「バリュー(value)」という言葉、ふだん何気なく使っていますよね。バリューセット、コストパフォーマンス、企業のバリュー。どれも「価値」の話です。
この val の部分が、そのまま valid(有効な)の中にも入っています。綴りを並べると、はっきり見えます。
value / valid
偶然ではありません。val はラテン語 valere で、意味は「強い」。価値も、有効性も、出どころは同じ「強さ」です。
そしてもう一つ。2月14日のバレンタインも、実はこの val の仲間です。ここから話を始めます。
valid を分解してイメージで覚える|val は「強い」
valid をパーツで見ると、こうなります。
val(強い)+ id(〜の性質を持つ)
つまり valid は、文字通り「強さを持っている」。
ここから意味がまっすぐ伸びます。チケットや免許が valid なのは、効力という”力”がまだ残っているから。期限が切れると、その力が抜けて invalid(無効)になります。議論や指摘が valid なのは、反論に押されても倒れない強さがあるから。
「強いから、有効」。この一本で、valid のすべての意味がつながります。
日本語の「有効」という訳語は少し事務的ですが、英語の側にあるのは「ちゃんと力が入っている状態」というイメージです。
valid の基本の意味と使い方
valid は形容詞で、大きく2つの顔があります。
①(法的・制度的に)有効な、期限内の
- a valid ticket(有効なチケット)
- valid until March 31(3月31日まで有効)
- a valid driver’s license(有効期限内の運転免許証)
②(論理的に)もっともな、筋の通った
- a valid point(もっともな指摘)
- a valid reason(正当な理由)
- Your feelings are valid.(あなたのその気持ちは、間違っていない)
②の使い方は、近年の英語でよく聞きます。相手の気持ちや意見を「それ、ちゃんと意味があるよ」と受け止めるときの一言です。「正しい/間違い」の判定ではなく、「ちゃんと力を持っているよ」という承認・・・val の原義を知ると、このやわらかいニュアンスが腑に落ちます。
invalid には2つある|アクセントの位置で別の語になる
valid に in(否定)が付いた invalid は、注意が必要な単語です。発音の位置で意味が変わります。
| 綴り | 発音 | 品詞 | 意味 |
|---|---|---|---|
| invalid | インヴァリッド /ɪnˈvælɪd/ | 形容詞 | 無効な、効力がない |
| invalid | インヴァリッド /ˈɪnvəlɪd/ | 名詞 | 病人、療養中の人 |
後ろにアクセントがあると「無効な」、前にあると「病人」。どちらも「強さがない(in+val)」という同じ発想から出ていますが、片方は書類の話、もう片方は体の話です。
TOEICで出るのはほぼ前者(無効な)です。ただ、小説や古い文章で名詞の invalid に出くわしたとき、「ああ、力が抜けている人、か」と結びつけられると読み違えずに済みます。
val(強い)でつながる単語ネットワーク
val を押さえると、まったく別ジャンルに見える単語が一本の線でつながります。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| value | 価値、値 | 強さ=値打ち |
| valuable | 貴重な | 値打ちがある |
| evaluate | 評価する | e(x)(外に出して)+val=価値を測る |
| avail | 役に立つ | a(d)(〜へ)+val=力が及ぶ |
| available | 利用できる、手が空いている | avail+able=その力を借りられる |
| prevail | 打ち勝つ、広く行き渡る | pre(他より前に)+val=より強い |
| prevalent | 広く行き渡った | prevail の形容詞形 |
| equivalent | 同等の | equi(等しい)+val=力が等しい |
| ambivalent | どっちつかずの | ambi(両方)+val=両方の力に引っぱられる |
| convalesce | 回復する | con(すっかり)+val=力が戻ってくる |
| valiant | 勇敢な | 強い |
| valor | 勇気、武勇 | 強さそのもの |
この表で一番おいしいのは available です。TOEICでも日常でも出まくる単語ですが、中身は「avail(力が及ぶ)+able」。「使える状態にある」=「その力が借りられる」。丸暗記していた人ほど、ここで一気に腑に落ちると思います。
equivalent(同等の)も同じです。equi(等しい)+val(力)で「力が等しい」。天秤が釣り合っている絵が浮かべば、もう忘れません。
「val が入っていたら、たぶん”強さ・力・値打ち”の話」・・・そう見えるようになると、初見の単語でも意味が推測できます。
派生語|valid まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| valid | 形容詞 | 有効な、もっともな | ヴァリッド /ˈvælɪd/ |
| validity | 名詞 | 有効性、妥当性 | ヴァリディティ /vəˈlɪdəti/ |
| validate | 動詞 | 有効にする、認証する | ヴァリデイト /ˈvælɪdeɪt/ |
| validation | 名詞 | 認証、妥当性確認 | ヴァリデイション /ˌvælɪˈdeɪʃn/ |
| validly | 副詞 | 有効に、妥当に | ヴァリッドリィ /ˈvælɪdli/ |
| invalid | 形容詞 | 無効な | インヴァリッド /ɪnˈvælɪd/ |
| invalidate | 動詞 | 無効にする | インヴァリデイト /ɪnˈvælɪdeɪt/ |
TOEIC・英検での出題傾向
valid は、TOEICでよく見る実用語です。頻出パターンは3つ。
- valid until / valid through(〜まで有効)・・・クーポン、チケット、キャンペーン告知
- a valid ID / a valid passport(有効な身分証)・・・受付、入館、搭乗の案内
- validate your parking(駐車券に認証を受ける)・・・店やオフィスの案内文
特に3つ目の validate は、日本の生活になじみが薄い分、初見だと止まりがちです。「駐車券に”効力を与える”スタンプを押してもらう」と押さえておくと安全です。
英検では2級あたりから出てくる語です。読解で「有効な」の意味がすっと取れれば十分で、準1級以上になると「もっともな・妥当な」の②の意味も問われます。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Your ticket is still valid.
