「AイコールB」の「イコール」。計算でも会話でも使いますが、もとは英語の equal です。ただし英語の発音は「イークウォル」に近く、カタカナの「イコール」とはけっこう離れています。ここだけ先に直しておくと、聞き取りで迷いません。
そして、この単語の意味の中心は「同じ」ではありません。もう一段下に、「平ら・水平」 というイメージが眠っています。
このイメージを手に入れると、赤道(equator)、春分(equinox)、均衡(equilibrium)、公平(equity)・・・ばらばらに見える単語が、一本の線でつながります。
equal を分解してイメージで覚える|意味の中心は「水平」
equal をパーツで見ると、こうなります。
equ(aequus=平らな・水平な)+ al(〜の性質の)
ラテン語 aequus は、辞書を引くと意味の幅がかなり広い語です。「平らな、水平な、なめらかな」から始まって、「同じ高さの」「公平な、えこひいきしない」「釣り合いのとれた」、さらには「穏やかな、落ち着いた」まで。
ばらばらに見えますが、根っこは1つ。でこぼこをならして、水平にする・・・これです。
- 地面をならす → 平ら
- 分け前をならす → 公平
- 心をならす → 落ち着き
- 数をならす → 等しい
英語に入ったのは14世紀の終わりごろで、最初から「量や程度が同じ」という意味でした。おもしろいのは、その少しあと、15世紀初めには 「表面がなめらかな、平らな」 という意味でも使われていたこと。ラテン語の「平ら」が、英語にもちゃんと持ち込まれていたわけです。
覚え方はシンプルに。「イコールは、ならして水平にすること」。この一行を持っておけば、以下の単語が全部その応用として読めます。
equal の基本の意味と使い方
equal は形容詞・動詞・名詞の3つで使えます。
形容詞(等しい、対等な)
- equal rights(平等な権利)
- an equal partner(対等なパートナー)
- equal opportunity employer(雇用機会均等の会社/求人票の定番表現)
動詞(〜に等しい)
- Two plus two equals four.
ここで1つ、よく間違えるポイントを。動詞の equal は to を付けません。「equals to four」ではなく「equals four」です。前置詞を入れたくなるのは、形容詞の be equal to(〜に等しい、〜に耐えうる)と混ざるからです。
名詞(同等の人・もの)
- He has no equal in this field.(この分野で彼に並ぶ者はいない)
あわせて覚えたいのが be equal to の第二の意味。「〜に対処できる力がある」です。
- You are equal to this task.(あなたなら、この仕事をやり切れる)
「あなたとこの仕事は水平に釣り合っている」・・・そう考えると、この言い回しも腑に落ちます。
同じ equ に見えて、仲間ではない単語
ここが、この語でいちばん間違えやすいところです。equ で始まっていても、equal の親戚とは限りません。
| 単語 | 意味 | 本当の出どころ |
|---|---|---|
| equip / equipment | 装備する/装備 | 古ノルド語 skipa「船を仕立てる」← skip(船)。1520年代に古フランス語経由で英語へ |
| equestrian / equine | 馬術の/馬の | ラテン語 equus「馬」。hippopotamus(カバ)や人名 Philip と同じ家系 |
| par / peer / pair | 標準値/同等の人/組 | ラテン語 par「等しい」。意味は近いが、aequus とは別語源(par 自体は語源不詳) |
とくに equipment は要注意です。「equi=等しい」と読みたくなりますが、中身は「船」。装備という意味は、もともと船を仕立てて出港させる準備のことでした。
ついでに equal と混ざりやすいのが equivalent(同等の)。これは前半こそ aequus の仲間ですが、後半の -valent は「価値がある・強い」という別のパーツです。くわしくは equivalence の記事で扱っています。
aequus(平ら・水平)でつながる単語ネットワーク
「ならして水平にする」のイメージを持ったまま、一族を見ていきます。
| 単語 | 意味 | 何を水平にしているか |
|---|---|---|
| equator | 赤道 | 昼と夜を等しくする線。地球を水平に分ける |
| equinox | 春分・秋分 | aequus+nox(夜)=昼と夜が釣り合う日 |
| equilibrium | 均衡、平衡 | aequus+libra(天秤)=天秤が水平 |
