「アンティシペイト(anticipate)」。予測する、前もって備える・・・入試でもTOEICでも顔を出すのに、なんとなく手強い一語です。
覚える入り口は、日本語でおなじみの「アンテナ」。テレビでもスマホでも、アンテナはまだ手元に届いていない”遠くの電波”を、先回りしてキャッチしますよね。この「まだ距離のある先のものを、前もってキャッチする」感覚が、そのまま anticipate です。
ここで一つ、面白い引っかかりがあります。頭の anti。これ、antibiotic(抗生物質)や anti-fan の「反対の anti-(アンチ)」と同じ綴りです。なのに anticipate に「反対する」意味はありません。なぜ?・・・その種明かしが、この単語をぐっと覚えやすくしてくれます。
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anticipate を分解してイメージで覚える|アンテナで「前もってつかむ」
anticipate をパーツで見ると、こうなります。
anti(前に・先に)+ cip(つかむ=capture/catch)+ ate(〜する)
頭の anti は「前に・先に」。まだ距離のある”先のこと”というイメージです。真ん中の cip は capture(捕まえる)や catch(つかむ)の仲間。だから anticipate は「先のことを、前もってつかむ」。
ここでアンテナをもう一度思い浮かべてください。遠くの電波を先取りしてキャッチするアンテナのように、anticipate は”まだ来ていない先の出来事”を前もってつかまえて、手を打つ。だから「予測する」だけでなく、「前もって対処する・先回りする」まで含みます。
※ 覚え方に使った「アンテナ」は、あくまで記憶のためのイメージです。じつは antenna という語じたいは anticipate と語源のつながりはありません(antenna はラテン語で「帆桁(ほばしら)」を指す語で、由来ははっきりしていません)。「遠くをキャッチする」の絵として借りているだけ、と整理しておくと安全です。
なぜ “アンチ” なのに反対しないのか|anti の正体は ante「前」
いちばんの引っかかりを、ここで解きます。
anticipate の頭の anti は、antibiotic(抗生物質)や antisocial(反社会的)の「反対・対抗の anti-」ではありません。こちらはラテン語 ante「前に」 が変装した姿です。見た目は同じ anti でも、家系がまったく別なんです。
- 反対の anti-(antibiotic/antisocial/antithesis)・・・「〜に逆らう」
- 前の anti(=ante)(anticipate/antique)・・・「〜より前に」
「見た目は”反対”、正体は”前”」。これが anticipate の隠れたギャップです。アンテナ(先取りしてキャッチ)と、ante(前に)。どちらも指しているのは「先・前」の方向。ここがつながると、もう迷いません。
身近なところで、もう一つ。骨とう品の「アンティーク(antique)」も、じつは同じ ante「前」の仲間です。ラテン語 antiquus に由来し、芯は「前の時代のもの」。anticipate と antique、綴りが似ているのは偶然ではなく、どちらも頭に「前」を抱えているからなんです。
面白いのは、同じ「前」でも向きが逆なこと。anticipate は”出来事より前に動く”=未来へ先取り。antique は”ずっと前の時代”=過去を指す。ひとつの ante が、未来にも過去にも「前」として効いている・・・そう見えると、anti の見た目にはもう惑わされません。
anticipate の基本の意味と使い方
anticipate は「予測する」「前もって備える・先回りする」を表す動詞です。ただ頭に思い描くだけでなく、”それに向けて動く”ニュアンスがあります。
- We anticipate strong demand.(強い需要を見込んでいる)
- She anticipated my question.(彼女は私の質問を先読みした)
- anticipate problems(問題を予見して手を打つ)
単なる「そうなりそう」ではなく、「先を読んで、いまから備える」。この一歩踏み込んだ感じが anticipate の持ち味です。
expect との違い|「予期する」との一線
anticipate と似た語に expect(予期する・期待する)があります。訳が近いので混同しがちですが、感触が違います。
- expect・・・「たぶんそうなるだろう」と予期する。心づもりまで。
- anticipate・・・予測したうえで、”備える・先回りする”まで踏み込む。
たとえば I expect rain. は「雨だろうな」。I anticipate rain. は「雨を見越して傘を用意する」まで匂わせます。cip(つかむ)が効いていて、”待つ”より”取りにいく”単語だと思うと、使い分けが楽になります。
“cip(つかむ)” でつながる単語ネットワーク
anticipate の芯 cip(ラテン語 capere=取る・つかむ)を知っておくと、別ジャンルに見える単語が一気につながります。形は cip/cap/cept/ceive と変わりますが、芯はぜんぶ「つかむ・取る」です。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| capture | 捕らえる | まさに「つかむ」そのもの |
| capable | 能力がある | 「つかめる」→ できる |
| accept | 受け入れる | ac(〜へ)+cept=手元に取る |
| receive | 受け取る | re(元へ)+ceive=取り込む |
| concept | 概念 | con(まとめて)+cept=つかみ取った考え |
| occupy | 占める | oc(すっかり)+cupy=取って抱える |
「cip/cap/cept/ceive が入っていたら、たぶん”つかむ・取る”の話」・・・そう見えると、初見の単語でも意味を推測できます。
“anti(=ante|前)” でつながる単語ネットワーク
もう一方の頭 anti(=ante「前に」)をたどると、時間や順番で”前”を指す一族が見えてきます。反対の anti- とは別家系です。
| 単語 | 意味 | 語源 |
|---|---|---|
