病院で「カンファ」、仕事で「カンファレンス」。どちらも会議のことですよね。ところがNBAを見ていると、イースタン・カンファレンス、ウエスタン・カンファレンスという言い方が出てきます。あれは会議ではなく、チームの所属するグループのことです。
同じ単語なのに、片方は会議室、片方はリーグの区分。別の意味がたまたま同じ綴りになった・・・わけではありません。どちらも、一本の線でつながっています。
conference の意味の中心は、con(一緒に)+ fer(運ぶ)。みんながそれぞれ持っているものを、一か所に運んで出し合う。その「持ち寄る場」が、会議にもなり、チームの集まりにもなりました。
conference を分解してイメージで覚える
パーツで見ると、こうなります。
con(com=一緒に)+ fer(ferre=運ぶ)+ ence(〜すること)
ferreで「フェリー」を思い浮かべるかもしれません。「人や車を<運ぶ>船」ですから、イメージとしては合っています。語源的にどうかは後ほど説明します。
ラテン語の動詞 conferre は、文字どおり「一緒に運ぶ」。そこから「突き合わせる」「話し合う」という意味が育ちました。日本語の「持ち寄り」に近い感覚です。
意見を持ち寄る、情報を持ち寄る、資料を持ち寄る。運んできたものを机の上に並べて、突き合わせる場所・・・それが conference です。
ここがこの単語の気持ちのいいところで、会議という日本語よりも、語源のほうが中身をよく説明しています。会議は「会って議論する」ですが、conference は「持ち寄る」。
だから、参加するだけで何も出さない人がいると、どこか居心地が悪い。英語の側には、最初からそういう含みがあるわけです。
conference の基本の意味と使い方
conference は「会議」「協議会」「学会」を表す名詞です。発音は /ˈkɑːnfərəns/、頭の「カン」に力が入ります。
- attend a conference(会議・学会に参加する)
- hold a conference(会議を開く)
- a conference room(会議室)
- a conference call(電話会議)
- a press conference(記者会見)
もうひとつ、覚えておくと便利なのが in conference という形です。
- He is in conference right now.(彼は今、打ち合わせ中です)
この in conference は「会議中で手が離せない」という決まった言い方で、電話の取り次ぎでそのまま使えます。a も the も付かないのが特徴です。
「会議」から「リーグ」へ|conference の4つの顔
さて、冒頭のNBAの話です。conference の意味は、次の順番で広がっていきました。
| 顔 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| ① 行為 | 話し合うこと、協議 | be in conference(協議中) |
| ② 場 | 正式な会合、学会 | an annual conference(年次大会) |
| ③ 組織 | その会合を持つ団体・その管轄区域 | the Methodist Conference |
| ④ 所属 | 同じグループに属するチームの集まり | the Eastern Conference |
鍵になったのが③です。18世紀のイギリスで、メソジストの創始者ジョン・ウェスレーが説教者たちを集めて話し合いの場を持ちました(1744年、ロンドン)。
この会議は毎年続き、やがて「年次会議(annual conference)」そのものが教会の意思決定機関の名前になります。さらに、その会議が受け持つ地域のことまで conference と呼ぶようになりました。
会議 → 会議をする組織 → その組織が束ねる範囲。
この三段跳びが、そのままスポーツに持ち込まれます。
アメリカの大学スポーツでも、同じことが起きました。1895年、シカゴのホテルに中西部の大学の代表が集まり、荒れていた学生フットボールのルールを話し合います。
翌1896年、教授の代表による会議体が正式に発足しました。のちのビッグ・テン・カンファレンスです。つまり最初は本当に「会議」だったものが、その会議に加盟する大学の集まり=リーグの名前になったわけです。
プロスポーツがこれを借りました。NBAがイースタン/ウエスタンを Division から Conference という呼び名に切り替えたのは1970-71シーズンから。NFLのAFC・NFCの「C」も、NHLのカンファレンスも、同じ流れの先にあります。
リーグの区分を「カンファレンス」と呼ぶのは、「同じ話し合いのテーブルについている仲間」という意味だった・・・そう知ると、会議室とバスケットボールのコートが、一本の線でつながります。
confer の2つの顔と、論文の「cf.」の正体
conference の動詞形は confer です。ここで二つ、知っておくと差がつく話をします。
ひとつめ。confer には「相談する」と「授与する」の2つの意味がある。
- confer with someone(〜と相談する)
- confer a degree on someone(〜に学位を授与する)
まったく違う意味に見えますが、どちらも「運ぶ」で説明がつきます。意見を互いに運び合えば相談になり、こちらから相手に名誉を運べば授与になる。方向が違うだけです。「授与する」の意味は1560年代から記録されています。
おもしろいのは、この授与の意味が名詞 conference にもあることです。しかもそのときだけ、力の入る場所が後ろにずれて /kənˈfɜːrəns/ になります(the conference of academic degrees=学位の授与)。ふつうは conferral や conferment を使うので、見かけたら「ああ、授与のほうか」と思い出せれば十分です。
ふたつめ。論文でおなじみの「cf.」は、この confer の略です。
cf. はラテン語 confer の略で、「比べよ」という命令形。英語の confer にも、実はいちばん古い意味として「比較する」がありました(1530年代)。ところがこの意味は1650年ごろを境にすたれてしまい、今はほぼ使いません。
