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【語源で覚える】sustainable|楽器の「サステイン」と、同じ一語

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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「サステナブル」。食品トレーの表示でも、企業のCSRページでも、もう当たり前のように見かける言葉です。すっかり「環境にやさしい」の言い換えとして定着しました。

ところが、同じ単語がもう一つ、まったく別の場所で日本語になっています。ギターの「サステイン」。弦をはじいたあと、音がどれだけ長く伸びて消えずにいるか、という意味で使われます。

ピアノの右ペダルも「サステインペダル」。シンセサイザーやDTMをいじったことがある方なら、ADSR(アタック・ディケイ・サステイン・リリース)の3番目でおなじみのはずです。

カタカナの上では「サステナブル」と「サステイン」は別の単語の顔をしています。でも綴りを並べると sustainable と sustain・・・同じ一語です。しかも、音楽側のほうが先に日本語に入っていました。

ここを押さえると、sustainable の意味の中心がはっきり見えてきます。「環境にやさしい」ではないんです。

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sustainable を分解してイメージで覚える

パーツで見ると、こうなります。

sus(sub=下から)+ tain(tenere=持つ・保つ)+ able(〜できる)

つなげると「下から支えて、持ちこたえさせられる」。

ギターの音を思い浮かべてください。はじいた瞬間がいちばん大きくて、ふつうはすぐ消えます。でも何かが下から支えていれば、音は一定の高さのまま伸び続ける。その「支えて保たせる」が sustain です。

sustainable は、そこに able(〜できる)がついた形。つまり「その状態を保ち続けられる」。環境の話でなくても使えます。残業づけの働き方に This isn’t sustainable. と言えば、「このやり方は続かない」という意味になります。

ちなみに頭の sub(下から)は、後ろの音に引っぱられて形を変えることがあり、sus- になるのがこのタイプ。suspend(吊るす)・suspect(疑う)も同じ sus- の仲間で、どれも sub が顔つきを変えたものです。

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「サステナブル」と「サステイン」は、同じ一語

音楽の sustain は、思いつきの流用ではありません。

英語の sustained が「一様に保たれた」という意味で記録に出てくるのは1775年で、もともと音符について言った言葉でした。ピアノの sustaining pedal(サステインペダル)という呼び名は1889年から。

音を「下から支えて保たせる装置」だから、この名前なんですね。

シンセサイザーのADSRも同じ発想です。1965年、ロバート・ムーグがコロンビア・プリンストン電子音楽センターのウラジミール・ウサチェフスキーとやりとりする中で生まれたエンベロープの考え方が、のちにARP社の手でアタック・ディケイ・サステイン・リリースという形に整理されました。ここでの sustain は「鍵盤を押している間、保たれている音量」。やはり「保つ」です。

もう一つ、音楽つながりで面白い親戚がいます。tenor(テノール)。これも tenere(持つ)から来ていて、中世の多声音楽で主旋律を「保持する」声部を指しました。英語の語源辞典は、この声部の役割をまさに「保たれた旋律(sustained melody)」と説明しています。保ち続ける声だから、テノール。

サステナブル、サステイン、テノール。日本語の中ではまったく別のジャンルに散らばっている3語が、「持ち続ける」という一点でつながっています。

sustainable の基本の意味と使い方

sustainable は「(ある状態を)続けられる、維持できる」を表す形容詞です。

  • sustainable development(持続可能な開発)
  • sustainable energy(持続可能なエネルギー)
  • sustainable growth(持続可能な成長)
  • a sustainable pace(無理なく続けられるペース)

環境の文脈で見かけることが圧倒的に多いので「エコな」と覚えてしまいがちですが、中心にあるのは「続けられる/もちこたえる」です。だから働き方にも、予算にも、人間関係にも使えます。

動詞 sustain のほうは、顔がもう少し多い単語です。

  • 支える・維持する:The beams sustain the roof.(梁が屋根を支えている)
  • 続ける:She sustained her effort for ten years.(彼女は10年間、努力を続けた)
  • (損害・けがを)被る:He sustained a minor injury.(彼は軽傷を負った)
  • (異議を)認める:法廷で “Objection sustained.”(異議を認めます)

3番目の「被る」は日本語の感覚から遠く見えますが、「打撃を下から受け止める」と考えると筋が通ります。TOEICのニュース記事風の長文では、sustain damage(損害を受ける)の形でよく出てきます。

使い分け|sustainable / sustained / sustaining / sustenance

形が似ていて、混ざりやすい4語です。

語意味の中心例
sustainable続けられる(可能性)a sustainable business model
sustained一定に保たれた(結果)sustained growth/sustained effort
sustaining支えている(働き)self-sustaining community
sustenance命をつなぐもの(食べ物・栄養)food and sustenance

sustained growth と sustainable growth は、日本語にするとどちらも「持続的な成長」になりがちですが、前者は「実際に続いてきた成長」、後者は「この先も続けられる成長」。時間の向きが逆です。

sustenance(サステナンス)だけ少し遠く見えますが、これは sustain のいちばん古い意味をそのまま残した単語。英語の sustain は13世紀末、「生きるのに必要なものを与える」という意味で入ってきました。食べ物こそ、人を下から支えるものだったわけです。

tain(tenere=持つ)でつながる単語ネットワーク

sustainable の意味の中心 tain は、ラテン語 tenere(持つ・保つ)。英語の中で、ものすごく大きな家族を作っています。まずは見た目で分かる「-tain 動詞」から。

