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【語源で覚える】class|学校の「クラス」は、もとは兵を呼び集める区分だった

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「クラス」ほど説明のいらない言葉もありません。学校のクラス、ビジネスクラス、クラシック音楽、ハイクラス。どれも意味が分かるし、使い方にも迷わない。

だからこそ、ほとんどの人が立ち止まらずに通り過ぎます。この class という一語が、どこから来たのか。

答えは、紀元前6世紀のローマにある「財産額の一覧表」です。市民を資産で区分けして、誰にどれだけの武器を持たせて戦わせるかを決めるための表。その区分の名前が classis でした。

学校のクラスも、飛行機のクラスも、クラシック音楽も、出発点は同じこの一枚の表です。

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class には分解するパーツがない|意味の中心は「呼び集められた一団」

このシリーズでは接頭辞と語根に切り分けることが多いのですが、class は切れません。ラテン語 classis が、ほぼそのままの形で英語に入っています。

意味の中心はこれです。

classis(呼び集められた一団・区分)

ラテン語の classis には、辞書を引くと三つの顔が並びます。「等級・区分」「軍隊」「艦隊」。一見バラバラですが、根っこは一つで、「呼び集められて、ひとかたまりになった人々」です。

ローマの艦隊が classis と呼ばれたのも、同じ理屈でした。船の集まりである前に、招集されて組まれた一団だったからです。

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ローマの等級表|class はもともと「兵を出せる人のリスト」

ローマ伝承の第6代の王セルウィウス・トゥッリウスが、市民を財産額によって5つの等級に分けた・・・というのが、この語の出発点としてよく語られる話です。目的は課税と、兵役の割り当てでした。

財産が多い人ほど、自前でそろえられる装備が重くなります。だから第一等級の市民は兜も盾も脛当ても胸当ても持って前に立ち、下の等級になるほど装備は軽くなっていく。身分ではなく財布の中身で並べた、実務的な表です。

ここからが面白いところで、2世紀のアウルス・ゲッリウスが『アッティカの夜』でこう書き残しています。5つの等級すべてが classici と呼ばれたわけではなく、資産12万5千アス以上の第一等級の人だけが classici。第二等級から下は infra classem(クラスより下)と呼ばれた、と。

つまり classici とは「第一級の人たち」です。この一語が、のちの classic(一流の)になります。

そしてこの表のいちばん下、財産と呼べるものがなく、子どもを育てることで国に貢献すると見なされた層が proletarius(proles=子ども、から)でした。マルクスのプロレタリアートは、この最下段から来ています。

classic と proletariat は、同じ一枚のローマの財産表の、上端と下端です。

class の基本の意味と使い方

現代英語の class は名詞が中心で、動詞としても使えます。発音は米英で割れていて、米 /klæs/(クラス)、英 /klɑːs/(クラース)です。

  • I have a class at three.(3時から授業があります)
  • She is in class right now.(彼女は今、授業中です)
  • We flew business class.(ビジネスクラスで飛んだ)
  • He is a class above the rest.(彼は他より一段上だ)
  • Please class these items by size.(これらをサイズ別に分類してください)

冠詞の有無が効くのは in class です。in class は「授業中」という状態を指し、冠詞を付けません。in a class と言うと「ある一つの教室・授業の中に」という場所寄りの意味になります。

アメリカ英語では「卒業年次」の意味でもよく使います。

  • the class of 2010(2010年卒業の学年)

同じ年に呼び集められ、同じ区分に入れられた一団・・・という、classis の原義そのままの使い方です。

英語に入った順番が意外|「学校のクラス」が先で「社会階級」は後

日本語の感覚だと、「階級」という硬い意味が先にあって、そこから学校のクラスに流用された・・・と思いたくなります。英語での記録は、逆でした。

時期英語での意味
1600年ごろ学生の集団(同じ学年の生徒たち)
1650年代講義・課程(一定の水準に達した学生向けの授業)
1660年代共通の性質を持つ人の集まり、階層
1753年生物分類の「綱」
1763年社会的な身分の区分(upper class, lower class)
1874年高級さ、格の高さ

英語に class が入ってきたときの最初の顔は「学生の集団」です。社会階級の意味で使われるようになるのは、そこから160年ほど後。「ハイクラス」のような「高級」の語感にいたっては19世紀後半で、いちばん新しい層になります。

