親や家族が亡くなったとき、火葬までに時間が空くことがあります。
私の場合、父が亡くなったのが真夏で、火葬場の予約が取れず、「エンバーミング処置をしますか?」と葬儀社から提案されました。
正直、初めて聞いた言葉でした。
この記事では、私自身の体験と国内外の専門情報をもとに、エンバーミングの意味・効果・費用・必要性についてわかりやすく解説します。
エンバーミングとは?
Q. エンバーミングとは何ですか?
A. 遺体を衛生的かつ美しい状態で一時的に保存する処置のことです。
- 英語では「Embalming(防腐処置)」
- 専門技術者(エンバーマー)が担当
- 主に以下の目的があります:
✅ 目的と効果
- 腐敗の進行を防ぐ
- 感染リスクを軽減(消毒処置あり)
- 血色・顔色を整え、穏やかな表情に整える
- 火葬までの日数が空く場合に適用されやすい
海外(特に米国)では標準的に行われています。
日本では「日本遺体衛生保全協会(IFSA)」によって技術者が管理され、全国で年間約2万件が実施されています(IFSA調べ, 2023年)。
私の体験:父にエンバーミングを施してもらった理由

2024年、父が他界したのは真夏でした。
火葬場の予約が混雑しており、5日後になってしまいました。
葬儀社からは「この時期はお体が傷む可能性があるので、エンバーミングをおすすめします」と説明がありました。
私が決断した理由:
- 顔の変色や腐敗臭の心配があった
- 家族が面会に来るまで少し時間がかかることがわかっていた
- 最後の姿を、なるべく穏やかな顔で見送ってほしいと思った
結果的に、父はとても自然な表情で安らかに眠っているようでした。
私はこの処置をお願いしてよかったと心から感じています。
どんな流れで行われるの?
一般的なエンバーミングの流れ(日本IFSA基準)
- 専門施設に搬送(自宅または安置所)
- 消毒処置と体液の排出
- 防腐液を血管から注入
- 表情の整形と着替え・化粧などの整容処置
- 遺族に引き渡し(所要時間:約3〜6時間)
※ ご遺体は冷却不要な状態で最大7日程度安置可能です。
費用はどれくらいかかる?
- 一般的には 10万円〜20万円程度(地域・業者により異なる)
- プランによっては化粧処置・着替え込みのパッケージもあり
- 葬儀費用とは別請求されるケースが多い
海外(アメリカ)では保険でカバーされる場合もありますが、日本では自費です(NFDA, 2022年)。
どんなときに必要?
エンバーミングを考えたほうがいいケース
- 火葬まで4日以上空くとき
- 気温が高い季節(夏場)
- 遠方から親族が集まるまで時間がかかるとき
- 子どもに安らかな顔を見せたいとき
- 自宅での安置を希望する場合
よくある質問(FAQ)
Q. エンバーミングをしても遺体は火葬できますか?
A. はい。通常どおり火葬可能です。
Q. 痛々しい処置ではありませんか?
A. 血管処置などはありますが、見た目には非常に自然です。顔色が整えられ、穏やかな表情になることが多いです。
Q. 冷却と何が違うのですか?
A. 冷却は「一時的な保管」、エンバーミングは「処置」です。温度に頼らず腐敗を防ぎ、面会や安置がしやすくなります。
結論:家族にとって大切な「選択肢」の一つ
エンバーミングは決して「必須」ではありません。
ですが、悲しみの中で最期の別れに向き合うご遺族にとって、「安らかな顔で見送れること」には大きな意味があると私は感じました。
今は必要がないと思っていても、将来の選択肢の一つとして知っておくだけでも心の準備になります。