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【語源で覚える】common|コモンスペースの「コモン」が、community の正体

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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シェアハウスやマンションのパンフレットで、「コモンスペース」 という言葉を見たことはありませんか。住人がみんなで使える共用のラウンジやキッチンのことです。

この「コモン」が common。意味はそのまま「共有の」です。

そして、ここからが面白いところ。コモンスペースに人が集まって、顔なじみになって、ゆるい関係ができていく・・・その集まりを英語で何と呼ぶか。community(コミュニティ) です。

common と community。カタカナで並べると別物に見えますが、実は community は common に接尾辞がついただけの、まっすぐな親子関係にあります。

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common を分解してイメージで覚える

common の語源は、ラテン語 communis。分けるとこうなります。

com(共に)+ munis(務めを分け持つ)= みんなで共有している

そして community は、この communis に「〜である状態」を表す接尾辞 -itas(英語の -ity) がついた形です。

communis(共通の)+ -ity(〜である状態)= 共通であることの状態 = 共同体

覚え方の手がかりは、真ん中に置かれた「共有のもの」が common、それを囲んでいる人たちが community、という一枚の絵です。

コモンスペースという共有の場(common)があるから、そこに集う人の輪(community)が生まれる。この順番で覚えると、両方の意味が同時に入ってきます。

ちなみに綴りは common と community で o と u が一文字違いますが、これはラテン語の communis(u)が英語に入る途中で o に変わったためです。意味のつながりは、綴りのズレよりずっと強く残っています。

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common の基本の意味と使い方

common には、大きく2つの顔があります。

①「共有の、共通の」

  • We have a lot in common.(私たちには共通点が多い)
  • common ground(共通の土台、共通認識)
  • common room(共用室、談話室)

②「ありふれた、よくある」

  • a common mistake(よくある間違い)
  • the common cold(普通の風邪)
  • It’s common to feel nervous.(緊張するのはよくあることだ)

この2つは別の意味に見えますが、根は同じです。「みんなが共有している」→「どこにでもある」→「ありふれている」。共有されていればいるほど、珍しくなくなる、ということです。

なお②の方向に進みすぎると「平凡な、品がない」という少し下げたニュアンスにもなります。英語の common には、この微妙な下向きの含みがあることを知っておくと、人や物を褒めるときに使わずに済みます。

“communis(共有する)” でつながる単語ネットワーク

common の中心にある communis を知っておくと、一見バラバラな単語が一本の線でつながります。

単語意味イメージ
community共同体、地域社会communis+-ity=「共通である状態」
communicate伝える、共有する「共通のものにする」が原義
communication伝達、コミュニケーションcommunicate の名詞形
communal共同の、共用の共同体のもの
commune共同生活体、コミューン共に分け持つ場
communion親交、聖餐分かち合うこと
communism共産主義共有を土台にする考え方
commonwealth連邦、共和国common(共通の)+wealth(富・幸福)
commoner庶民、平民「common な人々」の側
commonplaceありふれた、決まり文句どこにでもある場所・言葉

「commun- または common- が見えたら、たぶん”みんなで分け持つ”話」・・・そう見えるようになると、初見の単語でも意味が推測できます。

意外な親戚|mean と mutual

ここからが、この単語のいちばん面白いところです。

形容詞の mean(意地悪な、卑しい)。まったく関係なさそうに見えますが、実は common と双子です。

mean は古英語 gemǣne「共通の、みんなの」に由来します。これは印欧祖語 *ko-moin-i-「共に持たれた」 から生まれたゲルマン語系の形で、ラテン語の communis とまったく同じ出発点を持っています。

  • ラテン語ルートを通って英語に入ったのが common
  • ゲルマン語ルート(英語の本来語)として残ったのが mean

同じ祖先から、フランス語経由の借用語と、英語生え抜きの単語が別々に生まれたわけです。

さらに面白いのは、意味の変化まで並行していること。

  • gemǣne「みんなの」→「ありふれた」→「身分が低い」→「卑しい、意地悪な」
  • communis「みんなの」→ common「ありふれた」→「平凡な、品がない」

