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【語源で覚える】charity|cherish も caress も、同じ「いとしい」から出ている

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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チャリティーコンサート、チャリティーバザー、チャリティーマッチ。「チャリティー」はもう、日本語として完全に定着しています。意味を聞かれたら「慈善」とすぐ出てくる方がほとんどでしょう。

ただ、ここで止まってしまうのがもったいないところで・・・charity の中心にあるのは、実は「慈善」ではありません。ラテン語の carus(いとしい、大切な)。誰かを「大事だ」と思う、あの気持ちです。

そしてこの carus は、charity だけで終わりません。cherish(大切にする・慈しむ)も、caress(そっと触れる)も、同じ家から出ています。知っているカタカナ語ひとつから、中級以上の単語へ道が通る・・・この記事は、その一本道をたどります。

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charity を分解してイメージで覚える

パーツで見ると、こうなります。

char(carus=いとしい・大切な)+ ity(〜であること)

つまり charity は、もともと「誰かを大切に思っている状態」。

そこから「困っている人を思いやる気持ち」になり、さらに「その気持ちを形にした行い」=慈善へ広がりました。日本語の「いとおしい」が「いとおしむ」になる流れと、ほとんど同じ道筋です。

おもしろいのは、ラテン語 caritas が「愛情・尊敬」と同時に「値段が高いこと」も意味していた点です。大切なものは、手放しがたい。手放しがたいものは、高い。この二つは、ラテン語の中では地続きでした。

同じ発想は英語にも残っています。dear は「親愛なる」であり、イギリス英語では「高い(値段が張る)」でもあります。大切さと値打ちが一本の線でつながっている・・・carus はまさにこの感覚の単語です。

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charity の基本の意味と使い方

charity は名詞で、大きく3つの顔を持ちます。

  • 慈善・慈善行為:give to charity(慈善に寄付する)
  • 慈善団体そのもの:She works for a charity.(彼女は慈善団体で働いている)
  • 寛容さ・好意的に見る心:judge others with charity(人を寛大に見る)

日本語の「チャリティー」は、どちらかというと催しもの寄りです。英語では a charity と数えられる形で組織そのものを指せるところが、大きな違いになります。イギリスの街角にある charity shop(慈善団体が運営する中古品店)も、この用法です。

  • The charity supports families after a disaster.(その団体は被災した家族を支援している)
  • All profits go to charity.(収益はすべて慈善に寄付される)
  • Thank you for your charity.(お心づかいに感謝します)

使い分け|charity・donation・philanthropy と、言葉の温度

意味が近い3語は、守備範囲が違います。

語守備範囲感じ
charity慈善の心・行い・団体気持ちと活動の両方を含む広い語
donation一回ごとの寄付そのもの行為・金額に焦点
philanthropy組織的・大規模な社会貢献財団や富裕層の活動を指すことが多い

もう一つ、実際に使うときに知っておきたいことがあります。charity には「施される側」の立場がにじむ場合がある、という点です。

I don’t want your charity.(情けはいらない)

この一文が成立するように、相手に向けて使うと「あなたは助けられる側だ」という含みが出ることがあります。相手の仕事や作品を支援するときは、support や donation のほうが角が立ちません。語源が「大切に思う気持ち」であるぶん、受け取る側の自尊心に触れやすい言葉でもあるわけです。

carus(いとしい)でつながる単語ネットワーク

ここからが、この記事の本題です。carus を知っていると、見た目のまったく違う単語がつながります。

単語意味イメージ
cherish大切にする、慈しむcarus=いとしい。心の中で大事に抱えておく
charitable慈善の、寛大なcharity の形容詞。人を好意的に見る
uncharitable手厳しい、思いやりのないun(〜でない)+charitable
caressそっと触れる、愛撫イタリア語 carezza(いとおしさの表現)から
caritas隣人愛(神学用語)ラテン語がそのまま英語に入った形

cherish は、結婚の誓いの言葉で耳にしたことがあるかもしれません。「to love and to cherish(愛し、慈しむ)」・・・1549年の英国国教会の祈祷書に載って以来、英語圏の結婚式で読み継がれてきた一節です。cherish は「愛する」より一段静かで、壊れないようにそっと持っている感じの語。cherish a memory(思い出を大切にする)のように、物でなくても使えます。

caress は、手のひらの動きそのものです。carus(いとしい)が動きになると、強く握るのではなく、そっと触れる形になる・・・語源を知ると、この単語の力加減が腑に落ちます。

さらに外へ出ると、イタリア語・スペイン語・ポルトガル語の caro(いとしい/高価な)、フランス語の chéri(e)(いとしい人)も同じ carus。古アイルランド語では cara が「友」を意味しました。ヨーロッパの広い範囲に、この一語が散らばっています。

