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英語で頭が真っ白・・・その苦手意識、消せます|研究が示した意外な正体

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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英語を話そうとすると、口を開く前から負けている・・・そんな感覚、ありませんか。

「文法を間違えたらどうしよう」「発音がヘンだと笑われるかも」。そう考えているうちに、言いたかったことが頭から消えていく。せっかく単語は知っているのに、いざとなると頭が真っ白。

私は大学で長く英語や心理学を教えていますが、この「話す前から固まってしまう」悩みは、本当に多くの学習者が抱えています。しかも、決して英語力が低い人だけの問題ではありません。テストで良い点を取れる人でも、対面の会話になると急に話せなくなることは、珍しくないのです。

今回は、その苦手意識をぐっと軽くしてくれる研究を紹介します。カナダの大学で行われたこの研究(Nagle et al., 2021)は、「相手に伝わりやすい英語とは何か」を実際のデータで調べたものです。結論を先に言ってしまうと・・・伝わりやすさを決めるのは、文法や語彙の正確さ「だけ」ではありませんでした。

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研究が「伝わりやすさ」を分解してみたら|協力する姿勢が効いていた

この研究では、英語を母語としない大学生40人が2人1組になり、17分間いっしょに会話をしました。共通点を探したり、バラバラの絵を並べて1つの物語を作ったり、留学生活の悩みを話し合ったり。3種類の課題をこなしながら、お互いの様子を何度も評価し合ったのです。

評価した項目は主に3つ。

・相手の英語は「わかりやすい」か ・相手は「緊張して」いるように見えるか ・相手は会話に「協力的」か

すると、はっきりした傾向が見えてきました。相手が会話に協力的であるほど、そして緊張していないように見えるほど、その人の英語は「わかりやすい」と評価されたのです。

ここが大事なポイントです。英語のテストの点数(この研究では受験者のIELTSスコア)は、わかりやすさの評価にほとんど影響していませんでした。つまり・・・「上手いから伝わる」のではなく、「協力しようとする姿勢があるから伝わる」という結果だったわけです。

しかも研究者たちは、こう結論づけています。伝わりやすさは話し手ひとりで決まるものではなく、話し手と聞き手が「いっしょに作り上げるもの」だと。

英語版のキャッチボールのようなものだと考えると、わかりやすいかもしれません。片方が全力の剛速球を投げても、相手が受け取れなければ意味がない。お互いが取りやすいボールを投げ合うことで、会話は成り立つのです。

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なぜ「完璧に話そう」とすると逆効果なのか

では、なぜ正確さを目指しすぎると、かえって伝わらなくなるのでしょうか。

理由は、脳の使い方にあります。

人間の脳が一度に処理できる量には限りがあります。「文法は合っているか」「発音は正しいか」とチェックすることに脳の力を100%使ってしまうと、他のことに回す余力がなくなります。

その結果、どうなるか。表情が固まり、目線が下がり、体はガチガチに。単語が出てこないと、そのまま黙り込んでしまう。

音読すると発音はまあまあなのに、スピーキングになると突然発音が悪くなるという学生はかなりたくさんおります。

ところが相手からすると、この「無表情での沈黙」は、とても読み取りにくいものです。「自分の話が伝わっていないのかな」「もしかして怒っているのかな」と、不安にさせてしまう。あなたは頭の中で必死に英文を組み立てているだけなのに、相手には「会話が止まった」ようにしか見えないのです。

正確さを追い求めた結果、いちばん伝えたい「あなたと話したい」という気持ちが、相手に届かなくなる。これが完璧主義の落とし穴です。

思い返してみてください。私たちが学校で受けてきた英語は、テストで正解を選ぶための英語でした。ミスは減点。だから「間違えないこと」が体に染みついています。その習慣が、会話の場面では足かせになってしまうのです。

今の英語力のままで「伝わる人」になる4つの動き

ここからが本題です。英語力を上げなくても、明日から「伝わる人」に近づける具体的な方法を4つ紹介します。どれも研究の結果に沿った、理にかなったやり方です。

英語で頭が真っ白になる苦手意識を消すヒント|カフェでリラックスして英会話する男女のイラスト

1. 沈黙を「声」で埋める

単語が出てこないとき、いちばんやってはいけないのが無言で固まることです。代わりに、こんな一言を声に出してみてください。

・”Let me see…”(えーっと・・・)
・”How can I say…?”(何て言えばいいかな・・・)
・”Well, you know…”(そうですね、あの・・・)

たったこれだけで、「今、考えているところです」というサインが相手に伝わります。会話が切れずにつながっている・・・その状態を保つことが大切なのです。

2. 相手を巻き込んで「共同作業」にする

わからない単語があったら、隠さず相手に聞いてしまいましょう。

・”What’s the word for…?”(〜って何て言うんだっけ?)
・”How do you say this in English?”(これ英語で何て言うの?)
・”What does … mean?” (…ってどういうこと?)