1753年の「綱」は、中学の理科で習う分類階級のことです。界・門・綱・目・科・属・種の、あの綱。クジラとコウモリが同じ哺乳綱に入る、と言うときの綱が class です。ローマの等級表が、18世紀に生き物の整理棚として再利用されたわけです。

classic と classical|「古い」ではなく「第一級」が元の意味

日本語の「クラシック」は、クラシック音楽やクラシックカーの影響で、ほとんど「古い」とイコールになっています。英語の classic の芯は、そこではありません。

ラテン語 classicus は「(最上位の)階級に属する」で、そこから「一流の」です。

この語を文学に使った例として知られているのが、先ほどのゲッリウスです。彼は『アッティカの夜』19巻8章で、ある書き手を classicus scriptor, non proletarius(第一級の書き手であって、下層のそれではない)と評しました。ラテン文学の中でこの用法が確認できるのは、ほぼこの一例だけとされています。

この「第一級の書き手」という言い方が、ルネサンス以降に「古代ギリシア・ローマの手本となる作家たち」を指すようになり、そこから「古典」の意味が生まれました。

英語での年代を並べると、順番はこうなります。

  • classical(1590年代)「最高位の」。もともとは文学について
  • classic(1610年代)「第一級の、手本となる」
  • 「古代ギリシア・ローマの」の意味(1620年代)
  • classical music(1836年)

classical のほうが classic より先に英語に現れているのも、意外な点です。そして classical music という呼び名は、もともと「古い音楽」という意味ではなく、ロマン派の音楽と対比するための呼び分けとして使われ始めました。1880年代にはすでに「時の試練に耐えた音楽」という別の意味も重なり、20世紀に入るとジャズとの対比、さらに後にはポピュラー音楽全般との対比へと、立ち位置を変えていきます。

「クラシック=古い」は、結果として後から付いてきた顔です。芯にあるのは、今も「別格」のほうです。

class は call(呼ぶ)の親戚?|calendar・council・clear まで

ここからが、この語のいちばん大きな広がりです。

classis の原義を「武装して呼び集められた人々」と見る伝統的な説に立つと、class はラテン語 calare(厳かに告げる・呼び出す)と血がつながっていることになります。さらにその奥には、印欧祖語で「叫ぶ」を表したとされる *kele- があります。

この見立ては広く採られていますが、再構された語根をたどる話なので、断言できる筋ではありません。そのうえで眺めると、思いがけない顔ぶれが並びます。

単語意味つながり方
calendarカレンダーcalendae(朔日)から。新月を神官が「告げた」日
council評議会concilium=com(一緒に)+calare。呼び集められた会議
claim主張するclamare(叫ぶ)から
exclaim叫ぶex(外へ)+clamare
proclaim宣言するpro(前で)+clamare
declare宣言するdeclarare。はっきりさせる
clear澄んだ、明らかなclarus(明るい・はっきりした)から
clarify明確にする同じく clarus 系
nomenclature命名法nomen(名前)+calare。名前を呼ぶこと
ecclesiastic教会のギリシャ語 ekklesia=ek(外へ)+kalein(呼ぶ)

カレンダーの calendae は、神官が新月を見つけて「次の節目まであと何日」と声に出して告げた日のことです。借金の支払日でもあり、帳簿(calendarium)がそのままカレンダーになりました。

ecclesia のほうも、もとは「呼び出された人々の集まり」です。ローマの市民が兵として呼び集められて classis になったのと、まったく同じ発想で、ギリシャの市民は呼び出されて ekklesia になり、それが教会を指す語になりました。

class、council、ecclesia。この三つが同じ「呼ぶ」から出ているとすれば、人間が集団を作るときの最初の動作は、いつも声だった・・・ということになります。

おまけに、デザートのエクレア(éclair)もこの一族に入ります。フランス語で「稲妻」の意味で、clarus の「明るさ」側から来た語です。

派生語|class まわり

単語品詞意味発音
class名詞・動詞クラス、等級、分類するクラス /klæs/(英 /klɑːs/)
classify動詞分類するクラシファイ /ˈklæsɪfaɪ/
classification名詞分類、区分クラシフィケーション /ˌklæsɪfɪˈkeɪʃən/
classified形容詞分類された、機密のクラシファイド /ˈklæsɪfaɪd/
classic形容詞・名詞一流の、定番の、名作クラシック /ˈklæsɪk/
classical形容詞古典的な、クラシックのクラシカル /ˈklæsɪkəl/
classy形容詞品のある、しゃれたクラッシー /ˈklæsi/
classmate名詞同級生クラスメイト /ˈklæsmeɪt/
classroom名詞教室クラスルーム /ˈklæsruːm/
declassify動詞機密指定を解除するディクラシファイ /diːˈklæsɪfaɪ/