似ているのに、別の家の単語たち

char- で始まる単語が全部仲間かというと、そうではありません。ここを整理しておくと、混同を防げます。

単語本当の出どころひとこと
charisma / charismaticギリシャ語 kharis(恵み・美しさ)「好ましく思う」意味は近いが、家系は別
Eucharisteu(よく)+ kharis聖餐。charisma の親戚
charge / car / cargo / chariotラテン語 carrus(二輪の荷車)もとはケルト語 karros。積む・運ぶの家
care古英語 caru(嘆き・心配)ゲルマン語系。carus とは無関係
cherryギリシャ語 kerasos(桜桃の木)綴りが近いだけの他人

とくに charisma は紛らわしい一語です。「人を惹きつける」という意味で charity と近いところにいるのに、出どころはギリシャ語 kharis。語源学者が立てている印欧祖語の語根も、carus 側が「好む・欲する」、kharis 側も「好む・欲する」・・・意味はほとんど同じなのに、別の根として再構されています。似た気持ちを表す言葉が、まったく違う系統から二つ生まれた、ということです。

ついでに cherry にも一言。これはもともと cherise という形で英語に入ったのですが、語尾の s が複数形だと勘違いされて削られ、cherry になりました(pea〈豆〉もまったく同じ経緯です)。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音語彙リスト
charity名詞慈善、慈善団体、寛容さチャリティ /ˈtʃærəti/NGSL
charitable形容詞慈善の、寛大なチャリタブル /ˈtʃærətəbl/TSL・BSL
charitably副詞寛大にチャリタブリー―
uncharitable形容詞思いやりのない、手厳しいアンチャリタブル―
cherish動詞大切にする、慈しむチェリッシュ /ˈtʃerɪʃ/―
cherished形容詞大切にされているチェリッシュト―
caress名詞・動詞そっと触れる、愛撫カレス /kəˈres/―

TOEIC・英検での出題傾向

charity 本体より、charitable のほうが試験では目立ちます(TSL・BSL の両方に収録されている語です)。

TOEIC では、社内メールや社告の形で charity event、charitable donation、charitable organization、charitable contributions といった組み合わせが出ます。Part 7 では「この催しの収益はどこへ行くか」を問う設問の答えが charity になる、という形がよくあるパターンです。

英検では準2級〜2級あたりで出会います。正直なところ、単語単体を問われるというより、長文の中で意味が取れれば十分な語です。むしろ cherish のほうが、2級〜準1級の読解で「知らないと止まる」場面が出てきます。charity を入り口に、cherish まで一緒に入れておくのが得策です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Small acts of charity can change someone’s whole day.
  2. She works for a charity that helps children learn to read.
  3. Your charity does not always have to be money.
  4. The charity concert raised more than anyone expected.
  5. He is charitable even when no one is watching.
  6. People remember your charity long after they forget your words.
  7. A charitable word costs nothing, and it can carry someone for years.
  8. They still cherish the charity that once helped their family.
  9. Try to be charitable when you judge yourself, too.
  10. Charity begins at home, but it does not have to end there.

語源メモ

charity は、古英語の終わりごろに「貧しい人への慈悲」「キリスト教的な愛の最も高い形」として現れます。古フランス語 charité(12世紀)を経由し、さかのぼるとラテン語 caritatem(主格 caritas)「高価であること、尊敬、愛情」、その元が carus(いとしい、価値がある)です。

印欧祖語の語根としては *ka-「好む・欲する」が立てられていますが、etymonline も「この語根から出たかもしれない」という推定の書き方をしています。再構された形である点は、押さえておいてください。

なぜ「愛」が「慈善」になったのか。鍵は聖書の翻訳にあります。ラテン語訳聖書(ヴルガータ)が、ギリシャ語の agape(神の愛・隣人愛)を caritas と訳しました。ラテン語 amor だと男女の愛の含みが出てしまうから、というのが etymonline の見立てです。

英語の欽定訳(1611年)も、パウロ書簡を中心とした26か所ほどで charity を使いました。コリント人への手紙一13章の「信仰、希望、そして charity。この中で最も大いなるものは charity」という一節が、その代表です。ただし1881年の改訂訳では、これらがすべて love に置き換えられました(OED)。現代の英語聖書で charity を見かけないのは、このためです。

意味の層を年代順に並べると、こうなります。

  • 古英語後期・・・貧しい人への慈悲/キリスト教的な愛
  • 1300年ごろ・・・人が互いに抱くべき愛情/親切な行い・施し
  • 15世紀後半・・・人の行いを好意的に判断すること
  • 1690年代・・・慈善団体・慈善財団

