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【語源で覚える】designate|「デザイン」と同じ語から出た双子

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「デザイン(design)」は、もう日本語と言っていい一語です。グラフィックデザイン、デザイナーズ家具、デザイン思考・・・日常のあちこちに顔を出します。

そこで、今日の単語を見てください。

designate

頭から6文字、design がそのまま入っています。

綴りが似ているだけの偶然・・・ではありません。design と designate は、同じラテン語の動詞から、別の道をたどって英語に入ってきた「双子」です。しかも英語に入った時期も、通ってきた国も違います。

この関係が見えると、designate の「指定する・任命する」という、一見かたい意味が、すっと手前に下りてきます。

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designate を分解してイメージで覚える

designate をパーツで見ると、こうなります。

de(はっきりと・外へ)+ sign(signum=しるし)+ ate(〜する)

意味の中心は、真ん中の sign。みなさんがよく知る「サイン」の sign、ラテン語の signum(しるし・目印)です。

そこに de(はっきりと・外へ)が付くと、「しるしをつけて、外にはっきり示す」。

  • ここが駐車スペースです、と線を引いて示す
  • この人が担当です、と名前を挙げて示す

どちらも「designate」です。頭の中にあるものを、誰が見てもわかる形で外に出して、これだ、と指す。それが designate の一枚絵です。

そして design も、もともとは同じ動きでした。頭の中にある形に、輪郭という「しるし」を与えて、紙の上に出す・・・それが design です。片方は「図案」の方向へ、もう片方は「指定・任命」の方向へ育った。それだけの違いです。

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designate の基本の意味と使い方

designate は「指定する」「任命する」「〜と呼ぶ」を表す動詞です。公的な場面・書面の場面で使われることが多い一語です。

  • designate a parking area(駐車区域を指定する)
  • She was designated as the new team leader.(彼女が新しいチームリーダーに任命された。)
  • The building was designated a national treasure.(その建物は国宝に指定された。)

ポイントは「誰かが、公に、はっきりと決める」というニュアンスです。choose(選ぶ)より重く、公式な響きがあります。

過去分詞 designated は、ほぼ形容詞として使われる

実務でよく見るのは、むしろこちらの形です。

  • a designated area(指定区域)
  • designated smoking area(指定喫煙所)
  • designated representative(指名された代表者)
  • in the designated space(所定の欄に)

空港や役所の英語表示でも頻出します。「designated = あらかじめ決められている」と読めると、初見の掲示でも迷いません。

名詞のうしろに置く designate|「まだ就任していない」

designate には、ちょっと変わった使い方があります。名詞のうしろに置く形容詞です。

  • ambassador designate(次期大使・内定しているがまだ着任していない)
  • president-designate(次期会長・次期大統領)
  • chairman designate(次期議長)

意味は「任命・指名はされたが、まだその職に就いていない」。英語では1640年代から使われている、かなり古い用法です。

英語の形容詞はふつう名詞の前に置きますが、法律やフランス語由来の格式ばった言い回しでは、うしろに残っているものがあります(court-martial〈軍法会議〉などと同じ仲間です)。ニュースで ambassador designate を見かけたら、「まだ着任前なんだな」と読めます。

design と designate|同じ語から出た双子

ここが、この単語のいちばん面白いところです。

語英語に入った時期通ってきた道育った方向
design14世紀後半ラテン語 → イタリア語・フランス語を経由形づくる → 図案・設計・意図
designate15世紀初め(形容詞)ラテン語 designatus から直接印をつけて示す → 指定・任命

もとは同じラテン語 designare(印をつけて示す)。フランス語・イタリア語という「回り道」を通ってきたのが design、ラテン語から直行便で入ってきたのが designate です。

同じ語が、違うルートで二度入ってきて、別々の単語になる・・・語源の世界ではよくある現象で、こういうペアを「二重語」と呼びます。

さらに面白いのが、17世紀の英語では design が、いまの designate の意味でも使われていたこと。つまり当時は、2つの単語の守備範囲がまだ重なっていたわけです。そこから数百年かけて、design は「図案」、designate は「指定」へと、きれいに役割分担していきました。

発音にも、回り道の跡が残っている

  • design ・・・ ディザイン /dɪˈzaɪn/(g は読まない)
  • designate ・・・ デズィグネイト /ˈdezɪɡneɪt/(g を読む)

