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【語源で覚える】intend|「つもり」と「強烈」は、もとは同じ一語だった

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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ビジネスメールで見かける We intend to ~(~する予定です)。日本語の「~するつもりです」を、少しあらたまった形で言うときの定番です。

この intend、分解すると in + tend。後半の tend は、カタカナでおなじみのテンション(tension)と同じ、「伸ばす・張る」という意味の部品です。

そして、この同じ一語から intense(強烈な)が生まれています。「~するつもり」と「強烈な」が、もとは同じ単語だった・・・ここがこの語のいちばん面白いところで、intensity も intensive も intensify も、この一本の線の上に並びます。

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intend を分解してイメージで覚える

intend をパーツで見ると、こうなります。

in(~のほうへ)+ tend(tendere=伸ばす・張る)

つまり「心をそちらのほうへ伸ばす」。弓を引き絞って的へ向けるような感じです。

ここでひとつ、先に片づけておきたい誤解があります。

  • impossible、invisible、incorrect の in-・・・「~でない」(否定)
  • intend、include、invite の in-・・・「中へ、~のほうへ」(方向)

intend の in は後者です。否定の in- だと思って読むと意味がひっくり返ってしまうので、ここは分けて覚えておくと安全です。

そして intendere(心を伸ばす)からは、2つの道が伸びました。

  • 伸ばす「先」に注目した道・・・どこへ向けるのか → intend(つもり)/intent(意図)/intention(意図)
  • 伸ばす「力」に注目した道・・・どれだけ張りつめるか → intense(強烈な)/intensity(強度)/intensive(集中的な)

的に向けるか、弦を強く張るか。同じ「伸ばす」を、どちら側から見たかの違いです。

なお、tend(伸ばす・張る)そのものの広がり・・・extend/pretend/tension/tent/tendon といった一族については、attend の記事で詳しく整理しています。この記事では intend 側の枝を見ていきます。

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intend の基本の意味と使い方

intend は「意図する、~するつもりである」。日常会話の be going to より少しあらたまった響きがあり、ビジネス文書・案内文・契約書でよく顔を出します。

いちばんよく使うのは intend to + 動詞の原形です。

  • We intend to launch the service in April.(4月にサービスを開始する予定です)
  • I didn’t intend to keep you waiting.(お待たせするつもりはありませんでした)

形のバリエーションを整理しておきます。

形意味例文
intend to do~するつもりだ(基本形)She intends to apply for the job.
intend + 名詞~するつもりがあるI intend no disrespect.
intend for + 人 + to do(人)に~してほしいと思っているWe intend for everyone to join.
be intended for ~~向けに作られているThis guide is intended for beginners.
be intended to do~することを狙って作られているThe rule is intended to protect new hires.

押さえておきたい注意点が3つあります。

  • intend のあとの動詞には必ず to が要る。intend go ではなく intend to go。
  • intend doing という形もありますが、主にイギリス英語で、やや古風です。迷ったら to 不定詞を選んでおけば外しません。
  • intend on doing は、アメリカ英語の口語でよく聞く形です。ただし Merriam-Webster の用法辞典も Fowler も「くだけた言い方」として扱っているので、フォーマルな文書では避けるのが無難です(形容詞 intent on ~ に引きずられた言い方だと見られています)。

受け身の be intended for/be intended to は、取扱説明書や案内文、求人票などに頻出します。「誰に向けて作られたものか」「何を狙った決まりか」を示す言い方で、読むときにも書くときにも使える一本です。

使い分け|intend・intent・intention・intense・intensive

同じ語源から出たせいで、この5語(+ tend)はよく取り違えられます。

単語品詞意味使いどころ
intend動詞~するつもりだI intend to stay.
intention名詞意図(いちばん普通の名詞)with the intention of helping
intent名詞/形容詞意図(かたい・法律寄り)/一心なletter of intent/intent on ~
intense形容詞強烈な(度合いが強い)intense pain, intense heat
intensive形容詞集中的な(集中して注ぎ込む)intensive care, intensive course
tend動詞~する傾向があるPrices tend to rise.

intense と intensive は特に混ざりやすいところです。intense は「強さそのものが大きい」、intensive は「ぎゅっと集中させる」。intensive care unit(ICU=集中治療室)、labor-intensive(労働集約的な)のように、intensive は「資源を一点に集める」側で使われます。

ついでに、英語圏でも有名な聞き間違いをひとつ。for all intents and purposes(事実上、実質的には)という決まり文句を、for all intensive purposes と書いてしまう人がかなりいます。音がそっくりなので起きる取り違えですが、正しいのは intents(意図)のほう。この記事の内容を知っていれば、もう間違えません。

関連語ネットワーク|intendere から枝分かれした単語

intend の背後には、綴りから想像しにくい単語がいくつもぶら下がっています。

上から心を向ける人|superintendent

super(上から)+ intend(心を向ける)で、superintendent。いまは「監督者、責任者」、アメリカでは学区の教育長や警察の階級名としても使われます。

