英語を書いていて、ふと手が止まる瞬間があります。
「来週のどこかで会いましょう」は、sometime next week だったか、sometimes next week だったか。あるいは some time と2語で書くのが正解だったか。
この3つ、見た目はほとんど同じなのに、中身はまったく別物です。そして面白いのは、その違いが語源をたどると一本の線でつながること。s の正体さえわかれば、もう迷いません。
さらにこの単語、分解すると意外な顔を見せます。time という誰もが知っている語が、実は海の潮(tide)と同じ語源だったり、some が元々「1つ」の意味だったり。中学で習う一番やさしい単語ほど、掘ると深い・・・この記事は、その実例です。
sometime を分解してイメージで覚える
sometime はパーツで見ると、驚くほど素直です。
some(ある・いくつかの)+ time(時)=「ある時に」
古英語の時代、sumtime という形で「ある時か、別のある時か」という意味で使われていました。今の「いつか」という意味は14世紀後期から。意味の中心は、時間軸のどこかにポツンと打たれた、場所の特定できない点です。
ここが大事なところ。sometime が指しているのは「点」であって、「幅」ではありません。この一点だけ押さえておくと、次のセクションの使い分けが驚くほど簡単になります。
sometime の基本の意味と使い方
sometime には、副詞と形容詞の2つの顔があります。
副詞「いつか、ある時に」
- Let’s meet sometime.(いつか会いましょう)
- I saw him sometime last year.(去年のいつか、彼に会った)
- Call me sometime next week.(来週のどこかで電話して)
未来にも過去にも使えます。at some point(ある時点で)に置き換えられたら、sometime が正解です。
形容詞「かつての、元〜の」
- a sometime professor(元教授)
- the sometime mayor of the city(その市の元市長)
こちらは15世紀後期からの用法で、ややかたい・文章語的な響きがあります。「以前ある時期にそうだった」という副詞の意味が、そのまま形容詞になったものです。履歴書や人物紹介の英文で出会うことがあります。
なお、形容詞の sometime を「時々の、たまの」の意味で使う人もいますが、この用法はすべての辞書・編集者に受け入れられているわけではありません。誤解を避けたいときは、occasional など別の語を選ぶのが安全です。
使い分け|sometime・sometimes・some time
ここが、この記事の本題です。3つを一枚の表に並べます。
| 形 | 品詞 | 意味 | 答えている問い | 言い換えテスト |
|---|---|---|---|---|
| sometime | 副詞 | いつか、ある時に | いつ? | at some point に置き換えられる |
| sometimes | 副詞 | 時々、時には | どのくらいの頻度で? | occasionally に置き換えられる |
| some time | 名詞句 | しばらくの間、ある程度の時間 | どのくらいの長さ? | a long time に置き換えられる |
実例で並べると、違いがはっきりします。
- sometime:I will finish it sometime next week.(来週のどこかで終わらせます)
- sometimes:I sometimes work on weekends.(時々、週末も働きます)
- some time:It will take some time to finish.(終わるには時間がかかります)
迷ったときの判定法は一つだけ。「a long time(長い時間)」を入れて意味が通るなら、2語の some time。通らないなら1語の sometime です。
- It will take ( a long time ) to finish. → 通る → some time
- Let’s meet ( a long time ) next week. → 通らない → sometime
そして最後の s。これは複数形の s ではありません。次のセクションで、その正体を見ていきます。
-s でつながる単語ネットワーク|「副詞を作る s」
sometimes は1520年代、sometime の末尾に -s が付いて生まれた比較的新しい語です。この s は「副詞の属格(adverbial genitive)」と呼ばれる、古英語の名残。名詞に -es を付けて副詞として使う、という昔のやり方の化石です。
同じ s を持つ仲間は、実はかなり身近にいます。
| 単語 | 意味 | 元の形 |
|---|---|---|
| always | いつも | all way + s |
| nowadays | 近ごろは | now a days(今の日々に) |
| unawares | 不意に | unaware + s |
| besides | その上、〜のほかに | beside + s |
| towards | 〜の方へ | toward + s |
| backwards | 後ろ向きに | backward + s |
| sideways | 横向きに | sideway + s |
| once / twice / thrice | 1度/2度/3度 | -ce は元々 -es の綴り |
always が「all way(すべての道)+ s」だと知ると、sometimes が「some time + s」なのも自然に見えてきます。always と sometimes は、同じ作り方で生まれた兄弟なんです。
「いつも」と「時々」。意味は正反対なのに、構造はそっくり。こうして並べると、s が「頻度を表す副詞にする」働きをしているのが見えてきます。
time でつながる単語ネットワーク|潮の満ち引きと同じ語源
ここからは、知っておくと一生忘れない話です。
time は古英語 tima にさかのぼり、ゲルマン祖語 *tima- を経て、印欧祖語の語根 *da-「分ける」 に行き着きます。つまり time の意味の中心は、「区切られた、ひと区切り」。流れ続けるものを人間が切り分けたもの、それが「時間」です。
