はじめに:大切な存在との別れに直面したとき、あなたは
大切な人を失う経験は、人生の中で最もつらい出来事のひとつです。
私は、2023年に22歳の娘を、2024年に91歳の父を見送りました。
このページでは、私自身の体験をもとに「心の整理」「必要な手続き」「再出発の知恵」についてまとめました。
Q. あなたは今、どの段階にいますか?
・現実を受け入れられない
・何をしていいかわからない
・社会に戻るのが怖い
…どの段階でも、ここに答えがあります。
別れの直後
現実感がないのは正常な反応です
- 実感がわかない・涙が出ないのは「心の防衛反応」
- 無理に悲しもうとしない
- 感情を感じる準備ができるまで、ただ「待つ」ことも大切
しておくべき初期対応
- 死亡診断書の受け取り(施設・病院で対応)
- 葬儀業者の手配(24時間以内が望ましい)
- 家族や親族への連絡
- エンバーミングなどの処置判断(夏場や日数の間が空く場合に検討)
※私は父を真夏に看取った際、火葬場の混雑により5日後の火葬となりました。
「エンバーミング」の提案を受け、結果的には良かったと感じています。
エンバーミングについて 詳細はこちら
👉 エンバーミングとは何か?遺体の保存処置としての意味と費用・必要性について
悲しみと向き合うための心のケア

グリーフとは?海外の定義と最新知見
- グリーフ(Grief)=大切な存在を失ったことによる心理的反応(落ち込み、後悔、自責の念、怒り、さまざまな体調不良、後追い)
- 米国心理学会(APA, 2023)では「プロセスであり、病気ではない」と定義
[出典: American Psychological Association, 2023年10月版]
ネットで推奨されるセルフケア
ネットではいろいろなセルフケアが紹介されています。私も試してみました。
- 日記に思いを書き出す(感情を外在化)
自分の気持ちを書き綴ることは、本当につらかったです。涙が止まらず「なんでこんなことをしているんだろう」と毎日思っていました。
それでも、日記を書き始めてしばらくしてから、アメブロに日記の内容を公開しました。多くの人たちが「いいね」を付けてくれたり、コメントなどで同じ思いをしていることを知らせてくれました。 - 信頼できる人にだけ、少し話してみる
なかなか出会えないものです。お住いの地域にグリーフケアの集まりがあれば、そこに参加するのもよいとされています。ただし、私と同じ境遇の方からは「参加したけれど何も変わらなかった」とおっしゃっていました。 - 涙を止めない。「泣いていい時間」を許可する
黙っていても涙は出てきます。止める努力はしていません。 - 生活リズムを極力崩さず、散歩や簡単な家事を継続する
これはまったくできませんでした。うつ状態のため食事を取る気力すらなく、ましてや買い出しに行くことすらできない日々が長く続きました。
Q. あなたは最近、誰かに気持ちを話せましたか?
コメント欄でも、あなたの声を待っています。
死別後に必要な実務的手続きと注意点
主な手続き一覧
手続き | 概要 | 期限・備考 |
---|---|---|
死亡届の提出 | 市区町村へ提出 | 通常7日以内 |
年金の停止 | 年金事務所へ予約 | 早期が望ましい |
銀行口座の凍結・クレジットカードの停止 | 各銀行に連絡 | 引き落とし停止確認後に推奨 |
保険・相続手続き | 保険会社・法務局 | 専門家相談も検討 |
遺品整理 | 業者依頼も視野に | 感情的負担が大きいため注意 |
実体験からの注意点
- 死亡届は葬儀社がしてくれました。葬儀後に行う手続き一覧は、葬儀社が用意してくれました。
- 年金の停止はまず最初にすべきことです。これだけしておけば他のことは後回しでも大丈夫な場合が多いです。
- 年金事務所での年金停止手続きには予約が必要です。ただ、手続きそのものは非常に簡単ですぐ終わります。
- 銀行凍結は焦らず。生活資金・引き落としの確認を優先(経験上一か月程度は凍結しない方がよいと思いました)。残された母の生活費や葬儀代金の支払いなどがあります。私の母は、いざという時のために、一定額を自分の通帳に移していました。
- 銀行口座の凍結解除は、遺産相続人代表者が行います。遺産相続人一覧という書類がありますので、その筆頭者が銀行等に出向き、書類を作成して返送することになります。
- 「エンバーミング」の費用は約15〜20万円。安易な提案には要注意
- 遺品整理は本当につらいものです。私は娘を見送って2年半近くになりますが、まだ整理をする気になれません。大切にしまっておいて、気持ちの整理ができてからでもよいと思います。