これは決して「負け」ではありません。むしろ相手に「助ける役割」を渡すことで、会話が2人の共同作業になります。研究でも、聞き手自身が協力的であるほど、相手の英語をわかりやすく感じることが示されました。あなたが頼ることで、相手も会話に前のめりになってくれるのです。

3. 相手の言葉を拾って返す

相手が使った言葉を、そのまま会話に取り込んでみましょう。

たとえば相手が “I was so tired after the trip.”(旅行のあと、すごく疲れたよ)と言ったら、こう返します。

・”So tired! I understand.”(すごく疲れたんだね、わかるよ)

相手のキーワードをくり返すだけで、「ちゃんと聞いているよ」「理解しているよ」というメッセージになります。難しい返しを考える必要はありません。相手の言葉が、そのままあなたの武器になります。

相手に同じフレーズを返すことで、それが自分の「使えるフレーズ」として定着するのです。

4. 最初に「緊張してる」と正直に言ってしまう

会話のはじめに、素直な気持ちを打ち明けてしまうのも効果的です。

・”I’m a little nervous, but I’m happy to talk with you.”
(少し緊張してるけど、話せてうれしいです)

自分から「完璧じゃない」と見せることで、相手も肩の力を抜いてくれます。研究が示したとおり、緊張が伝わると会話は硬くなります。だからこそ、先にこちらから空気をゆるめてしまうのです。

場面で割り切る|「作業系」と「雑談系」は攻め方が違う

この研究には、もう1つ役立つ発見があります。会話の種類によって、大事な要素が変わるということです。

目的がはっきりした場面(道を教える、仕事の指示をする、何かを一緒に作るなど)では、「協力的な姿勢」がいちばん効きました。

こういう場面では、文法がしどろもどろでも問題ありません。図を描く、身振りで示す、結論から先に言う。泥くさくても、目的を達成しようとする行動が何より大切です。

気持ちや意見を話す場面(雑談、自己紹介など)では、「緊張していないこと」がより強く効きました。

こういう場面で正確さにこだわると、かえって緊張が高まり、伝わりにくくなります。ここは思い切って「間違えても笑って流す」「6割の完成度で口に出す」と自分に許可を出してしまいましょう。完璧を目指さないことが、いちばんの近道になります。

まとめ|「上手くなってから話す」をやめる

今回いちばん伝えたいことは、シンプルです。

「英語が上手くなってから話そう」と思っている限り、いつまでも話す番は回ってきません。順番が逆なのです。

研究がはっきり示したのは、リラックスして相手と協力する姿勢さえあれば、今の英語力のままでも十分に伝わる、ということでした。伝わりやすさは、あなた一人の得点ではなく、相手とのキャッチボールの中で生まれます。

まずは次に英語を話す機会があったら、たった1つでいいので試してみてください。単語に詰まったら黙り込まず、”Let me see…” と声に出す。それだけで、あなたの英語は少しだけ「伝わる英語」に近づきます。

完璧な英文より、続けようとする気持ち。その一歩から始めてみましょう。

実は「伝えようとする姿勢」には、大きなメリットがあります。それは、会話のやり取りそのものが、あなたにとって最高の英語教材になるということです。👇
会話のすべてが英語教材になる|「伝えようとする人」がいつの間にか上達する理由

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英語で相手とのやりとりに困った時、相手が助けてくれることが多々あります。コミュニケーションを続けるための簡単な方法を提案しました。

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参考文献:Nagle, C. L., Trofimovich, P., O’Brien, M. G., & Kennedy, S. (2021). Beyond Linguistic Features: Exploring Behavioral and Affective Correlates of Comprehensible Second Language Speech. Studies in Second Language Acquisition.

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