研修の修了証に「Certificate of Completion」、履歴書に「certification」。資格や認定の場面で、必ずといっていいほど顔を出す一語です。
この単語、頭の cert を見て「certain(確かな)の仲間だな」と気づく人は多いと思います。そこまでは、わりと素直です。
ところが、その certain をもう一段さかのぼると、思いがけない場所に出ます。「ふるいにかける」。穀物をふるいにかけて、実と殻を分ける・・・あの動作です。そして同じ根から、まったく別ジャンルに見える crisis(危機) が出てきます。
資格の certification と、危機の crisis。この2語が血縁だと分かると、cert の意味の中心が一気に立ち上がってきます。
certification を分解してイメージで覚える
パーツで見ると、こうなります。
cert(certus=確かな・決まった)+ fic(facere=作る)+ ation(〜すること)
つまり「確かなものにすること」。ここまでは辞書どおりです。
面白いのはこの先。certus は、ラテン語の動詞 cernere の過去分詞が変形したものです。そして cernere の文字どおりの意味が、「ふるいにかける・選り分ける」。
ふるいにかけて、残るものと落ちるものを分ける。分け終わったら、もう迷いがない。だから certus=「決まった・確かな」。
certification は、その流れの終点にあります。試験や審査という「ふるい」を通して、「この人は確かだ」と決める・・・それが認定です。資格試験を受けたことがある方なら、この感覚は体で分かるはずです。
certification の基本の意味と使い方
certification は「認定」「証明すること」を表す名詞です。行為・制度そのものを指します。
- obtain a certification(認定を取得する)
- renew your certification(認定を更新する)
- a certification program(認定プログラム)
- ISO certification(ISO認証)
英語に入ったのは15世紀初め、最初の意味は「通知すること」でした。15世紀半ばに「証明・立証」の意味が加わり、今いちばんよく使う「法的な証明書を与えること」という意味が記録されるのは 1881年。資格社会の言葉としては、意外と新しい層です。
使い分け|certification・certificate・license
日本語ではどれも「資格」でひとくくりにしがちですが、英語では役割が違います。
| 語 | 指すもの | イメージ |
|---|---|---|
| certification | 認定という行為・状態 | 審査を通って「確か」と認められたこと |
| certificate | 紙そのもの | 手元に残る証書・修了証 |
| license | 法的な許可 | それがないと業務ができない免許 |
| qualification | 資格要件・学歴を含む広い語 | 英国系の文書でよく使われる |
I have a certification in project management.(認定を持っている)と、I received a certificate.(証書をもらった)。この2文の差が見えていると、履歴書でも面接でも迷いません。
ついでに一つ、知っておくと安全な語があります。certifiable。字面は「証明できる」ですが、英語では「正気とは思えない」という意味で使われることが多い語です(1870年ごろからの用法)。「私の経歴は certifiable です」とは書かないほうが無難です。
cert(ふるいにかけて決める)でつながる単語ネットワーク
cernere(ふるいにかける・選り分ける)をたどると、「分ける」「判断する」という同じ動作が、いろいろな姿で出てきます。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| certain | 確かな | ふるい終わって、もう決まっている |
| ascertain | 確かめる | ad(〜へ)+certain=確かなところまで持っていく |
| concern | 関わる、心配 | con(一緒に)+cern=一緒にふるいにかける |
| discern | 見分ける | dis(離して)+cern=ふるい分けて見分ける |
| discreet | 慎重な、思慮深い | 見分けられる人=軽々しく動かない |
| discrete | 別々の、離散的な | 分けられて、つながっていない |
| decree | 布告、判決 | de(決定的に)+cern=ふるい切って決める |
| secret | 秘密 | se(脇へ)+cret=脇へよけて分けておいたもの |
| secretary | 秘書 | もとは「秘密を任された人」 |
concern の成り立ちは、知ると少し優しくなれる一語です。「一緒にふるいにかける」が原義で、そこから「自分に関わること」、さらに17世紀に「気がかり・心配」へ。誰かを心配するというのは、その人の問題を自分の手元にも分け入れることなんだな・・・と、語源の側から読めます。
discreet と discrete は、もとは同じ一語でした。1600年ごろを境に、綴りの違いで役割を分け合った双子です。
もう一方の家族|crisis・critic・criterion
ここが今日の本題です。cernere のギリシャ語側の兄弟が krinein(分ける・決める・判断する)。ラテン語の cert 系と、ギリシャ語の crit 系。同じ祖先から、二手に分かれた家系です。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| crisis | 危機、転機 | 良いほうか悪いほうか、分かれる瞬間 |
| critic | 批評家 | 良し悪しを選り分ける人 |
| critical | 重大な、批判的な | 分かれ目に関わる |
| criterion | 判断基準 | 分けるときの物差し |
| criticism | 批評 | 選り分ける行為 |
| hypocrisy | 偽善 | もとは「役を演じること」 |
| endocrine | 内分泌の | endo(内へ)+crine=内側に分け出す |
crisis は、もともと医学の言葉でした。ギリシャ語の krisis は「病気の転換点・回復か死かが分かれる変わり目」。ヒポクラテスやガレノスが、その意味で使っています。医学を離れて「重大局面」の意味で使われ出すのは1620年代です。
だから crisis は、本来は「おしまい」ではありません。分かれ目です。どちらに転ぶかがまだ決まっていない瞬間を指す語でした。
覚え方のヒント:crisis=危機は「ふるい」にかけられる瞬間。日本語でも、危機に直面すると「身震い(みぶるい)」します。「ふるい」の音を重ねて、crisis=ふるいにかけられる、と覚えてしまう手があります。
※ これは日本語の音を借りただけの覚え方で、英語の語源とは関係ありません。英語側の事実は「cernere/krinein=ふるいにかける」で、そこは本物です。