どちらも「みんなのもの」から出発して、同じ方向に意味が下がっていきました。「共有されているものは、ありがたみが薄れる」という人間の見方が、2つの言語で同じように働いたということです。

もう一語、mutual(相互の)も遠い親戚です。ラテン語 mutuus「交換でなされる」由来で、communis と同じ印欧祖語の語根 *mei-「交換する」にさかのぼります。「お互いに交換し合う」と「みんなで共有する」は、もともと一つのイメージから枝分かれしたものでした。

munus(義務)側への広がり

communis の後半部分(munis)は、「公の務めを果たす」という意味のラテン語グループにもつながっています。こちらは別記事で詳しく扱っているので、表で全体像だけ押さえておいてください。

単語意味イメージ
municipal市の、地方自治の公の務めを引き受ける
municipality地方自治体務めを共に引き受ける仕組み
immune免疫の、免除されたim(否定)=務めを免れる
immunity免疫、免責負担から守られること
remunerate報酬を与える務めへの返礼

common が「みんなで分け持つ」側、municipality が「公の務めを引き受ける」側。同じ根から、共有と義務という2つの方向に広がっているのが見えてきます。

派生語|Word Family

単語品詞意味発音
common形容詞・名詞共通の、ありふれた/共有地コモン /ˈkɑːmən/
commonly副詞一般に、たいていコモンリー /ˈkɑːmənli/
commonness名詞ありふれていることコモンネス /ˈkɑːmənnəs/
community名詞共同体、地域社会コミュニティ /kəˈmjuːnəti/
commoner名詞庶民、平民コモナー /ˈkɑːmənər/
commonplace形容詞・名詞ありふれた/決まり文句コモンプレイス /ˈkɑːmənpleɪs/
commonwealth名詞連邦、共和国コモンウェルス /ˈkɑːmənwelθ/

実用では副詞の commonly の出番が多めです。commonly used(一般に使われている)、commonly known as(一般に〜として知られる)の形で、説明文やニュースに頻繁に登場します。

TOEIC・英検での出題傾向

common は TOEIC の全パートに出てくる基本語です。特に Part 5 の品詞問題で、common(形容詞)と commonly(副詞)の使い分けが問われます。空所の後ろが名詞なら common、動詞や形容詞を修飾するなら commonly・・・この判別ができれば確実に取れる一問です。

熟語では have … in common(共通点がある)、common ground(共通認識)、common practice(通例)あたりがビジネス文書で頻出します。英検では3級〜準2級レベルから登場する、早い段階で押さえておきたい一語です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。解答は記事の最後にまとめてあります。

  1. We have a lot in common.
  2. Your common sense will guide you well.
  3. This flower is common in the spring.
  4. The common room is open to every student.
  5. Finding common ground takes patience.
  6. It is common to feel nervous before a big day.
  7. They share a common goal and help each other.
  8. Common words are often the most useful ones.
  9. You and I have more in common than you think.
  10. A common effort can build something no one could build alone.

語源メモ|communis と、英語に残ったもう一つの枝

common は、13〜14世紀に古フランス語 comun を経て英語に入りました。元はラテン語 communis「共有された、みんなのもの、ありふれた、気取らない」です。

さらにさかのぼると、再構された印欧祖語の複合語 *ko-moin-i-「共に持たれた」 にたどり着きます。*ko-「共に」+ *moi-n-(語根 *mei-「変える、交換する」の派生形)という構造で、直訳すれば「みんなで分け合っている」。この後半部分は、ラテン語 munia「公の務め」の源でもあります。

community は14世紀後半、古フランス語 comunité を経て、ラテン語 communitas(communis + -itas)から。OED によれば、ラテン語の communitas はもともと性質を表す名詞で、「仲間であること、関係や感情を共有している状態」を指しました。「人の集まり・地域社会」という具体的な意味は、英語に入ってから前面に出たものです。

※ よく見かける「community = common + unity(統一)」という説明は誤りです。unity の語源はラテン語 unus(1つ)で、まったく別の語根です。正しくは common(communis)+ 接尾辞 -ity で、「共通であることの状態」という構造になります。

