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【語源で覚える】excursion|ex(外へ)+ curs(走る)で「走り出る」が旅行になる

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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旅行のパンフレットで「オプショナルエクスカーション」という言葉を見たことがあるでしょうか。ツアーの合間に、現地発着で出かける小旅行のことです。

この excursion、分解すると見えてくるのは意外な顔です。ex(外へ)+ curs(走る)。つまり「外へ走り出る」。旅行というより、どこか勇ましい成り立ちをしています。

※ この記事は、姉妹編の cursor(カーソル)と対になっています。cursor が「走るもの」そのものの話なら、こちらは「外へ走り出る」の話です。同じ curs でも、向かう先が違います。

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excursion を分解してイメージで覚える

excursion をパーツで見ると、こうなります。

ex(外へ)+ curs(走る)+ ion(名詞をつくる)

ex は exit(出口)・export(輸出)でおなじみの「外へ」。curs は「走る」。合わせて「外へ走り出ること」です。

イメージしてほしいのは、いつもいる場所から、ぽんと外へ走り出す感じ。普段の生活圏があって、そこからちょっと外へ出て、また帰ってくる・・・これが excursion の形です。「行きっぱなし」ではないところがポイントで、だから移住や亡命ではなく「小旅行」「遠足」になります。

そしてこの「外へ走り出る」は、物理的な移動だけの話ではありません。話していて本題から外れることも、英語では excursion と言います。本筋から、ちょっと外へ走り出てしまう。同じ絵で説明がつきます。

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excursion の基本の意味と使い方

excursion は「小旅行」「遠足」「(短い)外出」を表す名詞です。日帰りや半日程度の、帰ってくることが前提の出かけ方を指します。

  • a day excursion(日帰り旅行)
  • an optional excursion(オプショナルツアー)
  • a boat excursion(遊覧船のツアー)
  • an excursion into jazz(ジャズへの寄り道・越境)

最後の例のように、「本来の専門や分野の外へ少し出てみる」という比喩でもよく使われます。作家が初めて推理小説を書いた、ロックバンドがクラシックに挑戦した・・・そういうときの「寄り道」が excursion です。

ちょっと意外なのは、もともとの意味です。英語に入った1570年代ごろ、excursion は「議論の脱線」や「軍の出撃」を指していました。砦から外へ走り出て敵を突く、あの動きです。「小旅行」という平和な意味がついたのは1660年代から。物騒な言葉が、観光の言葉になった・・・そんな来歴があります。

trip・journey との使い分け

旅行を表す語はいくつもあるので、ざっくり整理しておきます。

単語中心のイメージ
excursion拠点から外へ出て、また戻る短い旅。遠足・現地ツアー
trip行って帰ってくる旅全般。いちばん広く使える
journey移動そのもの、長い道のり。比喩でも使う
tourいくつかの場所をめぐる旅。周遊

excursion は「ベースキャンプがあって、そこから出る」という前提が効いている言葉です。だからホテル滞在中の半日ツアーにはぴったりで、引っ越しや長期の旅には使いません。

curs/cour(走る)でつながる単語ネットワーク

excursion の意味の中心 curs(走る/ラテン語 currere)を知っておくと、まったく別ジャンルに見える単語が一気につながります。

単語意味イメージ
cursorカーソル走るもの(→ くわしくは cursor の記事で)
current現在の、流れ、電流今まさに走っているもの
course進路、課程、コース走る道筋
corridor廊下、回廊走り抜ける通路
curriculum教育課程学びの「走る道」
cursive筆記体ペンが止まらず走る書き方
cursoryざっと目を通す、大ざっぱな表面を走り抜けるだけ
occur起こる目の前に走り出てくる
recur再発する、繰り返されるまた走って戻ってくる
precursor前触れ、先駆者先に走る者
courier宅配便、使者走って届ける人
concourse(駅の)コンコース、集合みんなが走り集まる場所

「curs/cour/cour- が入っていたら、たぶん”走る”話」・・・そう見えるようになると、初見の単語でも見当がつきます。

ちなみに、スポーツの「パルクール(parkour)」もこの一族です。フランス語経由で綴りは変わっていますが、根っこは同じ「走る」。街を駆け抜ける競技の名前として、これ以上ないくらい素直な命名です。

ex(外へ)でつながる単語ネットワーク

もう一方のパーツ ex(外へ)をたどると、こちらもまとまって見えてきます。

単語意味語源
exit出口ex〈外へ〉+ it〈行く〉
export輸出するex〈外へ〉+ port〈運ぶ〉
extend伸ばす、広げるex〈外へ〉+ tend〈伸ばす〉
express表現する、急行ex〈外へ〉+ press〈押す〉
exclude締め出すex〈外へ〉+ clude〈閉じる〉
expand拡大するex〈外へ〉+ pand〈広げる〉

excursion は、この「ex(外へ)」と「curs(走る)」が出会った場所に立っている単語です。一語から、二方向に世界が広がります。

派生語|excursion まわり

単語品詞意味発音
excursion名詞小旅行、遠足、脱線イクスカージョン /ɪkˈskɜːrʒən/
excursive形容詞話が脱線した、とりとめのないイクスカーシヴ /ɪkˈskɜːrsɪv/
excursionist名詞遠足客、行楽客イクスカージョニスト
excursus名詞(論文などの)余論、補説イクスカーサス

excursive と excursus は、どちらも「本筋から外へ走り出る」の方の意味を受け継いでいます。日常会話での登場頻度は高くありませんが、語源のつながりを見るには分かりやすい2語です。