年代を見ると、分類する側の語は意外と新しいことが分かります。classification が1772年、classify が1782年。18世紀後半、博物学が生き物や鉱物を整理棚に並べ始めた時期と重なります。

classified は、二つの顔を持つ形容詞です。1828年に「分類された」として現れ、その100年以上あと、1941年のアメリカで「機密の」の意味が生まれました。文書を機密区分に「分類した」という言い方が、そのまま「機密の」になったわけです。

もう一つ、1913年に classified advertisements(分類広告)の短縮形として classifieds が定着します。新聞の求人欄や不動産欄のことで、TOEICの読解問題でもときどき顔を出します。

同じ classified が、文脈によって「極秘資料」にも「新聞の求人欄」にもなる。元をたどれば、どちらも「分けて並べた」だけです。

プログラミングの class|設計図と実例

JavaやPython、C++を少しでも触ったことがあれば、class という語を別の顔で見ているはずです。

この用法を決めたのは、1967年のノルウェー製プログラミング言語Simula 67でした。開発者のオーレ・ヨハン・ダールとクリステン・ニガードは、後年の回想で、新しい言語のために「class」と「object」という語を選んだと書いています。

発想は、ローマの等級表とそれほど離れていません。同じ性質を持つものをひとまとまりとして定義し、そこに属する個体を扱う。class が種類の定義で、その class から作られた一つひとつが instance(実例)です。

生物分類の「綱」も、オブジェクト指向の class も、ローマの市民区分も、やっていることは「共通する性質でまとめて、名前をつける」の一点です。2500年たっても、人間の整理の仕方はそれほど変わっていません。

TOEIC・英検での出題傾向

TOEICで class が出るのは、ほとんどが次の四つの文脈です。

  • 搭乗・出張・・・business class、economy class、first class、upgrade to business class
  • 研修・社内教育・・・take a class on safety procedures、a class in project management
  • 文書管理・・・classified documents、classify the files、declassify
  • 求人・広告・・・classified ads、place a classified advertisement

前置詞で迷いやすいのが「〜についての授業」です。a class on marketing と a class in marketing はどちらも使われますが、on のほうが「特定のテーマを扱う一回ないし一連の授業」、in は「その分野の授業」という感触になります。

もう一つ、ビジネス文書でよく見るのが world-class(世界水準の)と class action(集団訴訟)です。class action は、同じ立場に置かれた人たちを一つの class(まとまり)として扱い、まとめて訴える仕組みを指します。ローマの等級表の発想が、そのまま現代の法廷に残っている例です。

英検では、準2級あたりまでは classmate・classroom・classical music といった日常語が中心です。2級以上になると、長文の中で social class や classify が出てきます。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. I take an English class every Tuesday evening.
  2. We should classify these files before the audit begins.
  3. The report is classified, so I cannot send it to you.
  4. She always flies economy class, even on long trips.
  5. You belong in this class as much as anyone else here.
  6. Whales and bats belong to the same class of animals.
  7. The company placed a classified ad for a part-time driver.
  8. Losing with a smile takes real class.
  9. You do not need a title to show class.
  10. The class you take at forty can change the next twenty years.

語源メモ|classis から class へ

英語の class が記録に現れるのは1600年ごろ、「学生の集団」としてです。フランス語の classe(14世紀)を経由して入り、元はラテン語 classis。「等級・区分」「軍隊」「艦隊」を表す語でした。

ラテン語 classis が指したのは、特に、セルウィウス・トゥッリウスが課税のために市民を分けた区分です。そのさらに手前にあったとされるのが「武装して呼び集められたローマの人々」という意味で、英語でもこの意味は1650年代から記録されています。この原義に立てば、classis はラテン語 calare(告げる・呼び出す)の血縁ということになり、印欧祖語 *kele-(叫ぶ)までさかのぼります。

ただし、この系統については「伝統的にそう説明される」「再構された語根」という但し書きが付きます。calare とのつながりを確定事実として扱うのは避けておくのが正確です。本記事の call 一族の表も、その前提で読んでください。ローマの等級表が class の出発点であること自体は、動きません。