| equity | 公平、公正/株式 | 扱いが水平。えこひいきがない |
| equitable | 公正な | 同上の形容詞 |
| adequate | 十分な | ad(〜に対して)+ aequus =必要な量と水平 |
| equate | 等しいとみなす | 2つを並べて水平にする |
| equation | 方程式 | 左右を水平に釣り合わせた式 |
| equanimity | 平常心 | aequus+animus(心)=心が水平 |
| equivocal | どちらとも取れる | aequus+vocare(呼ぶ)=2つの意味が同じ重さ |
| unequivocal | あいまいでない、明確な | その否定 |
| iniquity | 不正、罪悪 | in(否定)+ aequus =水平でない |
| egalitarian | 平等主義の | フランス語 égal 経由の同じ一族 |
| equilateral | 等辺の | aequus+latus(辺) |
| equidistant | 等距離の | aequus+distant |
「equ が見えたら、まず〈水平にする〉を当ててみる」。この読み方ができると、初見の単語でも半分は推測できます。
ちなみに equator から生まれた国名があります。スペイン語で赤道を意味する Ecuador(エクアドル)。国土を赤道が通っているので、そのまま国名になりました。地図を見るたびに equal を思い出せます。
派生語|equal まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| equal | 形容詞・動詞・名詞 | 等しい、〜に等しい、同等の人 | イークウォル /ˈiːkwəl/ |
| equally | 副詞 | 等しく、同様に | イークウォリ /ˈiːkwəli/ |
| equality | 名詞 | 平等、均等 | イクウォリティ /ɪˈkwɑːləti/ |
| equalize | 動詞 | 等しくする、同点にする | イークウォライズ /ˈiːkwəlaɪz/ |
| equalizer | 名詞 | 同点ゴール、イコライザー | イークウォライザー /ˈiːkwəlaɪzər/ |
| unequal | 形容詞 | 等しくない、不釣り合いな | アンイークウォル /ʌnˈiːkwəl/ |
| inequality | 名詞 | 不平等、不等式 | イニクウォリティ /ˌɪnɪˈkwɑːləti/ |
音楽機材の「イコライザー」も、音域のでこぼこをならして水平にする装置。ここでも意味の中心は生きています。
TOEIC・英検での出題傾向
equal は基本語なので、単語そのものを問う問題はあまり出ません。狙われるのは周辺のかたまりです。
TOEIC で頻出なのは、求人広告や社内規定に出てくる equal opportunity employer(雇用機会均等の会社)、equal access(平等な利用機会)、on an equal footing(対等な立場で)。Part 7 の長文で、企業の方針を説明する箇所によく顔を出します。
英検では準2級〜2級あたりで equal・equally・equality が読解に登場します。ライティングで「平等」を論じるときにも、equality と equal opportunity は使い勝手がいい組み合わせです。
文法面では、動詞 equal に to を付けない点と、be equal to(〜に対処できる) の意味を押さえておくと、誤答の選択肢に引っかかりません。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- Two plus two equals four.
- Everyone in this room has an equal chance.
- You and I are equal partners.
- She cut the bread into six equal pieces.
- Your effort here is equal to anyone else’s.
- All else being equal, pick the work you enjoy.
- The notice says they are an equal opportunity employer.
- The two teams finished with an equal number of points.
- You are equal to this challenge, even on a tired day.
- Give your rest equal weight with your work.