もう一つ押さえておきたいのが、同じ *ko-moin-i- から生まれたゲルマン語系の枝です。古英語 gemǣne「共通の、公の」がそれで、これが縮まって中英語 mēne、現代の mean になりました。ドイツ語の gemein(共通の/卑しい)も同じ仲間です。

古英語には「共同体」を表す gemǣnscipe という語もありました。gemǣne に -scipe(現代の -ship)がついた形で、意味も構造も community とそっくりです。ラテン語由来の community が入ってきたことで、英語本来のこの語は姿を消しました。同じ発想の言葉が、2つの言語で別々に作られていたわけです。

common room(大学の談話室)は1660年代、common sense はラテン語 sensus communis の訳で14世紀後半、commonwealth は common + wealth で15世紀半ばの登場です。

まとめ

common は、ラテン語 communis(com=共に+munis=務めを分け持つ)で「みんなで共有している」。そこから「ありふれた」まで意味が広がりました。

  • common・・・共有の、共通の。そこから「ありふれた」へ
  • community・・・common + -ity=「共通であることの状態」=共同体
  • communis 一族・・・communicate/communal/commune/communism/commonwealth
  • 双子の mean・・・同じ印欧祖語 *ko-moin-i- から、ゲルマン語ルートで生まれたもう一つの枝
  • 覚え方の手がかり:コモンスペース(common)があるから、コミュニティ(community)が生まれる

共有している「もの」が common、それを囲む「人の輪」が community。この一枚の絵を持っておけば、どちらの単語も迷わなくなります。

common の語源ワードマップ。中心は common(=みんなで共有している)で、com(共に)+munis(務めを分け持つ)=ラテン語 communis に分解。communis(共有する)系(community / communicate / communication / communal / commune / communion / communism)、common- の一族と munus(務め)側(commonly / commonplace / commonwealth / commoner / municipal / municipality / immune / remunerate)、意外な親戚と覚え方の手がかり(mean / mutual、コモンスペースからコミュニティへ)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:com(共に)+ munis(務めを分け持つ)=「みんなで共有している」
  • 覚え方の手がかり:コモンスペース(共有の場)→ コミュニティ(人の輪)
  • communis 一族:community/communicate/communal/commune/communism/commonwealth/commonplace
  • munus(務め)側:municipal/municipality/immune/immunity/remunerate
  • 意外な親戚:mean(意地悪な)/mutual(相互の)

関連記事(内部リンク)

翻訳練習の解答

  1. 私たちには共通点がたくさんある。
  2. あなたの常識が、きっとうまく導いてくれる。
  3. この花は、春にはよく見かける。
  4. その共用室は、すべての学生に開かれている。
  5. 共通の土台を見つけるには、根気がいる。
  6. 大事な日の前に緊張するのは、よくあることだ。
  7. 彼らは共通の目標を持ち、互いに助け合っている。
  8. ありふれた単語こそ、いちばん役に立つことが多い。
  9. あなたと私には、思っているより多くの共通点がある。
  10. みんなの力なら、一人では作れないものが作れる。

NAWL・TSL・BSL 集録語|3つのリストすべてに入る一語

common(および副詞形 commonly)は、New Academic Word List(NAWL)・TOEIC Service List(TSL)・Business Service List(BSL) の3つすべてに集録されています。

  • NAWL(学術)・・・学術論文・教科書・講義のコーパスから抽出された約960語。基本語リストのNGSLと合わせて学ぶと、学術的な文章の約92%をカバーします。
  • TSL(TOEIC)・・・TOEICの問題・対策教材のコーパスから抽出された約1,200語。NGSLと合わせると、TOEICに出てくる語彙の約99%をカバーします。
  • BSL(ビジネス)・・・ビジネス文書・新聞・業界誌などのコーパスから抽出された約1,700語。ビジネス英語の語彙の約97%をカバーします。

性格の違う3つのリストに同時に入る語は、全体から見ればごく一部です。論文を読むときも、TOEICを解くときも、仕事のメールを書くときも出てくる・・・つまり、どこを目指していても避けて通れない一語ということになります。覚える優先順位は、かなり高めに置いて構いません。

出典:New General Service List Project