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【語源で覚える】spouse|フィアンセとは、実は親戚ではありません

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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結婚にまつわるカタカナ語といえば、「フィアンセ」。婚約者のことですね。

では、英語の spouse(配偶者) は、そのフィアンセの仲間でしょうか。どちらも結婚まわりの言葉で、頭が s と f の違いくらいしかなさそうに見えます。

ところが、この2つはまったく別の家系です。しかも spouse の本当の親戚は、結婚とは縁もゆかりもなさそうな、あの単語たち・・・。入り口はここからです。

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spouse を分解してイメージで覚える

spouse をパーツで見ると、こうなります。

spons(誓う・厳かに約束する)+ e

ラテン語の動詞 spondere(厳かに約束する・保証する)。

その過去分詞が sponsus(誓われた男性)/sponsa(誓われた女性) で、これが古フランス語を通って英語の spouse になりました。

つまり spouse の意味の中心は「結婚している人」ではなく、「誓いを交わした人」。結婚式でやっていることそのものが、この一語に入っているわけです。

ここが腑に落ちると、次の意外な事実もすっと受け取れます。spons という並び、どこかで見た覚えはありませんか。

・・・sponsor(スポンサー) です。

スポンサーと配偶者。遠い世界の言葉に見えて、どちらも spondere から出た兄弟でした。どちらも「引き受けると誓った人」。そう並べると、意味の中心が一本の線でつながります。

【語源で覚える】sponsor|respond を切る場所、合っていますか

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spouse の基本の意味と使い方

spouse は「配偶者」を表す名詞です。夫にも妻にも使える、性別を問わない語です。

  • my spouse(私の配偶者)
  • spouse and children(配偶者と子ども)
  • spousal support(配偶者への扶助)

発音は /spaʊs/。語尾は濁らず、「スパウス」に近い音です(辞書によっては /spaʊz/ も併記されています)。形容詞形の spousal は /ˈspaʊzəl/ で、こちらは濁ります。

使いどころにはクセがあります。spouse は、書類や法律・制度の文脈で使う、少しあらたまった語です。

日常会話では husband / wife / partner のほうが自然に響きます。日本語の「配偶者」を思い浮かべてもらうと、ぴったり同じ温度です。役所の書類には「配偶者」と書くけれど、友達には「うちの夫が」と言いますよね。英語もまったく同じ感覚です。

  • 書類・制度の場面:Please enter your spouse’s full name.
  • 日常会話の場面:My wife is a teacher. / I’ll ask my partner.

ちなみに husband の語源も知っておくと面白い一語です。古ノルド語の húsbondi、直訳すると「家に住む人」。hus(家)+ bondi(住む人・自作農)で、もとは「一家の主」のこと。13世紀の終わりごろから、古英語の wer(男)を押しのけて「夫」の座に収まりました。くだけた言い方の hubby は1680年代から記録があります。

フィアンセは、別の家系です

さて、冒頭のフィアンセです。

fiancé(男性の婚約者)/fiancée(女性の婚約者) は、フランス語からそのまま入ってきた語です。たどっていくと、fiancer(婚約させる)← fiance(約束・信頼)← fier(信じる)← ラテン語 fidus(忠実な)・fides(信頼)。

つまり、フィアンセの意味の中心は 「信じる」。spouse の「誓う」とは、まったく別のルートです。

※ 正確には、spouse はラテン語 spondere(誓う)系、fiancé はラテン語 fides(信じる)系で、語源的なつながりはありません。結婚という同じ場面に立っているせいで親戚に見えるだけ、という関係です。

そして fides 側にも、おなじみのカタカナが隠れています。Hi-Fi(ハイファイ)。オーディオの「ハイファイ」は high fidelity の略で、fidelity は「忠実さ」。音を原音に忠実に再現する、という意味です。この fidelity が、fides(信頼)そのものの子孫なんです。

