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【語源で覚える】produce|プロデューサーは「作る人」ではなく「導く人」

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「プロデュース」「プロダクション」。どちらも、意味を説明しろと言われたら少し困る言葉ですよね。なんとなく「作ること」だろう、くらいの理解で通り過ぎている人が多いはずです。

ところが produce の語源をほどくと、「作る」という言葉はどこにも出てきません。

出てくるのは、pro(前へ)+ duce(導く)。つまり「前へ導き出す」。

プロデューサーは、何もないところから作る人ではなく、才能や企画を表舞台へ”導き出す”人だった・・・そう考えると、あの肩書きが急に腑に落ちます。

そしてこの duce(導く)は、カタカナになって私たちの生活にかなり入り込んでいます。リデュース、イントロ、コンダクター。全部、同じ「導く」です。

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produce を分解してイメージで覚える|pro(前へ)+ duce(導く)

produce をパーツで見ると、こうなります。

pro(前へ)+ duce(導く)= 前へ導き出す

思い浮かべてほしいのは、暗い舞台裏から、明るいステージへ、誰かの手を引いて連れ出す絵です。

隠れていたものを、見えるところまで引っぱってくる。それが produce の中心にあるイメージです。

  • 土の中に隠れていた野菜を、収穫して市場へ → 農産物を produce する
  • 頭の中にあった企画を、形にして世に出す → 映画を produce する
  • ポケットの中のチケットを、相手の前に出す → チケットを produce する

「作る」は、この「前へ導き出す」から後から育った意味です。順番が逆なんですね。語源のほうが先にあって、そこから「生み出す」へ広がった。

だから produce は、ゼロから作るときより、「もともとあったものを表に出す」ときにしっくりきます。

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produce の基本の意味と使い方

produce は動詞と名詞の両方で使い、しかもアクセントの位置が変わります。 ここは後で TOEIC の話にもつながるので、頭の片隅に置いておいてください。

動詞 produce /prəˈduːs/(デュのところが強い)

生産する・制作する・引き起こす・提示する。

This farm produces organic vegetables.
(この農場は有機野菜を作っている)

The new policy produced good results.
(新しい方針が、よい結果を生んだ)

Please produce your ticket at the gate.
(ゲートでチケットをご提示ください)

3つ目が意外かもしれませんが、これこそ語源どおりの使い方です。ポケットの中のものを「前へ導き出す」=見せる。

名詞 produce /ˈproʊduːs/(プロのところが強い)

こちらは「農産物」。スーパーの野菜売り場に produce と書いてあるのは、この意味です。

Fresh produce arrives early in the morning.
(新鮮な農産物は、朝いちばんに届く)

同じ綴りでも、強く読む場所が前にずれると名詞になる・・・この入れ替わりは record、present、object などにもある、英語のよくある仕掛けです。

使い分け|produce・make・manufacture・create・generate

「作る」と訳せる語はいくつもありますが、立ち位置が違います。

語立ち位置使う場面
makeいちばん広い日常語手で作る、料理を作る、何にでも使える
produce前へ導き出す農産物・工業製品・作品・結果を世に出す
manufacture工場で機械的に大量生産、製造業の文脈
createゼロから新しく創造する、これまでなかったものを生む
generate発生させる電気・熱・データ・収益など

迷ったときの目安は、「もとになるものがあるか」です。土・原料・才能・努力といった元手があって、そこから表へ出すなら produce。何もないところから立ち上げるなら create。

関連語ネットワーク|duc・duct(導く)でつながる単語

ここからが produce を覚える本当の得です。duc/duct(導く)は、驚くほど多くの単語に入っています。しかも、そのかなりがカタカナになって日本語に入っている。

単語分解意味
introduceintro(内へ)+duce中へ導く → 紹介する・導入する
reducere(後ろへ)+duce後ろへ導く → 減らす
conductcon(共に)+duct共に導く → 指揮する・実施する
conductorconduct+or導く人 → 指揮者・車掌
productpro(前へ)+duct前へ導き出されたもの → 製品
productionproduct+ion導き出すこと → 生産・制作
deducede(下へ)+duce下へ導く → 推論する
inducein(中へ)+duce中へ導く → 引き起こす・促す
seducese(離れて)+duceわきへ導く → そそのかす・誘う
abductab(離して)+duct離れた所へ導く → 連れ去る
ductducere そのもの導管・ダクト(空気を導く管)
aqueductaqua(水)+duct水を導くもの → 水道橋
dukedux(指導者)導く者 → 公爵

カタカナで並べ直すと、つながりが一気に見えてきます。

リデュース(3Rのリデュース=減らす)、イントロ(introduction の略=曲の導入)、コンダクター(オーケストラの指揮者)、プロダクト(製品)、ダクト(空調の管)。

全部、「導く」です。減らすのも、紹介するのも、指揮するのも、英語ではどの方向へ導くかを接頭辞で言い分けているだけ・・・そう見えると、初めて会う単語でも方向の見当がつくようになります。

duke(公爵) も同じ一族です。ラテン語 dux(指導者)から来ていて、ducere(導く)と兄弟。軍を導く者が、やがて貴族の称号になりました。

ひとつだけ、断っておきたい語があります。educate(教育する) です。「ex(外へ)+ducere で、子どもの力を外へ引き出すこと」という説明をよく見かけますが、これは定説ではありません。educate の直接のもとはラテン語 educare(育てる・しつける) で、educere(外へ導く)とは「関連はあるが同一ではない」という距離にあります。辞書によっては「教育の原義は才能を引き出すこと、という通説に根拠はない」とはっきり書いています。

