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【語源で覚える】precedent|「大統領(president)と何が違う?」先に進んだ足跡が前例になる

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「この判断には precedent がある」「unprecedented な出来事だ」

ニュースやビジネス文書、TOEIC の読解でよく目にする言葉です。でもこの単語、パッと見て「大統領の president と何が違うの?」と思ったことはありませんか。

それが今日の入り口です。

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precedent と president|真ん中のパーツが違う

2つを並べてみます。

  • president(大統領・社長):pre(前に)+ sid(座る:seat) = みんなの前に座っている人
  • precedent(前例・判例):pre(前に)+ ced(進む) = 先に前へ進んだこと

「座る」か「進む」か。真ん中がそこだけ違います。

発音も連動しています。president は真ん中が濁って「プレジデント」、precedent は濁らず「プレシデント」。綴りと発音をセットで押さえると、一生混同しなくなります。

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precedent を分解してイメージで覚える

パーツで整理するとこうなります。

pre-(前に・先に)+ ced(進む)+ -ent(こと・もの)

「自分たちよりも前に、先へと進んだこと」。それが precedent の核です。

核にある ced(進む) は、ラテン語 cedere(進む・行く)から来ています。「アクセス(access)」「プロセス(process)」に入っている cess と同じ仲間です。身近なカタカナ語にすでに入っているパーツなので、ここを押さえると一気に広がります。

雪道や暗い道を、誰かが先に歩いて足跡を残してくれた場面を想像してみてください。後から来た人はその足跡を見て「ここを行けばいいんだ」と判断できる。その「先人の足跡」が、そのまま precedent のイメージです。

precedent の基本の意味と使い方

precedent は「前例」「判例」を表す名詞(また形容詞)です。「過去にこういうことがあった、だから今回もそれに従う(あるいは覆す)」という文脈で使います。

法律の世界では特に重要で、過去の判決(precedent)が新しい裁判の判断基準になります。ビジネスでも「前例を作る(set a precedent)」「前例に従う(follow precedent)」という形で日常的に使われます。

  • This case sets a new precedent.(この事件は新たな前例を作る)
  • We should follow the precedent established last year.(昨年設けられた前例に従うべきだ)
  • There is no precedent for this decision.(この決定には前例がない)

ニュース頻出|unprecedented(前例のない)

precedent に打ち消しの un- がつくと、ニュースで非常によく見る形になります。

un-(ない)+ precedent(前例)+ -ed = unprecedented(前例のない・空前の)

「先を歩いた人が一度もいない」ということから、「これまでに例がないほどの」という意味になります。ポジティブな文脈でもネガティブな文脈でも使われます。

  • unprecedented growth(前例のない成長)
  • unprecedented crisis(前例のない危機)
  • an unprecedented drop in drug overdose deaths(薬物過剰摂取による死亡者数の、前例のない減少)

TOEIC・英検ともに頻出です。precedent を知っていれば unprecedented は自動的に読めます。

“ced / ceed(進む・行く)” でつながる単語ネットワーク

precedent の核 ced(cedere=進む)を知ると、まったく別ジャンルに見えた単語が一気につながります。

単語語源構造イメージ意味
precedepre+cede先に進む先行する、先立つ
proceedpro(前方へ)+ ceed前に向かって進む進む、続ける
succeedsub(後に続いて)+ ceed足跡の後に続いて進む後を継ぐ、成功する
exceedex(外へ)+ ceed枠の外まで進み出る超える、上回る
recedere(後ろへ)+ cede後ろへ下がって進む後退する、薄れる
accessad(〜へ)+ cessそちらへ近づいて行くアクセス、接近
processpro(前へ)+ cess前へ進む一連の流れプロセス、過程

「ced / ceed / cess が入っていたら、たぶん”進む”話」と見えるようになると、初見の単語でも意味が推測できます。

派生語|precedent まわり

単語品詞意味発音
precedent名詞・形容詞前例、判例/先行するプレシデント /ˈpresɪdənt/
precede動詞先行する、先に起こるプリスィード /prɪˈsiːd/
precedence名詞優先、先行(take precedence)プレシデンス /ˈpresɪdəns/
unprecedented形容詞前例のない、空前のアンプレシデンティッド /ʌnˈpresɪˌdentɪd/
president名詞大統領、社長(比較用)プレジデント /ˈprezɪdənt/