そして同じ *da- から、もう一つ有名な語が生まれています。
| 単語 | 意味 | つながり |
|---|---|---|
| time | 時、時間 | *da(分ける)=区切られたひと区切り |
| tide | 潮の満ち引き | 古英語 tīd は「時・時期・定刻」。「定刻」→「潮の時刻」へ |
| tidings | 便り、知らせ | tide(その時に起きたこと)から |
| timely | ちょうどよい時の | time + -ly |
| timeless | 時を超えた | time + -less |
| betimes | 早めに、折にふれて | be + time +(あの副詞の -s) |
| Zeit(ドイツ語) | 時 | tide と同じ *di-ti- 由来 |
英語のことわざに Time and tide wait for no man.(歳月人を待たず)があります。time と tide を並べた言い回しですが、語源を知ると見え方が変わります。この tide は本来「時」の意味で、同じ語を2回重ねて言い切っている・・・そう読むと、この一文の重みが少し違って感じられませんか。
ちなみに、ギリシャ語 dēmos(民衆)も同じ *da- に由来する可能性が指摘されています。「社会を分けたもの」が原義ではないか、という見立てです。もしそうなら democracy(民主主義)も遠い親戚ということになりますが、この接続は辞書も「おそらく」と留保をつけているので、ここでは豆知識として置いておきます。
some でつながる単語ネットワーク|元の意味は「1つ」
もう一方の some も、たどると意外な場所に出ます。
古英語 sum、ゲルマン祖語 *sumaz を経て、印欧祖語の語根 *sem-「1つ、1つとして、共に」。つまり some の出発点は「1つ」でした。そこから「ある1つの」→「ある不特定の」→「いくつかの」と意味が広がっていったわけです。
まずは、綴りで素直につながる some 一族から。
| 単語 | 意味 |
|---|---|
| something | 何か |
| someone / somebody | 誰か |
| somewhere | どこかで |
| somehow | どうにかして |
| someday | (未来の)いつか |
| somewhat | いくぶん、やや |
これらの多くは中英語の時代からありましたが、17〜19世紀までは2語で書かれることも多かったとされています。sometime と some time が今も両方生き残っているのは、その名残です。くっつくかどうかで意味が分かれた、というわけですね。
-some の正体は3種類ある
ここは、知らないと必ず混乱するポイントです。英単語の末尾に付く -some には、まったく別系統のものが3つあります。
| 種類 | 例 | 正体 |
|---|---|---|
| -some ① 形容詞を作る | awesome / handsome / troublesome / wholesome / winsome | 古英語 -sum。some と同じ語で「〜しがちな、〜に満ちた」 |
| -some ② 数詞に付く | twosome / threesome / foursome | 古英語 sum の代名詞用法(「6人のうちの1組」の形から) |
| -some ③ 「体」を表す | chromosome / ribosome / lysosome | ギリシャ語 sōma「体」。①②とは完全に別語源 |
awesome(すごい)の -some が some と同じ語だ、というのは言われてみれば納得です。awe(畏敬)に満ちている、ということですから。handsome も元は hand + some で「手ごろな、扱いやすい」あたりが出発点でした。
一方、chromosome(染色体)の -some はギリシャ語で「体」。綴りが同じでも中身は完全に無関係です。ここを混同しないだけで、理科系の英単語を見る目がぐっと正確になります。
なお *sem-(1つ)の一族には same・similar・simple・single・simultaneous といった大家族がいます。この広がりは simplicity の記事で詳しく扱っているので、そちらをどうぞ。
派生語|sometime まわり
| 語形 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| sometime | 副詞 | いつか、ある時に | サムタイム /ˈsʌmtaɪm/ |
| sometime | 形容詞 | かつての、元〜の | サムタイム /ˈsʌmtaɪm/ |
| sometimes | 副詞 | 時々、時には | サムタイムズ /ˈsʌmtaɪmz/ |
| some time | 名詞句 | しばらくの間 | サムタイム |
| someday | 副詞 | (未来の)いつか | サムデイ /ˈsʌmdeɪ/ |
| somewhat | 副詞 | いくぶん、やや | サムワット /ˈsʌmwʌt/ |
TOEIC・英検での出題傾向
sometimes は日常表現として非常に頻度が高く、英検でもリスニング・読解の両方で当たり前のように出てきます。一方 sometime(s なし)は、ビジネス英語で sometime next week / sometime this month / sometime in April といった形で、日程を曖昧に伝えるときによく使われます。TOEIC のメール・案内文のパートで目にする形です。
試験対策として実利があるのは、やはり sometime / sometimes / some time の書き分け。空所補充や語形識別の問題で、意味の違いを問われる可能性があります。「いつ?」「どのくらいの頻度で?」「どのくらいの長さ?」の3択で判断する習慣をつけておくと、本番で手が止まりません。
英作文(ライティング)でも差が出るところです。「しばらく時間がかかります」を sometime と1語で書いてしまうミスは、実際によく見かけます。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Let’s have lunch together sometime.