綴りは重なっているのに、音がここまで違う。フランス語を通ってきた design は音がなめらかに溶け、ラテン語から直接入った designate は g が残った・・・そう見ると、発音の違いも覚えやすくなります。

sign(signum=しるし)でつながる単語ネットワーク

designate の意味の中心 sign(ラテン語 signum=しるし・目印)は、驚くほど多くの単語に住んでいます。

単語意味イメージ
signしるし、合図、署名するsignum そのもの
signal信号、合図しるしで送る合図
signature署名自分だけのしるし
significant重要なしるしを作る → 見落とせない
assign割り当てるad(〜へ)+ しるしをつけて渡す
consign委託する、送るすっかりしるしをつけて託す
resign辞任する帳簿に逆の記入をして帳消しにする
insignia記章身につける公式のしるし
ensign旗、少尉insignia と同じ語から出た双子
seal封印、印章sigillum(signum の「小さいもの」形)

seal(封印)も signum の家族というのは、ちょっと意外ではないでしょうか。sigillum は signum に「小さい」を付けた形で、「小さなしるし」=ろう印のこと。封筒や文書に押す、あの印です(※ 動物のアザラシの seal は、まったく別の単語です)。

この sign 一族は広いので、ここでは designate の周辺に絞りました。一族全体の広がりは、下の関連記事からどうぞ。

designated hitter と designated driver|現代英語を作った一語

designate の過去分詞 designated は、20世紀に入ってから、英語に2つの有名な言い回しを残しました。

designated hitter(指名打者・DH)

投手の代わりに打席に立つ選手のこと。アメリカン・リーグがこの制度を導入したのが1973年です。

この言い方が野球を越えて広まり、「designated + 役割」で「その役を割り当てられた人」を表す型ができました。

designated driver(ハンドルキーパー)

その型から生まれたのが、1985年ごろに広まった designated driver です。飲み会で「今日は自分が運転するから飲まない」と引き受ける人のこと。

日本語の「ハンドルキーパー」は和製英語に近いので、英語では designated driver と言うのが自然です。海外での会食で、そのまま使える一語です。

「印をつけて、この人、と指す」・・・1つのラテン語が、2000年後のバーの席にまで届いている、ということになります。

派生語|designate まわりの Word Family

単語品詞意味発音
designate動詞指定する、任命するデズィグネイト /ˈdezɪɡneɪt/
designate形容詞任命されたがまだ就任していないデズィグナト /ˈdezɪɡnət/
designated形容詞指定された、所定のデズィグネイティッド /ˈdezɪɡneɪtɪd/
designation名詞指定、任命、名称デズィグネイション /ˌdezɪɡˈneɪʃn/
design動詞・名詞設計する、デザイン、意図ディザイン /dɪˈzaɪn/
designer名詞設計者、デザイナーディザイナー /dɪˈzaɪnər/
redesign動詞・名詞設計し直す、再設計リーディザイン /ˌriːdɪˈzaɪn/

動詞の designate と形容詞の designate は、綴りが同じで後半の音が違うのが要注意ポイントです。動詞は「ネイト」とはっきり、形容詞は「ナト」とあいまいに。separate や estimate と同じパターンです。

TOEIC・英検での出題傾向

TOEIC では、designated の形で出会う確率が高い一語です。

  • designated smoking area / designated parking area(社内通知・案内掲示)
  • Please submit the form to the designated representative.(designated+役職の形)
  • the designated date(指定日)

Part 5 の品詞問題では、designate / designated / designation を選ばせる形が定番です。「空所のうしろに名詞があるなら designated」と押さえておくと処理が速くなります。

英検 では準1級〜1級レベル。長文で be designated as a World Heritage site(世界遺産に指定される)のような形で登場します。

TSL(TOEIC)とBSL(ビジネス)の両方に入っている語なので、仕事で英語を使う人は、意味だけでなく designated area のような形ごと覚えておくと効きます。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. The company designated her as the new project leader.
  2. Please designate a time that works for you.
  3. This area has been designated a World Heritage site.
  4. You can designate one corner of your room as your reading place.
  5. He designated his mornings for the work that mattered most.
  6. The seats near the entrance are designated for visitors.
  7. She was designated to speak on behalf of the team.
  8. Designate one day a week as a day for rest.
  9. You get to designate what deserves your attention today.
  10. What you designate as important quietly shapes your life.