形容詞 charitable は1200年ごろ、まずキリスト教の徳として登場し、「貧しい人に寛大な」が1400年ごろ、「他人の動機を善意に受け取る」が1620年代です。be charitable to someone’s motives(相手の動機を好意的に解釈する)という現代の用法は、この最後の層にあたります。

cherish は14世紀初めに「いとしいものとして扱う」として英語に入りました。古フランス語 chierir(現代フランス語 chérir)、その元が chier「いとしい」、さらに carus です。「心の中で育てる・抱き続ける」の意味は14世紀後半から。結婚の誓いの「to love and to cherish」は、1549年の祈祷書(トマス・クランマー編、中世のソールズベリー儀式書がもと)に収められた表現です。

caress は17世紀に入ってきた新参で、名詞「愛情の表現」が1640年代、「優しくなでること」が1650年代。イタリア語 carezza(いとおしさの表現)、その元が caro です。

charisma は別の家です。1875年に「神から授けられた賜物」としてギリシャ語 kharisma から入り、「指導者としての資質」の意味は1930年ごろ、社会学者マックス・ウェーバーのドイツ語の用法(1922年『経済と社会』)を経由して広まりました。「個人的な魅力」という今いちばん身近な意味は、1959年とかなり新しい層です。Eucharist(聖餐)も eu(よく)+ kharis で、こちら側の家族になります。

最後にことわざを一つ。Charity begins at home.(慈愛はまず家庭から)が今の形で印刷物に現れたのは、1642年、医師トマス・ブラウンの『医師の信仰(Religio Medici)』です。考え方自体はもっと古く、14世紀末のウィクリフにさかのぼるとされます。なお、ブラウンの原文は続きがあり、「とはいえ人は自分自身の最大の敵である」と、むしろ皮肉として書かれていました。今の使われ方とは、少し温度が違います。

ちなみに英語圏の女性名 Charity は、Faith(信仰)・Hope(希望)と並ぶ名前で、ピューリタンが使い始めたとされます。カトリック系の国際援助団体 Caritas も、ラテン語がそのまま名前になった例です。

まとめ

charity は、char(carus=いとしい・大切な)+ ity で「誰かを大切に思う気持ち」。そこから慈善、慈善団体、寛容さへと意味が広がりました。

  • carus(いとしい)・・・意味の中心。大切に思う、値打ちがある
  • cherish・・・静かに大事に持ち続ける。思い出にも使える
  • caress・・・いとおしさが手の動きになったもの
  • charisma は別の家・・・ギリシャ語 kharis。意味は近いが血縁はない

「チャリティー」を知っているなら、あなたはもう cherish と caress の入り口に立っています。あと一歩です。

charity の語源ワードマップ。中心は charity(=誰かを大切に思う気持ち)で、char(carus=いとしい・大切な)+ity に分解。語源・中心(ラテン語 caritas=愛情/高価であること)、carus 一族(cherish / caress / charitable / uncharitable / caritas / caro・chéri)、似ているが別語源のグループ(charisma・Eucharist / charge・car・cargo / care / cherry)、覚え方のヒント(dear の二重の意味、a charity=慈善団体)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:char(carus=いとしい・大切な)+ ity =「誰かを大切に思う気持ち」
  • 覚え方のヒント:大切に思う → 手放しがたい → 値打ちがある(dear と同じ発想)
  • carus 一族:cherish/charitable/uncharitable/caress/caritas/caro・chéri
  • 似て非なる家:charisma・Eucharist(kharis)/charge・car・cargo(carrus)/care/cherry

NGSL(New General Service List)収録語

この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。
出典:New General Service List Project

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翻訳練習の解答

  1. 小さな思いやりが、誰かの一日をまるごと変えることがある。
  2. 彼女は、子どもたちが文字を読めるよう支援する慈善団体で働いている。
  3. あなたの思いやりは、いつもお金である必要はない。
  4. そのチャリティーコンサートは、誰もが思っていた以上の資金を集めた。
  5. 彼は、誰も見ていないときでも人に寛大だ。
  6. 人はあなたの言葉を忘れたあとも、あなたの思いやりを覚えている。
  7. 思いやりのある一言はお金がかからない。それでいて、何年も誰かを支えることがある。
  8. 彼らは、かつて家族を助けてくれたあの支援を、今も大切に思っている。
  9. 自分を裁くときも、どうか寛大でいてほしい。
  10. 慈愛はまず家庭から。でも、そこで終わる必要はない。