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【語源で覚える】inferior|「インフラ」の infra が、そのまま入っている

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「インフラ」という言葉、ニュースでも日常でも当たり前に使いますよね。道路、水道、電線・・・暮らしを下で支えているもの。

この「インフラ」は infrastructure の前半で、infra は「下に」という意味です。そして今日の主役 inferior も、出どころはまったく同じ infra。

つまり inferior は「下にある」が意味の中心。そこから「劣った」という意味になりました。インフラを思い出せるなら、inferior はもう半分覚えたようなものです。

※ 綴りが似ている infer(推測する)とは別の語源です。あちらは in+ferre(運ぶ)で「中へ運び込む」。見た目にだまされやすいところなので、記事の後半で整理します。

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inferior を分解してイメージで覚える|インフラの infra がそのまま入っている

inferior をパーツで見ると、こうなります。

infer-(infra=下に)+ -ior(より〜)

後ろの -ior は「より〜」を表す比較級の形です。英語で言えば -er(taller、faster)にあたるもの。ラテン語では -ior の形をとります。

合わせると「より下にある」。これが inferior の意味の中心です。

覚え方の入り口は、やはりインフラ。

  • インフラ(infrastructure)=下(infra)で支える構造(structure)
  • インフラ赤(infrared)=赤より下(外側)の光=赤外線
  • inferior=より下にある=劣った

「インフラの infra が、人や物の評価に使われたら inferior」。この一本の線でつながります。

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inferior の基本の意味と使い方

inferior は形容詞「劣った、下位の」と、名詞「目下の人、下位の者」の両方で使います。

  • inferior quality(劣った品質)
  • an inferior product(粗悪品)
  • treat someone as an inferior(人を目下として扱う)

ここで形に注意が要ります。「〜より劣る」と言うとき、than ではなく to を使います。

  • ◯ This model is inferior to the previous one.
  • ✕ This model is inferior than the previous one.

-ior の形自体がもう比較級なので、than を重ねないわけです。superior、senior、junior、prior も同じ仲間で、全部 to をとります。ここはTOEIC でも英検でも狙われるポイントです。

そしてもう一つ、使い方の注意を。inferior を人に向けて使うと、かなり強い言い方になります。「あなたは劣っている」と面と向かって言うのに近い語です。品質や性能について使うのが基本で、人を評価する文脈では避けるのが無難。この感覚を知っておくだけでも、英語での印象はずいぶん変わります。

superior との関係|きれいな鏡になっている

inferior の対になるのが superior(上位の、優れた)です。この2語、構造が完全に鏡です。

下上
もとの語inferus(下にある)superus(上にある)
その比較級inferior(より下の)superior(より上の)
前置詞・副詞infra(下に)super(上に)
教会ラテン語の対infernal(下界の・地獄の)supernal(天上の)

infernal と supernal が教会ラテン語で対の言葉として使われていた、というのは知っておくと面白いところです。下の世界と上の世界。地獄と天国の対比が、そのまま語の形に残っています。

super(上)の一族については別の記事で詳しく扱っているので、そちらもどうぞ(下の「関連記事」にリンクがあります)。

infra(下)でつながる単語ネットワーク

infra を知っておくと、まったく違うジャンルの単語が一気に同じ棚に並びます。

単語意味組み立て
infrastructure社会基盤、インフラinfra(下)+structure(組み立てたもの)
infrared赤外線infra(下)+red(赤)=スペクトルで赤の外側
infrasonic超低周波のinfra(下)+sonic(音の)=聞こえる音より下
infernal地獄の、ひどいinfernus(下の世界)から
inferno業火、大火災イタリア語経由の infernus
inferiority劣っていることinferior+-ity

inferno(インフェルノ)は映画やゲームでも見かける語ですが、もとは「下の世界」。地獄が火と結びついたのはキリスト教の地獄観によるもので、語そのものに「火」の意味はありません。言われてみれば、地下は火ではなく「下」ですよね。

ちなみに infrastructure の初出は1887年、フランス語の infrastructure(1875年)から入った比較的新しい語で、もともとは軍事用語でした。infrared も1873年。infra- が super- の反対として広く使われるようになったのは1920年代以降で、OED は「この infra- の使い方はラテン語らしくない」と注記しています。つまり「インフラ」は、ラテン語の顔をした近代の造語なんです。

英語の under も、実は同じ家族

ここからがこの単語のいちばん面白いところかもしれません。

infra のさらに奥、印欧祖語までさかのぼると *ndher-(下)という形にたどり着きます。そしてここから分かれたもう一方の枝が、英語本来の語 under です。

単語意味出どころ
under下に古英語 under(印欧祖語 *ndher-)
underground地下のunder+ground
underestimate過小評価するunder(下に)+estimate(見積もる)
underdog勝ち目の薄い側under+dog
inferior劣ったラテン語 inferior(同じ *ndher-)

ラテン語経由で入ってきた inferior と、英語が最初から持っていた under。見た目はまるで似ていませんが、親をたどれば同じ「下」です。サンスクリット語の adhah(下に)も同じ家族と考えられています。

難しい語に見える inferior も、under と兄弟だと思えば、ずいぶん距離が縮まるはずです。

派生語|inferior まわり

単語品詞意味発音
inferior形容詞・名詞劣った、下位の/目下の人インフィアリア /ɪnˈfɪriər/
inferiority名詞劣っていること、劣等インフィアリオリティ /ɪnˌfɪriˈɔːrəti/
inferiority complex名詞句劣等感―

inferiority の初出は1590年代。inferiority complex(劣等感)という言い方が英語で確認できるのは1919年からで、意外に新しい表現です。

