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【語源で覚える】swell|中に隠れた well は、あの「井戸」と同じ?

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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足首をひねった翌朝、くるぶしがぷっくり膨らんでいた・・・あの状態を英語でひとこと言うなら、swell です。

この単語、じっと見ると中に well がいます。中学で習う「うまく」の well ではなく、「井戸・泉」の well のほうを思い浮かべてください。地面の底から水がじわじわ湧いてきて、水面が盛り上がる。あのイメージです。

s + well。内側から何かが湧いてきて、表面が盛り上がる・・・これが swell の意味の中心です。足首でも、川の水かさでも、胸にこみ上げる誇りでも、起きていることは同じです。

※ 先に正直に書いておきます。swell と well は、語源としては別ルートです。綴りが似ているのは偶然で、意味がつながるように見えるのも、たまたまです。ただ、この「湧いて盛り上がる」という絵は swell の意味をつかむ手がかりとして優秀なので、入り口として使います。種明かしは記事の後半で。

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swell を分解してイメージで覚える|「内側から盛り上がる」が意味の中心

swell は、接頭辞や語根に切り分けられるタイプの単語ではありません。古英語の時代から swellan という一語で、「膨らむ」という意味のまま今日まで来ています。

だからこそ、分解ではなくイメージで押さえるのが早いです。

s + well = 井戸から水が湧いて、盛り上がる

覚え方のコツは、「外から押されて膨らむ」ではなく、**「内側から何かが増えて、表面が持ち上がる」**と捉えることです。

  • 足首が腫れる・・・内側に血液や組織液がたまって、皮膚が持ち上がる
  • 川が増水する・・・水量が増えて、水面が持ち上がる
  • 群衆が膨れ上がる・・・人数が増えて、かたまりが大きくなる
  • 誇りがこみ上げる・・・感情が内側で増えて、胸が張る
  • 音楽が盛り上がる・・・音量が増して、ふくらんでいく

全部、同じ一本の線の上にあります。swell を見たら「中身が増えて、外に出てくる」と置き換えてみてください。だいたいの文脈で意味が通ります。

実際、英語には well up という表現があります。Tears welled up in her eyes.(涙がこみ上げた)。こちらは本物の well(湧き出る)ですが、swell と並べると、「湧き上がる」と「膨らむ」が隣り合っているのがよく見えます。

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swell の基本の意味と使い方

swell は動詞・名詞・形容詞の三役をこなします。

動詞(自動詞):膨らむ、腫れる、増える

  • My ankle swelled after the match.(試合のあと、足首が腫れた)
  • The crowd swelled to over a thousand.(群衆は千人を超えるまでに膨れ上がった)

動詞(他動詞):〜を膨らませる、増やす

  • The rain swelled the river.(雨で川が増水した)
  • New members swelled the club’s numbers.(新入会員でクラブの人数が増えた)

名詞:うねり、膨らみ、高まり

  • ocean swells(海のうねり)
  • a swell of pride(誇りの高まり)

形容詞(くだけた言い方・やや古風):すてきな、しゃれた

  • a swell guy(いいやつ)

この形容詞の swell は、いまの英語では少し古めかしい響きがあります。映画やドラマで昭和的な雰囲気を出すときに出てくる、という感覚です。なぜ「膨らむ」が「すてきな」になったのかは、後半の語源メモで触れます。

活用は swell – swelled – swollen / swelled です。原形から過去形がそのまま -ed なのに、過去分詞だけ swollen という顔を出すので、ここだけ覚えておけば困りません。

使い分け|swollen と swelled、そして inflate との違い

swollen と swelled

過去分詞には swollen と swelled の両方がありますが、使われ方に傾向があります。

形よく使われる場面例
swollen体の一部などの状態を言うとき(形容詞的に使うことが多い)a swollen ankle(腫れた足首)
swelled数・量が増えたことを述べるときMembership has swelled.(会員数が増えた)

迷ったら、目で見て腫れているものには swollen、数字が増えたことには swelled。これでほぼ外しません。

swell と、似た意味の動詞

「膨らむ」系の動詞はいくつかありますが、力の向きが違います。

単語力の向きイメージ
swell内側から中身が増えて、自然に盛り上がる
inflate外から中へ空気を吹き込んで膨らませる(ラテン語 inflare=中へ吹き込む)
expand外へ広がる面積・範囲が広がる(ex=外へ+pandere=広げる)
bulge一点が外へ一部分だけ出っ張る
dilate開いて広がる瞳孔や血管が広がる(dis=離れて+latus=広い)

