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【語源で覚える】valid|バリュー・バレンタインと同じ “val” は「強い」

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「バリュー(value)」という言葉、ふだん何気なく使っていますよね。バリューセット、コストパフォーマンス、企業のバリュー。どれも「価値」の話です。

この val の部分が、そのまま valid(有効な)の中にも入っています。綴りを並べると、はっきり見えます。

value / valid

偶然ではありません。val はラテン語 valere で、意味は「強い」。価値も、有効性も、出どころは同じ「強さ」です。

そしてもう一つ。2月14日のバレンタインも、実はこの val の仲間です。ここから話を始めます。

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valid を分解してイメージで覚える|val は「強い」

valid をパーツで見ると、こうなります。

val(強い)+ id(〜の性質を持つ)

つまり valid は、文字通り「強さを持っている」。

ここから意味がまっすぐ伸びます。チケットや免許が valid なのは、効力という”力”がまだ残っているから。期限が切れると、その力が抜けて invalid(無効)になります。議論や指摘が valid なのは、反論に押されても倒れない強さがあるから。

「強いから、有効」。この一本で、valid のすべての意味がつながります。

日本語の「有効」という訳語は少し事務的ですが、英語の側にあるのは「ちゃんと力が入っている状態」というイメージです。

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valid の基本の意味と使い方

valid は形容詞で、大きく2つの顔があります。

①(法的・制度的に)有効な、期限内の

  • a valid ticket(有効なチケット)
  • valid until March 31(3月31日まで有効)
  • a valid driver’s license(有効期限内の運転免許証)

②(論理的に)もっともな、筋の通った

  • a valid point(もっともな指摘)
  • a valid reason(正当な理由)
  • Your feelings are valid.(あなたのその気持ちは、間違っていない)

②の使い方は、近年の英語でよく聞きます。相手の気持ちや意見を「それ、ちゃんと意味があるよ」と受け止めるときの一言です。「正しい/間違い」の判定ではなく、「ちゃんと力を持っているよ」という承認・・・val の原義を知ると、このやわらかいニュアンスが腑に落ちます。

invalid には2つある|アクセントの位置で別の語になる

valid に in(否定)が付いた invalid は、注意が必要な単語です。発音の位置で意味が変わります。

綴り発音品詞意味
invalidインヴァリッド /ɪnˈvælɪd/形容詞無効な、効力がない
invalidインヴァリッド /ˈɪnvəlɪd/名詞病人、療養中の人

後ろにアクセントがあると「無効な」、前にあると「病人」。どちらも「強さがない(in+val)」という同じ発想から出ていますが、片方は書類の話、もう片方は体の話です。

TOEICで出るのはほぼ前者(無効な)です。ただ、小説や古い文章で名詞の invalid に出くわしたとき、「ああ、力が抜けている人、か」と結びつけられると読み違えずに済みます。

val(強い)でつながる単語ネットワーク

val を押さえると、まったく別ジャンルに見える単語が一本の線でつながります。

単語意味イメージ
value価値、値強さ=値打ち
valuable貴重な値打ちがある
evaluate評価するe(x)(外に出して)+val=価値を測る
avail役に立つa(d)(〜へ)+val=力が及ぶ
available利用できる、手が空いているavail+able=その力を借りられる
prevail打ち勝つ、広く行き渡るpre(他より前に)+val=より強い
prevalent広く行き渡ったprevail の形容詞形
equivalent同等のequi(等しい)+val=力が等しい
ambivalentどっちつかずのambi(両方)+val=両方の力に引っぱられる
convalesce回復するcon(すっかり)+val=力が戻ってくる
valiant勇敢な強い
valor勇気、武勇強さそのもの

この表で一番おいしいのは available です。TOEICでも日常でも出まくる単語ですが、中身は「avail(力が及ぶ)+able」。「使える状態にある」=「その力が借りられる」。丸暗記していた人ほど、ここで一気に腑に落ちると思います。

equivalent(同等の)も同じです。equi(等しい)+val(力)で「力が等しい」。天秤が釣り合っている絵が浮かべば、もう忘れません。

「val が入っていたら、たぶん”強さ・力・値打ち”の話」・・・そう見えるようになると、初見の単語でも意味が推測できます。

派生語|valid まわり

単語品詞意味発音
valid形容詞有効な、もっともなヴァリッド /ˈvælɪd/
validity名詞有効性、妥当性ヴァリディティ /vəˈlɪdəti/
validate動詞有効にする、認証するヴァリデイト /ˈvælɪdeɪt/
validation名詞認証、妥当性確認ヴァリデイション /ˌvælɪˈdeɪʃn/
validly副詞有効に、妥当にヴァリッドリィ /ˈvælɪdli/
invalid形容詞無効なインヴァリッド /ɪnˈvælɪd/
invalidate動詞無効にするインヴァリデイト /ɪnˈvælɪdeɪt/

TOEIC・英検での出題傾向

valid は、TOEICでよく見る実用語です。頻出パターンは3つ。

  • valid until / valid through(〜まで有効)・・・クーポン、チケット、キャンペーン告知
  • a valid ID / a valid passport(有効な身分証)・・・受付、入館、搭乗の案内
  • validate your parking(駐車券に認証を受ける)・・・店やオフィスの案内文

