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【語源で覚える】respond|レスポンスの「スポンス」は、誓いの言葉だった

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「レスポンスが早い」「即レスありがとう」・・・この言い方、もうすっかり日本語になっていますよね。スマホの反応がもたつけば「レスポンスが悪い」、サイトがスマホでもきれいに表示されれば「レスポンシブ」。

このレスポンスの中身をのぞくと、respond という動詞がいます。そして respond の後半、spond の正体が、ちょっと意外です。

意味は「誓う・約束する」。つまり respond は、もともと「軽く返事をする」ではなく、返ってきた言葉に、こちらも約束で応えるという、かなり重たい言葉でした。

そしてこの spond、実は sponsor(スポンサー)にも spouse(配偶者)にも入っています。広告のスポンサーと、結婚相手と、即レスの「レス」。この3つが同じ一語から出ている・・・そう聞くと、ちょっと覗いてみたくなりませんか。

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respond を分解してイメージで覚える|spond は「誓う」

respond をパーツで見ると、こうなります。

re(返して・元へ)+ spond(spondere=誓う・約束する)

合わせて「誓いを返す」。相手が何か言ってきた。それに対して、こちらも言葉で引き受けて返す。これが respond の意味の中心です。

日本語の「返事」より、少し腰の据わったイメージを持つと、使い分けがぐっとラクになります。何か言われて口を動かすのが reply なら、受け止めて、引き受けて、こちらの態度を返すのが respond です。

このイメージを持っておくと、この先に出てくる responsible(責任がある)が、なぜ「答える」と「責任」の両方の顔を持つのかも、説明なしで腑に落ちます。答える義務がある・・・それが責任、というわけです。

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respond の基本の意味と使い方

respond は「応答する・反応する」という意味の動詞です。ポイントは、後ろに to を取る自動詞だということ。respond something とは言いません。

  • respond to an email(メールに返信する)
  • respond to a question(質問に答える)
  • respond quickly(すばやく対応する)
  • respond well to treatment(治療によく反応する)

最後の例のように、人だけでなく体や機械にも使えます。「働きかけに対して、何かが返ってくる」という場面なら、だいたい respond の出番です。

名詞形は response。こちらも response to ~ の形でセットにして覚えておくと、書くときに迷いません。

respond・reply・answer・react の使い分け

近い4語ですが、重さと方向が違います。

単語感触使われる場面
answer問いに「答えを出す」質問・電話・ドアに答える
reply来たものに「返信する」メール・手紙・発言への返事
respond受け止めて「応じる」要請・状況・治療・市場への対応
react反射的に「反応する」感情的・瞬間的な反応

ビジネスで「ちゃんと対応する」と言いたいときは respond、メールの返信そのものは reply、と覚えておくと外しません。

respond と react の差も、知っておくと得です。react は押されたから動いた、という反射。respond は一拍おいて、引き受けたうえで返す。英語圏で「Don’t react, respond.」と言われるのは、この語源の差があるからです。

spond(誓う)でつながる単語ネットワーク

spond/spons が「誓う・約束する」だとわかると、見た目のバラバラな単語が一本の線でつながります。respond は、この一族の真ん中にいる語です。

単語意味語源のイメージ
response返答、反応誓いを返したもの
responsible責任がある答える義務を負っている
responsibility責任答える義務を負っている状態
respondent回答者、(訴訟の)相手方答えている人
correspond一致する、文通する互いに答え合う
sponsor保証人、出資者誓いを立てて引き受ける人
spouse配偶者誓いを交わした相手
despond気落ちする誓いを手放す=希望を手放す
riposte返し技、鋭い切り返し返答=フェンシングの反撃

spouse が入っているのが意外だと思います。でも結婚式でいちばん大事なのは、誓いの言葉ですよね。誓いを交わした相手だから spouse・・・そう考えると、むしろ一直線です。

despond も面白い一語です。de(手放して)+ spond(誓う)で、「もう約束しない」。引き受ける気力がなくなった状態が、気落ち・落胆です。形容詞の despondent(意気消沈した)で見かけます。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
respond動詞応答する、対応するリスポンド /rɪˈspɑːnd/
response名詞返答、反応リスポンス /rɪˈspɑːns/
responsive形容詞よく反応する、敏感なリスポンシブ /rɪˈspɑːnsɪv/
responsible形容詞責任がある、信頼できるリスポンシブル /rɪˈspɑːnsəbl/
responsibility名詞責任、職責リスポンシビリティ /rɪˌspɑːnsəˈbɪləti/
irresponsible形容詞無責任なイリスポンシブル /ˌɪrɪˈspɑːnsəbl/
respondent名詞回答者、(訴訟の)相手方リスポンデント /rɪˈspɑːndənt/
responder名詞応答する人(first responder=救急・消防などの初動対応者)リスポンダー /rɪˈspɑːndər/

※ respondent は TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)にも収録されている語です。アンケート調査の「回答者」として、ビジネス文書で頻繁に登場します。

TOEIC・英検での傾向

TOEIC では、この一族は出ないほうが珍しいくらいの常連です。

よく出るのは次の形です。

  • respond to ~(〜に対応する)・・・to の有無を問う語法問題の定番
  • in response to your inquiry(お問い合わせへの回答として)・・・メール文の決まり文句
  • be responsible for ~(〜を担当している)・・・求人広告・職務説明の鉄板
  • respondents(回答者)・・・アンケート結果を読むPart 7のグラフ問題

ひとつ実用的な区別を。be responsible for は「〜を担当している・〜の責任がある」、be responsible to は「〜(人)に対して報告義務がある」。求人票の “responsible to the sales manager” は「営業部長の下につく」という意味で、担当業務の話ではありません。ここを取り違えると、職務内容を読み違えます。

英検では準2級あたりから response が、2級〜準1級で responsibility・responsible が出てきます。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Please respond to this email by Friday.
  2. She responded with a warm smile.
  3. You don’t have to respond right away.
  4. The team responded quickly to the customer’s request.
  5. Your body responds to rest more honestly than you think.
  6. Thank you for your quick response.
  7. Most respondents said the training was helpful.
  8. He is responsible for the morning shift.
  9. A good leader responds instead of reacting.
  10. How you respond today quietly shapes tomorrow.