単語意味イメージ
contain含む、抑えるcon(一緒に)+tain=まとめて持っている
maintain維持する、主張するmanu(手で)+tain=手に持ち続ける
obtain手に入れるob(〜に向かって)+tain=つかみ取る
retain保持するre(後ろに)+tain=手元に持ったままにする
detain引き止める、拘留するde(離して)+tain=行かせずに持っておく
abstain控える、棄権するabs(離れて)+tain=自分を引き離して持つ
entertainもてなす、楽しませるenter(間に)+tain=人を間に引き止めておく
pertain関係するper(通して)+tain=つながって保たれている
sustain支える、維持するsus(下から)+tain=下から持ち上げ続ける

maintain が「手で(manu)持ち続ける」だと知ると、「メンテナンス」が点検ではなく「手をかけて保ち続けること」だと腑に落ちます。entertain の「間に引き止めておく」も、お客を帰さずに場に留める、と考えると納得のいく形です。

注意点:attain は仲間ではありません。 綴りは -tain ですが、こちらは ad+tangere(触れる)で、contact・tangible と同じ「触れる」の一族。「手を伸ばして触れるところまで到達する」が原義です。見た目にだまされやすい一語なので、ここだけ切り分けておいてください。

ten で姿を変えた一族|tenant から tennis まで

tenere は -tain の形だけでなく、ten- のまま英語に入ったものもたくさんあります。こちらは見た目でつながりに気づきにくい分、知っておくと得をします。

単語意味語源
tenant借主、テナント土地や部屋を「持っている」人
tenure在職権、保有期間持ち続けている状態(大学の終身在職権もこれ)
tenacious粘り強いしっかり握って離さない
tenet信条「彼は〜を保持する」というラテン語の一語がそのまま名詞に
tenable擁護できる、維持できる持ちこたえられる
tenorテノール、大意主旋律を保持する声部/話の筋を保っているもの
continue続く途切れずに保たれる
content中身/満足した中に保たれているもの/自分の中が満たされて保たれている
continent大陸/自制心のある切れ目なく保たれた陸地/自分を保っている
lieutenant中尉、代理lieu(場所)+tenant=人の場所を「持つ」代理人
tennisテニス古フランス語 tenez「取って!」(tenir の命令形)から来たとされる

content が「中身」と「満足した」の二役をこなしているのも、continent が「大陸」と「自制心のある」という遠く離れた二つの意味を持っているのも、どちらも「保つ」という一点で説明がつきます。大陸は「途切れずに保たれた陸地」、自制心は「自分を保っていること」。同じ絵の別角度です。

テニスについては、サーブする人が相手に「取って!」と声をかけたのが名前になった、という説明が語源辞典に載っています。中世のハンドボール風の球技がルーツなので、声をかけ合う競技だった名残ですね。

さらに遠い親戚:ラテン語 tenere(持つ)と tendere(伸ばす)は、どちらも印欧祖語 *ten-(伸ばす)から枝分かれした兄弟です。つまり attend・intend・extend・tend・tension・tent(テント=張るもの)・tone まで、遠くでつながっています。「ぴんと張る」から「張ったまま保つ」へ、という流れですね。tendere 側の広がりは intend の記事で詳しく扱っているので、そちらもどうぞ。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
sustainable形容詞持続可能な、続けられるサステイナブル /səˈsteɪnəbl/
sustainability名詞持続可能性サステイナビリティ /səˌsteɪnəˈbɪləti/
sustainably副詞持続可能な形でサステイナブリー /səˈsteɪnəbli/
unsustainable形容詞続けられないアンサステイナブル /ˌʌnsəˈsteɪnəbl/
sustain動詞支える、維持する、被るサステイン /səˈsteɪn/
sustained形容詞一定に保たれた、継続的なサステインド /səˈsteɪnd/
self-sustaining形容詞自立した、自給できるセルフサステイニング
sustenance名詞食べ物、栄養、支えサステナンス /ˈsʌstənəns/

発音でひとつだけ。日本語では「サステナブル」と書かれることが多いのですが、英語の音は「サステイナブル」。真ん中の tain は /teɪn/ で、はっきり二重母音になります。sustenance だけが例外で、こちらは「サステナンス」。カタカナにつられて sustainable を「サステナブル」と読むと通じにくいので、ここは意識して直しておくと効きます。

なお、動詞の sustain は基礎語彙リスト NGSL にも収録されている基本語です。形容詞 sustainable とセットで覚えておくと、守備範囲が一気に広がります。

TOEIC・英検での傾向

TOEICでは、2つの方向で出ます。

ひとつは「環境・CSR」方面。sustainable development、sustainability report、sustainable packaging といった形で、企業の取り組みを紹介する記事やプレスリリースに登場します。Part 7の長文でおなじみの型ですね。

