はじめに:「成功率」という言葉の裏にあるもの
「20代の転職成功率は○○%」
こんな数字を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
でも、ちょっと待ってください。そもそも「転職の成功」とは何でしょうか?
- 希望の会社に入れたら成功?
- 年収が上がったら成功?
- やりがいのある仕事に就けたら成功?
- 1年以上続けられたら成功?
実は、転職サービスや調査機関によって「成功」の定義は異なります。だからこそ、単純に「成功率○○%」という数字だけを見て判断するのは危険です。
このページでは、厚生労働省や信頼できる調査機関のデータをもとに、20代の転職市場の「今」を、できるだけ正確に、そしてわかりやすくお伝えします。
数字の裏にある意味を理解することで、あなた自身の転職活動に活かせる視点を得ていきましょう。
「転職成功率」とは何を指すのか
一般的な3つの定義
転職関連のデータでよく使われる「成功率」には、主に3つの定義があります。
定義1:内定獲得率 転職活動を開始した人のうち、実際に内定を得られた人の割合。
- 転職サービス各社の発表では、おおむね60〜80%
- ただし、「登録して活動した人」がベースなので、途中で諦めた人は除外されていることが多い
定義2:希望条件達成率 希望していた条件(年収、職種、勤務地など)が満たされた転職の割合。
- リクルートワークス研究所のデータでは、20代の希望条件達成率は約40〜50%
- 全ての希望が叶うケースは少なく、何かしらの妥協をしている人が多い
定義3:定着率(1年後の在籍率) 転職後1年以内に離職せず、その会社に在籍している人の割合。
- 厚生労働省のデータでは、20代の1年以内離職率は約10〜15%
- つまり、約85〜90%の人が1年以上続けている計算
あなたにとっての「成功」を定義する
この3つの定義を見ても分かる通り、「転職成功率」という一つの数字で判断するのは難しいのが現実です。
大切なのは、あなた自身が何をもって「成功」とするかを明確にすることです。
- 年収アップが最優先なら、それを軸に企業を選ぶ
- ワークライフバランスが重要なら、残業時間や休日数を重視する
- スキルアップが目的なら、教育制度や成長環境を見極める
自分の「成功の定義」が曖昧なまま転職活動を始めると、内定をもらっても「これで良かったのか」と迷うことになります。
【あなたの「成功」を定義するチェックリスト】
- 年収アップが最優先 → 給与水準・昇給制度を重視
- ワークライフバランス重視 → 残業時間・休日数を確認
- スキルアップが目的 → 教育制度・成長環境を見極め
- 人間関係の改善 → 社風・チーム構成を調査
- やりがい・ミッション重視 → 事業内容・企業理念を精査
20代の転職市場:最新データで見る現状

転職率の推移
厚生労働省「雇用動向調査」によると、近年の年代別転職率は以下のようになっています。
25〜29歳の転職率(離職して転職した者の割合)
- 2019年度:約10.5%
- 2020年度:約9.8%(コロナ影響)
- 2021年度:約10.2%
- 2022年度:約11.1%
- 2023年度:約11.5%(速報値)
コロナ禍で一時的に転職市場が冷え込んだ時期もありましたが、2021年以降は回復傾向にあります。
20代の転職率は全年代の中で最も高く、約10人に1人が年間で転職を経験している計算です。転職市場において20代は依然として最も活発な層と言えます。
求人倍率の動き
転職市場の「需要(企業の求人数)」と「供給(転職希望者数)」のバランスを示す求人倍率も重要な指標です。
doda転職求人倍率レポート(2024年最新)
- 全体の求人倍率:約2.2倍
- 20代向け求人の倍率:約2.5〜3.0倍
- つまり、1人の転職希望者に対して2〜3社の求人がある状態
これは、企業側が20代の採用に積極的であることを示しています。
特に以下の理由から、20代は「売り手市場」と言えます。
企業が20代を求める理由:
- ポテンシャル採用がしやすい(柔軟性がある)
- 長期的に育成できる
- デジタルネイティブとしての適応力
- 人件費が比較的抑えられる
業界別の採用動向
ただし、「20代の転職市場が活発」といっても、業界によって温度差があります。
