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【語源で覚える】diversification|ダイバーシティの仲間が「分散・多角化」になるわけ

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「ダイバーシティ」という言葉は、職場でも学校でもすっかりおなじみになりました。多様性、という意味ですね。

では diversification はどうでしょう。ニュースや投資の話で「分散」「多角化」と訳されている、少し長い単語です。実はこの2つ、同じ家族の言葉です。ダイバーシティを入り口にすると、長い綴りもすっと分解できます。

※ この記事は、姉妹編の biodiversity(生物多様性)と対になっています。biodiversity が bio(生命)の話なら、こちらは語尾の -ify(〜にする)と -ation(〜すること)の話です。

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diversification を分解してイメージで覚える|「〜にする」が加わると動き出す

diversification をパーツに分けると、こうなります。

di(離れて・別々に)+ vers(向きを変える)+ ify(〜にする)+ ation(〜すること)

前半の di+vers は、ダイバーシティと同じ部分です。「別々の方向を向いている」状態、つまり多様性ですね。

そこに -ify(〜にする)がつくと、状態が動作に変わります。一つの方向にそろっていたものを、わざと別々の向きへ回して、ばらけさせる。最後に -ation がついて、その動きが名詞になります。

  • diverse(多様な)・・・別々の向きを向いている
  • diversify(多様にする)・・・別々の向きへ向けていく
  • diversification(分散・多角化)・・・別々の向きへ向けていくこと

卵を一つのかごに盛らず、いくつかのかごに分けておく。diversification は、そんな「わざと散らす」動きを表す単語です。

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diversification の基本の意味と使い方

diversification は名詞で、おもに次の2つの場面で使われます。

  • 事業の多角化:会社が新しい商品や分野に手を広げること
  • 投資の分散:お金をいくつもの投資先に分けて、リスクを減らすこと

よく見る組み合わせはこちらです。

  • business diversification(事業の多角化)
  • portfolio diversification(ポートフォリオの分散)
  • diversification into 〜(〜の分野への進出)

ビジネスやお金の話だけではありません。スキルや収入源、毎日の過ごし方など、「一か所に偏らせず、幅を持たせる」場面ならどこでも使えます。

diversity・diversification・diversion の使い分け

形の似た3語を並べてみます。

単語意味ちがい
diversity多様性「いろいろある」という状態
diversification分散・多角化「いろいろにしていく」という動き
diversion気晴らし、迂回、転用divert(わきへそらす)の名詞形

diversity は「今そうなっている」、diversification は「そうしていく」。この違いを押さえておけば迷いません。

diversion は同じ di+vert ですが、「わきへそらす」から「気晴らし」「迂回路」の意味になりました。家族は同じでも、進んだ道が違う単語です。

-ify(〜にする)でつながる単語ネットワーク

この記事ならではの広がりが、-ify 一族です。形容詞や名詞に -ify をつけると「〜にする」という動詞になり、さらに -fication をつけると名詞になります。diversify → diversification と同じ流れで、まとめて覚えられます。

元の語動詞(〜にする)名詞(〜すること)
simple(単純な)simplify(単純にする)simplification(単純化)
clear(明らかな)clarify(明らかにする)clarification(説明・明確化)
just(正しい)justify(正当化する)justification(正当化・理由)
class(種類)classify(分類する)classification(分類)
identity(同一であること)identify(特定する)identification(身分証明・特定)
diverse(多様な)diversify(多様にする)diversification(分散・多角化)

「-ify が見えたら〜にする、-fication が見えたらそうすること」。このルールがわかると、長い単語も怖くなくなります。

vers(向きを変える)でつながる単語ネットワーク

もう一方の家族、vers/vert(向きを変える・回す)もおさらいしておきます。

単語意味イメージ
diverse多様な別々の向きを向いている
diversity多様性別々の向きを向いている状態
divertそらすわきへ向きを変える
convert変換するすっかり向きを変える
invert逆さにする内側へひっくり返す
reverse逆にする後ろへ向きを回す
version版向きを変えて作った別の形
universe宇宙1つにまとまって回るもの