タイヤは inflate(空気を入れる)、事業は expand(拡大する)、足首は swell(腫れる)。この三つを押さえておくと、書くときに迷いません。

関連語ネットワーク|well の正体と、「膨らむ」を表す別ルートの語根

ここからが、この記事の本当の中身です。

まず、well には二つの家族があります

英語の well は、見た目は一つですが、中身は別の語が二つ重なっています。

家族意味仲間
well(うまく・健康で)望みどおりにwill/welfare/welcome/farewell/unwell
well(井戸・泉/湧き出る)湧き上がるwell up/wellspring/stairwell/inkwell/oil well/upwelling

welcome(ようこそ)と welfare(福祉)が well(うまく)の仲間だというのは、言われてみれば納得でしょう。一方、stairwell(階段吹き抜け)や inkwell(インク壺)の well は、「井戸」のほうの well です。縦に掘られた穴、という形のイメージが残っています。

そして swell は、このどちらでもない第三の語です。

swell の家族は、実は小さい

swell から直接広がる語は、そう多くありません。

単語意味
swelling腫れ、膨張
swollen腫れた、膨らんだ
groundswell大きなうねり、世論の高まり
swelled head / swollen headうぬぼれ、天狗になること

groundswell は、もとは海の「底うねり」。そこから「世論の高まり」の意味で使われるようになりました。a groundswell of support(支持の高まり)は、ニュース英語でよく見ます。

「膨らむ」を表す語根は、ほかにもある

swell の家族が小さいぶん、「膨らむ」という意味を担う語根は、別ルートでいくつも英語に入ってきています。swell の親戚ではありませんが、意味の地図としてまとめて見ておくと、語彙が一気に増えます。

語根(印欧祖語)意味この語根から来たとされる語
*teue-膨らむtumor(腫瘍)/tumult(騒動)/tuber(塊茎)/truffle(トリュフ)/protuberance(突起)/thumb(親指)/thousand(千)
*bhel-吹く・膨らむball(球)/balloon(風船)/bowl(鉢)/boulder(丸石)/bulk(かさ)
*bhelgh-(*bhel- の拡張形)膨らむbelly(腹)/bellows(ふいご)/billow(大波)/bulge(膨らみ)/budget(予算)
*bhleu-(*bhel- の拡張形)膨らむ・あふれ出るfluent(流暢な)/affluent(裕福な)/influence(影響)/influenza(インフルエンザ)/flush(どっと流れる)

拾っておきたいのが二つあります。

ひとつは thumb(親指)。「膨らんだ指」が語源とされています。言われてみれば、五本のうち親指だけが、あきらかにぽってりしています。

もうひとつは budget(予算)。もとはフランス語で「小さな革袋」を指す語で、ふくらんだ袋のイメージから来ています。財務大臣が書類を入れた鞄を開ける・・・そこから「予算」になりました。ビジネス英語の最重要語が、「膨らんだ袋」から出ているわけです。

なお、この表の語根の系統は、辞典でも「この語根から来た可能性がある」という留保つきで扱われています。断定された事実ではなく、意味のまとまりとして眺めてください。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
swell動詞膨らむ、腫れる、増大するスウェル /swel/
swell名詞うねり、膨らみ、高まりスウェル /swel/
swell形容詞すてきな、しゃれた(くだけた言い方・やや古風)スウェル /swel/
swelling名詞腫れ、膨張スウェリング /ˈswelɪŋ/
swollen形容詞・過去分詞腫れた、膨らんだスウォウルン /ˈswoʊlən/
groundswell名詞底うねり、世論の高まりグラウンドスウェル /ˈɡraʊndswel/

TOEIC・英検での傾向

正直に書くと、swell は TOEIC の頻出語ではありません。医療や天候の話題でたまに出る程度です。

ただし、名詞・形容詞として使われる周辺表現は、ビジネス文書で実際に目にします。

  • swelling demand(高まる需要)
  • a groundswell of support(支持の広がり)
  • swell the ranks(人数を増やす、陣容を厚くする)

英検では準1級あたりの長文で、環境・気象・健康の話題に顔を出します。覚える優先順位としては高くありませんが、出たときに立ち止まらずに読み飛ばせる状態にしておきたい一語です。

むしろこの単語の価値は、試験よりも「読める英語の幅」にあります。ニュースでも小説でも、感情・群衆・水位・音量が増えていく場面で、swell は当たり前のように使われます。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. My ankle swelled a little after the long walk.
  2. The river swells every spring, and the fields turn green.
  3. You will see the crowd swell as the concert begins.
  4. Pride swelled in her chest when she crossed the finish line.
  5. One kind word can swell into a lasting friendship.
  6. The sails swelled, and the small boat moved forward.
  7. Your savings will swell if you keep going, little by little.
  8. The music swelled, and the whole room fell silent.
  9. Let your courage swell before you speak.
  10. Hope swells when you remember how far you have come.