語源メモ|designare と signum の話

designate は、ラテン語 designare(印をつけて示す・選ぶ・任命する)の過去分詞 designatus から来ています。分けると de(外へ・はっきりと)+ signare(印をつける)。signare の元は signum(しるし・目印・軍旗)です。

英語に入った順番を整理すると、こうなります。

  • designation・・・14世紀後半。「指し示すこと、表記」
  • design(動詞)・・・14世紀後半。「作る、形づくる」
  • designate(形容詞)・・・15世紀初め。「印をつけられた、示された」(この意味は今は使いません)
  • designate(形容詞)の「就任前の」の意味・・・1640年代
  • designate(動詞)・・・18世紀末に定着(※ 辞書によって初出年の扱いに差があり、Merriam-Webster は16世紀末を動詞の初出としています)
  • designated(形容詞)・・・1868年。designated hitter は1973年、designated driver は1985年ごろ

design のほうが先に英語に入り、designate は後から追いかけてきた・・・という順番です。

design が通ってきた回り道

16世紀のイタリア語で、動詞 disegnare が「企てる・意図する」と「描く・図案にする」という2つの意味を育てました。フランス語はこの2つを別々の形で受け取り、現代フランス語では dessein(意図・計画)と dessin(図案)に分かれています。英語はそれを両方とも design 一語で引き受けた・・・だから英語の design は「設計」も「意図」も表せるわけです。

by design(意図的に)という言い方に「意図」側の意味が残っているのは、この歴史の名残です。

signum の、さらに先

signum より奥は、実ははっきりしていません。「人が後について進む軍旗」から「ついて行く」の語根とする説、「切り出したもの」から「切る」の語根とする説、そしてラテン語もヘブライ語も、どこか別の言語から借りた語ではないかという説まであります。ここは諸説ある、と押さえておけば十分です。

ひとつ注意

日本語の「サイン(署名)」は、英語では signature、有名人のサインなら autograph です。英語の sign は「しるし・標識」や「署名する(動詞)」で、名詞で署名の意味には使いません。designate を入り口に、このあたりもまとめて整理しておくと役に立ちます。

まとめ

designate は、de(はっきりと)+ sign(signum=しるし)+ ate で「印をつけて、これだと指し示す」=指定する・任命する。

  • 入り口・・・頭の design。偶然の空似ではなく、同じ designare から出た双子
  • sign(signum)・・・意味の中心。signal/signature/assign/seal などの一族へ
  • designated・・・実務での主役。designated area/designated driver
  • ambassador designate・・・名詞のうしろに置くと「まだ就任していない」

頭の中にあるものに、輪郭を与えて外に出す。design も designate も、やっていることは同じです。

designate の語源ワードマップ。中心は designate(=印をつけて、これだと指し示す)で、de(はっきりと・外へ)+sign(signum=しるし)+ate に分解。sign(しるし)系(sign / signal / signature / significant / assign / seal)、designate 派生(designation / designated / design / designer / redesign)、覚え方のヒント(頭の design は同じ designare から出た双子、designated area、ambassador designate)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:de(はっきりと)+ sign(signum=しるし)+ ate =「印をつけて指し示す」
  • 覚え方のヒント:頭の design = あの「デザイン」。同じ語から出た双子
  • sign(しるし)一族:sign/signal/signature/significant/assign/consign/resign/insignia/ensign/seal
  • designate 派生:designation/designated/design/designer/redesign

TSL(TOEIC Service List)・BSL(Business Service List)収録語

この単語は TSL(TOEIC) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。ビジネスでもTOEICでも頻出する、汎用性の高い一語です。

出典:New General Service List Project

関連記事

翻訳練習の解答

  1. 会社は、彼女を新しいプロジェクトリーダーに任命した。
  2. ご都合のよい時間を指定してください。
  3. この地域は、世界遺産に指定された。
  4. 部屋の片隅を一つ、読書の場所に決めてしまってもいい。
  5. 彼は、いちばん大事な仕事のために午前中を空けておいた。
  6. 入口近くの席は、来客用になっている。
  7. 彼女が、チームを代表して話す役に選ばれた。
  8. 週に一日、休む日を決めておこう。
  9. 今日、何に心を向けるかは、あなたが決めていい。
  10. 何を大切だと決めるかが、静かにあなたの人生をつくっていく。