発音のポイント:precedent の真ん中は /s/(濁らない)、president の真ん中は /z/(濁る)。綴りは c か s の1文字違いです。

TOEIC・英検での出題傾向

TOEIC では Part 7(読解)の社内方針・法務・ビジネス文脈で set a precedent、follow precedent、unprecedented growth が頻出です。Part 5(語彙・文法)でも precede と proceed の使い分けが問われることがあります。

英検では準1級〜1級レベルで、歴史・法律・社会問題の評論文に登場します。「過去の前例をどう評価するか」という論点で使われることが多く、unprecedented と合わせて押さえておくと読解がぐっと楽になります。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. This decision sets a clear precedent for the future.
  2. There is no precedent for what you are trying to do.
  3. The court followed the precedent established years ago.
  4. You showed unprecedented patience with the difficult task.
  5. The team achieved unprecedented results this quarter.
  6. Her kindness set a wonderful precedent for the whole office.
  7. Without precedent, every decision feels like the first step on a new road.
  8. The new policy has no precedent in the company’s history.
  9. You helped create a precedent that will benefit everyone after you.
  10. An unprecedented number of people showed up to support the cause.

語源メモ|praecedere から precedent へ

precedent はラテン語 praecedere(先に行く・前を進む)に由来します。prae-(前に)+ cedere(行く・進む)が合わさった形で、フランス語を経て中世英語に入りました。

法律用語としての「判例」という意味が確立したのは14〜15世紀ごろです。コモン・ロー(判例法)の伝統が強いイギリス・アメリカの法体系では、過去の判決(precedent)が新しい裁判の拘束力を持つため、この語は法律の核心語になっています。

president との語源的な関係はありません。president は prae-(前に)+ sedere(座る)=「みんなの前に座る人」という別ルートです。綴りが1文字違いなのは偶然の一致で、語源はまったく別物です。

なお ced / ceed / cess(進む)は英語に数十語の痕跡を残しており、proceed・succeed・exceed・access・process はすべてこの一族です。

まとめ

precedent は pre-(前に)+ ced(進む)+ -ent で「先に前へ進んだこと」=前例・判例。

  • president(大統領)との違い:真ん中が「ced(進む)vs sid(座る)」、発音が「/s/ vs /z/」
  • unprecedented:un-(ない)がついて「前例のない・空前の」。ニュース・TOEIC 最頻出
  • ced / ceed / cess 一族:proceed / succeed / exceed / access / process・・・全部「進む」仲間
precedent の語源ワードマップ。中心は precedent(先に進んだ足跡 → 前例・判例)で、pre-(前に)+ ced(進む:cedere)+ -ent に分解。混同解消クラスタで president(前に座る人・/z/)との違いを対比、ced / ceed / cess 一族(proceed / succeed / exceed / recede / access / process)、重要フレーズ(set a precedent / unprecedented など)の4クラスタに整理した図
  • 語源・中心:pre-(前に)+ ced(進む:cedere)+ -ent =「先に進んだこと(前例)」
  • 混同解消:president(前に座る人 /z/)vs precedent(先に進んだこと /s/)
  • ced / ceed / cess 一族:proceed / succeed / exceed / recede / access / process
  • 重要フレーズ:set a precedent / unprecedented / follow precedent / take precedence

関連記事(内部リンク)

  • proceed の語源(前に進む)→ (近日中に公開)
  • succeed の語源(後を継ぐ・成功する)→ (近日中に公開)
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【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶フックで芋づる式に覚える
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翻訳練習の解答例

  1. この決定は、将来に向けた明確な前例を作る。
  2. あなたがやろうとしていることには、前例がない。
  3. 裁判所は、何年も前に確立された判例に従った。
  4. あなたはその難しい仕事に、前例のないほどの忍耐強さを見せた。
  5. チームは今四半期、前例のない結果を出した。
  6. 彼女の親切さは、オフィス全体に素敵な前例を作った。
  7. 前例がないとき、どんな決断も新しい道への最初の一歩のように感じる。
  8. その新しい方針は、会社の歴史に前例がない。
  9. あなたは、あとに続くすべての人の役に立つ前例を作る手助けをした。
  10. 前例のないほど多くの人々が、その活動を支援するために集まった。