意味は消えたのに、略語だけが400年以上生き残っている。レポートや論文の脚注で「cf. 山田 (2020)」と書くとき、私たちは知らずに16世紀の英語を使っているわけです。ついでに言えば、cf. は「参照せよ(see)」ではなく「比べてみよ」。引用元を示す see とはニュアンスが違う・・・と知っておくと、使い分けが少し正確になります。
fer(運ぶ)でつながる単語ネットワーク
conference の fer は、ラテン語 ferre(運ぶ)。英語の中に、驚くほどたくさん住んでいます。
| 単語 | 意味 | 分解 |
|---|---|---|
| offer | 差し出す、提案する | ob(〜に向けて)+fer=相手のほうへ運ぶ |
| prefer | 好む | prae(前に)+fer=前のほうへ運ぶ |
| refer | 言及する、照会する | re(戻して)+fer=元へ運ぶ |
| transfer | 移す、乗り換える | trans(越えて)+fer=向こうへ運ぶ |
| differ | 異なる | dis(別々に)+fer=バラバラの方向へ運ぶ |
| infer | 推測する | in(中へ)+fer=結論を引き出して運ぶ |
| circumference | 円周 | circum(まわりに)+fer=ぐるりと一周運ぶ |
| conifer | 針葉樹 | cone(球果)+fer=まつぼっくりを付ける木 |
| fertile | 肥沃な、実り豊かな | 実を運んでくる土地 |
円周が「運ぶ」の仲間だというのは、言われないと気づきません。circumference は14世紀末に英語に入った語で、ギリシャ語の periphereia(まわりを運ぶこと)をラテン語に訳し直したものです。peri(まわり)+pherein(運ぶ)。いまの英語の periphery(周辺)が、その直系です。
ギリシャ語側の「運ぶ」|-phor- の一族
ここからが、この単語ならではの広がりです。ラテン語の ferre とギリシャ語の pherein は、もとをたどると同じ祖先(印欧祖語 *bher-「運ぶ・産む」)から分かれた兄弟でした。つまり fer と phor は、形は違っても同じ「運ぶ」。
| 単語 | 意味 | 分解 |
|---|---|---|
| metaphor | 比喩、メタファー | meta(越えて)+phor=意味を別の場所へ運ぶ |
| euphoria | 多幸感 | eu(良い)+phor=良い状態を運んでくる |
| phosphorus | リン | phos(光)+phor=光を運ぶもの |
| semaphore | 手旗信号 | sema(しるし)+phor=合図を運ぶ |
| Christopher | クリストファー(人名) | Christ+phor=キリストを背負って運ぶ者 |
さらに、この *bher-(運ぶ・産む)は英語本来の語にも流れ込んでいます。
bear(運ぶ・産む)/birth(誕生)/burden(重荷)/bring(持ってくる)。「運ぶ」と「産む」が同じ根から出ているのは、どちらも「この世に何かを持ち出す」ことだから、と考えると腑に落ちます。
conference の fer、メタファーの phor、bear の b。綴りはまるで似ていないのに、全部が同じ一語から枝分かれした兄弟です。
派生語 Word Family
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| conference | 名詞 | 会議、協議会、学会 | カンファレンス /ˈkɑːnfərəns/ |
| confer | 動詞 | 相談する/授与する | カンファー /kənˈfɜːr/ |
| conferral | 名詞 | 授与 | カンファーラル /kənˈfɜːrəl/ |
| conferment | 名詞 | 授与 | カンファーメント /kənˈfɜːrmənt/ |
| conferee | 名詞 | 会議の出席者 | カンファリー /ˌkɑːnfəˈriː/ |
| conferencing | 名詞 | 会議を行うこと | カンファレンシング |
| videoconference | 名詞 | ビデオ会議 | ヴィディオカンファレンス |
| teleconference | 名詞 | 遠隔会議 | テレカンファレンス |
| conference call | 名詞句 | 電話会議 | ― |
| press conference | 名詞句 | 記者会見 | ― |
| conference room | 名詞句 | 会議室 | ― |
videoconference(ビデオ会議)は、リモート会議がすっかり定着した今では日常語ですが、言葉そのものは1967年には記録があります(videoconferencing の形)。その先輩の teleconference は1952年で、もとは商標として生まれた語でした。どちらも、普及するずっと前に名前だけが先にできていたことになります。
TOEIC・英検での傾向
conference は、TOEICで出会わない日はない、と言っていいほどの基本語です。出方には型があります。
- Part 3・4:conference room の予約、conference call の時間変更、会議の遅れ。「会議室が使えないので別の部屋へ」はほぼ定番です。
- Part 7:学会・展示会の案内文。registration(参加登録)、keynote speaker(基調講演者)、venue(会場)、agenda(議題)とセットで出ます。
- 聞き取りの注意:conference は「カン」、confer は「ファー」に力が入ります。強い音の位置が前後で入れ替わるので、音だけで追うと取り違えやすい組み合わせです。
英検では準2級から2級あたりで見かけます。press conference(記者会見)の形で長文に出ることが多い印象です。
なお、ビジネスメールでは I’d like to confer with you about ~ はやや硬めです。日常的には discuss や talk about のほうが自然なので、読んで分かれば十分・・・という位置づけで大丈夫です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Our team will attend a conference in Osaka next month.