フィアンセとハイファイが同じ家族で、配偶者とスポンサーが同じ家族。英語の語源は、ときどきこういう配置をします。

綴りの豆知識・・・男性は fiancé(e が1つ)、女性は fiancée(e が2つ)。英語に入った時期も少しずれていて、fiancée が1844年、fiancé が1864年です。

spond(誓う)でつながる単語ネットワーク

spondere(誓う)を押さえると、別ジャンルに見える単語が一気につながります。spouse は、この一族への入り口でもあります。

単語意味分解のイメージ
sponsor後援者、保証人spons(誓った)+or(人)
respond返答するre(返して)+spond=誓いを返す
response返答、反応respond の名詞形
responsible責任がある「問われたら答える義務を負った」状態
correspond一致する、文通するcor(互いに)+respond=誓いを返し合う
despondent意気消沈したde(手放して)+spond=望みを手放す
espouse(主義を)支持する、めとる「誓って引き受ける」
espousal婚約、(主義の)支持espouse の名詞形

とくに responsible は、この家族の意味がきれいに残っている一語です。「立派な人」ではなく、「問われたら答えると引き受けている」状態のこと。日本語の「責任感がある」より、少し具体的で、少し冷たい言葉です。

そして espouse。もとは「めとる」でしたが、1620年代から「(主義・主張を)採用して支持する」の意味に広がりました。現代の英文では、こちらで出てくるほうが多いです。

  • She espouses a simple way of living.(彼女は簡素な暮らし方を支持している)

fides(信じる)でつながる単語ネットワーク

もう一方の家系、フィアンセ側も見ておきましょう。こちらを知っておくと、ビジネス英語がぐっと読みやすくなります。

単語意味意味の中心
fidelity忠実さ、忠誠Hi-Fi=high fidelity の fi
confidence自信、信頼con(すっかり)+fid=すっかり信じる
confident自信のある同上の形容詞形
confide打ち明ける信じて預ける
faith信念、信仰fides が古フランス語を通った形
federal連邦のfoedus(信義による盟約)から
bona fide誠実な、本物のラテン語のまま「よき信義で」
infidel不信心者in(〜でない)+fid

bona fide は契約書で本当によく見ます。a bona fide offer なら「誠意ある申し出・本物の申し出」。読めないと止まってしまう一語なので、fid=信じる、で覚えておくと得です。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
spouse名詞配偶者スパウス /spaʊs/
spouses名詞(複数)配偶者たちスパウスィズ
spousal形容詞・名詞配偶者の/婚礼スパウザル /ˈspaʊzəl/
spousehood名詞配偶者であることスパウスフッド
espouse動詞支持する、めとるイスパウズ /ɪˈspaʊz/
espousal名詞婚約、支持イスパウザル

※ spouse には「めとる」という動詞用法もありましたが、現在は古語です。spouseless(配偶者のいない)も15世紀半ばからある語ですが、今はほとんど使われません。

TOEIC・英検での出題傾向

spouse は、TOEIC の Part 7(社内通知・案内文・申込書)で見かける語です。とくに福利厚生まわりの文章に出てきます。

  • employees and their spouses(従業員とその配偶者)
  • spouse or dependent(配偶者または扶養家族)
  • spousal benefits(配偶者向けの給付)
  • bring your spouse to the event(イベントに配偶者を同伴する)

「社員本人だけか、家族も含むか」を問う設問の分かれ目になりやすいので、spouse と dependent はセットで覚えておくと確実に効きます。

同じ家族の responsible for 〜(〜に責任がある)、in response to 〜(〜に応えて)も頻出です。どちらも前置詞が決まっているので、形ごと入れてしまうのが早いです。

英検では2級あたりから、書類や制度の話題で見かけます。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Please write your spouse’s name on this form.
  2. The word spouse works for a husband or a wife.
  3. The company covers medical costs for employees and their spouses.
  4. She travels to almost every conference with her spouse.
  5. A good spouse listens more than he or she speaks.
  6. You can bring your spouse to the year-end party.
  7. My spouse and I decided to save a little each month.
  8. Your spouse is the person you promised to stand beside.
  9. If your spouse looks tired tonight, just make tea and sit together.
  10. Being someone’s spouse means keeping a promise, day after day.

