空港の「ターミナル」、バスターミナル。どちらも、そこで路線が終わる場所ですよね。
同じ綴りで、もう一つ有名な言葉があります。ターミネーター。終わらせる者。
この2つ、同じ語源です。と言われると「まあ、どっちも終わりだしな」で終わってしまいそうなのですが・・・実はここに、もう一段おもしろい話が隠れています。
ターミネーターは、映画より250年も前から存在していた言葉なんです。しかも意味は「終わらせる者」ではなく、「月の明るい部分と暗い部分を分ける、あの境界線」。1734年の天文用語でした。
ここが、terminal という単語の意味の中心をつかむ入り口になります。
terminal を分解してイメージで覚える|「終わり」の前に「境界」
terminal は、こう分けられます。
termin(境界・限界)+ al(〜に関する)
元はラテン語の terminus(終わり・限界・境界線)。ここで大事なのは、順番です。
私たちは terminus を「終わり」と覚えがちですが、言葉の出発点はもっと具体的でした。印欧祖語をたどると *ter-men-(杭・柱)にさかのぼり、研究者のド・ファーンは「ヒッタイト語の名詞とラテン語での使われ方から見て、元は具体的な物、つまり境界石を指していたと考えられる」としています。
畑の端に、ドンと杭を打つ。「ここまでが俺の土地だ」。その杭が terminus です。
つまり、
- 境界を示す杭 → ここが限界 → ここで終わり
という順で意味が育った。だから terminal の意味の中心は、「終わり」よりも一段手前の 「ここまで、という線を引くこと」 なんです。
この一本の線さえ押さえておけば、ターミナルもターミネーターも determine も exterminate も、全部同じ絵で説明がつきます。
terminal の基本の意味と使い方
terminal は形容詞と名詞、両方で使います。
形容詞:終わりの、末端の
- the terminal station(終着駅)
- a terminal point(終点)
名詞:端にあるもの
- the airport terminal(空港ターミナル)
- a bus terminal(バスターミナル)
- a battery terminal(バッテリーの端子)
形容詞で15世紀半ばに「最後の、究極の」の意味で英語に入り、15世紀末には「境界に関する」という使い方も出てきます。ラテン語 terminalis(境界や終わりに属する)がそのまま形になったものです。
terminal の4つの顔|語の歴史がそのまま並んでいる
terminal が名詞として使われ始めたのは1831年と、意外に新しめです。そこからの広がり方が、産業史をそのまま追いかけていて気持ちいいんです。
| 年代 | 意味 | 何の「端」か |
|---|---|---|
| 1831年 | 語末の音・文字 | 単語の端 |
| 1838年 | 端子(電気) | 電池の端についた留めネジ |
| 1870年ごろ | 鉄道の終着駅 | 路線の端 |
| 1921年 | 空港ターミナル | 航空路線の端 |
| 1954年 | コンピュータ端末 | システムの端 |
言葉そのものは変わっていません。「端っこ」という一つのイメージが、時代ごとに新しい”端っこ”を見つけて住みついただけ。だから「端末」という日本語訳も、実はかなり語源に忠実です。
ちなみに、鉄道の終着駅をイギリス英語では terminus と呼ぶことが多く、アメリカ英語では terminal が一般的です。ロンドンの古い駅名に terminus が残っているのは、そのためですね。
形容詞の terminal には、19世紀以降「死に至る」という重い意味も加わりました(terminal illness)。こちらは「もう先がない=最後の」から素直に伸びた使い方です。
termin(境界)でつながる単語ネットワーク
「ここまで、という線を引く」。このイメージを持ったまま、一族を眺めてみてください。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| terminus | 終点、終着駅 | ラテン語がそのまま英語に |
| terminate | 終わらせる、打ち切る | 線を引いて、そこで区切る |
| termination | 終了、(雇用の)打ち切り | terminate の名詞形 |
| terminator | 終わらせる者/(天文)明暗境界線 | 「限界を定める者」 |
| term | 期間、学期、用語、条件 | 区切られたひと区切り |
| terminology | 専門用語、術語 | 意味を区切った語の体系 |
| determine | 決める、決定する | de(しっかり)+境界を引ききる |
| determination | 決定、決意 | 線を引いた、その固さ |
| exterminate | 根絶する、駆除する | ex termine=境界の外へ追い出す |
| interminable | 終わりのない、果てしない | in(否定)=線が引かれない |
| conterminous | 境界を接している | con(共に)+境界 |
太字の3語を、もう少しだけ。
term は1200年ごろに「期限、定められた期間」として英語に入りました。学期(term)も契約条件(terms)も、「ここからここまで」と線が引かれたひと区切りです。「用語」の意味は14世紀末から。中世ラテン語で terminus がギリシャ語の horos(境界)の訳語として論理学・数学に使われたことが背景にあります。専門用語とは、意味の輪郭に線を引いた言葉なんですね。
determine は de + terminare で「囲い込む、限界を定める」。14世紀末には「決める」の意味になっています。日本語の「決める」はぼんやりしていますが、英語の determine は選択肢の周りに線をぐるりと引いて、外側を切り捨てる感じ。determination(決意)が強い言葉なのも、これで納得がいきます。
exterminate は ex termine(境界の外へ)から。1540年代は「追い払う」という、わりと穏やかな意味でした。「完全に滅ぼす」という今の強さになったのは1640年代からです。
派生語|terminal まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| terminal | 名詞・形容詞 | ターミナル、端子/終わりの | ターミナル /ˈtɜːrmɪnəl/ |
| terminally | 副詞 | 末期的に、最終的に | ターミナリー |
| terminate | 動詞 | 終わらせる、打ち切る | ターミネイト /ˈtɜːrmɪneɪt/ |
| termination | 名詞 | 終了、解約 | ターミネイション |
| terminus | 名詞 | 終点、終着駅 | ターミナス /ˈtɜːrmɪnəs/ |
TOEIC・英検での出題傾向
terminal は、TOEIC では出張・移動の場面で定番です。airport terminal、bus terminal、terminal building が案内文やアナウンスに出てきます。
むしろ押さえておきたいのは動詞の terminate のほう。terminate a contract(契約を打ち切る)、terminate an agreement は、Part 5 の語彙問題でも契約書の読解でも顔を出します。名詞の termination(解約・終了)とセットで覚えておくと安心です。
英検では、terminal は準2級〜2級レベル。terminate・determine は2級以上で見かけます。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- The bus terminal is only five minutes from here.
