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【語源で覚える】anticipate|頭の anti-、じつは「反対」じゃない? ヒントはアンテナ

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「アンティシペイト(anticipate)」。予測する、前もって備える・・・入試でもTOEICでも顔を出すのに、なんとなく手強い一語です。

覚える入り口は、日本語でおなじみの「アンテナ」。テレビでもスマホでも、アンテナはまだ手元に届いていない”遠くの電波”を、先回りしてキャッチしますよね。この「まだ距離のある先のものを、前もってキャッチする」感覚が、そのまま anticipate です。

ここで一つ、面白い引っかかりがあります。頭の anti。これ、antibiotic(抗生物質)や anti-fan の「反対の anti-(アンチ)」と同じ綴りです。なのに anticipate に「反対する」意味はありません。なぜ?・・・その種明かしが、この単語をぐっと覚えやすくしてくれます。

お急ぎの方はショート動画でどうぞ👇

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anticipate を分解してイメージで覚える|アンテナで「前もってつかむ」

anticipate をパーツで見ると、こうなります。

anti(前に・先に)+ cip(つかむ=capture/catch)+ ate(〜する)

頭の anti は「前に・先に」。まだ距離のある”先のこと”というイメージです。真ん中の cip は capture(捕まえる)や catch(つかむ)の仲間。だから anticipate は「先のことを、前もってつかむ」。

ここでアンテナをもう一度思い浮かべてください。遠くの電波を先取りしてキャッチするアンテナのように、anticipate は”まだ来ていない先の出来事”を前もってつかまえて、手を打つ。だから「予測する」だけでなく、「前もって対処する・先回りする」まで含みます。

※ 覚え方に使った「アンテナ」は、あくまで記憶のためのイメージです。じつは antenna という語じたいは anticipate と語源のつながりはありません(antenna はラテン語で「帆桁(ほばしら)」を指す語で、由来ははっきりしていません)。「遠くをキャッチする」の絵として借りているだけ、と整理しておくと安全です。

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なぜ “アンチ” なのに反対しないのか|anti の正体は ante「前」

いちばんの引っかかりを、ここで解きます。

anticipate の頭の anti は、antibiotic(抗生物質)や antisocial(反社会的)の「反対・対抗の anti-」ではありません。こちらはラテン語 ante「前に」 が変装した姿です。見た目は同じ anti でも、家系がまったく別なんです。

  • 反対の anti-(antibiotic/antisocial/antithesis)・・・「〜に逆らう」
  • 前の anti(=ante)(anticipate/antique)・・・「〜より前に」

「見た目は”反対”、正体は”前”」。これが anticipate の隠れたギャップです。アンテナ(先取りしてキャッチ)と、ante(前に)。どちらも指しているのは「先・前」の方向。ここがつながると、もう迷いません。

身近なところで、もう一つ。骨とう品の「アンティーク(antique)」も、じつは同じ ante「前」の仲間です。ラテン語 antiquus に由来し、芯は「前の時代のもの」。anticipate と antique、綴りが似ているのは偶然ではなく、どちらも頭に「前」を抱えているからなんです。

面白いのは、同じ「前」でも向きが逆なこと。anticipate は”出来事より前に動く”=未来へ先取り。antique は”ずっと前の時代”=過去を指す。ひとつの ante が、未来にも過去にも「前」として効いている・・・そう見えると、anti の見た目にはもう惑わされません。

anticipate の基本の意味と使い方

anticipate は「予測する」「前もって備える・先回りする」を表す動詞です。ただ頭に思い描くだけでなく、”それに向けて動く”ニュアンスがあります。

  • We anticipate strong demand.(強い需要を見込んでいる)
  • She anticipated my question.(彼女は私の質問を先読みした)
  • anticipate problems(問題を予見して手を打つ)

単なる「そうなりそう」ではなく、「先を読んで、いまから備える」。この一歩踏み込んだ感じが anticipate の持ち味です。

expect との違い|「予期する」との一線

anticipate と似た語に expect(予期する・期待する)があります。訳が近いので混同しがちですが、感触が違います。

  • expect・・・「たぶんそうなるだろう」と予期する。心づもりまで。
  • anticipate・・・予測したうえで、”備える・先回りする”まで踏み込む。

たとえば I expect rain. は「雨だろうな」。I anticipate rain. は「雨を見越して傘を用意する」まで匂わせます。cip(つかむ)が効いていて、”待つ”より”取りにいく”単語だと思うと、使い分けが楽になります。

“cip(つかむ)” でつながる単語ネットワーク

anticipate の芯 cip(ラテン語 capere=取る・つかむ)を知っておくと、別ジャンルに見える単語が一気につながります。形は cip/cap/cept/ceive と変わりますが、芯はぜんぶ「つかむ・取る」です。