大切な存在のかたち別に考える「別れの知恵」
親との別れ
- 長寿の別れは「準備ができていた」と言われがちだが、喪失感は深い方も多いようです。特に、母子家庭や父子家庭で二人きりの生活が長く続いた方の悲しみは深いようです。
- 親との関係が良好だった場合、喪失感はより深くなるでしょう。
子どもとの別れ
- 本当の意味でこの苦しさを理解してくれるのは、同じ経験をした方だけだと思います。
私はアメブロで自分の気持ちを吐き出し、それを読んでくださる方がたくさんいてくれて助けられました。 - 社会的支援が非常に少ない
大切な人を亡くしたつらい気持ちは、心療内科や精神科の治療ではよくならないことが多いようです。人によっては、薬を処方してもらってだいぶ楽になったとおっしゃる方もいました。 - 「時間では癒えない」悲しみと向き合い続ける必要あり
時間はつらい気持ちを楽にしてくれることはありません。震災等で家族を亡くした方が、その後十年以上もつらい気持ちと向き合っておられる姿を見てそう思いました。私の主治医もそう申しております。 - 同じ経験を持つ人とだけ話せる場が必要(例:遺族の会)
参加するまでには、かなりの心の整理が必要かもしれません。「話すことで気持ちが少し楽になる」という意見がありますが、私は話すたびにつらくなったので話すことをやめました。X(旧Twitter)で気持ちを吐き出す方は少なくありません。
ペットとの別れ
- 心の空洞感が人と同じレベルで生じる
- 自治体の火葬/民間の個別火葬/メモリアルグッズなど、選択肢は多様
ペットの存在に励まされる方は多いと思います。動物の寿命は短い場合が多いため、一度ペットロスを経験すると「もうペットは飼わない」と決意するほどつらい思いを抱えることがあります。
家族同様の存在であったとすれば、ペットを失うことのつらさは、家族を失うのと同じくらいつらいものだと思います。
「社会との再接続」のためのヒント
周囲の言葉に傷ついたとき
- 「もう落ち着いた?」「思ったより元気そうですね」という言葉がつらい時もある
不自然な笑顔を作っているだけで、落ち着くことや元気になることはありません。過去の知り合いとの関係は今でも絶ったままです。 - 自分を守る言葉:「話せるようになったら話すね」で距離を保つ
私はある時から、信用できる人以外には、娘のことは話さなくなりました。買い物で知り合いに会ってしまうことがあります。「おかげさまで元気です」と答えることにしました。
少しずつ再出発するために
これもネットで調べました。
- 無理に元気になろうとしない
愛想笑いも世間話もしばらくは避けましょう。つらい気持ちをかかえたままで人と会うと、心が余計すり減ります。 - 好きだった音楽を聴く
聞く気になりません。ただ、静かなクラッシックの音楽やヒーリングミュージックは流しっぱなしにすることがあります。ビートの強い音楽は気持ちを疲れさせます。 - 故人と「今もつながっている」と思える習慣を持つ(写真に話しかける 等)
私の母はそうしていました。「話しかけているとつらい気持ちが少し楽になる」と申します。私の場合は無理でした。母は親戚や兄弟姉妹を何度も見送って来ましたから、そういうことができるのかもしれないと思っています。 - 人生を楽しんではいけないと自分を責めない
「生きていれば、つらいこともあるけど、楽しいこともあったのに・・・」と後悔の気持ちが生まれます。ですから、自分が楽しい思いをする気持ちにはなかなかなれないものです。おいしいものを食べては自分を責め、楽しめそうな場所に行っては自分を責める。そういうことが長く続きます。
Q&A:よくある質問
Q. 数ヶ月経っても悲しみが消えません。異常ですか?
A. 異常ではありません。悲しみの回復は人によって年単位かかることもあります。
Q. 涙が出ない自分は冷たいのでしょうか?
A. いいえ。それは「まだ心が現実を受け止められていない」状態です。ごく自然な反応です。
Q. グリーフケアはどこで受けられますか?
A. 心療内科/自治体の無料相談/NPO団体など。地域の遺族会も選択肢に。
まとめ|別れの先にも「あなた自身の時間」がある
- 大切な存在との別れは、人生を一変させます
- でも、あなたが歩む道は、また誰かの光になることもあるかもしれません。それがいつになるのかは誰にもわからないでしょうけれど。
- 私の経験が、少しでもその歩みに寄り添えたら幸いです
あなたの声も、誰かの救いになります。
よければコメントであなたの気持ちを教えてください。