「やりたいことがはっきりしない」
「今の業界で働き続けていいのか不安」
26歳前後で初めて転職を考えると、こんな気持ちになるのはごく自然なことです。
不安もあるし、でもこのまま続けていいのかモヤモヤもある…そんな揺らぎの中にいると思います。
私自身も、20代後半に差し掛かった息子のキャリアをきっかけに情報を集めるなかで、強く感じたことがあります。
それは、未経験からの転職には「入りやすい業界」と「入りにくい業界」がたしかに存在するということです。
そして、その違いを知っているかどうかで、転職活動の負担や成功率が大きく変わります。
この記事では、データや信頼できる情報をもとに、
- 未経験でも比較的チャレンジしやすい業界
- 未経験だとハードルが高くなりやすい業界
- 業界選びで後悔しないための考え方
を、できるだけわかりやすく整理します。
全体像については、すでに公開している
👉 20代の転職とキャリアの始め方|まず押さえておきたい全体像
とあわせて読んでいただくと、よりスッキリ整理できるはずです。
未経験転職がしやすい業界の3つの共通点

まずは、「そもそもどんな業界が未経験者を受け入れやすいのか?」という大枠から整理しておきましょう。
未経験転職がしやすい業界には、次のような共通点があります。
1. 慢性的な人手不足に悩んでいる
厚生労働省の「労働経済動向調査」などを見ると、
情報通信業(IT)、介護・福祉、建設などは“人手不足”と答える企業が一貫して多い業界です。
こうした業界では、
- 「経験はなくても、人柄や意欲を見て採用したい」
- 「育てる前提で若手を採用したい」
と考える企業が多く、未経験者にも門戸が開かれやすい傾向があります。
有効求人倍率(求職者1人に対して何件の求人があるか)を見ても、介護・建設・一部のITなどは、全体平均より高い水準が続いています。
2. 入社後の研修・教育体制が整っている
未経験者を積極的に採用する業界・企業ほど、次のような仕組みが整っていることが多いです。
- まとまった期間の新人研修
- 先輩社員によるOJT(実務を通した教育)
- 資格取得支援制度・受講費補助
一方で、「未経験歓迎」と書いてあっても、実際にはほとんどサポートなく現場に放り出されるケースもゼロではありません。
求人票だけでなく、面接で「研修期間」「フォロー体制」を具体的に確認することがとても大切です。
3. 資格や学歴よりもポテンシャルを重視する文化がある
20代の転職では、
- これまでの経験・スキルそのものより
- 「これからどれだけ伸びそうか」「どんな姿勢で働きそうか」
といったポテンシャル(成長の可能性)が重視されることが多いです。
特に20代前半〜中盤は、第二新卒として見られることも多く、
- 学ぶ意欲
- 素直さ・柔軟性
- 基本的なビジネスマナー
- コミュニケーション力
といった“土台となる力”を評価してもらいやすい年代です。
中途採用で企業が何を見ているかについては、
でより詳しく整理しています。
未経験からでも転職しやすい業界【5選】
ここからは、実際に「未経験からチャレンジしやすい」と言われる業界を具体的に見ていきます。
あくまで傾向であって、企業や職種によって違いはありますが、業界選びの入り口として参考にしてください。
1. IT業界(特にインフラエンジニア・ヘルプデスク)
人手不足度:★★★★★
未経験採用への積極度:★★★★☆
IT・デジタル分野は、いま最も人材不足が深刻な領域のひとつです。
経済産業省や関連機関の調査でも、DX推進に必要なIT人材が「大幅に不足している」と答える企業が8割以上という結果が出ています。
そのため、未経験者を育成する前提で採用する企業も少なくありません。
とくに未経験から目指しやすいのは:
- ヘルプデスク・テクニカルサポート
→ 製品やサービスに関する問い合わせ対応からスタートし、徐々にIT知識を身につけていく - インフラエンジニア(ネットワーク・サーバー)
→ CCNAなどの基礎資格を勉強しておくと評価されやすい - Webマーケター
→ 広告運用やアクセス解析など、データと向き合う仕事
注意点としては、SES(客先常駐)という働き方が多い企業もあること。
働き方のイメージがつきにくい場合は、「どこに所属して、どこで誰と働くのか」を面接でしっかり確認しておきましょう。
関連記事:SES(客先常駐)とは?未経験が知るべき働き方・メリット・注意点をわかりやすく解説
Tamesy|転職エージェントの初回面談参加2. 営業職(人材・広告・不動産・保険など)
人手不足度:★★★★☆
