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【語源で覚える】advisory|”アドバイス” の中に「見る」が隠れている?

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「アドバイス」は、もう日本語になっていますよね。上司からのアドバイス、先輩からのアドバイス。どれも「教えてもらう」という感じがします。

ところが、この言葉の意味の中心は vis(見る) です。

教える、でも、導く、でもなく、「見る」。・・・少し意外ではないでしょうか。

advise は、英語に入ってきた当初「見る・じっと考える」という意味で使われていました(今は使われない古い語義です)。そして名詞の advice のもとをたどると、「私には、こう見える」というたった一言にたどりつきます。

この記事の見出し語 advisory は、その advise から生まれた一語です。「助言の」という形容詞と、「注意報」という名詞。まったく別物に見えるこの2つが、「見る」でひとつにつながります。

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advisory を分解してイメージで覚える|意味の中心は “vis(見る)”

advisory をパーツで見ると、こうなります。

ad(〜へ)+ vis(見る)+ ory(〜に関する)

覚え方のコツを一つ。頭の ad を「相手のほうへ」と読んでみてください。相手のほうへ向いて、相手の状況を見る。そして「私にはこう見えますよ」と差し出す。それが advisory の働きです。

※ 正確には、頭の d は後から足された綴りです。古フランス語の形は avis で、d はありませんでした。14〜16世紀に書き手がラテン語の ad-(〜へ)に似せて挿入し、英語で定着したものです。

ラテン語 ad を「相手のほうへ」の手がかりとして使うのは有効ですが、語源としては別ルートになります(後期ラテン語 advisō〈ad+visō〉を挙げる辞書もあり、ここは諸説あります)。くわしくは最後の語源メモで。

大事なのは真ん中の vis(見る) のほうです。ここさえ押さえておけば、advisory が出てきたときに「ああ、見るほうの話だな」と見当がつきます。

そして、この「見る」には、命令の響きがない。ここが advisory という語の性格を決めています。

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advisory の基本の意味と使い方

advisory には、形容詞と名詞の2つの顔があります。

形容詞:助言の・諮問の

決定権は持たず、意見を述べる立場を指します。

  • an advisory board(諮問委員会)
  • an advisory committee(諮問委員会・審議会)
  • in an advisory capacity(助言役として・アドバイザーとして)
  • an advisory role(助言する立場)

He joined the team in an advisory capacity.
(彼は助言役として、そのチームに加わった)

名詞:注意報・勧告

天気や渡航について、公的機関が出す注意喚起を指します。

  • a weather advisory(気象注意報)
  • a travel advisory(渡航情報・渡航注意)
  • a health advisory(健康に関する勧告)

The city issued a heat advisory.
(市は高温注意報を出した)

一見すると、諮問委員会と注意報は無関係に思えます。でも、どちらも「こちらにはこう見えています」と伝える行為です。決めるのはあなた、という余白が残っている・・・これが advisory という語の共通点です。

ここを押さえておくと、ニュースで travel advisory を見たときに「禁止ではないんだな」と正しく受け取れます。

使い分け|advisory・mandatory・compulsory

英語には「〜すべき」を表す -ory の語がいくつかありますが、拘束力の重さがまったく違います。

語重さ意味合い
advisory軽い助言・注意喚起。従うかどうかは相手が決める
mandatory重い義務。制度として従わなければならない
compulsory重い強制。法や規則で課される(compulsory education=義務教育)

advisory を見たら「参考にしてね」、mandatory を見たら「必ず」。仕事のメールや社内規程では、この一語で意味が180度変わります。

※ 3語はいずれも -ory で終わりますが、語源は別々です(mandatory はラテン語 mandare〈命じる〉、compulsory は compellere〈強いる〉)。ここでは「重さの比較」として並べています。

【関連記事】

【語源で覚える】mandate|”man+date”で命令と覚えた?本当の語源は”手渡す”だった

“vis/vid(見る)” でつながる単語ネットワーク

advisory の意味の中心 vis(ラテン語 videre=見る)を知っておくと、別ジャンルに見える単語が一気につながります。

単語意味イメージ
vision視覚・展望見えているもの、見通し
visible目に見える見ることができる
visit訪れる会いに行って、その目で見る
view眺め・見方見たもの、見え方
interview面接・取材inter(間に)+view=向かい合って見る
evident明らかなe(外に)+vid=外から見てとれる
provide用意するpro(前もって)+vid=先を見て備える
visaビザ・査証「確認した(見た)」というしるし

とくに provide(用意する) は意外に思えるかもしれません。先を見て、見えたものに備えておく・・・それが「用意する」です。「見る」が「備える」になる感覚は、advisory の「見て、伝える」と地続きです。

「vis/vid が入っていたら、たぶん”見る”の話」。そう見えるようになると、初見の単語でも見当がつきます。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
advisory形容詞・名詞助言の・諮問の/注意報アドバイザリー
advise動詞助言する・通知するアドバイズ
advice名詞助言・アドバイス(不可算)アドバイス
adviser / advisor名詞助言者・顧問アドバイザー
advisable形容詞望ましい・賢明なアドバイザブル
advisability名詞妥当性・望ましさアドバイザビリティ
advisement名詞熟慮・検討アドバイズメント

adviser と advisor は、どちらも正しい綴りです。英語の -er が付いた adviser のほうが古く(1610年代)、ラテン語風の advisor はあとから現れた形。アメリカの肩書き(financial advisor など)では advisor をよく見かけます。

advisement は、under advisement(検討中)という決まり文句で生き残っています。

TOEIC・英検での出題傾向

まずは品詞問題。ここが最頻出です。

advise(動詞)/advice(名詞)/adviser(人)/advisory(形容詞)。TOEIC Part 5 は、この4つの中から空所に合うものを選ばせてきます。

The company established an ____ committee last year.