語源メモ|swell の語源は、実はわかっていない

swell は、古英語 swellan(膨らむ、大きくなる)にさかのぼります。過去形は sweall、過去分詞は swollen で、この swollen だけが今の英語にそのまま残りました。

さらにさかのぼるとゲルマン祖語 *swellanan にたどり着き、古ノルド語 svella、オランダ語 zwellen、ドイツ語 schwellen といった兄弟が並びます。

ただし、その先はわかっていません。Etymonline は of unknown origin(語源不詳)と明記し、言語学者 Boutkan の「印欧語以前にヨーロッパにあった基層言語から入った語である可能性が高い」という見解を併記しています。つまり swell は、インド・ヨーロッパ語族の語根にきれいに収まらない、出自不明の古い語なのです。

well との関係は、どうなのか

冒頭で入り口に使った well(井戸・湧き出る)は、別ルートです。

  • well(湧き出る)・・・古英語 wiellan。「沸き立つ・泡立つ」を意味する weallan の使役形で、ゲルマン祖語 *wellanan(転がる)から。印欧祖語 *wel-「回る・めぐる」に結びつける説がありますが、こちらも「意味のつながりが明らかでない」と留保が付いています
  • well(うまく・健康で)・・・古英語 wel。印欧祖語 *wel-「望む」系で、will(意志)や welfare(福祉)と同じ家族

swell は、このどちらの well とも血縁がありません。綴りの中に well が見えるのは偶然で、意味が近く感じられるのも偶然です。ただ、覚え方としては有効なので、「偶然だと知ったうえで使う」のがいちばん健全です。

a swell guy の swell は、どこから来たのか

おもしろいのは、形容詞の swell(すてきな)です。

出発点は1786年、名詞の swell に「金持ち、着飾った人」という意味が生まれたことでした。見るからに威張って、ふくらんでいる人・・・そんな姿から来たと考えられています。実際、1724年には swell に「尊大さ、傲慢さ」という意味がありました。

そこから1810年に形容詞「おしゃれな」が生まれ、1897年には「上等な、すばらしい」へ。1930年代のアメリカ英語では、That’s swell!(最高だね!)という感嘆詞としても使われるようになりました。

もとは「気取って膨らんだやつ」という皮肉だったものが、100年ほどかけて「いいやつ」になった・・・言葉の意味が転がっていく様子が、きれいに記録に残っている例です。

まとめ

swell は「内側から何かが増えて、表面が盛り上がる」が意味の中心。足首でも、川でも、群衆でも、誇りでも、起きていることは同じです。

  • 覚え方のヒント・・・s + well。井戸から水が湧いて盛り上がるイメージ(ただし語源は別ルート)
  • swell 一族・・・swelling/swollen/groundswell
  • well の二つの家族・・・well(うまく)=will/welfare/welcome / well(井戸)=well up/stairwell/inkwell
  • 語源の正体・・・古英語 swellan。その先は語源不詳

腫れも、うねりも、胸の高鳴りも、同じ一語で言える。swell は、体と自然と感情を一本の線でつないでいる単語です。

swell の語源ワードマップ。中心は swell(=内側から増えて表面が盛り上がる)で、古英語 swellan に由来し、その先は語源不詳であることを示す図。swell 一族(swelling / swollen / groundswell / swell the ranks)、別語源である well の二つの家族(うまく=will / welfare / welcome、井戸・湧く=well up / stairwell / inkwell)、覚え方のヒント(s+well=井戸から水が湧いて盛り上がる。ただし語源は別)の4クラスタに整理している。
  • 語源・中心:swell = 内側から増えて、表面が盛り上がる(古英語 swellan/語源不詳)
  • 覚え方のヒント:s + well = 井戸から水が湧いて盛り上がる(※語源は別ルート)
  • swell 一族:swelling/swollen/groundswell/swell the ranks
  • well の二家族:well(うまく)=will/welfare/welcome / well(井戸)=well up/stairwell/inkwell

NAWL・BSL 収録語

この単語は NAWL(学術) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。学術英語でもビジネスでも頻出する、汎用性の高い一語です。

出典:New General Service List Project

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翻訳練習の解答

  1. 長く歩いたあと、足首が少し腫れた。
  2. 春になるたびに川の水かさが増し、野原が緑に変わる。
  3. コンサートが始まるころには、人がどんどん増えていくのがわかるはずだ。
  4. ゴールラインを越えたとき、彼女の胸に誇りがこみ上げた。
  5. たったひとつの優しい言葉が、長く続く友情に育つことがある。
  6. 帆がふくらみ、小舟は前へ進んだ。
  7. 少しずつでも続けていけば、あなたの貯えは増えていく。
  8. 音楽が高まり、部屋中が静まりかえった。
  9. 話しはじめる前に、勇気がふくらむのを待っていい。
  10. 自分がどれだけ歩いてきたかを思い出すと、希望はふくらんでくる。