同じ *deuk-(導く)の大きな一族には入っている。けれど「教育=引き出すこと」と言い切るのは踏み込みすぎ・・・このくらいの温度で覚えておくのが正確です。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
produce動詞生産する・制作する・提示するプロデュース /prəˈduːs/
produce名詞農産物プロデュース /ˈproʊduːs/(前が強い)
producer名詞生産者・制作者プロデューサー
product名詞製品・成果プロダクト
production名詞生産・制作プロダクション
productive形容詞生産的な・実りあるプロダクティブ
productivity名詞生産性プロダクティビティ
reproduce動詞再現する・複製する・繁殖するリプロデュース
reproduction名詞再現・複製・繁殖リプロダクション
by-product名詞副産物バイプロダクト

TOEIC・英検での傾向

ねらわれるのは、まず品詞問題です。

produce / product / production / productive / productivity。形が似ていて、どれも実際によく使われるので、空所の前後から品詞を決める練習がそのまま得点になります。

The company reported a sharp rise in ____ last quarter.

前が in、後ろがピリオド方向。名詞が入る位置なので productivity(または production)。productive(形容詞)を選ばないよう気をつけてください。

次に、発音・アクセント問題。

動詞 produce は後ろ(デュ)が強く、名詞 produce は前(プロ)が強い。英検のアクセント問題や、リスニングの聞き分けで効いてきます。record・present・object と同じ仲間として、まとめて押さえると早いです。

Part 7 では、ビジネス文書の定番語として出ます。

production facility(生産施設)、production schedule(生産計画)、mass-produce(大量生産する)、by-product(副産物)。どれも案内文・社内メールでよく見る形です。

The new production line will double our output.
(新しい生産ラインで、生産量は倍になります)

スーパーや市場の文脈で produce section(青果売り場)が出たときに「生産する」と読んでしまう・・・これが地味な落とし穴なので、名詞の「農産物」は必ずセットで覚えておきましょう。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にあります。

  1. This small farm produces wonderful vegetables.
  2. You can produce more than you think.
  3. Hard work does not always produce quick results.
  4. She produced a short film with her friends.
  5. The meeting produced a few good ideas.
  6. Please produce your ticket at the gate.
  7. Produce something today, even a small thing.
  8. The factory produces parts for electric cars.
  9. Fresh produce arrives at the market early in the morning.
  10. What you read today produces who you are tomorrow.

語源メモ|producere と、deuk- という大きな一族

produce は、ラテン語 producere に由来します。pro(前へ・先へ)+ ducere(導く・引く) で、字義どおりなら「前へ導き出す、引き出す」。過去分詞の形が productum で、こちらが product・production の直接のもとになりました。

おもしろいのは、英語に入った当初の意味です。15世紀はじめの producen は「伸ばす・延ばす・進める」でした。「生み出す・存在させる」の意味が出てくるのは15世紀の終わり。「芝居を舞台にかける」は1580年代、「心身の労働で引き起こす」は1630年代です。

名詞の produce(生産されたもの)は1690年代と、かなり遅い。そこから「工業製品と区別した農産物」に意味が絞られるのが1745年ごろ。スーパーの青果売り場の produce は、300年近く前に生まれた用法というわけです。

ducere のさらに奥には、「導く」を意味する印欧祖語の *deuk- があります。ここから produce・introduce・reduce・conduct・deduce・induce・seduce・duct・aqueduct・duke と、驚くほどの数が枝分かれしました。英語の中にある「導く」の大半は、この一本の根から出ています。

ひとつ補足を。先に触れた educate も、この大きな一族には属しています。ただし直接の親は educare(育てる)で、educere(外へ導く)とは一段離れている。「教育とは才能を外へ引き出すこと」という説明は美しいのですが、語源の裏づけとしては弱い、というのが辞書の立場です。きれいな話ほど、一度確かめる価値があります。

まとめ

produce は、pro(前へ)+ duce(導く)で「前へ導き出す」。そこから「生産する」「制作する」「提示する」へ広がりました。

produce の語源ワードマップ。中心は produce(=前へ導き出す)で、pro(前へ)+ duce(導く/ラテン語 producere)に分解。語源・中心、duc・duct(導く)系(introduce / reduce / conduct / deduce / induce / duct / aqueduct)、produce の派生語系(producer / product / production / productive / productivity / reproduce)、覚え方のヒント(プロデューサーは「作る人」ではなく「導く人」)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:pro(前へ)+ duce(導く)=前へ導き出す
  • 覚え方のヒント:プロデューサーは「作る人」ではなく「導く人」
  • duc/duct(導く)一族:introduce/reduce/conduct/conductor/deduce/induce/seduce/duct/aqueduct/duke
  • produce 一族:producer/product/production/productive/productivity/reproduce/by-product

作ることと、導き出すこと。似ているようで、少し違います。あなたの中にすでにあるものを、ほんの少し前へ出してみる。produce は、たぶんそういう言葉です。

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翻訳練習の解答

  1. この小さな農場は、すばらしい野菜を作っている。
  2. あなたは、自分で思っているより多くのものを生み出せる。
  3. 努力がいつも、すぐに結果を生むとはかぎらない。
  4. 彼女は友人たちと、短編映画を制作した。
  5. その会議から、いくつかいいアイデアが出てきた。
  6. ゲートで、チケットをご提示ください。
  7. 今日、何かひとつ生み出してみよう。小さなことでいい。
  8. その工場は、電気自動車の部品を作っている。
  9. 新鮮な農産物は、朝早く市場に届く。
  10. 今日あなたが読むものが、明日のあなたをつくる。