- I will call you sometime next week.
- She was a sometime teacher at this school.
- Sometime soon, you will look back on today and smile.
- We first met sometime in the spring of last year.
- You will understand it sometime, even if it takes some time.
- Let’s talk about it sometime, not right now.
- He is a sometime musician who now runs a small café.
- Drop by sometime; the door is always open.
- Sometime, somewhere, your work will reach someone.
語源メモ|some と time、そして s の正体
sometime は古英語後期の sumtime「ある時か別の時か」にさかのぼります。some と time の単純な複合語で、語源と意味にズレはありません。中英語には sumtide(14世紀初頭)という、tide を使った形も存在しました。
「不特定の未来のいつか」の意味は14世紀後期から。形容詞「かつての、元〜の」は15世紀後期からで、「過去のある時期にそうだった」という副詞の意味が形容詞化したものです。
sometimes は1520年代。sometime に副詞の属格 -s が付いて生まれました。always・nowadays・unawares と同じ仕組みです。
パーツを個別にさかのぼると、次のようになります。
- some・・・古英語 sum < ゲルマン祖語 *sumaz < 印欧祖語 *sem-「1つ、1つとして、共に」。same・similar・simple・single と同根
- time・・・古英語 tima < ゲルマン祖語 *tima- < 印欧祖語 *di-mon-(語根 *da-「分ける」の派生形)。tide・ドイツ語 Zeit と同根
なお、some- で始まる複合語(somewhat・sometime・somewhere など)の多くは中英語期から存在しましたが、17〜19世紀まで2語で書かれることも珍しくありませんでした。現代英語で sometime と some time が別の意味を担って共存しているのは、この「くっつく途中」の状態が固定化した結果です。
*da-(分ける)がギリシャ語 dēmos(民衆)の源でもある、という説については、辞書も「〜かもしれない」という留保つきで記しています。断定はできないため、参考情報として扱ってください。
まとめ
sometime は、some(ある)+ time(時)で「時間軸のどこかの一点」。
- sometime・・・いつか(点)。「いつ?」に答える
- sometimes・・・時々(頻度)。副詞の -s が付いた形。always・nowadays と同じ仲間
- some time・・・しばらくの間(長さ)。「a long time」に置き換えられるかで判定
- 形容詞の sometime・・・かつての、元〜の
- time の意味の中心・・・*da「分ける」=区切られたひと区切り。tide(潮)と同語源
- some の意味の中心・・・*sem「1つ」。same・simple・single と同じ家族
- -some は3種類・・・awesome の -some/twosome の -some/chromosome の -some(別語源)
s が1つあるかないか。たったそれだけの差に、古英語の文法の名残が残っています。小さな違いにこそ、言葉の歴史が畳み込まれている・・・sometime は、そのことを教えてくれる一語です。

- 語源・中心:some(1つ・ある)+ time(区切られたひと区切り)=「ある時に」
- 使い分け:sometime(いつか)/sometimes(時々)/some time(しばらく)
- time(分ける)一族:tide/tidings/timely/timeless/betimes/Zeit
- some(1つ)一族と -s 一族:something/someday/awesome/always/nowadays/unawares
関連記事(内部リンク)
- simplicity の語源(sim=1つ・同じ)→ https://isseisuzuki.org/simplicity/
- overhead の語源(over+head の使い分け)→https://isseisuzuki.org/overhead/
- common の語源(共有する・共通の)→ https://isseisuzuki.org/common/
- 【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶術で芋づる式に覚える
👇 → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/

翻訳練習の解答
- いつか一緒にランチでもどうですか。
- 来週のどこかで、あなたに電話します。
- 彼女は、かつてこの学校の先生でした。
- そのうちきっと、あなたは今日を振り返って笑うでしょう。
- 私たちが初めて会ったのは、去年の春のいつかでした。
- 時間はかかっても、あなたはいつかそれを理解します。
- それについては、今じゃなく、いつか話しましょう。
- 彼は元ミュージシャンで、今は小さなカフェをやっています。
- いつでも立ち寄ってください。ドアはいつも開いています。
- いつか、どこかで、あなたの仕事は誰かのもとに届きます。
収録語彙リスト
この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。
NAWL(New Academic Word List)集録語
この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project
TSL(TOEIC Service List)集録語
この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project
BSL(Business Service List)集録語
この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project