TOEIC・英検での出題傾向

inferior は、TOEIC では製品やサービスの品質を比較する文脈で登場します。inferior quality、inferior materials、be inferior to といった形です。

狙われるのは、やはり to の部分。than を選ばせる誤答選択肢はほぼ必ず用意されます。superior・senior・junior・prior とまとめて「-ior は to」と覚えてしまうのが早道です。

英検では準1級あたりから読解に出てきます。語彙問題で inferior / superior の取り違えを問う形もあるので、どちらが「下」かを infra(インフラ)でしっかり固定しておきましょう。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. This model is not inferior to that one.
  2. You are not inferior to anyone here.
  3. The cheaper tool was not inferior at all.
  4. He felt inferior, but his work spoke for him.
  5. Nothing about your effort is inferior.
  6. We replaced the inferior parts with better ones.
  7. An inferior start does not decide the ending.
  8. She never treats anyone as inferior.
  9. Feeling inferior is common, and it passes.
  10. Your quiet work is in no way inferior.

語源メモ|infra と、まぎらわしい infer

inferior が英語に入ったのは15世紀初めで、最初は土地について「低い、低い位置にある」という物理的な意味でした。ラテン語 inferior(より下の)から入った語で、これは inferus(下にある)の比較級。さらにさかのぼると infra(下に)です。

「地位・階級・程度が下の」という意味が加わったのは1530年代。そこから「質が低い、粗悪な」という評価の意味も同じ時期に生まれました。物理的な「下」が、比喩的な「下」に広がったわけです。

ここで整理しておきたいのが、infer(推測する)との関係です。

  • infer=in(中へ)+ferre(運ぶ)・・・情報を中へ運び込んで結論を出す
  • inferior=infra(下に)+-ior・・・より下にある

綴りの頭4文字が同じなので同族に見えますが、完全に別の語源です。infer の仲間は infer・inference・refer・transfer・differ といった ferre(運ぶ)の一族。inferior はそこには入りません。ここを間違えると意味の推測がまるごとずれるので、「inferior だけは infra(下)の側」と線を引いておいてください。

もうひとつ、おまけの話を。understand の under は、実は「下に」ではなく「〜の間に」という別の語根 *nter-(ラテン語の inter- と同じもの)かもしれない、と考える辞書があります。「物事の間に立つ」から「理解する」へ、という筋道です。ただしこれは諸説あって決着していません。同じ under でも中身が違うかもしれない・・・語源の世界には、こういう未解決の問いが残っています。

【語源で覚える】infer|「推測する」は頭の中に”運び込む”こと

【語源で覚える】infer|「推測する」は頭の中に”運び込む”こと
infer(推測する)を語源から。in(中に)+ fer(運ぶ)=外の情報を頭の中に「運び込んで」結論を出す。transfer・refer・confer・prefer・differ・offer と同じ fer 一族。infer と imply の混同ポイント、翻訳練習10問つき。

まとめ

inferior は、infra(下に)+ -ior(より〜)で「より下にある」=劣った、下位の。

  • infra(下)・・・infrastructure/infrared/infrasonic/infernal/inferno の一族
  • under・・・印欧祖語 *ndher- でつながる、英語本来の兄弟
  • superior とは inferus / superus の鏡の関係
  • infer(運ぶ)とは別ルート。ここだけ混ぜない

形の注意は一つだけ。比較は than ではなく to。superior・senior・junior・prior も同じです。

そして使い方の注意も一つ。inferior は人に向けると強い言葉になります。品質の話に使う語だと覚えておくと、安心して使えます。

inferior の語源ワードマップ。中心は inferior(=より下にある、劣った)で、infra(下に)+-ior(より〜)に分解。語源・中心(ラテン語 inferus の比較級)、infra(下)系(infrastructure / infrared / infrasonic / infernal / inferno)、under系(under / underground / underestimate / underdog、印欧祖語 *ndher- で血縁)、覚え方のヒント(インフラ=下で支えるもの、比較は than ではなく to、infer とは別ルート)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:infra(下に)+ -ior(より〜)=「より下にある」
  • 覚え方のヒント:インフラ=下で支えるもの → inferior=下にある
  • infra(下)一族:infrastructure/infrared/infrasonic/infernal/inferno
  • *under(ndher-)一族:under/underground/underestimate/underdog
  • 別ルート注意:infer(in+ferre=運ぶ)とは無関係

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翻訳練習の解答

  1. このモデルは、あちらに劣るものではない。
  2. あなたは、ここにいる誰にも劣っていない。
  3. その安いほうの道具は、まったく劣っていなかった。
  4. 彼は引け目を感じていたが、仕事が彼を語ってくれた。
  5. あなたの努力に、劣ったところなどひとつもない。
  6. 劣った部品を、もっと良いものに取り替えた。
  7. 出だしが劣っていても、終わり方が決まるわけではない。
  8. 彼女は、誰のことも下に見たりしない。
  9. 引け目を感じるのはよくあることだし、それは過ぎていく。
  10. あなたの静かな仕事は、どこをとっても劣ってなどいない。

NAWL(New Academic Word List)集録語

この単語は New Academic Word List(NAWL) に集録されています。NAWLは大規模な学術コーパスから抽出された960語のリストで、これらを覚えるだけで学術英語の約92%をカバーできます。論文や英字ニュースを読むとき、必ず出会う一語です。出典:New General Service List Project