もうひとつが、意外と取りこぼしやすい動詞の sustain。sustain damage(損害を被る)、sustain an injury(けがを負う)の形で、事故や設備トラブルの記事に出てきます。「支える」だけで覚えていると、ここで止まります。sustainは支える側にも、受ける側にも立つと押さえておいてください。

英検では準1級あたりから。環境や社会問題のテーマが増える級なので、sustainability とセットで出会う確率が高い一語です。ライティングでも使い勝手がよく、「この政策は長続きしない」を This policy is not sustainable. と書けると、表現が一段引き締まります。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. This pace is not sustainable for a whole year.
  2. You can sustain your effort if you keep it small.
  3. The company chose a sustainable way to grow.
  4. A good habit is one you can sustain on a bad day.
  5. Her quiet kindness sustained me through that winter.
  6. They are looking for sustainable packaging.
  7. You don’t need a big push; you need a sustainable one.
  8. The bridge can sustain a heavy load.
  9. Sustainable growth is slower, but it lasts.
  10. What sustains you when the work gets hard?

語源メモ

sustain は、ラテン語 sustinere(下から支える、持ちこたえる)に由来します。分けると、sub(下から上へ)の同化形 sus- と、「持つ」を表す動詞 tenere。古フランス語 sostenir / sustenir を経て、13世紀末の英語に入りました。

英語に入ってからの意味の順番が、なかなか面白いことになっています。

  • 13世紀末・・・生きるのに必要なものを与える(= sustenance の意味)
  • 14世紀初め・・・支える、倒れないようにする/続ける、保つ
  • 1400年ごろ・・・(痛みや苦難に)屈せず耐える
  • 15世紀初め・・・(法律で)正当と認める/(損失を)被る

そして形容詞の sustainable は、さらに後から枝分かれしていきます。

  • 1610年代・・・「耐えられる」(この意味は今では使われません)
  • 1845年・・・「擁護できる、主張として成り立つ」
  • 1965年・・・「一定の水準で続けられる」。sustainable growth という言い回しもこの年から記録されています

名詞の sustainability にいたっては、初出が1907年で、しかも法律の文脈(異議が維持できるかどうか)。経済の分野で使われ始めたのが1972年、自然保護・環境保護の文脈に広がったのが1979年ごろとされています。

つまり、私たちが「サステナブル=環境」と思っているあの意味は、この単語の700年を超える歴史の中で、いちばん新しい薄い層なんです。決定打になったのは、1987年に国連の環境と開発に関する世界委員会(ブルントラント委員会)が出した報告書『Our Common Future』。「将来の世代が自分たちのニーズを満たす力を損なわずに、現在のニーズを満たす開発」という定義が広く引用され、ここから sustainable development が世界の共通語になりました。

偶然ですが、「一定の水準で保たれる」という意味での sustainable が記録に現れた1965年は、ムーグとウサチェフスキーのやりとりからシンセサイザーのエンベロープが形になっていく時期とちょうど重なります。語源のつながりはありませんが、同じころに「保ち続ける」という感覚が、環境と音楽の両方で言葉になっていったのは、少し出来すぎた話ではあります。

まとめ

sustainable は、sus(下から)+ tain(tenere=持つ)+ able で「下から支えて、保ち続けられる」。

  • sus(sub)・・・下から。suspend/suspect と同じ sus-
  • tain(tenere)・・・持つ・保つ。contain/maintain/obtain/retain などの大家族へ
  • ten の形・・・tenant/tenure/tenacious/tenor/continue/content/lieutenant/tennis
  • 注意・・・attain だけは別語源(tangere=触れる)

ギターのサステインも、テノールも、サステナブルも、やっていることは同じです。消えそうなものを、下から支えて保ち続ける。環境の話に限らず、自分の働き方や習慣に対しても使える、よくできた一語だと思います。

sustainable の語源ワードマップ。中心は sustainable(=下から支えて保ち続けられる)で、sus(sub=下から)+tain(tenere=持つ・保つ)+able に分解。覚え方のヒント(ギター・ピアノの「サステイン」=音を保ち続ける力)、-tain 一族(contain / maintain / obtain / retain / detain / abstain / entertain)、ten 一族(tenant / tenure / tenacious / tenor / continue / content / lieutenant / tennis)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:sus(下から)+ tain(tenere=持つ)+ able =「下から支えて保ち続けられる」
  • 覚え方のヒント:ギター・ピアノの「サステイン」=音を保ち続ける力
  • -tain 一族:contain/maintain/obtain/retain/detain/abstain/entertain/pertain
  • ten 一族:tenant/tenure/tenacious/tenet/tenor/continue/content/lieutenant/tennis

NAWL(New Academic Word List)・BSL(Business Service List)収録語

この単語は NAWL(学術) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。学術英語でもビジネスでも頻出する、汎用性の高い一語です。

出典:New General Service List Project

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  8. その橋は、重い荷重を支えることができる。
  9. 続けられる成長はゆっくりだが、長く続く。
  10. 仕事がきつくなったとき、あなたを支えてくれるものは何ですか。