respond(返答する)という単語を、頭の中でパーツに切ってみてください。
多くの人が、ここで res + pond と切ります。pond は「池」。見慣れた綴りが見えるので、つい手が止まるんですね。
でも、正しい切れ目はここではありません。re + spond です。s は後ろにくっつきます。
そして、この spond こそが、カタカナでおなじみの sponsor(スポンサー) の正体です。respond と sponsor が、同じ家族だったわけです。
意味の中心は、ラテン語の spondere(厳かに約束する・保証する)。ここを押さえると、respond・responsible・correspond・spouse まで、一本の線でつながります。
sponsor を分解してイメージで覚える|spond は「約束」
まず、2つの単語を並べて切ってみます。
- re(返して)+ spond(約束する) = respond(返事をする)
- spons(約束した)+ or(人) = sponsor(約束を引き受ける人)
respond は「投げられた言葉に、約束を返す」。sponsor は「約束を引き受ける、その人」。どちらも真ん中にいるのは spond です。
ここで、日本語の「スポンサー」のイメージを一度わきに置いてみてください。日本語では、ほぼ「お金を出してくれる企業」という意味で使いますよね。でも英語の sponsor の意味の中心は、お金ではなく
「責任を引き受けると約束すること」。
お金を出すのは、その約束の中身のひとつにすぎません。だから英語の sponsor には、ビザの身元保証人や、クラブ入会の推薦人といった、お金が絡まない使い方もあります。
覚え方の手がかり:sponsor =「保証人」。お金を出す人ではなく、責任ごと引き受けると約束した人。
sponsor の基本の意味と使い方
名詞としては「後援者・出資者・保証人・広告主」、動詞としては「後援する・出資する・(法案などを)提出する」を表します。
- The company sponsors a local soccer team.(その会社は地元のサッカーチームを支援している)
- a sponsored event(協賛イベント)
- visa sponsorship(ビザの身元保証)
- the title sponsor of the tournament(大会の冠スポンサー)
動詞の sponsor は、他動詞としてそのまま目的語を取ります。sponsor to ~ とはしません。ここは地味ですが、書くときに迷いやすいところです。
使い分け|sponsor・supporter・backer・patron
どれも「支える人」ですが、支え方の色が違います。
| 単語 | 支え方の色 |
|---|---|
| sponsor | 契約や約束にもとづいて、責任ごと引き受ける |
| supporter | 気持ちの面も含めて応援する。サポーター |
| backer | 資金面で後ろ盾になる。出資者寄り |
| patron | 継続的に庇護する。芸術のパトロン的な響き |
英語で「応援しています」と伝えたいときに sponsor を使うと、「お金を出す契約をした」という意味に取られます。気持ちの応援は supporter や I’m rooting for you. のほうが自然です。
spond・spons でつながる単語ネットワーク
spondere(約束する)を知っておくと、まったく別ジャンルに見える単語が一気につながります。
| 単語 | 意味 | 分解のイメージ |
|---|---|---|
| respond | 返答する | re(返して)+spond=約束を返す |
| response | 返答、反応 | respond の名詞形 |
| responsible | 責任がある | 「答える義務を負っている」状態 |
| responsibility | 責任 | responsible の名詞形 |
| correspond | 一致する、文通する | cor(互いに)+respond=約束を返し合う |
| despondent | 意気消沈した | de(手放して)+spond=望みを手放すと約束する |
| spouse | 配偶者 | 「約束を交わした人」 |
| espouse | (主義を)支持する、めとる | 「約束して引き受ける」 |
とくに responsible は、この家族の意味がきれいに残っている一語です。responsible は「立派な人」ではなく、「問われたら答える義務を負っている」 状態のこと。日本語の「責任感がある」より、もう少し冷たくて、もう少し具体的です。
そして despondent(意気消沈した)。de は「離れて・手放して」。望みを手放すと約束してしまった状態・・・と考えると、あの重たい語感が腑に落ちます。
結婚の枝|spouse と espouse
spondere からは、もうひとつ意外な枝が伸びています。
ラテン語の過去分詞が sponsus(婚約した男性)/sponsa(婚約した女性)。これが古フランス語を経て、英語の spouse(配偶者) になりました。スポンサーと配偶者が、同じ語から出た兄弟だったわけです。
考えてみれば、どちらも「約束を引き受けた人」。結婚式でやっていることは、まさに誓いの引き受けですよね。
そこから派生した espouse は、もともと「めとる」という意味でした。それが1620年代に「(主義・主張を)採用して支持する」という使い方に広がります。現代の英文では、こちらの意味で出てくるほうが多いです。
- She espouses a simple way of living.(彼女は簡素な暮らし方を支持している)
似ているけれど、別の家系
ここは混ざりやすいので、はっきり分けておきます。
pond(池)・ponder(熟考する)は無関係です。
ponder はラテン語 ponderare「重さを量る」から来ていて、その元は pondus(重さ)、さらに pendere(吊るす・量る)。pension(年金)・pendant(ペンダント)・suspend(吊るす)・spider(クモ)と同じ家系で、spondere とはまったく別ルートです。
respond を res+pond と切りたくなる気持ちはよくわかるのですが、意味の上でも「池」や「重さ」は入り込む余地がありません。切れ目は re+spond。ここだけ覚えておけば大丈夫です。
spontaneous(自発的な) も、綴りは似ていますが別扱いです。こちらはラテン語の sponte(自分の意志で)から来ていて、その元になった語そのものの語源が分かっていません。spondere とつなげて覚えると、かえって混乱のもとになります。
派生語 Word Family
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| sponsor | 名詞・動詞 | 後援者、保証人/後援する | スポンサー /ˈspɒnsər/ |
| sponsorship | 名詞 | 後援、協賛、身元保証 | スポンサーシップ /ˈspɒnsərʃɪp/ |
| sponsored | 形容詞 | 協賛の、提供の | スポンサード |
| co-sponsor | 名詞・動詞 | 共同提案者/共同で後援する | コウスポンサー |
| sponsorial | 形容詞 | 後援者の | ― |
TOEIC・英検での出題傾向
sponsor と sponsorship は、TOEIC の Part 7(広告・案内文・社内メール)で定番の語です。次の形で覚えておくと、そのまま得点になります。
- be sponsored by ~(~の協賛で)
- sponsorship agreement(協賛契約)
- corporate sponsorship(企業協賛)
- seek a sponsor for ~(~のスポンサーを探す)
あわせて、同じ家族の responsible for ~(~に責任がある)と in response to ~(~に応えて)も頻出です。どちらも前置詞が決まっているので、セットで入れてしまうのが早いです。
英検では準2級あたりから見かけます。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Our company will sponsor the local music festival.