語源メモ

spouse は1200年ごろの英語に現れます。最初は「結婚している人(とくに夫に対する妻)」を指し、「結婚・既婚という状態」そのものを表すこともありました。宗教的な文脈では「魂や教会にとっての霊的な夫としてのキリスト」を指す使い方もあり、呼びかけの言葉としても使われています。

さかのぼると、古フランス語 spous(女性形 spouse)、その元は espous/espouse(現代フランス語 épous/épouse)。さらに元はラテン語 sponsus(花婿)/sponsa(花嫁) で、字義どおりには「誓われた者」。動詞 spondere(身を縛る・厳かに約束する) の過去分詞です。

もっと奥を見ると、印欧祖語の *spend-(捧げ物をする・儀式を行う) にたどり着きます。ギリシャ語の spendein(神に酒を注ぐ)、spondē(献酒)が同じ系統。約束とは、もともと 神前で酒を注ぐ儀式そのもの だったわけです。詩の韻律用語 spondee(長長格)も、この献酒の詠唱で使われた拍から来ています。

関連して、古い英語には spouse-breach(13世紀初め)という語がありました。直訳すると「誓いを破ること」で、不貞を指す言葉です。誓いという原義が生きていた時代の言い回しですね。

混同しやすい語の整理

  • fiancé/fiancée(婚約者)・・・ラテン語 fides(信頼)系。spouse(spondere=誓う)とは別ルートです
  • spontaneous(自発的な)・・・ラテン語 sponte(自分の意志で)から。綴りは似ていますが、sponte 自体の語源が分かっておらず、spondere とつなげると誤りになります
  • husband(夫)・・・古ノルド語 húsbondi(家に住む人)。ゲルマン系で、ラテン語由来の spouse とは血縁がありません

まとめ

spouse は、spons(spondere=厳かに誓う)+e で「誓いを交わした人」=配偶者。

  • spondere・・・厳かに約束する。意味の中心はここ
  • spons 一族・・・sponsor/respond/responsible/correspond/despondent/espouse
  • フィアンセは別の家系・・・fiancé は fides(信じる)系で、Hi-Fi(high fidelity)・confidence の仲間
  • 書類や制度の場面では spouse、日常会話では husband/wife/partner

結婚しているから spouse なのではなく、誓いを引き受けたから spouse。そう捉え直すと、この一語の手ざわりが変わります。

spouse の語源ワードマップ。中心は spouse(=誓いを交わした人)で、spons(spondere=厳かに誓う)+e に分解。spond(誓う)一族(sponsor / respond / responsible / correspond / despondent / espouse)、別の家系である fides(信じる)一族(fiancé / fidelity / confidence / faith / bona fide)、覚え方のヒントの4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:spons(spondere=厳かに誓う)+e =「誓いを交わした人」
  • 覚え方のヒント:spouse と sponsor は同じ spons。どちらも「引き受けると誓った人」
  • spond(誓う)一族:sponsor/respond/responsible/correspond/despondent/espouse
  • 別の家系(fides=信じる):fiancé/fidelity(Hi-Fi)/confidence/faith/bona fide

TSL(TOEIC Service List)・BSL(Business Service List)収録語

この単語は TSL(TOEIC) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。ビジネスでもTOEICでも頻出する、汎用性の高い一語です。

出典:New General Service List Project

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翻訳練習の解答

  1. この用紙に、配偶者の氏名をご記入ください。
  2. spouse という語は、夫にも妻にも使える。
  3. その会社は、従業員とその配偶者の医療費を負担している。
  4. 彼女は、ほとんどの学会に配偶者と一緒に出かける。
  5. よき配偶者は、話すよりも多く耳を傾ける。
  6. 忘年会には、配偶者を連れてきてかまいません。
  7. 私たち夫婦は、毎月少しずつ貯金することにした。
  8. 配偶者とは、あなたがそばにいると約束した相手のことだ。
  9. 今夜、連れ合いが疲れて見えたら、お茶をいれて隣に座るだけでいい。
  10. 誰かの配偶者であるとは、約束を日々守り続けるということだ。