PR

【語源で覚える】afterward|隠れた “ward” は、あのアワードと同じ?

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

▶︎ 詳しいプロフィールはこちら

映画のエンドロールで見かける「アワード受賞」の award。警備員の guard。病院の ward(病棟)。どれも「守る・見張る」の匂いがします。

では、afterward(その後)の後ろにいる ward は?

同じ顔をしているので、つい「守る」の仲間だと思ってしまいます。ところがこれ、まったく別のルートからやって来た ward なんです。正体がわかると、awkward(気まずい)や weird(奇妙な)といった、一見バラバラな単語が一本の線でつながります。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

afterward を分解してイメージで覚える

afterward をパーツで見ると、こうなります。

after(後ろ・後)+ ward(〜の方を向いた)

覚え方の手がかりとして、まず -ward を「向き」の記号だと思ってください。forward(前の方へ)、backward(後ろの方へ)、upward(上の方へ)、homeward(家の方へ)。どれも「〜の方を向いて」です。

afterward も同じで、「後の方を向いて」・・・つまり「その後で、のちに」。時間の流れの中で、体の向きを少し後ろにずらしているイメージです。

※ 正確には、この -ward は古英語の -weard「〜の方を向いた」で、award・guard・warden の ward(見張る・守る)とは別ルートです。綴りが同じになっただけの他人、と整理しておくと混乱しません(くわしくは語源メモで)。

スポンサーリンク

afterward の基本の意味と使い方

afterward は「その後」「のちに」を表す副詞です。何かが起きた後の時間を指します。

  • We had dinner, and afterward we walked home.(夕食をとって、その後は歩いて帰った)
  • Shortly afterward, she got the job.(その少し後に、彼女はその仕事を得た)
  • Soon afterward, things started to change.(まもなく、物事が変わりはじめた)

前置詞の after が「〜の後に」と何かを従えるのに対して、afterward は単独で「その後」と置ける副詞です。after that とほぼ同じ役割ですが、afterward の方が一語で収まるぶん、文がすっきりします。

afterward と afterwards|s はつける?つけない?

辞書を引くと、afterward と afterwards が両方出てきます。意味の差はありません。違いは地域です。

形主に使う地域補足
afterwardアメリカ英語AP・NYTのスタイルガイドは -s なしを指定
afterwardsイギリス英語英では -s つきが優勢

同じことが toward/towards、backward/backwards、upward/upwards にも当てはまります。アメリカは -s なし、イギリスは -s ありと覚えておけば、まず困りません。

この末尾の -s は、古い英語の副詞をつくる形の名残です(always や nowadays の -s と同じ仲間)。どちらを使っても間違いではないので、一つの文章の中で揃えることだけ意識すれば大丈夫です。

“-ward(〜の方を向いた)” でつながる単語ネットワーク

-ward は接尾辞なので、いろんな語にくっついて「方向」を足します。知っている語ばかりですが、並べると気持ちよくそろいます。

単語意味分解
forward前方へfore(前)+ward
backward後方へback(後ろ)+ward
toward〜の方へto(〜へ)+ward
inward内側へin(中)+ward
outward外側へout(外)+ward
upward上方へup(上)+ward
downward下方へdown(下)+ward
homeward家路についてhome(家)+ward
westward西へwest(西)+ward
awkwardぎこちない、気まずいawk(逆向きの)+ward

最後の awkward だけ、意味が急に変わって見えます。これは古ノルド語由来の awk「逆を向いた」に -ward がついた形で、もとは「間違った方向へ」。向きが逆だからぎこちない、というわけです。英会話で「ちょっと気まずい空気」を指す awkward が、実は方向の話だったというのは、知っておくと忘れません。

“ward(見張る・守る)” でつながる単語ネットワーク

一方、冒頭で挙げた「守る」の ward。こちらはまったく別の家族です。印欧祖語 *wer-「知覚する・見張る」から来ています。

単語意味由来のイメージ
ward病棟、保護、被後見人見守られている場所・人
warden管理人、所長見張る人
guard守る、警備員ward と同語源の双子
guardian保護者guard する人
award賞、授与する「よく見て判断する」から
reward報酬、報いるre+ward=見て報いる
aware気づいている見張っている状態
beware用心するbe+ware
wary用心深い同上
steward世話役、客室乗務員sty(家畜小屋)+ward=家畜番
wardrobe衣装だんすward(守る)+robe(衣服)

guard と ward が同じ語の兄弟なのは、フランス語経由で入った形(g-)と、ノルマン系で w- のまま残った形の違いです。guarantee と warranty、guardian と warden も同じペアになっています。

ついでに言うと award は「es-(外へ)+ warder(見る)」で、もとは「よく見て判断を下す」。賞を”授ける”より先に、”見極める”が来ていたわけです。

afterward と同じ根を持つ、意外な一族

ここからが、この記事のいちばんおもしろいところかもしれません。

-ward のもとになった印欧祖語 *wer-(2)「回る・曲がる」は、ラテン語の vertere(回る・向きを変える) の源でもあります。つまり、universe・convert・reverse・adverse・version・diverse といった vers/vert 一族と、afterward の -ward は、はるか昔にさかのぼると同じ根なのです。

単語意味つながり方
universe宇宙uni(1つ)+vers(回る)
convert変換するcon+vert(向きを変える)
reverse逆にするre(後ろへ)+vers
version版向きを変えて作った形
weird奇妙な古英語 wyrd「運命」=「めぐってくるもの」
worth価値がある「〜に向かう・〜に相当する」から
wrist手首「回る」関節
wrong間違った「ねじれた」から

weird の変化が特にドラマチックです。古英語の wyrd は「運命」。文字どおり「身の上にめぐってくるもの」でした。シェイクスピアの『マクベス』に出てくる weird sisters は「奇妙な三姉妹」ではなく、本来は運命を司る三姉妹です。現代の「奇妙な」という意味で使われ出したのは、19世紀初めごろ。「回る→めぐってくる→運命→不気味→奇妙」と転がってきたことになります。