英語に入ってからの広がりは、本文の表のとおりです。学生の集団(1600年ごろ)から、講義(1650年代)、人の階層(1660年代)、生物の綱(1753年)、社会階級(1763年)、そして「高級さ」(1874年)へ。class-consciousness(階級意識、1903年)はドイツ語 Klassenbewusst の訳語として英語に入りました。

最後に、紛らわしい三つを分けておきます。

cluster(クラスター)は、古英語 clyster から来たゲルマン系の語で、class とは何の関係もありません。感染症の報道で耳になじんだ語ですが、「クラス」+何か、ではないのでご注意を。

clash(衝突する)は音をまねて作られた語、clasp(留め金)も由来不詳で、どちらも辞書の並びで class の隣にいるだけです。

もう一つ、council(評議会)と counsel(助言)は、英語の中で長く混同されてきた別語です。council は concilium(呼び集められた会議)で class の親戚筋、counsel は consilium(相談・助言)で別系統。スペルが一字違いなので、ここは意識して分けておくと得をします。

まとめ

class の意味の中心は、classis(呼び集められた一団・区分)です。ローマが市民を財産で並べて兵を割り当てた等級表が、この一語の出発点になりました。

  • classis(呼び集められた一団)・・・等級・軍隊・艦隊の三つの顔を持つラテン語
  • classici(第一等級の人)・・・ここから classic(第一級の、のちに古典の)が生まれる
  • 意味が増えた順・・・学生の集団(1600年ごろ)→講義→階層→生物の綱→社会階級→高級さ(1874年)
  • call(呼ぶ)の一族・・・calendar/council/claim/clear/nomenclature/ecclesiastic

ローマの等級表は、誰を前線に立たせるかを決めるための、冷たい表でした。それが2000年かけて、誰でも入っていける部屋の名前になった。学校のクラスも、研修のクラスも、同じ語です。

A class is a door you can walk through at any age.
(クラスとは、何歳からでもくぐれるドアのことだ)

class の語源ワードマップ。中心は class(=呼び集められた一団・区分)。語源・中心(classis=等級・軍隊・艦隊、classici=第一等級の人、infra classem)、意味の層(a class=授業・学年 / class=綱 / social class / high class)、派生語(classify / classification / classified / classic / classical / classy)、call(呼ぶ)一族(calendar / council / claim / clear / nomenclature / ecclesiastic)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心・・・classis(呼び集められた一団・区分)、classici、infra classem
  • 意味の層・・・学校のクラス/講義/生物の綱/社会階級/高級さ
  • 派生語・・・classify/classification/classified/classic/classical/classy
  • call(呼ぶ)の一族・・・calendar/council/claim/clear/declare/nomenclature/ecclesiastic

収録語彙リスト

class そのものは、NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のいずれにも収録されていません。理由は単純で、これらのリストが「基本語の次に覚えるべき語」を集めたものだからです。class は、その手前の段にいます。

実際、一般語彙の頻度リストであるNGSLでは、class は約28万語中362位。この順位帯は、英語の文章を読んでいればまず避けて通れない語のゾーンです。classic(1875位)、classical(2480位)も同じリストに収録されています。

そして派生語の classification は、NAWL(学術) と BSL(ビジネス) の両方に収録されています。論文でもビジネス文書でも頻出する一語です。出典:New General Service List Project

つまり class は、「リストに載っていないから後回し」ではなく、「載せるまでもなく前提」の側にある語です。そのぶん、意味の広がりを取りこぼしたまま通り過ぎやすい一語でもあります。

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翻訳練習の解答

  1. 私は毎週火曜の夜に英語の授業を受けています。
  2. 監査が始まる前に、これらのファイルを分類しておくべきです。
  3. その報告書は機密扱いなので、あなたに送ることはできません。
  4. 彼女は長旅でも、いつもエコノミークラスで飛びます。
  5. あなたはこのクラスにいていい。ここにいる他の誰とも同じように。
  6. クジラとコウモリは、同じ(哺乳類の)綱の動物に属します。
  7. その会社は、アルバイトの運転手を募集する求人広告を出した。
  8. 笑って負けられることには、本物の品格がいる。
  9. 肩書きがなくても、品格は示せます。
  10. 40歳で受ける授業が、そこから20年を変えることがあります。