特に3つ目の validate は、日本の生活になじみが薄い分、初見だと止まりがちです。「駐車券に”効力を与える”スタンプを押してもらう」と押さえておくと安全です。

英検では2級あたりから出てくる語です。読解で「有効な」の意味がすっと取れれば十分で、準1級以上になると「もっともな・妥当な」の②の意味も問われます。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. Your ticket is still valid.
  2. That is a valid point.
  3. This passport is valid for ten years.
  4. She had a valid reason for being late.
  5. A valid argument stands on its own.
  6. Make sure your license is still valid.
  7. Your question is valid, so please ask it.
  8. The offer is valid until Friday.
  9. Both answers are valid in their own way.
  10. Small steps are valid progress, too.

語源メモ|valere と、バレンタインと、バイタルの違い

valid は、ラテン語 validus(強い、力のある、効果的な)から来ています。もとは動詞 valere(強い、達者である、値打ちがある)。さらに遡ると、印欧祖語の語根 *wal-(強くある)に行き着きます。

英語に入ったのは1570年代で、最初は「法的に効力がある」という法律用語でした。「事実や根拠に十分支えられている」という②の意味が記録されるのは1640年代。もともと持っていた「強い・力強い」という文字どおりの意味は、今では使われません。

バレンタインも val 一族です。
Valentine は、後期ラテン語の人名 Valentinus から。これは valentia「強さ・能力」、さらに valens(強い、健やかな)・・・valere の現在分詞形から来ています。つまり聖バレンタインの名前は、もともと「強い人」。恋愛との結びつきは後付けで、14世紀ごろ英仏の宮廷で「この日に恋人を選ぶ」習慣ができたことによるものです(鳥がつがいを選び始める季節だから、という説が伝わっています)。

バイタル(vital)は別の語源です。
綴りが似ているので混同しやすいのですが、vital・vitality・vitamin はラテン語 vita(生命)/vivere(生きる)系で、印欧祖語の *gwei-(生きる)に遡ります。val(強い)とは出どころが違います。ちなみに vital は、ギリシャ語 bios 経由の bio-(生物)とは同根です。

「val=強さ」と「vit=生命」。この2本を分けて持っておくと、混ざりません。

おまけ:人名にも残っています。
印欧祖語 *wal- は、ゲルマン語側では「支配する力」の意味で枝分かれし、Walter・Harold・Donald・Ronald・Gerald といった名前の中に残っています。英語の動詞 wield(振るう、行使する)も同じ根です。ただしこちらはラテン語 valere を経由していないので、「遠い親戚」として眺めるくらいがちょうどいい距離感です。

まとめ

valid は、val(valere=強い)+ id で「力を持っている」=有効な・もっともな。

  • val(強い)・・・value/valuable/evaluate などの「値打ち」方向へ
  • val(力が及ぶ)・・・avail/available/prevail/equivalent などの「力」方向へ
  • 入り口のヒント・・・バリュー、バレンタイン、バリデーション
  • 混同注意・・・バイタル(vital)は vita=生命。別系統

期限が切れたチケットが invalid なのは、効力という力が抜けたから。あなたの意見が valid なのは、それが力を持っているから。どちらも、同じ「強さ」の話です。

valid の語源ワードマップ。中心は valid(=力を持っている→有効な)で、val(valere=強い)+id に分解。覚え方のヒント(バリュー/バレンタイン/バリデーション)、価値の一族(value/valuable/evaluate/invalid)、力の一族(avail/available/prevail/prevalent/equivalent/ambivalent)の4クラスターに整理した図。
  • 語源・中心:val(valere=強い)+id =「力がある → 有効な」
  • 覚え方のヒント:バリュー/バレンタイン/バリデーション(※バイタルは別語源)
  • 価値の一族:value/valuable/evaluate/invalid
  • 力の一族:avail / available / prevail / prevalent / equivalent / ambivalent

関連記事(内部リンク)

翻訳練習の解答

  1. あなたのチケットは、まだ有効です。
  2. それは、もっともな指摘だ。
  3. このパスポートは、10年間有効だ。
  4. 彼女が遅れたのには、ちゃんとした理由があった。
  5. 筋の通った論は、それだけで立っていられる。
  6. 免許がまだ有効かどうか、確かめておこう。
  7. あなたのその疑問はもっともだ。だから、聞いていい。
  8. この申し出は、金曜日まで有効だ。
  9. どちらの答えも、それぞれにちゃんと筋が通っている。
  10. 小さな一歩だって、立派な前進だ。

集録語彙リスト

この単語は NAWL(学術)・TSL(TOEIC)・BSL(ビジネス)のすべて に集録されています。学術・試験・実務のどの場面でも使われる、最優先で覚えたい一語です。

NAWL(New Academic Word List)集録語

この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project

TSL(TOEIC Service List)集録語

この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。
出典:New General Service List Project

BSL(Business Service List)集録語

この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project