未経験採用への積極度:★★★★★
営業職は、業界を問わず未経験採用が非常に活発な職種です。
理由はシンプルで、
- 営業スキルは、実務の中で育てていきやすい
- 学歴や資格より、「人柄」「コミュ力」「粘り強さ」が重要
と考える企業が多いからです。
とくに未経験者を多く採用しているのは:
- 人材業界(キャリアアドバイザー・法人営業)
- 広告・Web業界の法人営業
- 不動産・保険などのカウンターセールス、個人向け営業
成果に応じてインセンティブ(歩合)がつきやすく、「がんばりが収入に反映されやすい」のが魅力です。
一方で、ノルマや数字へのプレッシャーがストレスになる人もいます。
「売ること」そのものにどこまで抵抗がないか、自分の性格とよく相談して選ぶのがおすすめです。
3. 介護・福祉業界
人手不足度:★★★★★
未経験採用への積極度:★★★★★
超高齢社会の日本では、介護・福祉分野の人材需要が非常に高く、
介護職の有効求人倍率はおおよそ3倍を超える水準が続いています。
(求職者1人に対して、3件以上の求人があるイメージです)
- 無資格・未経験OKの求人が多い
- 働きながら「介護職員初任者研修」などの資格取得を支援してくれる企業が多い
- 経験を積めば「介護福祉士」「ケアマネジャー」など専門職へのキャリアアップも可能
体力的・心理的な負荷は決して軽くありませんが、「人の役に立っている実感」や「感謝される場面の多さ」は他の仕事では得がたいものがあります。
4. 飲食・サービス業
人手不足度:★★★★☆
未経験採用への積極度:★★★★★
コロナ禍で一時的に苦境に立たされたものの、観光需要やインバウンドの回復とともに、飲食・ホテル・観光などのサービス業は再び人材需要が高まっています。
- アルバイトからスタートし、正社員登用されるケースも多い
- 接客スキルやクレーム対応力、現場マネジメント力など、他業界でも活かせるスキルが身につく
- 将来、独立や店舗運営を目指す道もある
一方で、シフト勤務・土日出勤・立ち仕事など、ライフスタイルとの相性はよく考える必要があります。
5. 建設・運輸業界
人手不足度:★★★★☆
未経験採用への積極度:★★★☆☆
建設業界・運輸業界も、高齢化・人手不足が進んでいる分野です。
- 建設では、施工管理や現場監督など、経験を積みながら資格取得していくキャリアパスがある
- 運輸では、EC拡大により物流ニーズが増加し、ドライバー職などの求人が多い
いずれも体力面の負荷や、勤務時間の長さが問題になるケースもあるため、
「健康面」「働き方」「家族との時間」とのバランスを意識したうえで選ぶことが大事です。

未経験転職が難しい業界の特徴
反対に、「未経験だとかなりハードルが高い」とされる業界にも共通点があります。
1. 高度な専門知識や資格が必須
- 医師・看護師・薬剤師などの医療系専門職
- 弁護士・司法書士などの法律系職種
- 公認会計士・税理士などの会計系職種
- 一部の研究職・開発職 など
これらは、国家資格や大学院レベルの専門教育が前提となるため、「数ヶ月の勉強をして転職」という類のものではありません。
2. 即戦力としての成果が強く求められる
コンサルティング業界や投資銀行・証券の専門職などは、
- クライアントの経営課題を解決する高いレベルの問題解決力
- 財務・会計・金融商品に関する専門知識
- 論理的思考力・分析力・資料作成力
などが、高いレベルで求められます。
20代であればポテンシャル採用の可能性もありますが、「未経験OK」と書かれていても、かなり厳しい選考になると考えておいた方が現実的です。
3. 業界特有のルールや商習慣が複雑
製薬業界・金融業界・一部のメーカーなどは、
- 業界固有の専門用語
- 法規制・コンプライアンス
- 長年の商習慣
といった“暗黙知”を身につける必要があり、短期間でキャッチアップするのは簡単ではありません。
未経験転職が難しい業界【3選】
ここでは、特に難易度が高いとされる業界を3つだけ挙げます。
1. コンサルティング業界
難易度:★★★★★
未経験から挑戦する場合:20代前半〜中盤が現実的
戦略コンサル・総合コンサルなどは、クライアント企業の経営課題を扱う高度な仕事です。
- 論理的思考力
- 課題設定・解決力
- プレゼンテーション・ファシリテーション能力
が非常に重視され、ケース面接など特殊な選考も行われます。
ただし、20代の若手であれば、ポテンシャル採用の可能性が一定程度あるのも事実です。
本気で目指すなら、事前の学習や面接対策は必須になります。
