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【語源で覚える】occur|二重の c に隠れた「走る」。出来事は向こうから走ってくる

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「それ、よくあることだよ」の「起こる」を英語で言うとき、happen のほかにもう一つ、必ず出てくる単語があります。occur。

TOEIC の案内文、ニュース、理科系の説明文・・・あらゆる場所で顔を出すのに、なぜか意味がぼんやりしたまま通り過ぎてしまう。そんな単語ではないでしょうか。

つづりを見てください。oc-cur。真ん中で割ると、後ろに cur がいます。パソコンの「カーソル(cursor)」と同じ、「走る」の cur です。

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そして頭の oc は、もとは ob(〜に向かって)。つまり occur は「こちらに向かって走ってくる」。出来事は、自分が起こすのではなく、向こうから走ってきて目の前にぶつかる・・・そう捉えると、occur の使い方のクセまで、まるごと腑に落ちます。

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occur を分解してイメージで覚える|二重の c に隠れた「走る」

occur をパーツで見ると、こうなります。

oc(ob=〜に向かって)+ cur(走る)

合わせて「向かって走る」。目の前に走ってきて、出くわす。それが occur の意味の中心です。

だから occur は、もともと「出会う」でした。道の向こうから誰かが走ってくる。思いがけず、ばったり会う。その「思いがけなさ」が残ったまま、「現れる」→「起こる」へと意味が育っていきました。

手がかりをひとつ。c が2つ並んでいるのは、ob の b が c に飲み込まれた跡です。ob + currere が言いにくいので、b が c に寄せられて occurrere になった。つづりの cc は、その化石だと思ってください。覚えにくい二重字が、意味のヒントに変わります。

「oc/ob が付いていたら、たぶん”〜に向かって”の話」・・・そう見えるようになると、初めて出会う単語でも見当がつくようになります。

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occur の基本の意味と使い方

occur は「起こる」「生じる」「(考えが)浮かぶ」を表す自動詞です。

  • The accident occurred at night.(その事故は夜に起きた)
  • Changes occur slowly.(変化はゆっくり起こる)
  • It occurred to me that she was right.(彼女が正しいと、ふと思い当たった)

ここで一番大事なのが、occur は目的語を取らないという点。「〜を起こす」とは言えません。

  • ✕ He occurred a problem.
  • ✕ The accident was occurred.(受け身にしない)
  • ○ A problem occurred.

理由は語源そのものです。occur は「向こうから走ってくる」。主語は走ってくる側であって、誰かが走らせるわけではない。だから他動詞にも受け身にもならない・・・この一本道を押さえておけば、文法問題でも迷いません。

もう一つ、It occurs to 人 that 〜 の形(〜という考えが人の頭に浮かぶ)。これも「考えが向こうから走ってきて、自分にぶつかる」と考えると自然です。アイデアは、ひねり出すより、向こうからやってくる。そんな実感に近い表現です。

使い分け|occur / happen / take place

語ニュアンス例
occurややかたい。書き言葉・ニュース・説明文向き。予期しない出来事にも使うErrors rarely occur.
happenいちばん日常的。会話の標準What happened?
take place予定されていたことが「行われる」The ceremony will take place at ten.

ざっくり言えば、occur は happen のフォーマル版。そして take place は「予定通り開催される」ニュアンスなので、事故や問題には使いません。TOEIC の Part 5 では、この3つの入れ替えがそのまま問われます。

ob(〜に向かって)でつながる単語ネットワーク

occur の頭にいる ob(〜に向かって・〜に対して)を知っておくと、見た目がバラバラな単語が一気に整理できます。occur ならではの広がりは、こちら側です。

単語意味イメージ
object物体、対象、反対するob(向かって)+ject(投げる)=目の前に投げ出されたもの
obvious明らかなob(向かって)+via(道)=道の真ん中にある=見逃しようがない
obstacle障害物ob(向かって)+sta(立つ)=行く手に立ちはだかるもの
oppose反対するob(向かって)+pose(置く)=向かい合わせに置く
offer差し出す、申し出るob(向かって)+fer(運ぶ)=相手の方へ運んでいく
occupy占める、占領するob(向かって)+cup(つかむ)=つかみ取る
obstructふさぐ、妨害するob(向かって)+struct(積む)=前に積み上げる

