映画のエンドロールで見かける「アワード受賞」の award。警備員の guard。病院の ward(病棟)。どれも「守る・見張る」の匂いがします。
では、afterward(その後)の後ろにいる ward は?
同じ顔をしているので、つい「守る」の仲間だと思ってしまいます。ところがこれ、まったく別のルートからやって来た ward なんです。正体がわかると、awkward(気まずい)や weird(奇妙な)といった、一見バラバラな単語が一本の線でつながります。
afterward を分解してイメージで覚える
afterward をパーツで見ると、こうなります。
after(後ろ・後)+ ward(〜の方を向いた)
覚え方の手がかりとして、まず -ward を「向き」の記号だと思ってください。forward(前の方へ)、backward(後ろの方へ)、upward(上の方へ)、homeward(家の方へ)。どれも「〜の方を向いて」です。
afterward も同じで、「後の方を向いて」・・・つまり「その後で、のちに」。時間の流れの中で、体の向きを少し後ろにずらしているイメージです。
※ 正確には、この -ward は古英語の -weard「〜の方を向いた」で、award・guard・warden の ward(見張る・守る)とは別ルートです。綴りが同じになっただけの他人、と整理しておくと混乱しません(くわしくは語源メモで)。
afterward の基本の意味と使い方
afterward は「その後」「のちに」を表す副詞です。何かが起きた後の時間を指します。
- We had dinner, and afterward we walked home.(夕食をとって、その後は歩いて帰った)
- Shortly afterward, she got the job.(その少し後に、彼女はその仕事を得た)
- Soon afterward, things started to change.(まもなく、物事が変わりはじめた)
前置詞の after が「〜の後に」と何かを従えるのに対して、afterward は単独で「その後」と置ける副詞です。after that とほぼ同じ役割ですが、afterward の方が一語で収まるぶん、文がすっきりします。
afterward と afterwards|s はつける?つけない?
辞書を引くと、afterward と afterwards が両方出てきます。意味の差はありません。違いは地域です。
| 形 | 主に使う地域 | 補足 |
|---|---|---|
| afterward | アメリカ英語 | AP・NYTのスタイルガイドは -s なしを指定 |
| afterwards | イギリス英語 | 英では -s つきが優勢 |
同じことが toward/towards、backward/backwards、upward/upwards にも当てはまります。アメリカは -s なし、イギリスは -s ありと覚えておけば、まず困りません。
この末尾の -s は、古い英語の副詞をつくる形の名残です(always や nowadays の -s と同じ仲間)。どちらを使っても間違いではないので、一つの文章の中で揃えることだけ意識すれば大丈夫です。
“-ward(〜の方を向いた)” でつながる単語ネットワーク
-ward は接尾辞なので、いろんな語にくっついて「方向」を足します。知っている語ばかりですが、並べると気持ちよくそろいます。
| 単語 | 意味 | 分解 |
|---|---|---|
| forward | 前方へ | fore(前)+ward |
| backward | 後方へ | back(後ろ)+ward |
| toward | 〜の方へ | to(〜へ)+ward |
| inward | 内側へ | in(中)+ward |
| outward | 外側へ | out(外)+ward |
| upward | 上方へ | up(上)+ward |
| downward | 下方へ | down(下)+ward |
| homeward | 家路について | home(家)+ward |
| westward | 西へ | west(西)+ward |
| awkward | ぎこちない、気まずい | awk(逆向きの)+ward |
最後の awkward だけ、意味が急に変わって見えます。これは古ノルド語由来の awk「逆を向いた」に -ward がついた形で、もとは「間違った方向へ」。向きが逆だからぎこちない、というわけです。英会話で「ちょっと気まずい空気」を指す awkward が、実は方向の話だったというのは、知っておくと忘れません。
“ward(見張る・守る)” でつながる単語ネットワーク
一方、冒頭で挙げた「守る」の ward。こちらはまったく別の家族です。印欧祖語 *wer-「知覚する・見張る」から来ています。
| 単語 | 意味 | 由来のイメージ |
|---|---|---|
| ward | 病棟、保護、被後見人 | 見守られている場所・人 |
| warden | 管理人、所長 | 見張る人 |
| guard | 守る、警備員 | ward と同語源の双子 |
| guardian | 保護者 | guard する人 |
| award | 賞、授与する | 「よく見て判断する」から |
| reward | 報酬、報いる | re+ward=見て報いる |
| aware | 気づいている | 見張っている状態 |
| beware | 用心する | be+ware |
| wary | 用心深い | 同上 |
| steward | 世話役、客室乗務員 | sty(家畜小屋)+ward=家畜番 |
| wardrobe | 衣装だんす | ward(守る)+robe(衣服) |
guard と ward が同じ語の兄弟なのは、フランス語経由で入った形(g-)と、ノルマン系で w- のまま残った形の違いです。guarantee と warranty、guardian と warden も同じペアになっています。
ついでに言うと award は「es-(外へ)+ warder(見る)」で、もとは「よく見て判断を下す」。賞を”授ける”より先に、”見極める”が来ていたわけです。
afterward と同じ根を持つ、意外な一族
ここからが、この記事のいちばんおもしろいところかもしれません。
-ward のもとになった印欧祖語 *wer-(2)「回る・曲がる」は、ラテン語の vertere(回る・向きを変える) の源でもあります。つまり、universe・convert・reverse・adverse・version・diverse といった vers/vert 一族と、afterward の -ward は、はるか昔にさかのぼると同じ根なのです。
| 単語 | 意味 | つながり方 |
|---|---|---|
| universe | 宇宙 | uni(1つ)+vers(回る) |
| convert | 変換する | con+vert(向きを変える) |
| reverse | 逆にする | re(後ろへ)+vers |
| version | 版 | 向きを変えて作った形 |
| weird | 奇妙な | 古英語 wyrd「運命」=「めぐってくるもの」 |
| worth | 価値がある | 「〜に向かう・〜に相当する」から |
| wrist | 手首 | 「回る」関節 |
| wrong | 間違った | 「ねじれた」から |
