する)componere
expose(さらす)expound(詳しく説明する)exponere

片方はフランス語の poser の形で、もう片方はラテン語 ponere の形のまま英語に入ってきました。中身はほぼ同じ意味なのに、入ってきたルートが違うだけで、今では別の単語として使い分けられている・・・英語という言語の成り立ちが、きれいに見える例です。

(なお propound・compound の -d は、語源的には説明がつかない後付けだとされています。)

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
suppose動詞仮定する、〜だと思うサポウズ /səˈpoʊz/
supposed形容詞いわゆる、〜とされているサポウズィッド /səˈpoʊzɪd/
be supposed to熟語〜することになっているサポウスト トゥ /səˈpoʊst tə/
supposedly副詞おそらく、〜とされるところではサポウズィドリ /səˈpoʊzɪdli/
supposition名詞仮定、推測サポズィション /ˌsʌpəˈzɪʃən/
presuppose動詞前提とするプリーサポウズ /ˌpriːsəˈpoʊz/

TOEIC・英検での傾向

正直に言うと、suppose という動詞そのものが文法問題の正解になることは、それほど多くありません。

本番で効いてくるのは、圧倒的に be supposed to のほうです。TOEIC Part 2・Part 3 の会話で「〜することになっているんだけど」と予定や決まりを伝える場面、Part 7 のメールで「本来なら〜のはずだった」と行き違いを説明する場面で、ごく自然に出てきます。聞き取りでは supposed がサポウストと短く潰れるので、音で拾えるようにしておくと差がつきます。

supposedly(〜とされているが)は、やや硬めの読解文で「事実とは限らない」という含みを添える語として登場します。筆者のスタンスを読む手がかりになるので、見かけたら一拍置くと得です。

英検では準2級〜2級あたりから、I suppose / be supposed to の形で出てきます。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. I suppose you already know the answer.
  2. Suppose you had one free day. What would you do?
  3. You are supposed to be here at nine.
  4. We are supposed to help each other.
  5. She supposed that the meeting would go well.
  6. I suppose it is time to start again.
  7. Let’s suppose the plan works.
  8. You are not supposed to carry all of it alone.
  9. Everyone supposed he would quit, but he kept going.
  10. Suppose no one is watching. What would you still choose to do?

語源メモ

suppose は、1300年ごろの英語に supposen(意見として持つ・議論の土台として仮定する)という形で入りました。真偽は問わず、とにかく前提として置く・・・という、もともと論理学寄りの語です。「ありそうだと認める」という日常的な意味は1520年代、「推論する」は1600年ごろに広がりました。

出どころはラテン語 supponere(下に置く・従属させる)。sub(下に)+ ponere(置く)で、suppository(座薬)はこの動詞の意味を文字どおり受け継いだ直系です。suppose のほうは、その比喩的な使い方から生まれました。

ただし、綴りには一つ段差があります。英語の suppose は、ラテン語から直接ではなく、古フランス語 suposer を通って入ってきました。このフランス語の形は、ラテン語 ponere ではなく poser(=俗ラテン語 pausare「止まる・休む」)の形に乗り換えたものです。

つまり suppose は、意味はラテン語 ponere(置く)から、形はフランス語 poser(ポーズ)からという、二つの出どころを持つ単語になっています。compose・propose・expose・oppose・dispose なども同じ事情を抱えていて、語源学者のスキートは19世紀末に「フランス語の歴史でもっとも注目すべき事実の一つ」と評しました。意味はラテン語の複合動詞と正確に対応しているのに、語の血筋としてはつながっていない・・・という、少しねじれた関係です。

この「ponere と pausare の入れ替わり」は、それだけで一記事になる大きな話なので、ここでは入り口までにとどめます。position・deposit・postpone・composite といった posit- の形を持つ語は、フランス語を経由せずラテン語 ponere の過去分詞 positus から来た、正真正銘の直系です。suppose の仲間と見た目は似ていますが、血筋は別・・・そう整理しておくと混乱しません。

なお、ラテン語 ponere のさらに奥の語源は諸説あり、定説と呼べるものはありません。

まとめ

suppose は、sup(下に)+ pose(置く)で「議論の土台として下に置く」=仮定する。

  • be supposed to・・・suppose の受け身。「周りがそう前提を置いている」から「〜することになっている」
  • -pose・・・写真の「ポーズ」と同じ綴り。propose/purpose/compose/expose/oppose へ
  • supposition / presuppose / suppository・・・suppose から直接伸びた枝
  • 「仮定=下に置く」の発想は、ギリシャ語の hypothesis(hypo+thesis)にもそのまま生きている

前提を一枚、下に敷いてみる。それだけで、話は前に進みます。

suppose の語源ワードマップ。中心は suppose(=議論の土台として下に置く)で、sup(sub=下に)+pose(ponere=置く)に分解。語源・中心(下に置く=仮定する)、-pose(ポーズ)系の一族(propose/purpose/compose/expose/impose/oppose/dispose/pause)、suppose の枝(supposition/presuppose/supposedly/suppository)、覚え方のヒント(be supposed to=周りがそう前提を置いている)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:sup(sub=下に)+ pose(ponere=置く)=「議論の土台として下に置く」
  • 覚え方のヒント:be supposed to =「周りがそう前提を置いている」
  • -pose(ポーズ)一族:propose/purpose/compose/expose/impose/oppose/dispose/pause
  • suppose の枝:supposition/presuppose/supposedly/suppository

NGSL(New General Service List)収録語

この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。
出典:New General Service List Project

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