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【語源で覚える】statistics|stat は「立つ」、統計とは「成り立ち」を見る学問だった

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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スポーツ中継で飛び交う「スタッツ」、スマホの画面上にある「ステータスバー」。どちらも日本語として定着していますが、この二つ、実は同じ家族です。

スタッツは stats、statistics(統計)の略。ステータスは status。共通しているのは、頭の stat。

そしてこの stat の正体は、**「立つ」**です。

ここで多くの辞書は、status を「状態」と訳します。間違いではないのですが、これだと静止画のように見えてしまって、統計という学問とうまく結びつきません。

そこで訳語を一つ替えてみてください。「成り立ち」です。

どう立っているか = どう成り立っているか。統計学とは、ばらばらに見える数字の向こう側にある「その集団がどう成り立っているか」を、あぶり出していく学問です。語源と中身が、ぴたりと重なります。

しかもこの語、もともと数字の学問として生まれていません。statistics の一語には、「立つ」から「国の成り立ち」を経て「数字」へ流れ着いた、約250年の移動の跡が残っています。

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statistics を分解してイメージで覚える|stat は「立つ」、そして「成り立ち」

statistics をパーツで見ると、こうなります。

stat(立つ・立ち方)+ ist(〜に関する人・事柄)+ ics(学問)

意味の中心は、まぎれもなく stat。ラテン語の動詞 stare(立つ) から生まれた名詞 status(立ち方、立っている位置、そこから「状態・地位」、さらに「国の体制」)が、この語の出発点です。

ここを押さえると、芋づる式に見えてきます。

  • status・・・どう立っているか = 状態、地位
  • state・・・同じく「状態」。のちに「国家」の意味も持つ
  • station・・・立っている場所 = 駅、持ち場
  • statue・・・立たせたもの = 像

そして statistics は、この status を調べる学問として名づけられました。「何の status か」・・・国の成り立ちです。

「立つ」が「成り立ち」になる証拠が、英語の中にもあります

ここは、この記事でいちばん面白いところかもしれません。

constitution という単語があります。「憲法」「体質」でおなじみですが、この語には1600年ごろから「物事がどう構成されているか」という意味があります。まさに「成り立ち」です。

そして constitution の語源は、con(ともに)+ statuere(立たせる)。ラテン語 constituere の原義は「立たせる、形づくる」。つまり英語にも、「一緒に立たせる」→「成り立ち」 という道筋がちゃんと存在していて、statistics と同じ語根から出ているんです。

「立つ」から「成り立ち」へ・・・この発想の飛び方は、日本語だけのものではなかったわけですね。

なお、static(スタティック=静的な) も同じ「立つ」の語根から来ていますが、ラテン語ではなくギリシャ語を通って英語に入った枝です。同じ根から伸びた、育った国が違ういとこ。「立つ」を「じっと動かない」と読んだのが static、「どう立っているか」と読んだのが statistics。同じ語根でも、どの面を取るかでここまで景色が変わります。

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statistics の基本の意味と使い方

statistics は、大きく二つの意味を持ちます。

① 統計学(学問としての分野)

  • I’m studying statistics this semester.(今学期は統計学を学んでいる)
  • Statistics is required for this course.(この講座では統計学が必修だ)

② 統計データ(集められた数字そのもの)

  • The statistics show a clear trend.(その統計は明確な傾向を示している)
  • according to recent statistics(最近の統計によると)

単数形の statistic は、「一つの統計値」を指します。

  • a surprising statistic(驚くべき数値が一つ)

使い分け・対比|statistics は単数?複数?

ここが実務でもテストでも地味に効くポイントです。同じ statistics でも、意味によって単複の扱いが変わります。

意味扱い例
統計学(学問名)単数扱いStatistics is a useful tool.
統計データ(数字の集まり)複数扱いThese statistics are encouraging.

学問名は -ics で終わる語(economics/physics/mathematics)と同じく単数扱い。一方、データとしての statistics は「数字が複数集まったもの」なので複数扱いです。迷ったら「学問か、数字か」で切り分けてください。

もう一つ、static との取り違えにも注意を。

  • static・・・静的な、動かない(形容詞)/ラジオの雑音(名詞)
  • statistic・・・統計値(名詞)
  • statistical・・・統計の、統計上の(形容詞)

「統計の〜」と言いたいときに static を使うと、ほぼ逆の意味になります。綴りが一文字違いなので、書くときに一度止まると安全です。

「立つ」でつながる単語ネットワーク

stat/sta が入っていたら、たいてい「立つ」が隠れています。statistics を入り口にすると、ここまで広がります。

stat がそのまま見える一族(ラテン語 status 直系)

