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【語源で覚える】necessary|「必要」と「アクセサリー」が同じ家族だった話

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「necessary(必要な)」は、中学で習う基本語です。スペルが長くて、s が2つ・c が1つ・・・と、テストで書き間違えた記憶がある方も多いかもしれません。

ところがこの単語、分解してみると意外な顔を見せます。そして、もっと意外なのが親戚筋。アクセサリー(accessory) と、同じ家族なんです。

「必要なもの」と「なくても困らないおまけ」。意味としては正反対に見える2語が、実は同じラテン語から枝分かれしています。この記事では、その種明かしをしながら、access・process・succeed といった頻出語まで一気につないでいきます。

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necessary を分解してイメージで覚える

necessary をパーツで見ると、こうなります。

ne(〜ない)+ cess/cede(退く・譲る・行く)+ ary(〜に関する)

意味の中心は、真ん中の cedere(ケーデレ)=「退く・譲る・行く」。そこに ne(否定)が付くので、「引き下がれない」。

必要なものとは、「これだけは譲れない」「ここから後ろには下がれない」もののことです。食べ物、水、眠る場所。どれも、譲ろうとしても譲れません。この「退けない」という感覚が、necessary という単語の正体です。

「必要」という日本語訳だけ覚えていると、ただの便利な形容詞に見えます。でも「譲れない一線」というイメージを持つと、essential(本質的に欠かせない)との近さや、「必要悪(necessary evil)」という表現の重さまで、すっと入ってきます。

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「アクセサリー」が同じ家族という話

ここからが本題です。

先ほどの cedere(退く・譲る・行く)。これに ad(〜へ)が付くと、accedere「近づいていく」になります。そこから生まれたのが、accessory(アクセサリー、付属品) です。

  • necessary = ne(〜ない)+ cedere = 退けない → 必要不可欠
  • accessory = ad(〜へ)+ cedere = そばに寄っていく → 付属品、アクセサリー

主役のそばに「寄り添ってくるもの」がアクセサリー。「そこから退けないもの」が necessary。方向が正反対なだけで、使っている動詞は同じなんです。

身につけるアクセサリーも、スマホのアクセサリーも、「本体に寄り添う添え物」という点では共通しています。そう考えると、accessory の「付属品」という意味も、丸暗記しなくて済みます。

necessary の基本の意味と使い方

necessary は「必要な」「欠かせない」を表す形容詞です。

  • Sleep is necessary for your health.(睡眠は、あなたの健康に欠かせない)
  • It is necessary to book in advance.(事前に予約することが必要です)
  • Take only what is necessary.(必要なものだけ持っていきなさい)

「It is necessary to 〜(〜する必要がある)」「It is necessary that 〜」は、ビジネス文書でも頻出の形です。

名詞形の necessity は「必要性」「必需品」。複数形 necessities で「生活必需品」を指します。

  • There is no necessity to hurry.(急ぐ必要はありません)
  • daily necessities(日用必需品)

necessary・essential・required の使い分け

似た3語ですが、ニュアンスが違います。

単語ニュアンス例
necessary「それがないと成り立たない」。いちばん広く使える標準形Water is necessary for life.
essential「本質そのもの」。より強く、核心に関わるTrust is essential in a team.
required「規則・制度として求められている」。義務の色が濃いA passport is required for entry.

迷ったら necessary で大丈夫です。ルールや規定の話なら required、「これが核心」と言いたいなら essential に振る、と覚えておくと使い分けが安定します。

cedere(行く・退く)でつながる単語ネットワーク

necessary の中心にある cedere を知っておくと、まったく別ジャンルに見える単語が一気につながります。綴りは cede/ceed/cess の3パターンに化けるので、そこだけ押さえておけば見抜けます。

単語意味イメージ
accessory付属品、アクセサリーad(〜へ)+cess=そばに寄っていくもの
access接近、アクセスad(〜へ)+cess=そこへ行けること
process過程、処理するpro(前へ)+cess=前へ進んでいくこと
proceed進む、続行するpro(前へ)+ceed=前へ行く
succeed成功する、後を継ぐsuc(後に)+ceed=後に続いて行く
success成功succeed の名詞形
exceed超えるex(外へ)+ceed=枠の外へ行く
excess超過、過剰exceed の名詞形
precede先に立つ、先行するpre(前に)+cede=前を行く
recede後退する、引くre(後ろへ)+cede=後ろへ退く
concede譲歩して認めるcon(すっかり)+cede=すっかり譲る
cede譲り渡すcedere そのもの

「cede/ceed/cess が入っていたら、たぶん”行く・譲る”の話」・・・そう見えるようになると、初見の単語でも意味が推測できます。

さらに意外な2語|ancestor と cease

同じ cedere の一族には、言われないと気づかない2語があります。

ancestor(祖先)
ante(前に)+ cedere =「先に行く人」。ラテン語 antecessor が古フランス語を通るあいだに ancestre へと縮み、英語の ancestor になりました。綴りからは cess が消えてしまったので、言われないとまず気づきません。「自分より先を歩いていった人たち」・・・祖先という言葉の、静かで的確な表現です。

cease(やむ、終わる)
cedere の反復形 cessare から。「退き続ける」→「やめる」。停戦を意味する cease-fire(シースファイア)の cease です。incessant(絶え間ない)は in(否定)+cessant で「やむことがない」。

necessary を入り口にすると、ここまで広がります。

派生語|necessary まわり

単語品詞意味発音
necessary形容詞必要な、欠かせないネセサリー /ˈnesəseri/
necessity名詞必要性、必需品ネセシティ /nəˈsesəti/
necessarily副詞必然的に、必ずしも(notと)ネセサリリー /ˌnesəˈserəli/
unnecessary形容詞不必要な、余計なアンネセサリー /ʌnˈnesəseri/
necessitate動詞必要とさせるネセシテイト /nəˈsesɪteɪt/