単語意味イメージ
capture捕らえるまさに「つかむ」そのもの
capable能力がある「つかめる」→ できる
accept受け入れるac(〜へ)+cept=手元に取る
receive受け取るre(元へ)+ceive=取り込む
concept概念con(まとめて)+cept=つかみ取った考え
occupy占めるoc(すっかり)+cupy=取って抱える

「cip/cap/cept/ceive が入っていたら、たぶん”つかむ・取る”の話」・・・そう見えると、初見の単語でも意味を推測できます。

“anti(=ante|前)” でつながる単語ネットワーク

もう一方の頭 anti(=ante「前に」)をたどると、時間や順番で”前”を指す一族が見えてきます。反対の anti- とは別家系です。

単語意味語源
antique骨とう品、古風なante〈前〉=前の時代のもの
ancient古代のante〈前〉=ずっと前の
ancestor祖先ante〈前〉+cedere〈行く〉=前を行った人
antecedent先行するもの、前例ante〈前〉+cedere〈行く〉
a.m.(ante meridiem)午前ante〈前〉+meridiem〈正午〉=正午の前

anticipate は、この「cip(つかむ)」と「anti=ante(前)」の2つの家族が交わる場所に立つ単語・・・そう捉えると、一語から二方向に世界が広がります。

派生語|anticipate まわり

単語品詞意味発音
anticipate動詞予測する、前もって備えるアンティシペイト /ænˈtɪsɪpeɪt/
anticipation名詞予測、期待アンティシペイション /ænˌtɪsɪˈpeɪʃn/
anticipatory形容詞予期しての、先取りのアンティシパトリー /ænˈtɪsɪpətɔːri/
anticipated形容詞予期された、待ち望まれたアンティシペイティッド

TOEIC・英検での出題傾向

anticipate は、ビジネス英語で出番の多い実用語です。TOEIC では anticipate demand(需要を見込む)、anticipate changes(変化を見越す)、we anticipate that … のように、報告書やメール、説明文で登場します。英検では準1級あたりで見かける、少し歯ごたえのある一語です。expect との違いを押さえておくと、読み書きの両方で効きます。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. We anticipate good news soon.
  2. She anticipated his question before he asked.
  3. Try to anticipate problems before they grow.
  4. A good leader anticipates change.
  5. You cannot anticipate everything, and that is okay.
  6. He anticipated the storm and prepared his home.
  7. Do not let fear anticipate a pain that may never come.
  8. Anticipate the future, but do not fear it.
  9. The best days come when you least anticipate them.
  10. Anticipate less, and you will worry less.

語源メモ|anti は ante「前」、cip は capere「取る」

anticipate は、ラテン語 anticipare に由来します。分けると anti(=ante「前に」) と、capere(「取る・つかむ」→catch capture)。合わさって、字義どおり「前もって手に入れる(taking into possession beforehand)」。ここから「予測する」「先んじて手を打つ」の意味に育ちました。

覚えておくと得なのが、この二つの芯です。cip(=capere)は capture・accept・receive・concept など「取る・つかむ」の核。anti(=ante)は antique・ancestor・a.m. など「前」の核。anticipate はその交差点に立っています。

なお、冒頭のアンテナはあくまで記憶用のイメージで、antenna という語は anticipate と語源的につながりません。

そして頭の anti は、antibiotic の「反対の anti-」ではなく ante「前」の変形・・・ここだけ整理しておくと、鋭い人に聞かれても迷いません。ちなみに expect の同義語として anticipate を使うのは本来ずれで、anticipate には「備える・先回りする」の色がある、というのが英語辞書の見立てです。

まとめ

anticipate は、anti(=ante|前に)+ cip(つかむ=capture/catch)+ ate で「先のことを前もってつかむ」=予測する・前もって備える。

  • anti(=ante)・・・前に・先に。antique/ancestor/a.m. などの一族へ
  • cip(capere)・・・取る・つかむ。capture/accept/receive などの一族へ
  • 頭の anti は「反対の anti-」ではない。見た目は反対、正体は「前」

アンテナが遠くの電波を先取りするように、anticipate は”まだ来ない先”を前もってつかまえる単語です。

anticipate の語源ワードマップ。中心は anticipate(=前もってつかむ)で、anti(=ante|前に)+cip(つかむ)+ate に分解。覚え方フック(アンテナ=遠くを先取りキャッチ/頭の anti は「反対」でなく「前」)、anti=ante(前)一族(antique / ancient / ancestor / antecedent / a.m.)、cip(つかむ)一族(capture / capable / accept / receive / concept / occupy)を整理した図。
  • 語源・中心:anti(=ante|前)+ cip(つかむ)+ ate =「前もってつかむ」
  • 覚え方フック:アンテナ(遠くを先取りキャッチ)/anti は「反対」でなく「前」
  • cip(つかむ)一族:capture/capable/accept/receive/concept/occupy
  • anti=ante(前)一族:antique/ancient/ancestor/antecedent/a.m.

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