2. 金融業界の専門職(投資銀行・証券アナリストなど)
難易度:★★★★★
未経験から挑戦する場合:関連資格+強い準備が必要
金融業界のなかでも、
- 投資銀行業務
- M&Aアドバイザリー
- 証券アナリスト
- リスク管理・市場部門
などは、財務・会計・金融の専門知識が前提となります。
20代であればポテンシャル採用もあり得ますが、
- 簿記・FP・証券アナリスト試験などの勉強
- 英語力
- 数字に強いことのアピール
など、相応の準備がないと厳しい世界です。
一方、金融機関の「営業職」や「窓口業務」は、未経験から入れるケースも多く、そこから徐々にキャリアを広げていくルートもあります。
3. 医療・製薬業界の専門職
難易度:★★★★★
未経験から挑戦する場合:営業職など一部の仕事のみ現実的
医師・看護師・薬剤師などの医療職は、国家資格が必須のため、未経験転職というよりは「職業そのものを学び直す」レベルの決断が必要です。
ただし、
- 製薬会社のMR(医薬情報担当者)
- 医療機器メーカーの営業
など、医療の周辺で活躍する職種には、未経験から入れる可能性があります。
その場合も、医療知識の学習にある程度コミットする覚悟は必要です。

業界選びで失敗しないための3つのポイント
1. 「自分の価値観」を先に言語化しておく
業界を選ぶとき、「入りやすさ」だけを基準にすると後悔しやすくなります。
- 収入をどこまで重視したいか
- ワークライフバランスをどこまで守りたいか
- どんなスキルを身につけていきたいか
- 5年後・10年後、どんな働き方をしたいか
こうした問いに少し向き合ってから、業界・職種を見ていくと、「雰囲気だけで選んで失敗した…」というリスクをかなり減らせます。
年齢別のデータや市場動向は、
詳しく整理しています。
2. 「教育体制」と「働き方」は必ずセットで確認する
- 研修期間はどのくらいか
- 先輩や上司のフォローはあるか
- 資格取得支援はあるか
といった教育体制にくわえ、
- 残業時間の目安
- 休日の取り方(完全週休2日なのか、シフトなのか)
- 転勤の有無
など、ライフプランと直結する部分も確認しておきたいポイントです。
3. 「未経験OK」でも準備はした人が勝ちやすい
求人票に「未経験歓迎」とあっても、
- ITなら、基礎的なプログラミング・ITリテラシー
- 介護なら、介護職員初任者研修や入門講座
- 営業なら、これまでの対人経験(接客・アルバイト)を言語化しておく
といったちょっとした準備をしている人の方が、選考では確実に有利です。
「何も知らないけれど、とりあえず応募しました」よりも、「この数ヶ月、こういう勉強をしてきました」と言えるほうが、採用担当者の安心感もまったく違います。
まとめ:未経験転職は「入りやすさ × 自分の適性」で考える
未経験転職には、たしかに
- 入りやすい業界(人手不足・教育体制がある・ポテンシャル採用が多い)
- 入りにくい業界(専門性・資格・即戦力が前提)
という地図があります。
ただ、「入りやすさ」だけで選ぶと、入ってからのギャップが大きくなりやすいのも事実です。
- 自分の価値観・ライフプラン
- 身につけたいスキル
- 将来の働き方のイメージ
こうしたものと照らし合わせながら、
20代の転職とキャリアの始め方|まず押さえておきたい全体像
や
20代の転職成功率の最新データと市場動向
とあわせて、じっくり考えてみてください。
「今のままでいいのかな」と不安になるのは、ちゃんと自分の未来を考えている証拠でもあります。
焦らなくて大丈夫です。
でも、情報を集めて、少しずつ動き出していくことで、見える景色は確実に変わっていきます。
関連記事
参考にした主な情報源
- 厚生労働省|労働経済動向調査
- 厚生労働省|各種雇用・転職関連統計
- 経済産業省・情報処理推進機構(IPA)|DX関連レポート
- マイナビ転職・doda・各種転職エージェントの業界別レポート
(※具体的な数値は記事執筆時点の公開情報をもとにしています。最新の情報は各機関・サービスの公式サイトでご確認ください。)
著者について
鈴木一世|現役大学教員・カウンセラー。
20代が迷う場面を、大学教育と相談支援の現場で見てきました。息子が今、転職を考えており、あらためて20代の転職について調べてみたいと考えました。
データに基づいた客観的な情報提供を心がけています。
Twitter: @suzukiissei8


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