weird の変化が特にドラマチックです。古英語の wyrd は「運命」。文字どおり「身の上にめぐってくるもの」でした。シェイクスピアの『マクベス』に出てくる weird sisters は「奇妙な三姉妹」ではなく、本来は運命を司る三姉妹です。現代の「奇妙な」という意味で使われ出したのは、19世紀初めごろ。「回る→めぐってくる→運命→不気味→奇妙」と転がってきたことになります。
手首の wrist が「回る関節」、wrong が「ねじれている」というのも、この一族だと知れば納得です。
派生語|afterward まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| afterward | 副詞 | その後、のちに | アフターワード /ˈæftərwərd/ |
| afterwards | 副詞 | その後(英用法寄り) | アフターワーズ /ˈæftərwərdz/ |
| afterwards | ― | ※意味は afterward と同じ | ― |
| aftermath | 名詞 | (災害などの)余波 | アフターマス /ˈæftərmæθ/ |
| afterthought | 名詞 | 後から思いついたこと | アフターソート /ˈæftərθɔːt/ |
TOEIC・英検での出題傾向
afterward は、TOEIC の Part 3・Part 4 で出来事の順序を聞き取らせるときによく顔を出します。「会議の後に何をするか」を問う設問で、shortly afterward/soon afterward という形で流れてくるパターンです。Part 7 の読解でも、時系列を追わせる文章の接続語として登場します。
英検では準2級〜2級あたりで出会う語です。語彙問題より、長文の流れをつかむ場面で効いてきます。地味ですが、読むスピードに直結する一語です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- We talked for hours, and afterward I felt lighter.
- Shortly afterward, the rain stopped.
- She was nervous at first, but afterward she smiled.
- Take your time now, and rest afterward.
- You may not see it now, but afterward you will.
- He apologized afterward, and that mattered.
- Soon afterward, the room was quiet again.
- Do the hard part first, and the easy part afterward.
- Afterward, you will remember how far you walked.
- Say thank you afterward, even to yourself.
語源メモ|同じ綴りの、別々の ward
afterward は、古英語の æfterwearde「後ろに、後方に」に由来します。分けると æft(後)(aft と同語源)と、方向を表す接尾辞 -weard。その後、after の影響を受けて現在の形に広がりました。
この -weard は古英語で「〜の方を向いた」。ゲルマン祖語 *werda- を経て、印欧祖語 ***wer-(2)「回る・曲がる」**にさかのぼります。「その方向に向きを変えている」というのが、もともとのイメージです。
一方、病棟や award の ward は古英語 weard「守ること、見張り、番人」。ゲルマン祖語 *wardaz から、印欧祖語 ***wer-(3)「知覚する・見張る」**へ。綴りも音もそっくりですが、出発点が違います。
ややこしいことに、辞書では同じ *wer- という表記に (2) (3) と番号を振って区別しています。英語に入ってきた時点で形が重なってしまったため、現代英語の見た目だけでは判別できません。「方向の -ward」と「見張る ward」は別物、と覚えてしまうのがいちばん早いです。
なお、-ward と vertere(回る)のつながり、および wyrd・worth・wrist などを同じ *wer-(2) にまとめる整理は、Watkins らの再構に基づくものです。印欧祖語レベルの話なので「遠い親戚」くらいの距離感で受け止めておくのが安全ですが、「回る・向く」というイメージが共通していることは、記憶の助けとして十分役に立ちます。
まとめ
afterward は、after(後)+ -ward(〜の方を向いた)で「後の方を向いて」=その後、のちに。
- -ward・・・方向。forward/backward/toward/awkward などの一族へ
- ward(別語源)・・・見張る・守る。guard/warden/award/reward/aware などの一族へ
- 綴りが同じでも中身は別。-ward は遠くたどると universe・convert の vert・vers と同じ「回る」に行き着く
向きを少しだけ後ろにずらす。それが afterward です。

- 語源・中心:after(後)+ -ward(〜の方を向いた)=「後の方を向いて」
- 覚え方のヒント:ward=守る・・・ではなく「向き」の記号
- -ward(向き)一族:forward/backward/toward/inward/outward/awkward
- ward(見張る)一族:guard/warden/award/reward/aware/steward
関連記事(内部リンク)
- convert の語源(変換する)→ https://isseisuzuki.org/convert/
- invert の語源(逆さにする)→ https://isseisuzuki.org/invert/
- anniversary と vers(回る)の記憶術 → https://isseisuzuki.org/アニバーサリー/
- adverse の語源(逆の・不利な)→ https://isseisuzuki.org/vers-vert/
- sometime/sometimes の s の話 → [URLを挿入]
- 英単語の語源・パーツ分解 全リスト
👇 → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/

翻訳練習の解答
- 何時間も話して、その後、心が軽くなった。
- その少し後に、雨がやんだ。
- 彼女は最初は緊張していたが、その後は笑っていた。
- いまはゆっくりやって、後で休もう。
- いまは見えないかもしれない。でも、後でわかる。
- 彼は後から謝った。そのことに意味があった。
- まもなく、部屋はまた静かになった。
- 大変なところを先に。楽なところは後で。
- 後になって、自分がどれだけ歩いたかを思い出すはずだ。
- 後でお礼を言おう。自分自身にも。
集録語彙リスト
この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。
NAWL(New Academic Word List)集録語
この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project
TSL(TOEIC Service List)集録語
この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project
BSL(Business Service List)集録語
この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project