面白いのは出どころです。1550年代、これはもともと教会の言葉で、「司教」や「地区の教会をとりまとめる聖職者」を指していました。ギリシャ語の episkopos(上から見る者)を、ラテン語の部品に置きかえて作った語なのです。

そして、その episkopos がそのまま英語になったのが bishop(司教)。

  • bishop・・・ギリシャ語をそのまま借りた
  • superintendent・・・同じ中身をラテン語で作り直した

つまりこの2語は、同じ意味を別の言語で写した双子ということになります。16世紀には、bishop という語を教皇制と結びつけて嫌った人たちが、代わりに superintendent を使ったという経緯もありました。

一般的な「管理する人」の意味は1580年代から。アメリカで「アパートの管理人」を指すようになったのは1935年ごろで、口語では the super と短く呼びます。

フランス語に渡った枝|entente・double entendre

ラテン語 intendere は、フランス語では entendre という形になりました。ところが現代フランス語の entendre は、主に「聞こえる、理解する」です。

英語は「意図する」へ、フランス語は「聞く」へ。同じ語が、海峡をはさんで別の方向へ伸びました。

そのフランス語から、英語に戻ってきた言葉が2つあります。

  • entente(1854年)・・・「了解、協商」。世界史で習う英仏協商(Entente Cordiale、1904年)、のちにロシアが加わってできた三国協商(Triple Entente)の、あの「アンタント」です。国と国が「同じほうを向いている」状態を指します。
  • double entendre(1670年代)・・・一つの言葉に二つの意味を持たせた言い回し。きわどい裏の意味を忍ばせるときに使われます。本来のフランス語なら double entente が正しい形ですが、英語では古いほうの形のまま定着しました。

intensify が1817年生まれである理由

いま「強める」は intensify ですが、この語は1817年に詩人コールリッジが作った、わりあい新しい言葉です。初出は『文学的自叙伝』の脚注。

彼はそこで、こんな意味のことを書いています。ニュートンたちは同じ意味で intend を使っていたが、いまや intend は「意図する」のほうに完全に取られてしまって、使うと紛らわしい。かといって「render intense」と言い換えると文のリズムが壊れる。だから、自分の耳には不格好に響くけれど、あえて intensify という語を使ってみる・・・と。

裏を返せば、19世紀の初めまで intend には「強める」の意味もあったということです。この記事の冒頭で見た「つもり」と「強烈」のつながりは、ほんの200年前までは英語話者にも見えていた、というわけです。

intended=婚約者

もうひとつ、知っておくと小説が読みやすくなる使い方を。

intend の過去分詞 intended は、1767年から名詞として「結婚するつもりの相手」、つまり婚約者を指すようになりました。my intended で「私のいいなずけ」。

いまでは古風な言い方ですが、19世紀の小説や、それを原作にした映画・ドラマではふつうに出てきます。「心を向けた相手」がそのまま名詞になった、と考えると腑に落ちます。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
intend動詞意図する、~するつもりだインテンド /ɪnˈtend/
intention名詞意図、意向インテンション /ɪnˈtenʃən/
intentional形容詞意図的な、故意のインテンショナル /ɪnˈtenʃənl/
intentionally副詞わざと、意図的にインテンショナリー /ɪnˈtenʃənəli/
intent名詞/形容詞意図/一心な、熱中したインテント /ɪnˈtent/
intended形容詞/名詞意図された/(古風)婚約者インテンディッド /ɪnˈtendɪd/
unintended形容詞意図しない、思いがけないアンインテンディッド /ˌʌnɪnˈtendɪd/
intense形容詞強烈な、激しいインテンス /ɪnˈtens/
intensity名詞強さ、強度、激しさインテンシティ /ɪnˈtensəti/
intensive形容詞集中的な、集約的なインテンシブ /ɪnˈtensɪv/
intensify動詞強める、激しくなるインテンシファイ /ɪnˈtensɪfaɪ/
superintendent名詞監督者、管理人、(米)教育長スーパーインテンデント /ˌsuːpərɪnˈtendənt/

この表のうち intensity・intensive は、学術語彙リスト(NAWL)とビジネス語彙リスト(BSL)の両方に入っている頻出語です。intend から線を引いておくと、二度手間になりません。

TOEIC・英検での出題傾向

intend は TOEIC で安定して出ます。難しい語ではありませんが、出方に癖があります。

よく問われるのは3つ。

  1. 品詞の識別(Part 5)・・・intend/intention/intentional/intentionally の入れ替え問題。空所の前後が名詞を求めているのか副詞を求めているのかで決まります。
  2. be intended for/be intended to(Part 7)・・・案内文や製品説明で「誰向けか」「何を狙った措置か」を問う設問の根拠文になりやすい形です。intended audience(想定読者)、intended use(本来の用途)もよく出ます。
  3. intend to + 原形・・・to の有無。穴埋めでは地味に効きます。

ビジネス文書では letter of intent(基本合意書、LOI)も頻出。契約の手前で「このつもりでいます」と文書にしたものです。

英検では準1級あたりで見かけます。語そのものより、名詞形の使い分けで差がつくタイプの一語です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. I intend to start learning English again this year.
  2. She intends to apply for the position next week.
  3. This guide is intended for people who are starting over.
  4. If you intend to change jobs, start preparing now.
  5. He never intended to hurt anyone.
  6. The new rule is intended to protect part-time workers.
  7. What you intend matters more than how fast you get there.
  8. We fully intend to keep our promise.
  9. Tell people what you intend, and most of them will help you.
  10. The course is intended to be finished in three months.