空所の前が an、後ろが committee(名詞)。名詞を修飾する位置なので、答えは advisory です。advice(名詞)を選ばないよう気をつけてください。

つづりと数えかたの罠。

advice は不可算名詞です。an advice とは言わず、a piece of advice と数えます。また advise(動詞・ズ)と advice(名詞・ス)は発音も違います。ここは英検でも狙われます。

Part 7 では「お知らせ」の形で読む。

advisory board(諮問委員会)、in an advisory capacity(助言役として)、travel advisory(渡航情報)は、社内メールや告知文でそのまま出ます。

Please be advised that the office will close early on Friday.
(金曜日はオフィスが早く閉まりますので、ご承知おきください)

Please be advised that … は、ビジネスメールの定型句です。「お知らせします」という丁寧な前置きとして、まるごと覚えてしまうのが早いです。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. The company formed an advisory committee this spring.
  2. He joined the project in an advisory capacity.
  3. The city issued a heat advisory on Monday.
  4. You can stop by the advisory desk anytime.
  5. An advisory is a warning, not an order.
  6. Her advisory group meets once a month.
  7. The advisory service is free for students.
  8. You may find a short advisory note on the first page.
  9. Good advisory work starts with listening.
  10. One day, you may sit on an advisory board yourself.

語源メモ|「私には、こう見える」から生まれた言葉

advice は13世紀末の英語に auys という形で現れます。もとは古フランス語の avis(意見・見方)。

その avis は、「ço m’est à vis(私には、こう見える)」という言い回しから生まれました。あるいは俗ラテン語の *mi est visum(私の見るところでは)から、とも言われます。大もとはラテン語 visum・・・動詞 videre(見る) の過去分詞です。

つまり advice の正体は、「私には、こう見えます」という一言でした。正解を授けるのではなく、自分からはどう見えているかを差し出す。アドバイスという言葉に、もともと上下の関係はなかったわけです。

動詞の advise も、英語に入った当初は「見る・じっと考える」という意味で使われていました(今は使われない古い語義です)。「助言する」の意味が定着したのは14世紀後半です。

頭の d は、あとから入りました。 古フランス語の形は avis で、d はありません。14〜16世紀にフランスの書き手がラテン語の ad- で始まる語に似せて挿入し、英語では15世紀にカクストンが定着させたものです。語源的な裏づけのない綴りなので、本文でも「手がかり」として扱いました。なお、後期ラテン語 advisō(ad+visō)を起点に挙げる辞書もあり、この点は諸説あります。

advice と advise の c/s の書き分けは18世紀から。 名詞を -ce、動詞を -se にする型で、device/devise、practice/practise などと同じ整理です。発音を区別する狙いもありました。

そして見出し語の advisory は1778年、advise に -ory が付いて生まれた比較的新しい語です。「注意報」という名詞の使い方はさらに新しく、1936年にアメリカの官庁が advisory bulletin(注意情報)を略して使いはじめたのが始まりとされています。

諮問委員会の advisory と、天気の advisory。200年近い開きがありますが、どちらも「こう見えています」と伝える行為だという点では、まっすぐつながっています。

まとめ

advisory は、ad(〜へ)+ vis(見る)+ ory で「見たことを伝える・助言の」。そこから、形容詞「諮問の」と名詞「注意報」の2つの顔が生まれました。

advise = 見る・じっと考える → 助言する
advice = 私には、こう見える → 助言
advisory = 見たことを伝える → 助言の/注意報

advisory の語源ワードマップ。中心は advisory(=見たことを伝える/助言の・注意報)で、ad(〜へ)+vis(見る)+ory に分解。ラテン語 videre(見る)を意味の中心とし、もとの意味「私には、こう見える」を示す。advisory 一族として advise / advice / adviser・advisor / advisable / advisability / advisement、vis・vid(見る)一族として vision / visible / visit / view / interview / evident / provide / visa、覚え方のヒントとして「ad=相手のほうへ、vis=見る → 見て、こう見えますと伝える」を配置した4クラスタの図。
  • 語源・中心:vis(videre=見る)・・・「私には、こう見える」
  • 覚え方のヒント:ad(相手のほうへ)+ vis(見る)= 見て、伝える
  • advisory 一族:advise/advice/adviser・advisor/advisable/advisability/advisement
  • vis・vid(見る)一族:vision/visible/visit/view/interview/evident/provide/visa

誰かに助言するとき、いちばん大事なのは正解を知っていることではないのかもしれません。まず相手のほうを向いて、よく見る。「私にはこう見えます」と差し出す。advisory という言葉は、その順番を覚えています。

TSL(TOEIC Service List)・BSL(Business Service List)収録語

この単語は TSL(TOEIC) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。ビジネスでもTOEICでも頻出する、汎用性の高い一語です。

出典:New General Service List Project

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翻訳練習の解答

  1. その会社は、この春に諮問委員会を立ち上げた。
  2. 彼は助言役として、そのプロジェクトに加わった。
  3. 市は月曜日、高温注意報を出した。
  4. 相談窓口には、いつでも気軽に立ち寄っていい。
  5. 注意報は注意を促すもので、命令ではない。
  6. 彼女の諮問グループは、月に一度集まっている。
  7. その相談サービスは、学生なら無料で使える。
  8. 最初のページに、短い注意書きが載っているかもしれない。
  9. よい助言は、まず聞くことから始まる。
  10. いつかあなたも、諮問委員として席につく日が来るかもしれない。