単語意味イメージ
state状態、国家status の英語形。「どう立っているか」
estate不動産、財産古フランス語を通った state の双子
status地位、状態ラテン語がそのまま英語へ
station駅、持ち場立っている場所
statue像立たせたもの
statute法令定めて立てたもの
stature身長、人物の格立ったときの高さ

state・estate・status の三つは、もとをたどればすべて同じラテン語 status。入ってきた経路が違うだけで、同じ一語の三つの姿です。

「成り立ち」側の一族(statuere=立たせる)

単語分解イメージ
constitutecon(ともに)+stitute一緒に立って形になる = 構成する
constitution同上+ion立ち上がった形 = 憲法、体質、成り立ち
institutein(中に)+stitute中に立てる = 設立する、機関
substitutesub(代わりに)+stitute代わりに立てる = 代用する

statistics と constitution が同じ家族だと気づくと、「統計=成り立ちを見る学問」という理解が、語源の側からも支えられます。

「立つ」が中に隠れている一族

単語分解イメージ
constantcon(ともに)+stant一緒に立ち続ける = 不変の
distancedi(離れて)+stance離れて立つ = 距離
instantin(すぐそばに)+stantすぐそばに立っている = 即座の
obstacleob(行く手に)+stacle行く手に立つもの = 障害
circumstancecircum(まわりに)+stanceまわりに立っているもの = 状況
substancesub(下に)+stance下に立って支えるもの = 実質
costcon(ともに)+st(立つ)「いくらに立つか」 = 値段

最後の cost に驚いた方、多いのではないでしょうか。ラテン語 constare(文字どおり「〜に立つ」)が俗ラテン語を経て古フランス語になり、英語に入ったのが cost です。英語には今も The price stands at 500 dollars.(値段は500ドルだ)という言い方があり、まさにこの発想がそのまま残っています。

ギリシャ語側の一族

単語意味イメージ
static静的なじっと立っている
stasis停滞、静止立ち止まった状態
system体系、システムsy(ともに)+stem=一緒に立てたもの
ecstasy恍惚、歓喜ec(外へ)+stasy=自分の外に立つ

身近すぎて気づかない一族

英語の stand(立つ)と understand(理解する)も、ゲルマン語側に伸びた同じ根の枝です。

そして国名の -stan(Pakistan、Afghanistan、Kazakhstan)。これは「人が立っている場所」、つまり「国」を表します。遠く離れた地名にまで、同じ「立つ」が届いています。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
statistics名詞統計学、統計データスタティスティクス /stəˈtɪstɪks/
statistic名詞一つの統計値スタティスティック /stəˈtɪstɪk/
statistical形容詞統計の、統計上のスタティスティカル /stəˈtɪstɪkl/
statistically副詞統計的にスタティスティカリー /stəˈtɪstɪkli/
statistician名詞統計学者、統計の専門家スタティスティシャン /ˌstætɪˈstɪʃn/
stats名詞(略式)統計データ、成績数値スタッツ /stæts/

TOEIC・英検での傾向

TOEIC では、statistics そのものを問う語彙問題より、Part 7 の資料文やグラフ問題の中で出会うことのほうが圧倒的に多い語です。

よく出る形はこのあたり。

  • according to recent statistics(最近の統計によると)
  • The statistics indicate that …(その統計は〜を示している)
  • statistical data / statistical analysis(統計データ/統計分析)
  • statistically significant(統計的に有意な)

英検では準1級以降、社会問題を扱う長文で顔を出します。読解の「材料」として出る語なので、瞬時に意味が取れる状態にしておくと、本文の処理速度がそのまま上がります。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Statistics is not only about numbers.
  2. These statistics show steady progress.
  3. You can start learning statistics at any age.
  4. The report includes statistics from last year.
  5. Statistics began as a study of how a country was built.
  6. Do not let a single statistic decide who you are.
  7. She explained the statistics in simple words.
  8. Your quiet effort may never appear in the statistics.
  9. Good statistics help us make better decisions.
  10. Reading statistics carefully protects you from being misled.