語源メモ|「心を伸ばす」が「つもり」になるまで

intend は1300年ごろの英語に entenden の形で現れ、最初の意味は「注意を向ける、心を配る」でした。古フランス語の entendre/intendre、さらにさかのぼるとラテン語の intendere「注意を向ける、力を込める」、文字どおりには「伸ばす、広げる」。in-(~のほうへ)+ tendere(伸ばす)で、おおもとは印欧祖語の *ten-(伸ばす)です。

いま日本の学習者がまず覚える「~するつもりだ」の意味は14世紀末から。ただしこの意味はラテン語の段階ですでにありました。

なぜ t と s の2系統があるのか

intention と intension、intent と intense。よく似た綴りが並ぶのは、ラテン語の側に理由があります。

intendere の過去分詞は intentus で、その異形(つづり違い)として intensus も使われていました。英語はこの両方を別々に受け取ったため、t の系列と s の系列が並んで残ったわけです。

  • t の系列・・・intent(early 13c.)/intention(late 14c.)=「意図」側
  • s の系列・・・intense(early 15c.)/intensive(mid-15c.)/intensity(1660s)=「強さ」側

intensity はもともと科学用語で「ある力が働く量」を指し、「感情の深さ」の意味で使われるようになったのは1830年ごろからです。

tendere と tenere

印欧祖語 *ten-(伸ばす)からは、ラテン語で tendere(伸ばす)と tenere(持つ・保つ)という2つの動詞が生まれました。obtain・maintain・contain の tain は tenere 側です。intend と obtain は遠い親戚ではあるものの直系ではありません。この区別は attend の記事で詳しく扱っています。

to all intents and purposes の出どころ

「事実上、実質的には」を意味するこの決まり文句は、16世紀半ばの法律英語が出どころです。ヘンリー8世の時代の議会制定法にある「to all intents, constructions, and purposes」が初出とされます(年については1546年とする資料と1547年とする資料があり、ここは揺れています)。真ん中の constructions だけが落ちて、残り2語が今日まで生き延びました。

intend が来る前の英語

ちなみに、「意図する」を担っていた英語本来の語は ettle でした。古ノルド語の ætla(考える、もくろむ)から入った語で、今は方言に残るのみです。ラテン語由来の intend が、その座を引き継いだことになります。

まとめ

intend は、in(~のほうへ)+ tend(tendere=伸ばす)で「心をそちらへ伸ばす」。向ける先に目をやれば「意図する」、伸ばす力に目をやれば「強烈な」になります。

  • 意味の中心・・・心を的のほうへ、ぴんと伸ばす
  • in は否定ではない・・・invisible の in- とは別。ここでは「~のほうへ」
  • t の系列・・・intent/intention/intentional =「意図」側
  • s の系列・・・intense/intensive/intensity/intensify =「強さ」側
  • 思いがけない親戚・・・superintendent(もとは司教)/entente(協商)/double entendre/my intended(婚約者)
  • 実利の形・・・intend to do、be intended for、be intended to do、letter of intent

何かをするつもりでいる、というのは、心をその方向へ伸ばしておくこと。張りつめた弦が音を出すように、伸ばしておいた分だけ、いつか届きます。

intend の語源ワードマップ。中心は intend(=心をそちらへ伸ばす)で、in(~のほうへ)+tend(tendere=伸ばす・張る)に分解。意図の系列(intent / intention / intentional / unintended / intended)、強さの系列(intense / intensity / intensive / intensify)、覚え方のヒント(テンションと同じ tend、in は否定ではない、superintendent・entente との親戚関係)の4クラスターに整理した図。
  • 語源・中心・・・in(~のほうへ)+ tend(tendere=伸ばす・張る)=心をそちらへ伸ばす
  • 意図の系列(t)・・・intent/intention/intentional/intentionally/unintended/intended
  • 強さの系列(s)・・・intense/intensity/intensive/intensify
  • 思いがけない親戚・・・superintendent/intendant/entente/double entendre
  • 覚え方のヒント・・・テンション(tension)と同じ tend。in は「否定」ではなく「~のほうへ」

NGSL(New General Service List)収録語

この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。
出典:New General Service List Project

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翻訳練習の解答

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  2. 彼女は来週、その職に応募するつもりでいる。
  3. このガイドは、もう一度やり直す人に向けて作られている。
  4. 転職するつもりなら、準備は今から始めたほうがいい。
  5. 彼には、誰かを傷つけるつもりなど最初からなかった。
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