- We first met at the airport terminal.
- Every train line has a terminal, and every journey has a start.
- You can charge the battery at the terminal on the left.
- This is not a terminal point. It is a turning point.
- The terminal was crowded, but everyone looked excited.
- Think of today as a terminal, not as an ending.
- She waved at the terminal gate until we were out of sight.
- When you reach a terminal, remember that another line begins there.
- Your terminal today may be someone else’s starting line.
語源メモ|境界の神テルミヌスと、1734年のターミネーター
terminal は、ラテン語 terminalis(境界や終わりに属する)から。その元が terminus(終わり、限界、境界線)です。英語に単独の名詞 terminus として入ったのは1610年代でした。
印欧祖語では *ter-men-(杭、柱)に再構されます。語根 *ter- は「杭、柱、境界、目印、ゴール」を表す語群の土台で、ギリシャ語 terma(境界、終点)も同じ家系です。先ほど触れたド・ファーンの指摘のとおり、元は境界石という具体物を指していたと考えられています。
古代ローマには、その名も Terminus という神がいました。境界と標識を司る神で、しばしば頭と胸だけの半身像で表されます。足がないのは、動かないからでしょうね。この神を祀る Terminalia という祭りは2月23日に行われ、これはローマの古い暦で一年の終わりにあたる日でした。境界の神が、年の境目に祀られる。きれいに筋が通っています。
そして terminator。1734年、天文学の用語として登場します。意味は「月や惑星の、明るい部分と暗い部分を分ける境界線」。ラテン語 terminator は文字どおり「限界を定める者、境界を引く者」です。「(何かを)終わらせる者」という意味が記録されるのは1844年から。映画は1984年ですから、言葉のほうが250年先輩でした。
夜の月を見上げたとき、明暗を分けているあの曲線。あれが terminator です。知ってしまうと、もう別の見え方になりますよね。
ひとつ注意点を。意味の近い limit は、まったく別の語源です(ラテン語 limes「境界、道の境」)。似た仕事をする単語でも家系は違うので、混ぜないようにしておくと安全です。
なお、印欧祖語 *ter- は「突き抜ける」系の語(英語 through の古英語形 þurh など)とも同じ根にさかのぼるとされますが、これは再構による遠い関係です。確定した事実ではないので、目安程度に。
まとめ
terminal は、termin(境界)+ al で「端にあるもの、終わりの」。
- 意味の中心・・・「終わり」の前に「ここまで、と線を引くこと」
- 語源・・・ラテン語 terminus(境界線)、元は畑に打つ境界石
- 広がり・・・terminate/term/terminology/determine/exterminate/interminable
- おまけ・・・terminator は1734年の天文用語で「月の明暗の境界線」
空港のターミナルも、契約の terminate も、決意の determination も、やっていることは同じ。一本の線を引いて、「ここまで」と決めることです。

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翻訳練習の解答例
- バスターミナルは、ここからたった5分のところにある。
- 私たちが初めて会ったのは、空港のターミナルだった。
- どの路線にも終点があり、どの旅にも始まりがある。
- 左側の端子でバッテリーを充電できます。
- ここは終点じゃない。曲がり角だ。
- ターミナルは混んでいたけれど、みんな楽しそうな顔をしていた。
- 今日を、終わりではなく「ひとつの終着点」だと考えてみよう。
- 彼女はターミナルのゲートで、私たちが見えなくなるまで手を振っていた。
- 終点にたどり着いたら、思い出してほしい。そこから別の路線が始まっている。
- あなたにとっての終点が、誰かにとってのスタートラインかもしれない。
集録語彙リスト
この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。
NAWL(New Academic Word List)集録語
この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project
TSL(TOEIC Service List)集録語
この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project
BSL(Business Service List)集録語
この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project