積極採用が続いている業界(2024年)
- IT・Web業界:エンジニア・Webマーケター・デザイナー
- 人材サービス業界:キャリアアドバイザー・人事コンサルタント
- 広告・マーケティング業界:デジタル広告運用・SNSマーケター
- 物流・EC業界:物流企画・データアナリスト
- 医療・介護業界:看護師・介護職・医療事務
採用が慎重になっている業界
- 金融業界:フィンテック以外は経験者重視
- 大手メーカー:新卒採用メインで中途は即戦力志向
- マスコミ・出版業界:市場縮小により採用枠が限定的
- 旅行・ホテル業界:回復傾向だが依然として慎重
自分が目指す業界の採用動向を知ることは、転職活動の戦略を立てる上で非常に重要です。
【業界選択のポイント】
- 積極採用業界なら未経験でもチャンスあり
- 慎重な業界は経験・スキルの準備が必須
- 自分の経験と業界のニーズをマッチングさせる
応募から内定までの期間
パーソル総合研究所の調査によると、20代の転職活動期間の平均は以下の通りです。
転職活動開始から内定までの期間
- 平均:約3〜4ヶ月
- 最短:1〜2ヶ月(同業種・同職種の場合)
- 最長:6ヶ月以上(未経験転職・条件が厳しい場合)
内訳:
- 情報収集・準備期間:2〜4週間
- 応募・書類選考:1〜2ヶ月
- 面接から内定:1〜2ヶ月
在職中に転職活動をする場合、面接調整に時間がかかることも考慮すると、余裕を持って3〜6ヶ月を見ておくのが現実的です。
Tamesy|転職エージェントの初回面談参加転職後の年収変動:データで見る現実
年収が上がる人、下がる人、変わらない人
リクルートワークス研究所「全国就業実態パネル調査」によると、20代の転職後の年収変動は以下のようになっています。
20代の転職後の年収変動(2023年データ)
- 年収が上がった:約35%
- 年収が変わらなかった:約40%
- 年収が下がった:約25%
つまり、年収が上がる人は約3人に1人という現実があります。「転職すれば年収が上がる」と安易に考えるのは危険です。
【データから見える重要ポイント】
- 約6割の人は年収が横ばいか微増にとどまる
- 年収アップには明確な条件やパターンがある
- 一時的な年収ダウンでも、中長期的にプラスになることも
年収が上がりやすいパターン
では、どんな人が年収アップを実現しているのでしょうか。
年収が上がりやすい転職のパターン:
- 同業種・同職種での転職
- 経験を活かせるため、即戦力として評価される
- 平均的な年収アップ率:5〜15%
- 成長産業への転職
- IT、コンサル、Web業界など
- 業界全体の給与水準が高い
- 平均的な年収アップ率:10〜20%
- スキル・資格を活かした転職
- プログラミング、英語、専門資格など
- 市場価値が明確な場合
- 平均的な年収アップ率:10〜25%
- マネジメント経験を評価された転職
- 20代でもチームリーダーやプロジェクトリーダー経験があれば強い
- 平均的な年収アップ率:15〜30%
年収が下がりやすいパターン
逆に、年収が下がりやすいのは以下のケースです。
年収が下がりやすい転職のパターン:
- 未経験職種・未経験業界への転職
- 経験値がリセットされるため
- 平均的な年収ダウン率:10〜20%
- ただし、成長業界なら数年後に逆転の可能性
- 大手企業から中小企業への転職
- 福利厚生や賞与の差が大きい
- 表面的な基本給は同じでも、総額では下がることが多い
- 残業代込みの年収から固定給の会社への転職
- 残業が多い会社から転職すると、見かけ上の年収が下がる
- ただし、時給換算すると改善していることも
- 早期退職・ブランク後の転職
- 交渉力が弱くなる
- 企業側も「早く決めたいのでは」と見る
中長期的な視点を持つ
重要なのは、目先の年収だけでなく、5年後、10年後を見据えることです。
一時的に年収が下がっても、以下のような要素があれば長期的にはプラスになることがあります。
- 成長産業にいる(市場が拡大している)
- スキルが身につく環境(将来の市場価値が上がる)
- 昇給・昇格の制度が明確(頑張りが報われる)
- ワークライフバランスが良い(健康的に長く働ける)

転職市場で評価されるスキルと経験