- She found a sponsor for her research trip.
- A sponsor is someone who promises to stand behind you.
- The team thanked its sponsor after the final match.
- You can be a sponsor of someone’s growth, not just their costs.
- The show was sponsored by a small family bakery.
- He became the sponsor of a bill to help young workers.
- Every sponsor started by believing in someone.
- If you need a sponsor, tell people what you are building.
- Being a sponsor means keeping a promise over time.
語源メモ
sponsor は、後期ラテン語の sponsor(洗礼の保証人)から英語に入りました。古典ラテン語では「保証人・担保となる人」。元をたどると、動詞 spondere(厳かに約束する・保証を与える) の過去分詞 sponsus です。
さらに奥を見ると、この語は印欧祖語の「献酒する」にさかのぼります。ギリシャ語の spendein(神に酒を注ぐ)、spondē(献酒)が同じ系統です。約束とは、もともと 神前で酒を注ぐ儀式そのもの だった、ということですね。詩の韻律用語 spondee(長長格)も、この献酒の詠唱で使われた拍から来ています。
英語に入ってからの歩みも、知っておくと面白い一語です。
- 1650年代・・・最初の意味は「洗礼の代父母」。赤ちゃんに代わって信仰を誓う人
- 1670年代・・・「他人の行いについて責任を引き受ける人」という一般的な意味へ
- 1753年・・・sponsorship(スポンサーである状態)が登場
- 1882年・・・動詞 sponsor「支持する」が使われ始める
- 1931年・・・ラジオ番組の費用を出す人、つまり広告主の意味が記録される
- 1961年・・・法案を提出・後押しするという議会用語に
日本語の「スポンサー」でいちばんなじみのある広告主の意味は、実はこの一族でいちばん新しい層なんです。1931年といえば、ラジオ放送が広告を取り込み始めたころ。それまでの約300年は、ずっと「保証を引き受ける人」でした。
なお、respond が現在の綴りと発音に落ち着いたのは1600年ごろ。それ以前は respounden のような形でした。pond に見えてしまう綴りは、この時期に固まったものです。
まとめ
sponsor は、spons(約束した)+ or(人)で「責任ごと引き受けると約束した人」。
- spondere・・・厳かに約束する・保証する。意味の中心はここ
- respond の切れ目・・・res+pond ではなく re+spond。pond(池)とは無関係
- spond 一族・・・respond/response/responsible/correspond/despondent
- 結婚の枝・・・spouse/espouse
- 広告主の意味は1931年からで、一族の中でいちばん新しい
お金を出すから sponsor なのではなく、引き受けると約束したから sponsor。そう捉え直すと、この一語がぐっと立体的になります。

- 語源・中心:spons(spondere=厳かに約束する)+ or(人)=「約束を引き受ける人」
- 覚え方のヒント:respond は re+spond。pond(池)ではない
- spond(約束)一族:respond/response/responsible/correspond/despondent
- 結婚の枝:spouse/espouse/espousal
NAWL・BSL 収録語
この単語は NAWL(学術) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。学術英語でもビジネスでも頻出する、汎用性の高い一語です。
出典:New General Service List Project
※ リストに収録されているのは名詞形の sponsorship です。この記事では、元になる sponsor を見出し語にしています。
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翻訳練習の解答
- 当社は、地元の音楽フェスに協賛する予定だ。
- 彼女は、研究旅行を支援してくれるスポンサーを見つけた。
- スポンサーとは、あなたの後ろに立つと約束してくれる人のことだ。
- そのチームは、決勝戦のあとスポンサーに感謝を伝えた。
- 誰かの費用だけでなく、その人の成長を支えるスポンサーにもなれる。
- その番組は、小さな家族経営のパン屋が提供していた。
- 彼は、若い働き手を支える法案の提出者になった。
- どのスポンサーも、誰かを信じるところから始まっている。
- 支えてくれる人が必要なら、自分がいま何を築こうとしているのかを周りに伝えよう。
- スポンサーであるとは、約束を長く守り続けるということだ。


