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【語源で覚える】evident|「エビデンス」も video も、もとは同じ vid(見る)

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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会議で飛び交う「エビデンスは?」の、あのエビデンス。日本語になったのは比較的最近ですが、もうすっかり定着しましたよね。

このエビデンス(evidence)には、兄弟のような単語があります。それが evident(明らかな、はっきりしている)。綴りを並べてみると、最後が違うだけです。

そしてこの2語の真ん中に隠れているのが、vid(見る)。ここに気づくと、まったく別ジャンルに見えていた単語が、一本の線でつながります。たとえば・・・video(ビデオ)。

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evident を分解してイメージで覚える

evident をパーツで見ると、こうなります。

e(ex=外へ・すっかり)+ vid(見る)+ ent(〜している)

つまり「外にすっかり見えている状態」。隠れていない、目をこらさなくても見える、だから「明らかな」。

日本語の「明らか」も、よく見れば「明るい」が入っていますよね。暗がりでは見えないものが、光の中ではっきり見える。evident の発想も、まったく同じです。証明や理屈をたどらなくても、もう見えてしまっている・・・それが evident の意味の中心です。

覚え方の手がかりは、やはり エビデンス。「証拠」と訳されますが、もとをたどれば「はっきり見えるもの」。見えるから証拠になる、という順番です。

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evident の基本の意味と使い方

evident は「明らかな」「はっきりしている」を表す形容詞です。

  • It is evident that she is happy.(彼女が幸せなのは、見ればわかる)
  • His talent was evident from the start.(彼の才能は、最初から明らかだった)
  • The results are evident in the data.(結果はデータにはっきり表れている)

よく使うのが It is evident that … の形。「〜なのは明らかだ」と切り出すときの定型です。obvious(当たり前に明らか)や clear(はっきりしている)と近い意味ですが、evident には「証拠や様子を見れば判断できる」という、少し理詰めの響きがあります。

evidence との関係|兄弟のような2語

evident(形容詞)と evidence(名詞)は、同じラテン語 evidens から生まれた2語です。

単語品詞意味使うとき
evident形容詞明らかな状態を言う(It is evident that …)
evidence名詞証拠、根拠モノ・情報を指す(There is no evidence.)
evidently副詞明らかに、どうやら文を修飾する

ひとことで言えば、evidence が「見えるもの」で、evident が「見えている状態」。日本語で先に「エビデンス」を覚えてしまった人は、そこから evident へ逆輸入する形で広げると早いです。

なお evidently には「どうやら〜らしい」という、断定を少しゆるめる使い方もあります。見た感じでそう判断した、というニュアンスです。

vid/vis(見る)でつながる単語ネットワーク

evident の意味の中心 vid(ラテン語 videre=見る)は、英語のなかでも指折りに子だくさんな語根です。形を vis に変えながら、あちこちに顔を出します。

単語意味分解とイメージ
video動画、ビデオラテン語で「私は見る」そのもの
vision視力、展望見ること、見えているもの
televisionテレビtele(遠く)+vision=遠くを見る
visible目に見えるvis(見る)+ible(できる)
visual視覚のvis(見る)+ual
visit訪問するもとは「会いに行って見る」
visaビザ、査証「見られた=確認済みの書類」から
review見直す、復習、レビューre(再び)+view(見る)
revise改訂するre(再び)+vis(見る)=見直す
supervise監督するsuper(上から)+vis(見る)
survey調査する、見渡すsur(上から)+vey(見る)
provide提供する、備えるpro(前もって)+vid(見る)=先を見て用意する
prudent慎重な、思慮深いprovidens(先を見ている)の縮まった形
interview面接、インタビューinter(互いに)+view=向き合って見る
envyねたみ、うらやむin(〜に向けて)+vid=悪意をもって見る

provide(提供する)が「見る」の仲間というのは、なかなか意外ではないでしょうか。pro(前もって)+ vid(見る)で「先を見越して用意しておく」。そこから「供給する」へ移りました。prudent(慎重な)も同じ発想で、「先が見えている人」が、いつしか「思慮深い人」になったわけです。

envy(ねたみ)も同じ家族。「じっと見る」という行為に悪意がこもると、ねたみになる。視線の生々しさが、そのまま語源になっています。

もっと遠くまでたどると|wise・idea・history も親戚

さらに語根のレベルまでさかのぼると、vid は印欧祖語の *weid-(見る)に行き着きます。この語根からは、ラテン語経由ではない単語も生まれているとされています。