20代で評価されるポイント
転職市場において、20代が評価されるポイントは30代・40代とは異なります。
20代が評価されやすい要素:
- 成長意欲・学習能力
- 「これから伸びる可能性」を見られる
- 資格取得やスキル習得の実績があると強い
- 柔軟性・適応力
- 新しい環境に馴染めるか
- 企業文化に合わせられるか
- 基礎的なビジネススキル
- ロジカルシンキング
- コミュニケーション能力
- 基本的なPCスキル
- 若さゆえの体力・行動力
- フットワークの軽さ
- 新しいことへの挑戦意欲
- 実績よりも「再現性のある強み」
- 「何をしたか」より「どう考えて動いたか」
- 次の会社でも活かせるプロセスや思考法
スキルアップと転職の関係
転職を考えるなら、今のうちからスキルを磨いておくことが重要です。
詳しくは別のページで解説していますので、ぜひ参考にしてください。
→ [20代が転職で評価されるスキルと自己アピールの作り方](準備中)
このページでは、以下の内容を詳しく解説しています。
- 職務経歴書と自己PR文の書き方
- 面接で経験を「強み」として伝える方法
- 20代が身につけると有利な汎用スキル
- 未経験分野への挑戦に必要な準備
転職活動で押さえておきたい市場動向
リモートワーク・副業OKの増加
コロナ禍を経て、働き方の多様化が進んでいます。
リモートワークの普及率(2024年)
- IT・Web業界:約70%がフルリモートまたはハイブリッド勤務可能
- その他の業界:約30%が部分的にリモート可能
- 完全出社:約40%(製造業、サービス業、医療介護など)
また、副業を許可する企業も増加しています。
- 2019年:約20%
- 2024年:約50%
働き方の選択肢が増えていることは、20代の転職において大きなメリットです。
DX人材・データ人材の需要急増
企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)推進に伴い、IT人材の需要が急増しています。
特に需要が高い職種:
- システムエンジニア
- Webエンジニア(フロントエンド・バックエンド)
- データアナリスト・データサイエンティスト
- UI/UXデザイナー
- デジタルマーケター
未経験からでも、プログラミングスクールやオンライン学習で基礎を身につければ、転職可能性は十分にあります。
中小企業・ベンチャー企業の採用意欲
大手企業志向が強い人も多いですが、実は中小企業やベンチャー企業の方が採用意欲が高いことがあります。
中小・ベンチャーのメリット:
- 裁量が大きく、若手でも責任ある仕事を任される
- 成長スピードが速い
- ストックオプションなど、将来的なリターンの可能性
- 経営陣との距離が近い
一方で、安定性やネームバリューは大手に劣るため、自分の価値観と照らし合わせて判断する必要があります。
【押さえておきたい市場動向まとめ】
- リモートワーク可能な企業が増加(特にIT業界で70%)
- 副業OKの企業が2024年で約50%に
- DX推進でIT・データ人材の需要が急増
- 中小・ベンチャーの採用意欲が高い
- 働き方の選択肢が大幅に拡大

関連ページ
転職市場の全体像を理解したら、次は以下のテーマについても深掘りしてみてください。
新卒採用と中途採用の違いを知る
20代の転職でつまずく人の多くが、「新卒採用と同じ感覚」で活動してしまっています。
→ [新卒採用と中途採用の違い―20代が誤解しやすいポイント]
このページでは、企業が中途採用で何を求めているのか、書類選考や面接で何をアピールすべきかを解説しています。
未経験転職の難易度を知る
「未経験OK」の求人は本当に誰でも入れるのか?実は、業界によって難易度が大きく異なります。
このページでは、業界ごとの転職難易度と、未経験から入るために必要な準備について解説しています。
年収変動のメカニズムを理解する
転職で年収が上がる人と下がる人には、明確な違いがあります。
このページでは、年収交渉のコツや、中長期的に年収を上げるための戦略について解説しています。
まとめ:データを知ることが、賢い選択につながる
転職市場のデータを知ることは、決して「数字に振り回される」ことではありません。