派生語|diverse ファミリー

単語品詞意味発音
diverse形容詞多様な、さまざまなダイバース /daɪˈvɜːrs/
diversity名詞多様性ダイバーシティ /daɪˈvɜːrsəti/
diversify動詞多様にする、分散させる、多角化するダイバーシファイ /daɪˈvɜːrsɪfaɪ/
diversification名詞分散、多角化ダイバーシフィケーション /daɪˌvɜːrsɪfɪˈkeɪʃn/
diversified形容詞多角化した、分散されたダイバーシファイド /daɪˈvɜːrsɪfaɪd/

※ 頭は「ダイ」のほかに「ディ」と発音する人もいます。

TOEIC・英検での出題傾向

TOEIC では、会社の事業展開や投資を扱う記事や案内文で出会いやすい単語です。動詞の diversify(多角化する)とセットで覚えておくと、パート7の読解で役立ちます。

英検では、経済やビジネスを扱う上位級の長文で目にする語です。頻出語というより、知っていると文章の流れがつかみやすくなるタイプの単語です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Diversification helps the company grow steadily.
  2. The bank recommended diversification to reduce risk.
  3. The farm’s diversification into tourism worked well.
  4. The company’s diversification began with one small product.
  5. Diversification spreads risk across many baskets.
  6. Diversification of your skills can open new doors.
  7. Diversification of income sources gives you peace of mind.
  8. A little diversification in your daily routine can bring fresh ideas.
  9. Diversification is not about doing everything at once.
  10. Diversification starts when you turn toward something new.

語源メモ|divertere から diversificare へ

diversification の出発点は、ラテン語の divertere(別の方向へ向ける)です。dis-(わきへ・離れて)と vertere(回す・向きを変える)からできていて、dis- は後ろの音に合わせて di- に変わっています。

その過去分詞 diversus は「別々の方向へ向けられた」という意味で、のちに「さまざまな」という意味でも使われるようになりました。ここから diverse や diversity が生まれています。

さらに、中世ラテン語で「〜にする」を表す -ficare(facere=作る と同系)がついて diversificare(多様にする)ができました。これがフランス語の diversifier を経て、英語の diversify になります。

diversification は1600年ごろから使われてきた名詞です。最初は「形や性質を変えること」という一般的な意味でした。「事業を多角化する」という経済の意味が記録に現れるのは1939年で、そのあと「投資を分散する」という意味でも使われるようになりました。

まとめ

diversification は、di(離れて)+ vers(向きを変える)+ ify(〜にする)+ ation(〜すること)。ダイバーシティと同じ「別々の向き」に、「そうしていく」という動きが加わった単語です。

  • diversity・・・別々の向きを向いている状態(多様性)
  • diversify・・・別々の向きへ向けていく(多様にする)
  • diversification・・・別々の向きへ向けていくこと(分散・多角化)
  • -ify / -fication・・・simplify、clarify、classify などの一族へ

一つのかごにすべてを盛らずに、少しずつ向きを分けておく。そんな知恵が、この長い単語に詰まっています。

diversification の語源ワードマップ。中心は diversification(=別々の向きへ向けていくこと・分散・多角化)で、di(離れて)+vers(向きを変える)+ify(〜にする)+ation(〜すること)に分解しています。周りの4つのクラスタは、語源・中心、-ify(〜にする)系(diversify / simplify / clarify / justify / classify / identify)、vers(向きを変える)系(diverse / diversity / divert / convert / invert / reverse)、覚え方のヒント(ダイバーシティ→diversify→diversification)です。

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翻訳練習の解答

  1. 多角化のおかげで、その会社は着実に成長している。
  2. 銀行は、リスクを減らすために分散投資を勧めた。
  3. その農場は観光業にも手を広げ、うまくいった。
  4. その会社の多角化は、小さな商品ひとつから始まった。
  5. 分散すれば、リスクはいくつものかごに分かれる。
  6. スキルの幅を広げると、新しい扉が開くこともある。
  7. 収入源を分けておくと、気持ちに余裕が生まれる。
  8. 毎日の過ごし方に少し変化をつけると、新しいアイデアが生まれることがある。
  9. 手を広げるというのは、何もかも一度にやることではない。
  10. 手を広げる一歩は、新しい何かのほうへ向きを変えたときに始まる。

BSL(Business Service List)収録語

この単語は Business Service List(BSL) に収録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project