語源メモ|aequus から先は、誰にもわからない
equal は、ラテン語 aequalis「むらのない、同一の、等しい」から来ています。そのもとが aequus「平らな、水平な、なめらかな/公平な/穏やかな」。
ここで正直に書いておきます。aequus そのものの語源は、わかっていません。 語源辞典の etymonline も「origin unknown(起源不明)」としています。多くの単語はインド・ヨーロッパ祖語の語根までさかのぼれるのですが、この語は aequus で道が途切れます。だから equal は、「なぜこの形なのか」ではなく、「ここからどれだけ広がったか」で味わう単語です。
英語に入ったのは14世紀末。動詞用法は1580年代、名詞用法は1570年代と、少し遅れて加わりました。equal rights という表現は1752年から、男女について使われるのは1854年のアメリカ英語から。equal opportunity が採用の文脈で記録されるのは1925年です。
記号「=」が生まれた日
ここが、この語のいちばんの見どころかもしれません。
「イコール」の記号 = は、1557年、ウェールズの数学者ロバート・レコード(Robert Recorde)が著書『The Whetstone of Witte』で初めて使いました。理由がまたいい。「is equal to と毎回書くのが面倒だったから」、そして「同じ長さの平行線2本ほど、等しいものはない」から。
つまりこの記号は、aequus の「水平」のイメージを、そのまま形にしたものなんです。横に寝た2本の線。470年近く経った今も、私たちは毎日これを使っています。
ちなみに equation(方程式)が数学用語として「= で表される等式」を指すようになるのは1560年代。記号の誕生とほぼ同時でした。それ以前の equation は、14世紀末の占星術用語で「等しくする操作」という意味だったと記録されています。
equator と equinox
equator は中世ラテン語の aequator (diei et noctis)「昼と夜を等しくするもの」が語源。英語での初出は14世紀末ですが、最初に指していたのは地球ではなく天球の赤道でした。地上の赤道を指すようになるのは1610年代です。
equinox は aequus + nox(夜)。
古英語ではこれを efnniht(even-night=「等しい夜」)と訳していました。英語本来の語でも、同じ発想をしていたわけです。
equilibrium は aequus + libra(天秤)。
c.1600年の英語では、まず「心の平静」の意味で使われました。この libra は重さの単位「ポンド」でもあり、星座のてんびん座 Libra でもあります。
iniquity が i になる理由
iniquity(不正、罪悪)は in(〜でない)+ aequus。
合体すると iniquus となり、ae が i に変わります。これはラテン語で、複合語の中のアクセントのない音節に起きる規則的な変化で、acquisition(ad+quaerere)も同じ道をたどっています。意味のほうは、1300年ごろに「敵意」、14世紀末に「悪、邪悪」へ。水平でないこと=悪、という感覚です。
equity が「株式」になるまで
最後に、現代のビジネスで出てくる equity(株式、自己資本) の話を。
出発点は「公平」です。それが法律の世界で「成文法の不備を良心で補う考え方」を指すようになり、1590年代にはそれを扱う裁判所そのもの(衡平法裁判所)を意味しました。1620年代には「衡平法が認める権利」、そして1904年に equities「株式」として記録されます。
株式は、会社の価値を人数分にならして切り分けたもの。ここでも aequus は生きています。
まとめ
equal は、equ(aequus=平らな・水平な)+ al で「ならして水平にしたもの」=等しい。
- 意味の中心・・・でこぼこをならす。地面も、分け前も、心も
- equ 一族・・・equator/equinox/equilibrium/equity/adequate/equation/iniquity
- 仲間ではない語・・・equipment(船)/equestrian(馬)/par・peer・pair(別語源)
- 覚えどころ・・・記号「=」は、平行線2本。equal のイメージそのもの
aequus から先はわかっていません。でも、そこから広がった単語は、これだけあります。

- 語源・中心:equ(aequus=平ら・水平)+ al =「ならして水平にする」
- 覚え方のヒント:記号「=」=同じ長さの平行線2本
- aequus 一族:equator/equinox/equilibrium/equity/adequate/equate/equation/iniquity
- 仲間ではない語:equipment(船)/equestrian(馬)/par・peer・pair
NGSL(New General Service List)収録語
この単語は New General Service List(NGSL) に収録されています。NGSL は、大規模な英語コーパスから選ばれた約2,800語の基礎語彙リストで、これらを覚えるだけで一般的な英文の約92%をカバーできます。日常でも英文読解でも、何度も出会う基本の一語です。
出典:New General Service List Project
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翻訳練習の解答
- 2たす2は4になる。
- この部屋にいる人は、みんな等しくチャンスがある。
- あなたと私は対等なパートナーだ。
- 彼女はパンを6等分に切った。
- ここでのあなたの努力は、誰にも引けを取らない。
- ほかの条件が同じなら、自分が楽しめる仕事を選ぼう。
- その告知には、雇用機会均等の会社だと書いてある。
- 2つのチームは、同じ得点で試合を終えた。
- 疲れている日でも、あなたならこの試練を乗り越えられる。
- 休むことにも、働くことと同じだけの重みを持たせよう。