気づきましたか。ob は、後ろに来る音に合わせて姿を変えます。c の前では oc(occur, occupy)、f の前では of(offer)、p の前では op(oppose)。見た目が違っても、全部同じ ob です。これが見えると、つづりの「なぜ二重字?」がいちいち納得に変わります。

そして「向かって」は、文脈によって2方向に伸びます。好意的に向かえば offer(差し出す)、敵対的に向かえば oppose(反対する)・obstacle(立ちはだかる)。occur は、そのどちらでもない「ただ、やってくる」。出来事は善意でも悪意でもなく、向こうからやってくるだけ・・・そんな中立さが occur にはあります。

cur(走る)でつながる単語ネットワーク

もう一方の家族、**cur(走る/ラテン語 currere)**も押さえておきましょう。occur の後半はこちらです。

単語意味イメージ
current流れ、電流、現在の走って流れているもの・今まさに進んでいること
course進路、講座走っていく道筋
recur再発する、繰り返すre(再び)+走る=もう一度走ってくる
concur同意する、同時に起こるcon(ともに)+走る=一緒に走って同じ所に着く
incur(損失などを)招くin(中へ)+走る=自分から走り込んで引き受ける
excursion遠足、小旅行ex(外へ)+走る=外へ繰り出す
precursor先駆者、前兆pre(前に)+走る人=先に走る者

とくに recur(もう一度走ってくる) と concur(一緒に走る) は、occur と並べると方向の違いがくっきりします。occur は「こちらへ」、recur は「また」、concur は「ともに」、incur は「中へ」。前の部品が変わるだけで、走る向きが変わる・・・ラテン語の組み立て方が、いちばん見やすいのがこの一族です。

※ cur(走る)一族のくわしい広がりと、car(車)との意外な親戚関係は、cursor の記事でまとめています。

※ もう一つ注意点。accuracy・cure の cur は、こちらとは別語源(ラテン語 cura=手をかける)です。つづりが同じでも家系が違うので、混ぜないようにしておくと安心です。

派生語|occur まわり

単語品詞意味発音
occur動詞起こる、生じる、思い浮かぶアカー /əˈkɜːr/
occurrence名詞出来事、発生、起こることアカーレンス /əˈkɜːrəns/
occurred動詞(過去・過去分詞)起こったアカード /əˈkɜːrd/
occurring動詞(ing形)起こっているアカーリング /əˈkɜːrɪŋ/
recur動詞再発する、繰り返されるリカー /rɪˈkɜːr/
recurrence名詞再発、再来リカーレンス /rɪˈkɜːrəns/

綴りの注意:occur は r を2つ重ねて occurred / occurring / occurrence となります(アクセントが後ろにあるため)。英語ネイティブでもよく間違えるのが occurance。正しくは occurrence・・・r が2つ、最後は -ence です。ここだけ目に焼き付けておくと、ライティングで損をしません。

TOEIC・英検での出題傾向

occur は、TOEIC・英検ともに押さえておきたい頻出語です。

TOEIC では、Part 5 の品詞・語法問題で happen / take place / occur の使い分けがそのまま問われます。とくに「occur を受け身にできるか」は定番の引っかけ。Part 7 では、故障・遅延・エラーの案内文に if a problem occurs、errors may occur の形で頻出します。occurrence も a rare occurrence(まれな出来事)の形で見かけます。

英検では準2級〜2級あたりから登場し、準1級以上では長文の説明文でごく普通に出てきます。理科系・社会系の読解文と相性がよい単語です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Good ideas often occur when you stop trying so hard.
  2. The next meeting will occur online on Friday.
  3. It never occurred to me that you felt the same way.
  4. Change occurs slowly, but it does occur.
  5. If a problem occurs, tell someone early.
  6. A chance may occur when you least expect it.
  7. Did it ever occur to you that you are already doing fine?
  8. Small wins occur more often than we notice.
  9. Mistakes occur, and then we learn something new.
  10. Whatever occurs today, you can begin again tomorrow.