| antique | 骨とう品、古風な | ante〈前〉=前の時代のもの |
| ancient | 古代の | ante〈前〉=ずっと前の |
| ancestor | 祖先 | ante〈前〉+cedere〈行く〉=前を行った人 |
| antecedent | 先行するもの、前例 | ante〈前〉+cedere〈行く〉 |
| a.m.(ante meridiem) | 午前 | ante〈前〉+meridiem〈正午〉=正午の前 |
anticipate は、この「cip(つかむ)」と「anti=ante(前)」の2つの家族が交わる場所に立つ単語・・・そう捉えると、一語から二方向に世界が広がります。
派生語|anticipate まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| anticipate | 動詞 | 予測する、前もって備える | アンティシペイト /ænˈtɪsɪpeɪt/ |
| anticipation | 名詞 | 予測、期待 | アンティシペイション /ænˌtɪsɪˈpeɪʃn/ |
| anticipatory | 形容詞 | 予期しての、先取りの | アンティシパトリー /ænˈtɪsɪpətɔːri/ |
| anticipated | 形容詞 | 予期された、待ち望まれた | アンティシペイティッド |
TOEIC・英検での出題傾向
anticipate は、ビジネス英語で出番の多い実用語です。TOEIC では anticipate demand(需要を見込む)、anticipate changes(変化を見越す)、we anticipate that … のように、報告書やメール、説明文で登場します。英検では準1級あたりで見かける、少し歯ごたえのある一語です。expect との違いを押さえておくと、読み書きの両方で効きます。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- We anticipate good news soon.
- She anticipated his question before he asked.
- Try to anticipate problems before they grow.
- A good leader anticipates change.
- You cannot anticipate everything, and that is okay.
- He anticipated the storm and prepared his home.
- Do not let fear anticipate a pain that may never come.
- Anticipate the future, but do not fear it.
- The best days come when you least anticipate them.
- Anticipate less, and you will worry less.
語源メモ|anti は ante「前」、cip は capere「取る」
anticipate は、ラテン語 anticipare に由来します。分けると anti(=ante「前に」) と、capere(「取る・つかむ」→catch capture)。合わさって、字義どおり「前もって手に入れる(taking into possession beforehand)」。ここから「予測する」「先んじて手を打つ」の意味に育ちました。
覚えておくと得なのが、この二つの芯です。cip(=capere)は capture・accept・receive・concept など「取る・つかむ」の核。anti(=ante)は antique・ancestor・a.m. など「前」の核。anticipate はその交差点に立っています。
なお、冒頭のアンテナはあくまで記憶用のイメージで、antenna という語は anticipate と語源的につながりません。
そして頭の anti は、antibiotic の「反対の anti-」ではなく ante「前」の変形・・・ここだけ整理しておくと、鋭い人に聞かれても迷いません。ちなみに expect の同義語として anticipate を使うのは本来ずれで、anticipate には「備える・先回りする」の色がある、というのが英語辞書の見立てです。
まとめ
anticipate は、anti(=ante|前に)+ cip(つかむ=capture/catch)+ ate で「先のことを前もってつかむ」=予測する・前もって備える。
- anti(=ante)・・・前に・先に。antique/ancestor/a.m. などの一族へ
- cip(capere)・・・取る・つかむ。capture/accept/receive などの一族へ
- 頭の anti は「反対の anti-」ではない。見た目は反対、正体は「前」
アンテナが遠くの電波を先取りするように、anticipate は”まだ来ない先”を前もってつかまえる単語です。

- 語源・中心:anti(=ante|前)+ cip(つかむ)+ ate =「前もってつかむ」
- 覚え方フック:アンテナ(遠くを先取りキャッチ)/anti は「反対」でなく「前」
- cip(つかむ)一族:capture/capable/accept/receive/concept/occupy
- anti=ante(前)一族:antique/ancient/ancestor/antecedent/a.m.
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翻訳練習の解答例
- 私たちは、もうすぐ良い知らせがあると見込んでいる。
- 彼女は、彼が尋ねる前にその質問を先読みしていた。
- 問題が大きくなる前に、先回りして予測しよう。
- すぐれたリーダーは、変化を予測して動く。
- すべてを予測することはできない。それでいい。
- 彼は嵐を見越して、家に備えをした。
- 来るかどうかもわからない痛みを、先回りして抱え込まないで。
- 未来を予測しよう。でも、恐れることはない。
- 最高の日々は、待ち望んでもいなかったときにに訪れる。
- 先のことを気に病みすぎなければ、心配はずっと軽くなる。


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