- That is a valid point.
- This passport is valid for ten years.
- She had a valid reason for being late.
- A valid argument stands on its own.
- Make sure your license is still valid.
- Your question is valid, so please ask it.
- The offer is valid until Friday.
- Both answers are valid in their own way.
- Small steps are valid progress, too.
語源メモ|valere と、バレンタインと、バイタルの違い
valid は、ラテン語 validus(強い、力のある、効果的な)から来ています。もとは動詞 valere(強い、達者である、値打ちがある)。さらに遡ると、印欧祖語の語根 *wal-(強くある)に行き着きます。
英語に入ったのは1570年代で、最初は「法的に効力がある」という法律用語でした。「事実や根拠に十分支えられている」という②の意味が記録されるのは1640年代。もともと持っていた「強い・力強い」という文字どおりの意味は、今では使われません。
バレンタインも val 一族です。
Valentine は、後期ラテン語の人名 Valentinus から。これは valentia「強さ・能力」、さらに valens(強い、健やかな)・・・valere の現在分詞形から来ています。つまり聖バレンタインの名前は、もともと「強い人」。恋愛との結びつきは後付けで、14世紀ごろ英仏の宮廷で「この日に恋人を選ぶ」習慣ができたことによるものです(鳥がつがいを選び始める季節だから、という説が伝わっています)。
バイタル(vital)は別の語源です。
綴りが似ているので混同しやすいのですが、vital・vitality・vitamin はラテン語 vita(生命)/vivere(生きる)系で、印欧祖語の *gwei-(生きる)に遡ります。val(強い)とは出どころが違います。ちなみに vital は、ギリシャ語 bios 経由の bio-(生物)とは同根です。
「val=強さ」と「vit=生命」。この2本を分けて持っておくと、混ざりません。
おまけ:人名にも残っています。
印欧祖語 *wal- は、ゲルマン語側では「支配する力」の意味で枝分かれし、Walter・Harold・Donald・Ronald・Gerald といった名前の中に残っています。英語の動詞 wield(振るう、行使する)も同じ根です。ただしこちらはラテン語 valere を経由していないので、「遠い親戚」として眺めるくらいがちょうどいい距離感です。
まとめ
valid は、val(valere=強い)+ id で「力を持っている」=有効な・もっともな。
- val(強い)・・・value/valuable/evaluate などの「値打ち」方向へ
- val(力が及ぶ)・・・avail/available/prevail/equivalent などの「力」方向へ
- 入り口のヒント・・・バリュー、バレンタイン、バリデーション
- 混同注意・・・バイタル(vital)は vita=生命。別系統
期限が切れたチケットが invalid なのは、効力という力が抜けたから。あなたの意見が valid なのは、それが力を持っているから。どちらも、同じ「強さ」の話です。

- 語源・中心:val(valere=強い)+id =「力がある → 有効な」
- 覚え方のヒント:バリュー/バレンタイン/バリデーション(※バイタルは別語源)
- 価値の一族:value/valuable/evaluate/invalid
- 力の一族:avail / available / prevail / prevalent / equivalent / ambivalent
関連記事(内部リンク)
- 【ピラー】【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶術で芋づる式に覚える → https://isseisuzuki.org/etymology-parts-list/
- 【語源で覚える】available|vail は value(価値)と同じ語源だった
- equivalent の語源(同等の)→ (近日中に公開)
翻訳練習の解答
- あなたのチケットは、まだ有効です。
- それは、もっともな指摘だ。
- このパスポートは、10年間有効だ。
- 彼女が遅れたのには、ちゃんとした理由があった。
- 筋の通った論は、それだけで立っていられる。
- 免許がまだ有効かどうか、確かめておこう。
- あなたのその疑問はもっともだ。だから、聞いていい。
- この申し出は、金曜日まで有効だ。
- どちらの答えも、それぞれにちゃんと筋が通っている。
- 小さな一歩だって、立派な前進だ。
集録語彙リスト
この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。
NAWL(New Academic Word List)集録語
この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project
TSL(TOEIC Service List)集録語
この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project
BSL(Business Service List)集録語
この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project

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