この記事では、英文を制限時間内に読み、その概要をサマリーとして書く学習法とその効果について解説します。
4技能(スピーキング、リスニング、リーディング、ライティング)には、技能相互の連動性があることを、私はかねてより主張して参りました。
この学習法は、リーディングとライティングの相乗効果に着目したものです。この学習法で、速読能力の向上が期待できます(効果には個人差があります)。
この記事を読むとわかること
- 速読力が必要な理由と効果
- サマリーライティングが速読に効くメカニズム
- 具体的なトレーニング手順
- 効果を高めるポイントと注意点

速読からサマリーライティングの取り組み方
CNNのネット版には、読了までの時間が示されています。これを使って速読とサマリー・ライティングのトレーニングを行います。
※このトレーニングは、某W大学で、帰国生の皆さんの授業で実施したものです。中上級者向けのトレーニングです。
英語の速読力が求められる時代
英語試験や資格試験だけでなく、英語を使った実務や情報収集の場面でも「速く正確に読む力」はますます重要になっています。
限られた時間で大量の英文を読みこなすには、「英語を日本語に訳さずに理解する力」、つまり速読力が鍵を握ります。
しかし、ただ速く読む練習をするだけでは、思うように力はつきません。そこで注目されているのが「サマリーライティング」を組み合わせたトレーニング法です。
サマリーライティングとは?速読力とどう関係するのか
サマリーライティングとは、読んだ英文の要点を短くまとめて書く訓練のこと。
この方法が速読力を伸ばす理由は3つあります:
- 意味のかたまりで読む力が育つ
要約するためには、「何が大事な情報か」を判断する必要があります。自然と文全体を把握する力がつき、単語や文法にとらわれすぎずに読めるようになります。 - 記憶と理解を結びつける
読んだ後に内容を思い出して書くことで、英文をただ追うのではなく、本質をとらえる読解が身につきます。 - 読解スピードが上がる
読みながら要点を探すクセがつくことで、英文の処理スピードが自然にアップします。
実践トレーニングの手順
以下は、実際に効果の高いサマリーライティングの手順です。
ステップ①:時間を決めて黙読する
制限時間内に、1本の英文を集中して読みます。辞書を使わず、意味の流れを追うことを意識しましょう。
ここでは教材としてCNNを取り上げます。読了までの時間が記されているので、自分の読速度がネイティブとどの程度近いのかがわかります。1分、または2分程度のものから始めるとよいでしょう。
教材:Robert De Niro shows support for daughter Airyn after she shares she’s trans: ‘I don’t know what the big deal is’ 2 minute read Published 10:16 AM EDT, Thu May 1, 2025
2分間で読めたところまでで構いません。ステップ②に移ります。
ステップ②:英文を見ないで要約を書く
読んだ直後に、英文を閉じて「どんな内容だったか」を英語で書いてみます。
完璧でなくて大丈夫。「誰が何をしたか」「何がポイントだったか」を中心にまとめましょう。
ステップ③:元の英文を見て見直す
自分の要約と原文を比べて、どこが合っていたか、どこを見落としていたかを確認。正しく書けなかった部分は、しっかり復習しておくと記憶に残りやすくなります。
キーワードになっている語彙がサマリーに入っていない場合、もしくは知らない単語があった場合、それをサマリーに入れ込んで書き足します。
学習効果をさらに高めるためのポイント
この活動のポイントは次の2点です。
- 制限時間が決まっているので「できるだけ速く読もう」という気持ちが生まれる
- サマリーを書くということが前提なので、可能な限り多くの情報を頭に残す習慣が生まれる(冗長な情報は除外してリーディングに取り組める)
- 最初は短めの英文から始める(150〜250語)
- ニュース記事や英検過去問など要点がはっきりした教材を使う
- 週に2〜3回継続して行う
慣れてきたら、TOEICのPart7や英検2級の長文読解にも応用できます。
なぜこの方法が「最強メソッド」なのか?
読む力・理解力・記憶力・要約力を一気に鍛えることができ、しかも特別な教材がなくても実践可能。
さらに、英作文やスピーキングにも応用がきくのがサマリーライティングの魅力です。
「読んで終わり」にせず、「まとめて見直す」ことで、英文の読み方が根本から変わる。
この学習法は、まさに速読力を伸ばすための最強メソッドといえるでしょう。