語源メモ|「国の成り立ち」から「数字」へ

statistics の道のりは、思いのほか具体的です。

出発点はラテン語 stare(立つ)。その過去分詞の形から status(立ち方・位置・状態、そして「公の秩序、国の体制」)が生まれます。

この status から、イタリア語で statista(国政に通じた人)という語ができました。さらに近代ラテン語の statisticum collegium、直訳すれば「国家の情勢についての講義」が現れます。

これをドイツ語の Statistik として広めたのが、ゲッティンゲンの政治学者 ゴットフリート・アッヘンヴァル(1719-1772)で、1748年の著作に登場します。当時の Statistik は、国の制度・人口・資源などを記述する学問・・・つまり「国家学」であって、数字を計算する学問ではありませんでした。ちなみに OED は、アッヘンヴァル自身がこの語を新語だと思っていた様子はないと指摘しているので、「彼の造語」と言い切るのは避けたほうが正確です。

英語に入ったのは1770年。そして英語圏に定着させた人物として知られるのが、スコットランドの サー・ジョン・シンクレア(1754-1835)です。彼は1791年から1799年にかけて、全21巻の『スコットランド統計報告』をまとめました。

シンクレアが面白いのは、語を借りるときに中身を自分で入れ替えたところです。ドイツでこの語は国の政治的な強さを表していましたが、彼が掲げた目的は「住民がどれだけ幸福に暮らしているか、そしてそれをどう改善できるかを明らかにすること」でした。しかも彼は第20巻で、聞き慣れない新しい語のほうが世間の注目を集めるだろうと考えて採用した、と率直に書き残しています。語の広め方としては、なかなかしたたかです。

数字そのものを指す今の意味・・・「体系的に集めて分類された、あらゆる種類の数値データ」が記録されるのは 1829年から。略語の stats は1961年です。

つまり statistics という一語の中には、「立つ」→「どう立っているか」→「国の成り立ち」→「国家を記述する学問」→「数字の学問」という流れが、まるごと折りたたまれています。

日本語の「成り立ち」との一致について

日本語の「成り立つ」にも「立つ」が入っていて、英語の stare とまったく同じ発想になっています。ただしこれは偶然の一致で、日本語と英語のあいだに語源的なつながりはありません。別々の言語が、別々の場所で、同じ比喩にたどり着いた・・・そう考えるほうが、むしろ面白いところです。覚え方の手がかりとしては、遠慮なく使って大丈夫です。

注意点を二つ

  • stadium(スタジアム)は、いかにも仲間に見えますが確定していません。「一定の長さ=動かない基準」としてこの語根に結びつける説がある一方、語源学者ベークスは別語源(ギリシャ語 spadion「競走路」の変形)の可能性を示しています。仲間かどうかは保留が正確です。
  • static と statistics は同じ語根から出ていますが、ギリシャ語経由とラテン語経由で、英語に入ってきた道が違います。直系の親子ではなく、いとこ同士の距離感です。

まとめ

statistics は、stat(立つ)+ ist + ics。status を「状態」ではなく「成り立ち」と訳し直すと、語源と学問の中身がぴたりと重なります。「国がどう成り立っているかを調べる学問」として生まれ、数字の意味を持つのは1829年以降の新しい層です。

  • stat(stare=立つ)・・・意味の中心。status/state/station/statue へ
  • 「成り立ち」側・・・constitute/constitution/institute/substitute
  • 隠れた「立つ」・・・constant/distance/instant/circumstance/substance、そして cost
  • 身近な枝・・・static/system/stand/understand/-stan(国)

数字そのものに意味があるわけではありません。その向こう側で、誰が、どんなふうに立っているのか。statistics が見ているのは、ずっとそれです。

statistics の語源ワードマップ。中心は statistics(=成り立ちを見る学問)で、stat(stare=立つ)+ist+ics に分解。語源・中心(status=どう立っているか)、status 直系の一族(state / estate / status / station / statue / statute)、statuere 系の「成り立ち」一族(constitute / constitution / institute / substitute)、覚え方のヒント(status は「状態」より「成り立ち」、隠れた「立つ」= constant / distance / instant / cost)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:stat(stare=立つ)+ist+ics =「どう成り立っているかを調べる学問」
  • 覚え方のヒント:status=「状態」ではなく「成り立ち」と訳す
  • status 直系:state/estate/status/station/statue/statute/stature
  • 「成り立ち」側:constitute/constitution/institute/substitute
  • 隠れた「立つ」:constant/distance/instant/circumstance/substance/cost

NAWL・TSL・BSL すべてに収録された語

この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。

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翻訳練習の解答

  1. 統計は、数字だけの話ではない。
  2. これらの統計は、着実な前進を示している。
  3. 統計学は、いくつからでも学び始められる。
  4. その報告書には、昨年の統計が載っている。
  5. 統計学は、国がどう成り立っているかを調べる学問として始まった。
  6. たった一つの数値に、あなたが何者かを決めさせてはいけない。
  7. 彼女は、その統計をやさしい言葉で説明してくれた。
  8. あなたの静かな努力は、統計には出てこないかもしれない。
  9. よい統計は、よりよい判断を助けてくれる。
  10. 統計をていねいに読む力は、あなたを誤解から守ってくれる。