手首の wrist が「回る関節」、wrong が「ねじれている」というのも、この一族だと知れば納得です。

派生語|afterward まわり

単語品詞意味発音
afterward副詞その後、のちにアフターワード /ˈæftərwərd/
afterwards副詞その後(英用法寄り)アフターワーズ /ˈæftərwərdz/
afterwards―※意味は afterward と同じ―
aftermath名詞(災害などの)余波アフターマス /ˈæftərmæθ/
afterthought名詞後から思いついたことアフターソート /ˈæftərθɔːt/

TOEIC・英検での出題傾向

afterward は、TOEIC の Part 3・Part 4 で出来事の順序を聞き取らせるときによく顔を出します。「会議の後に何をするか」を問う設問で、shortly afterward/soon afterward という形で流れてくるパターンです。Part 7 の読解でも、時系列を追わせる文章の接続語として登場します。

英検では準2級〜2級あたりで出会う語です。語彙問題より、長文の流れをつかむ場面で効いてきます。地味ですが、読むスピードに直結する一語です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. We talked for hours, and afterward I felt lighter.
  2. Shortly afterward, the rain stopped.
  3. She was nervous at first, but afterward she smiled.
  4. Take your time now, and rest afterward.
  5. You may not see it now, but afterward you will.
  6. He apologized afterward, and that mattered.
  7. Soon afterward, the room was quiet again.
  8. Do the hard part first, and the easy part afterward.
  9. Afterward, you will remember how far you walked.
  10. Say thank you afterward, even to yourself.

語源メモ|同じ綴りの、別々の ward

afterward は、古英語の æfterwearde「後ろに、後方に」に由来します。分けると æft(後)(aft と同語源)と、方向を表す接尾辞 -weard。その後、after の影響を受けて現在の形に広がりました。

この -weard は古英語で「〜の方を向いた」。ゲルマン祖語 *werda- を経て、印欧祖語 ***wer-(2)「回る・曲がる」**にさかのぼります。「その方向に向きを変えている」というのが、もともとのイメージです。

一方、病棟や award の ward は古英語 weard「守ること、見張り、番人」。ゲルマン祖語 *wardaz から、印欧祖語 ***wer-(3)「知覚する・見張る」**へ。綴りも音もそっくりですが、出発点が違います。

ややこしいことに、辞書では同じ *wer- という表記に (2) (3) と番号を振って区別しています。英語に入ってきた時点で形が重なってしまったため、現代英語の見た目だけでは判別できません。「方向の -ward」と「見張る ward」は別物、と覚えてしまうのがいちばん早いです。

なお、-ward と vertere(回る)のつながり、および wyrd・worth・wrist などを同じ *wer-(2) にまとめる整理は、Watkins らの再構に基づくものです。印欧祖語レベルの話なので「遠い親戚」くらいの距離感で受け止めておくのが安全ですが、「回る・向く」というイメージが共通していることは、記憶の助けとして十分役に立ちます。

まとめ

afterward は、after(後)+ -ward(〜の方を向いた)で「後の方を向いて」=その後、のちに。

  • -ward・・・方向。forward/backward/toward/awkward などの一族へ
  • ward(別語源)・・・見張る・守る。guard/warden/award/reward/aware などの一族へ
  • 綴りが同じでも中身は別。-ward は遠くたどると universe・convert の vert・vers と同じ「回る」に行き着く

向きを少しだけ後ろにずらす。それが afterward です。

afterward の語源ワードマップ。中心は afterward(=後の方を向いて)で、after(後)+-ward(〜の方を向いた)に分解。-ward(向き)一族(forward / backward / toward / inward / outward / upward / downward / awkward)と、綴りは同じだが別語源の ward(見張る)一族(guard / warden / award / reward / aware / steward / wardrobe)を対比させた図。覚え方のヒント(ward=守る、ではなく「向き」の記号)も記載。
  • 語源・中心:after(後)+ -ward(〜の方を向いた)=「後の方を向いて」
  • 覚え方のヒント:ward=守る・・・ではなく「向き」の記号
  • -ward(向き)一族:forward/backward/toward/inward/outward/awkward
  • ward(見張る)一族:guard/warden/award/reward/aware/steward

関連記事(内部リンク)

【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶フックで芋づる式に覚える
英単語を最小限の労力でマスターする「語源+パーツ分解」の全リスト。学術的に正確な語源データと、タイパ(時短)を追求した記憶フックを完全分離して掲載。芋づる式に派生語を暗記し、実務やニュースで使える英語力を最速で身につけましょう。

翻訳練習の解答

  1. 何時間も話して、その後、心が軽くなった。
  2. その少し後に、雨がやんだ。
  3. 彼女は最初は緊張していたが、その後は笑っていた。
  4. いまはゆっくりやって、後で休もう。
  5. いまは見えないかもしれない。でも、後でわかる。
  6. 彼は後から謝った。そのことに意味があった。
  7. まもなく、部屋はまた静かになった。
  8. 大変なところを先に。楽なところは後で。
  9. 後になって、自分がどれだけ歩いたかを思い出すはずだ。
  10. 後でお礼を言おう。自分自身にも。

集録語彙リスト

この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。

NAWL(New Academic Word List)集録語

この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project

TSL(TOEIC Service List)集録語

この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project

BSL(Business Service List)集録語

この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project