単語意味経由
wise賢いゲルマン語系。「見て知っている」から
wisdom知恵wise+dom
wit機知、知力「知る」から
idea考え、アイデアギリシャ語 idein(見る)から
idol偶像、アイドルギリシャ語 eidos(姿・見た目)から
history歴史ギリシャ語 histor(見て知っている人)から

「見る」が「知る」になる・・・この意味の移り変わりは、日本語の「見識」「見解」とも重なります。見たことが、知っていることになる。言語をまたいで同じ発想が働いているのは、少し不思議な気がしますよね。

※ この段落は語根レベルの推定を含みます。評価が確定している vid/vis 系(上の表)とは分けて考えてください。

派生語|evident まわり

単語品詞意味発音
evident形容詞明らかなエヴィデント /ˈevɪdənt/
evidence名詞・動詞証拠、根拠/明らかに示すエヴィデンス /ˈevɪdəns/
evidently副詞明らかに、どうやらエヴィデントリー /ˈevɪdəntli/
self-evident形容詞自明のセルフエヴィデント

self-evident は「それ自体で明らか」。アメリカ独立宣言の一節で知られる言い回しで、日本語では「自明の」にあたります。

TOEIC・英検での出題傾向

正直なところ、TOEIC で頻度が高いのは evident より evidence のほうです。Part 7 の報告書・調査関連の文章で「根拠・証拠」として登場します。

一方 evident は、Part 5 の語彙選択問題で obvious・apparent・clear と並べて問われる形が中心。英検では準1級あたりの読解でよく見かけます。どちらも、まず evidence を軸に覚えて、evident・evidently を横に並べるのが効率的です。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Your progress is evident.
  2. It is evident that you have practiced a lot.
  3. Her kindness is evident in small things.
  4. His effort was evident from the first day.
  5. It became evident that the plan was working.
  6. The reason for your growth is evident now.
  7. It is evident that small steps add up.
  8. What is evident today was invisible a year ago.
  9. You may not see it, but your change is evident to others.
  10. Keep going, and the results will be evident.

語源メモ|ex と videre が出会う言葉

evident は、ラテン語 evidentem(主格 evidens)に由来します。分けると ex(外へ・すっかり) と、videre(見る) の現在分詞 videns。「外にすっかり見えている」が原義です。14世紀後半、古フランス語 evident を経て英語に入りました。

名詞の evidence は、後期ラテン語 evidentia(証明)から。古典ラテン語では修辞学の用語で「鮮明さ・際立ち」を意味していました。英語に入った当初(1300年ごろ)は「そこから推論を引き出せる外観」という、かなり語源に近い意味だったようです。法律用語としての「証拠」は1500年ごろから広まり、それまで使われていた witness を押しのけていきました。

video はずいぶん新しい語で、1935年に audio の視覚版として作られたものです。もとはラテン語の動詞そのまま、「私は見る」という一人称の活用形でした。ラテン語の一文がそのまま英単語になっている・・・という点では、かなり変わった経歴の持ち主です。

なお、television は tele(ギリシャ語「遠く」)+ vision のギリシャ・ラテン混成語。異なる言語の部品を組み合わせた、20世紀初頭らしい造語です。

まとめ

evident は、e(ex=外へ)+ vid(見る)+ ent で「すっかり見えている」=明らかな。

  • vid/vis(見る)・・・video/vision/visible/visit/review/supervise/provide など、英語で最も子だくさんな語根のひとつ
  • evidence との関係・・・evidence が「見えるもの(証拠)」、evident が「見えている状態(明らかな)」
  • 意外な仲間・・・provide(先を見て備える)、prudent(先が見えている)、envy(悪意をもって見る)

会議で聞く「エビデンス」が、video と同じ家族だった。そう気づいた瞬間から、vid/vis が入った単語は、だいたい「見る」の話だと見当がつくようになります。

evident の語源ワードマップ。中心は evident(=すっかり見えている・明らかな)で、e(ex=外へ)+vid(見る)+entに分解。vid/vis(見る)一族(video/vision/television/visible/visit/visa/review/revise/supervise/survey)、意外な仲間(provide/prudent/envy/interview)、覚え方のヒント(エビデンス→見えるから証拠になる)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:e(ex=外へ)+ vid(見る)+ ent =「すっかり見えている」
  • 覚え方のヒント:エビデンス → 見えるから証拠になる
  • vid/vis(見る)一族:video/vision/television/visible/visit/visa/review/revise/supervise/survey
  • 意外な仲間:provide/prudent/envy/interview

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集録語彙リスト

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NAWL(New Academic Word List)集録語

この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project

TSL(TOEIC Service List)集録語

この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project

BSL(Business Service List)集録語

この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project