語源メモ|「誓う」は、もとは「お酒を注ぐ」こと

respond が英語に入ったのは1300年ごろ。アングロ・フランス語 respundre を経て、ラテン語 respondere(答える、お返しに約束する)から来ています。分ければ re-(返して)+ spondere(誓う)。今の respond という綴りと発音に落ち着いたのは1600年ごろです。

この spondere、さらにさかのぼると「くり返し献酒する」が原義だとされています。神様の前で酒を注ぎ、その場で言葉を交わす。それが「厳かに誓う」になりました。ギリシャ語の spendein(献酒する)、spondē(献酒)が同じ血筋です。誓いの言葉の背後に、酒を注ぐ儀式がある・・・そう知ると、spond の重さの出どころが見えてきます。

一族の年代を並べると、意味の育ち方がよくわかります。

  • response(1300年ごろ)・・・最初は「答え・返事」。礼拝で会衆が唱える応唱の意味は1650年代、感情や行動の「反応」という使い方は1815年から。response time は1958年と、ぐっと新しい層です。
  • respondent(1520年代)・・・訴訟や討論、調査で「答える側の人」。
  • responsible(1640年代)・・・「答える義務がある」。「信頼できる」という意味が加わるのは1690年代です。
  • responsibility(1787年)・・・一族の中ではいちばんの新顔。「責任」という抽象名詞は、意外にも18世紀末の言葉です。

法律の世界では、responsible と liable が区別されます。何か起きたときに答えなければならない立場が responsible、実際に起きてしまって負担を負うのが liable・・・という整理です(Century Dictionary)。

ついでに現代の一語を。responsive web design(画面サイズに応じて表示が変わるWebデザイン)は、2010年5月25日に Ethan Marcotte が「A List Apart」で提唱した言葉で、建築分野の responsive design から借りてきた命名です。画面に「応じる」デザイン・・・ここでも spond が働いています。

気をつけたい点を3つ。

ひとつめ。pond(池)や ponder(熟考する)は、綴りが似ているだけで respond とは無関係です。ponder はラテン語 pondus(重さ)から来ています。spontaneous(自発的な)も sponte 由来で、こちらも別系統です。

ふたつめ。日本語の「レス」は、「レスポンスの略ともいわれる」という扱いで、辞書では語源未詳とされています(デジタル大辞泉)。しかも英語圏では通じません。日本語の中だけで通用する略語だと覚えておくと安全です。

みっつめ。メールの件名につく「Re:」は response でも reply でもありません。メールの規格書(RFC 5322)が明記しているとおり、ラテン語の res(事・件)から来た「〜の件で」。respond とはまったく別の出自です。同じ返信の場面に並んでいるので、混同しやすいところです。

まとめ

respond は、re(返して)+ spond(誓う)で「誓いを返す」。軽い返事ではなく、受け止めて引き受けるのが、この語の芯にある感覚です。

  • re・・・返して、元へ
  • spond(spondere)・・・誓う、約束する。もとは「献酒する」
  • だから responsible は「答える義務がある」=責任がある
  • 同じ spond から sponsor(誓って引き受ける人)、spouse(誓いを交わした相手)、correspond(互いに答え合う)
respond の語源ワードマップ。中心は respond(=誓いを返す)で、re(返して)+spond(spondere=誓う)に分解。覚え方のヒント(レスポンス・即レス・レスポンシブの「レス」)、spond(誓う)一族(sponsor / spouse / correspond / despond / riposte)、respond から育った語(response / responsive / responsible / responsibility / respondent)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:re(返して)+ spond(誓う)=「誓いを返す」
  • 覚え方のヒント:レスポンス・即レス・レスポンシブの「レス」
  • respond から育った語:response/responsive/responsible/responsibility/respondent/irresponsible
  • spond(誓う)一族:sponsor/spouse/correspond/despond/riposte

誰かの言葉に応じるというのは、本来、小さな約束を返すことでした。即レスが偉いのではなく、引き受けたことをちゃんと返す人が、responsible な人です。

NGSL(New General Service List)収録語

この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。
出典:New General Service List Project

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翻訳練習の解答

  1. このメールには金曜までに返信してください。
  2. 彼女は温かい笑顔で応じた。
  3. すぐに返事をしなくて大丈夫です。
  4. チームは顧客の要望にすばやく対応した。
  5. 体は、あなたが思う以上に正直に休息に応えてくれる。
  6. 早いお返事をありがとうございます。
  7. 回答者の大半が、その研修は役に立ったと答えた。
  8. 彼は朝のシフトを担当している。
  9. よいリーダーは、反射的に反応するのではなく、受け止めて応じる。
  10. 今日どう応じるかが、静かに明日をつくっていく。