TOEIC・英検での出題傾向

excursion は、旅行・観光まわりの文章で出てくる語です。TOEIC では、社員旅行や出張の案内メール、ツアー会社の広告、ホテルの滞在案内といった文脈で見かけます。optional excursion(オプショナルツアー)、excursion fare(周遊割引運賃)のような形で、Part 7 の読解に紛れていることがあります。

英検では準1級あたりで出会う可能性のある語、という位置づけです。最頻出の単語ではありませんが、「旅行の文章が出たら、この語が混ざっているかもしれない」と構えておくと読みやすくなります。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. We went on a short excursion to the lake.
  2. The school organized an excursion to the museum.
  3. An excursion is a trip that brings you back home.
  4. Your weekend excursion sounds like a good idea.
  5. She booked an optional excursion for the second day.
  6. This chapter is a short excursion into history.
  7. Sometimes an excursion outside your field teaches you the most.
  8. The guide led the group on a morning excursion.
  9. Take a small excursion today, even just to the next station.
  10. Every excursion begins with one step out the door.

語源メモ|「出撃」から「遠足」へ

excursion は、ラテン語 excursio(走り出ること、出撃、脱線)に由来します。もとは動詞 excurrere「走り出る、突き出る、伸びる」の名詞形で、ex(外へ)+ currere(走る)という組み立て。currere は印欧祖語の *kers-「走る」にさかのぼります。

英語に入ったのは1570年代ごろ。このときの意味は「議論の脱線」と「軍の出撃」でした。砦の中から外へ走り出て、敵に一撃を加えてまた戻る。あの軍事行動が excursion です。「拠点があって、出て、戻る」という形は、このころからすでにありました。

「小旅行」の意味で使われ始めたのは1660年代。出ていく対象が敵陣から行楽地に変わっただけで、動きの形はそのまま残っています。

currere 一族は、英語の中にかなりの数が入り込んでいます。cursor・current・course・corridor・curriculum・cursive・occur・recur・precursor・courier・concourse・discourse・career、さらにはフランス語経由の parkour まで。一見すると共通点が見えない顔ぶれですが、全部「走る」でつながっています。

まとめ

excursion は、ex(外へ)+ curs(走る)+ ion で「外へ走り出ること」=小旅行・遠足。

  • ex・・・外へ。exit/export/extend などの一族へ
  • curs(currere)・・・走る。cursor/current/course/corridor/occur などの一族へ
  • もとの意味は「出撃」と「脱線」。拠点から出て、また戻る形は今も変わらない

いつもの場所から、ちょっとだけ外へ走り出てみる。旅も、学びも、始まりはそこかもしれません。

excursion の語源ワードマップ。中心は excursion(=外へ走り出ること、小旅行・遠足)で、
ex(外へ)+curs(走る)+ion に分解。ラテン語 excurrere「走り出る」が由来で、
もとの意味は「出撃」「脱線」。curs(走る)系(cursor / current / course / corridor /
curriculum / occur / recur / precursor)、ex(外へ)系(exit / export / extend /
express / exclude / expand)、覚え方のヒント(拠点から外へ出て、また戻る)の
4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:ex(外へ)+ curs(走る)+ ion =「外へ走り出ること」
  • 覚え方のヒント:拠点から出て、また戻る短い旅
  • curs(走る)一族:cursor/current/course/corridor/curriculum/occur/recur/precursor
  • ex(外へ)一族:exit/export/extend/express/exclude/expand

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翻訳練習の解答

  1. 私たちは、湖まで短い小旅行に出かけた。
  2. 学校は、博物館への遠足を企画した。
  3. 遠足とは、またちゃんと家に帰ってくる旅のことだ。
  4. あなたの週末の小旅行、いい考えだと思う。
  5. 彼女は、2日目のオプショナルツアーを予約した。
  6. この章は、歴史へのちょっとした寄り道だ。
  7. 専門の外へ出てみることが、いちばんの学びになることもある。
  8. ガイドは、朝のツアーにグループを連れていった。
  9. 今日は少しだけ外へ出てみよう。隣の駅までだっていい。
  10. どんな旅も、玄関の外への一歩から始まる。

BSL(Business Service List)集録語

この単語は Business Service List(BSL) に集録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。
出典:New General Service List Project