語源メモ|occurrere(向かって走る)から生まれた言葉

occur は、ラテン語 occurrere(出迎えに走る、ぶつかる、降りかかる、姿を現す) に由来します。構成は ob(〜に向かって・〜に対して)+ currere(走る)。さらに currere をさかのぼると、インド・ヨーロッパ祖語の *kers-〈走る〉 に行き着きます。

英語に入ったのは1520年代。最初の意味は「出会う」「議論でぶつかる」でした。そこから「姿を現す」→「出来事として現れる」→「起こる」へ。「人の頭に浮かぶ」の意味が加わったのは1620年代です。「向こうから走ってくる」という原義が、人にも出来事にも考えにも応用されていったわけですね。

名詞の occurrence は1530年代、中世ラテン語 occurrentia 経由で英語へ。「予定も期待もしていなかったのに起きたこと」という成り立ちで、occur の「思いがけなさ」をそのまま受け継いでいます。

つづりの cc について補足しておきます。ラテン語の接頭辞 ob- は、直後の子音に引きずられて形を変える性質があります(同化)。c の前では oc-、f の前では of-、p の前では op-。だから ob+currere は occurrere、ob+ferre は offerre、ob+ponere は opponere。英語の occur・offer・oppose の二重字は、すべてこの名残です。

なお、accuracy や cure の cur は別系統(ラテン語 cura=手をかける・世話をする)。つづりが重なっていても語源は無関係なので、そこだけ分けて覚えておくと、人に説明するときに迷いません。

まとめ

occur は、oc(ob=〜に向かって)+ cur(走る)で「こちらに向かって走ってくる」=起こる、生じる。

  • ob(〜に向かって)・・・object/obvious/obstacle/oppose/offer/occupy などの一族へ
  • cur(currere=走る)・・・current/course/recur/concur/incur/precursor などの一族へ
  • occur は、その2つが出会う場所に立つ単語
  • 「向こうから走ってくる」ので、受け身にしない・目的語を取らない

出来事は、自分で起こすものばかりではありません。向こうから走ってきて、ふいにぶつかる。occur という単語は、そのことを形のまま教えてくれます。そして It occurred to me ・・・いい考えもまた、力づくでひねり出すより、ふっと向こうからやってくるものなのかもしれません。

occur の語源ワードマップ。中心は occur(=向かって走ってくる→起こる)で、oc(ob=〜に向かって)+cur(走る)に分解。覚え方のヒント(二重のcはobのbが同化した跡、受け身にしない)、ob(向かって)系(object/obvious/obstacle/oppose/offer/occupy)、cur(走る)系(current/course/recur/concur/incur/precursor)の4クラスターに整理した図。
  • 語源・中心:oc(ob=〜に向かって)+ cur(走る)=「向かって走ってくる」=起こる
  • 覚え方のヒント:二重の c は ob の b が溶けた跡/出来事は向こうから走ってくる=受け身にしない
  • ob(〜に向かって)一族:object/obvious/obstacle/oppose/offer/occupy/obstruct
  • cur(走る)一族:current/course/recur/concur/incur/excursion/precursor

関連記事(内部リンク)

翻訳練習の解答

  1. いいアイデアは、力を抜いたときにこそ浮かぶことが多い。
  2. 次の会議は、金曜日にオンラインで行われます。
  3. あなたが同じ気持ちだったなんて、思いもしませんでした。
  4. 変化はゆっくり起こる。けれど、ちゃんと起こっている。
  5. 問題が起きたら、早めに誰かに伝えよう。
  6. チャンスは、思ってもみないときにやってくるものだ。
  7. あなたはもう十分やれている・・・そう考えてみたことはありますか。
  8. 小さな成功は、気づいているより頻繁に起きている。
  9. 失敗は起こる。そのたびに、何か新しいことを学んでいく。
  10. 今日何が起きたとしても、明日また始めればいい。

集録語彙リスト

派生語のoccurenceは NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。

NAWL(New Academic Word List)集録語

この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project

TSL(TOEIC Service List)集録語

この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project

BSL(Business Service List)集録語

この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project