むしろ、客観的な事実を理解することで、自分にとって最適な選択ができるようになります。
この記事で押さえておきたいポイント
✓ 「転職成功率」は定義が曖昧。自分なりの成功の定義を持つ
✓ 20代の転職率は9〜12%で、全年代で最も活発
✓ 求人倍率は2〜3倍で、20代は売り手市場
✓ 年収が上がる人は約35%。同業種・同職種が有利
✓ 業界によって採用温度差がある(IT・人材は積極的)
✓ 転職活動期間は平均3〜4ヶ月。余裕を持った計画を
✓ リモートワーク・副業OKの企業が増加中
✓ スキルと自己アピールが転職成功の鍵
次のステップ
データを理解したら、次は実践的なスキルとアピール方法を学びましょう。
すぐに役立つ関連記事(準備中)
- [20代が転職で評価されるスキルと自己アピールの作り方]
- [新卒採用と中途採用の違い―20代が誤解しやすいポイント]
- [未経験転職がしやすい業界と難い業界の特徴]
- [転職で年収が上がる人・下がる人の違い]
その他の参考ページ:
この記事の要点
✓ 転職成功率は定義による(内定獲得率60〜80%、希望条件達成率40〜50%、定着率85〜90%)
✓ 20代の転職率は9〜12%で推移、求人倍率は2〜3倍の売り手市場
✓ 年収アップは約35%。同業種・成長産業・スキル活用がカギ
✓ 業界別の採用温度差を理解することが重要
✓ スキルアップと自己アピールが転職成功への近道
関連記事(準備中)
- [20代が転職で評価されるスキルと自己アピールの作り方]
- [新卒採用と中途採用の違い―20代が誤解しやすいポイント]
- [未経験転職がしやすい業界と難い業界の特徴]
- [転職で年収が上がる人・下がる人の違い]
参考情報・データ出典
この記事で参照した信頼できる情報源をご紹介します。より詳しく知りたい方は、以下のリンクからご確認ください。
公的統計・調査データ
本記事の転職率データは、厚生労働省「雇用動向調査」を主な出典としています。年代別・産業別の転職率や離職理由などの公式統計データが公開されています。
年齢別・学歴別・産業別の賃金データは、厚生労働省「賃金構造基本統計調査」で確認できます。転職時の年収変動を理解する際に有用です。
若年層の雇用動向や転職に関する詳細な調査研究は、独立行政法人 労働政策研究・研修機構(JILPT)が提供するレポートをご覧ください。
転職市場の動向
転職後の年収変動や希望条件達成率については、リクルートワークス研究所の「全国就業実態パネル調査」など、信頼性の高いデータが参考になります。
転職活動期間や20代の働き方意識については、パーソル総合研究所が定期的に調査を実施しています。
転職市場の需給バランスを把握するには、doda転職求人倍率レポートが毎月更新されており、最新の市場動向を確認できます。
業界別の採用トレンドや求人動向は、マイナビ転職の転職動向調査で詳しく分析されています。
転職サービス・情報サイト
求人情報と転職ノウハウは、リクナビNEXTで幅広く提供されています。
ハイクラス・スカウト型の転職サービスなら、ビズリーチが参考になります。
20代・30代向けの転職支援については、type転職エージェントなどの専門サービスがあります。
企業情報・評判
企業の採用実績、離職率、平均年収などの客観的データは、就職四季報(東洋経済新報社)で確認できます。
企業の口コミや評判を確認するなら、OpenWork(旧Vorkers)や転職会議といった口コミサイトが参考になります。ただし、個人の主観的な意見も含まれるため、複数の情報源と合わせて判断することをおすすめします。
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本記事は情報提供を目的としており、特定の転職サービスや企業への応募を推奨するものではありません。
転職に関する最終的な判断は、ご自身の責任において行ってください。
データは記事執筆時点(2025年1月)のものであり、最新情報は各出典元でご確認ください。
著者について
鈴木一世|現役大学教員・カウンセラー。20代が迷う場面を、大学教育と相談支援の現場で見てきました。データに基づいた客観的な情報提供を心がけています。
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