- You spoke clearly at the conference, and everyone listened.
- The conference call starts at nine, so take your time.
- She booked a small conference room for six people.
- We will join the videoconference from home on Friday.
- After the press conference, the good news spread quickly.
- A quick conference with your manager can save hours later.
- He is in conference now, but he will call you back soon.
- Your questions made the conference better for everyone.
- One good conference can change how you see your work.
語源メモ
conference は、ラテン語の動詞 conferre(一緒に運ぶ、突き合わせる、話し合う)の現在分詞 conferens から、中世ラテン語 conferentia、15世紀のフランス語 conférence を経て英語に入りました。
分解すると com(一緒に)+ ferre(運ぶ)、印欧祖語の *bher-(運ぶ・産む)にさかのぼります。
英語での初出は、辞書によって幅があります。Online Etymology Dictionary は1550年代に「協議すること」の意味で、Merriam-Webster は1527年を最初の記録としています。いずれにせよ16世紀前半から半ばで、「正式な会合」という今の中心的な意味は1580年代から。動詞として使われるのは1846年からです。
動詞 confer のほうは、意味の順番がおもしろく並んでいます。1530年代に「比較する」、1540年代に「相談する」、1560年代に「授与する」。いちばん古い「比較する」は1650年ごろまではよく使われ、その後すたれました。それでも略語の cf.(ラテン語 confer の命令形=「比べよ」)だけが残り、今も論文で現役です。
いくつか、混同しやすい点を整理しておきます。
- ferry(フェリー)は別ルートです。どちらも「運ぶ」を意味しますが、ferry は古英語 ferian から来ていて、印欧祖語では *per-(通り越して行く)の系統。fer(ferre)の *bher- とは別の根です。意味が同じなので覚え方としては相性がいいのですが、血はつながっていません。fare(運賃)や port(港)が ferry 側の親戚です。
- **interfere(邪魔をする)も別語源です。**こちらは「打つ」を意味するラテン語 ferire の系統で、綴りが似ているだけです。
- 「運ぶ」の fer をもっと広く見たい方は、infer の記事で一族をまとめています。
スポーツの conference については、「会議 → 会議体 → その管轄範囲 → 所属グループ」という意味の移動です。宗教の世界が先に通った道(1744年のメソジストの会議が、やがて組織と地域の名前になった)を、19世紀末のアメリカの大学スポーツがたどり直した・・・という順番になります。
まとめ
conference は、con(一緒に)+ fer(運ぶ)+ ence で「持ち寄って突き合わせる場」。それが会議になり、会議体になり、ついにはリーグの名前にまでなりました。
- con+fer・・・一緒に運ぶ。意見を持ち寄る場所
- 4つの顔・・・協議 → 会合 → 組織 → 所属グループ(NBAのカンファレンス)
- confer・・・相談する/授与する。そして cf.=「比べよ」
- fer と phor・・・offer/refer/transfer/circumference と、metaphor/euphoria が同じ一族
今日の会議に、あなたは何を運んでいきますか。その一つが、誰かの一日を変えるかもしれません。

- 語源・中心:con(一緒に)+ fer(運ぶ)+ ence =「持ち寄って話し合う場」
- 覚え方のヒント:conference は「カン」に力、confer は「ファー」に力/cf.=confer「比べよ」
- fer(運ぶ)一族:offer/prefer/refer/transfer/differ/infer/circumference/conifer
- phor(運ぶ・ギリシャ語側)一族:metaphor/euphoria/phosphorus/semaphore/Christopher
NGSL(New General Service List)収録語
この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。
出典:New General Service List Project
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翻訳練習の解答例
- 来月、うちのチームは大阪で開かれる会議に参加します。
- あなたは会議ではっきりと話し、みんなが耳を傾けました。
- 電話会議は9時からです。あわてなくて大丈夫ですよ。
- 彼女は6人用の小さな会議室を押さえました。
- 金曜日は、自宅からビデオ会議に参加します。
- 記者会見のあと、うれしい知らせはあっという間に広がりました。
- 上司とちょっと相談しておくと、あとで何時間も節約できます。
- 彼は今、打ち合わせ中です。でも、すぐに折り返しますよ。
- あなたの質問のおかげで、会議はみんなにとって良い時間になりました。
- 一つの良い会議が、仕事の見え方を変えることがあります。