※ not necessarily は「必ずしも〜とは限らない」。会話でも頻出なので、セットで覚えておくと便利です。

TOEIC・英検での出題傾向

necessary は、TOEIC でも英検でも定番の一語です。TOEIC では Part 5 の品詞問題で、necessary(形容詞)/necessity(名詞)/necessarily(副詞)の使い分けを問う形がよく出ます。文中の空所が補語なのか主語なのかを見て選ぶ、典型的な問題です。

また、業務連絡やお知らせの文脈で「It is necessary to submit the form by Friday.」のような使われ方も頻出。英検では準2級〜2級レベルで登場します。

同じ cedere 一族の access・process・proceed・exceed もビジネス頻出語なので、まとめて押さえると効率が上がります。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Sleep is necessary for your health.
  2. It is necessary to book the room in advance.
  3. Take only what is necessary, and leave the rest.
  4. Rest is not a luxury; it is a necessity.
  5. You do not necessarily have to decide today.
  6. The team made all the necessary preparations.
  7. Sometimes a long detour is necessary to find the right road.
  8. Kindness is never unnecessary.
  9. You already have everything necessary to begin.
  10. What feels necessary today may look small next year.

語源メモ|ne と cedere が出会う言葉

necessary は、ラテン語 necessarius(避けられない、欠かせない)に由来し、古フランス語 necessaire を経て14世紀後半の英語に入りました。

その元になったのが necesse。これは ne-(〜ない)と cedere(退く・譲る・行く)から成り、原義は「引き下がれない」。つまり「そこから逃げようがないもの」が necessary の出発点です。

cedere は印欧祖語 *ked-(行く、譲る)にさかのぼる動詞で、英語に入った一族は accede・access・accessory・ancestor・antecedent・cease・cede・concede・exceed・excess・incessant・intercede・precede・predecessor・proceed・recede・recess・recession・secede・succeed・success と、かなりの大所帯です。

ひとつだけ補足を。necesse の内部構造については、ne-+cedere とする説が主要辞書で広く採られている一方、19世紀の辞書などには「語源不詳」と記すものもあります。この記事は前者(Etymonline・Collins ほか)に拠っています。

まとめ

necessary は、ne(〜ない)+ cedere(退く・譲る)+ ary で「引き下がれないもの」=必要な、欠かせない。

  • ne + cedere・・・退けない。だから「必要」
  • accessory・・・ad + cedere で「そばに寄っていくもの」。necessary とは正反対の方向だが、同じ一族
  • cede/ceed/cess・・・この3つの形を見たら cedere の仲間。access/process/succeed/exceed/precede へ
  • ancestor・cease・・・綴りからは見えにくい、隠れた親戚

譲れないものが何なのか。それを言葉にできる人は、きっと迷いにくい人です。

necessary の語源ワードマップ。中心は necessary(=引き下がれない→必要な)で、
ne(〜ない)+cedere(退く・譲る・行く)+ary に分解。語源・中心、cess/ceed/cede 系
(access / process / proceed / succeed / exceed / precede / recede / concede)、
隠れた親戚(ancestor / cease / incessant / excess)、覚え方のヒント
(アクセサリー accessory も同じ cedere の一族)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:ne(〜ない)+ cedere(退く・行く)+ ary =「引き下がれない」
  • 覚え方のヒント:アクセサリー(accessory)も同じ cedere の一族
  • cess/ceed/cede 一族:access/process/proceed/succeed/exceed/precede/recede/concede
  • 隠れた親戚:ancestor(先に行く人)/cease(やむ)

関連記事(内部リンク)

  • accessory の語源(付属品・アクセサリー)→ (近日中に公開)
  • process の語源(過程・処理する)→ (近日中に公開)
  • succeed・success の語源(成功する・後を継ぐ)→ (近日中に公開)
  • 英単語の語源・パーツ分解 全リスト → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/

翻訳練習の解答例

  1. 睡眠は、あなたの健康に欠かせない。
  2. その部屋は、事前に予約しておく必要がある。
  3. 必要なものだけ持って、あとは置いていこう。
  4. 休息は贅沢ではない。必需品だ。
  5. 今日のうちに決めなくてもかまわない。
  6. チームは、必要な準備をすべて整えた。
  7. 正しい道にたどり着くために、遠回りが必要なこともある。
  8. 優しさが余計だったことなど、一度もない。
  9. 始めるのに必要なものは、あなたの中にもう全部ある。
  10. 今日どうしても必要に思えることが、来年には小さく見えるかもしれない。

集録語彙リスト

派生語のnecessityは NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。

NAWL(New Academic Word List)集録語

この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project

TSL(TOEIC Service List)集録語

この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project

BSL(Business Service List)集録語

この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project