ちなみに crime(犯罪) も同じ家系で、ラテン語 crimen はもともと「判断・告発」の意味でした。裁いて選り分けた結果が、罪という言葉になっています。
思いがけない親戚|garble と riddle
もう2語だけ、寄り道を。
garble(事実や言葉をゆがめて伝える)は、15世紀初めには「香辛料から混ざり物を取り除く」という意味でした。アラビア語の gharbal(ふるいにかける)経由で、その先はラテン語 cribrum(ふるい)だと考えられています。中世のヨーロッパでは、胡椒も生姜もアラビア語圏からの輸入品。品質を見るには、まずふるう必要がありました。「選り分ける」が「都合よくより分ける」になり、やがて「ゆがめる」へ。
riddle には同じ綴りで別の語が2つあります。「なぞなぞ」の riddle とは別に、「目の粗いふるい」を指す riddle があり、こちらが古英語 hriddel(ふるい)の系統です。
派生語 Word Family
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| certification | 名詞 | 認定、証明 | サーティフィケイション /ˌsɜːrtɪfɪˈkeɪʃn/ |
| certificate | 名詞 | 証明書、修了証 | サティフィキット /sərˈtɪfɪkət/ |
| certify | 動詞 | 証明する、認定する | サーティファイ /ˈsɜːrtɪfaɪ/ |
| certified | 形容詞 | 認定された | サーティファイド /ˈsɜːrtɪfaɪd/ |
| certifiable | 形容詞 | 証明できる/正気と思えない | サーティファイアブル |
| certainty | 名詞 | 確実性 | サートゥンティ |
| certitude | 名詞 | 確信 | サーティチュード |
| ascertain | 動詞 | 突き止める、確かめる | アサテイン /ˌæsərˈteɪn/ |
TOEIC・英検での傾向
certification・certificate は、求人広告・研修案内・社内通知という TOEIC の定番シーンに、そのまま出てきます。
- 品詞問題:certify / certified / certification / certificate の選択。空所の前が所有格や冠詞なら名詞、名詞の前なら certified。ここだけで1問取れることがあります。
- 頻出コロケーション:obtain / renew / require a certification、certification program、certified public accountant(公認会計士・1896年から使われている言い方)、certified mail(配達証明郵便・1955年から)。
- 言い換え:本文の certificate が設問で document や proof に言い換えられるパターン。
英検では準1級あたりの長文、とくに職業訓練・リスキリングを扱う文章で見かけます。意味は分かる語なので、使い分けと品詞を押さえておくと得点源になります。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- She finally received her certification last week.
- Your certification shows what you have learned.
- The certification takes about six months.
- He is studying for a certification in data analysis.
- Remember to renew your certification this year.
- A certification is not the goal; it is a start.
- You can put your certification at the top of your resume.
- The company pays for staff certification.
- Her certification helped her change careers at fifty.
- Every certification you earn is proof that you kept going.
語源メモ
certification は、中世ラテン語 certificatio に由来します。さかのぼると後期ラテン語 certificare(確かにする)で、これは certus(確かな・決まった)+ facere(作る)。
その certus が、ラテン語の動詞 cernere(ふるいにかける・選り分ける・決める)の過去分詞の変形です。そしてさらにさかのぼると、印欧祖語 *krei-(ふるいにかける)。ここから「区別する・判断する」の意味が育ちました。
この *krei- は、ラテン語側で cernere(certain / concern / discern / secret / decree)に、ギリシャ語側で krinein(crisis / critic / criterion)に分かれています。一本のふるいから、二つの言語をまたいで、資格の語と危機の語が生まれたことになります。
英語での意味の層はこうです。certification が「通知」(15世紀初め)→「証明・立証」(15世紀半ば)→「法的な証明書を与えること」(1881年)。certificate のほうは「証明する行為」(15世紀初め)→ 証明書という文書(15世紀半ば)→「その人の資格を証明する署名入り文書」(1540年代)。紙としての資格証は、16世紀にはもう存在していたわけです。
注意点を2つ。
後半の fic(facere=作る) は、effect・defect・satisfactory などと共通するパーツですが、この記事の主役ではありません。facere 側の広がりは、そちらの記事に譲ります。
もう一つ。certain の -tain は、contain・maintain の tain(tenere=持つ)とは無関係です。綴りが似ているだけで、certain は cert(ふるい)+ -ain という切れ目になります。ここを混ぜると、語源で覚える利点が消えてしまうので要注意です。
なお concert は、*krei- の語根一覧に名前が挙がるものの、由来に諸説があるため、この記事の表には入れていません。
まとめ
certification は、cert(certus=確かな/もとは「ふるいにかけて選り分けた」)+ fic(作る)+ ation で「確かだと決めること」=認定。

- 語源・中心:cert(cernere=ふるいにかける)+ fic(facere=作る)+ ation =「ふるいにかけて、確かだと決めること」
- 覚え方のヒント:crisis=危機は「ふるい」にかけられる瞬間(身震いの「ふるい」で音を重ねる)
- cert(ラテン語側)一族:certain/ascertain/concern/discern/discreet/decree/secret/secretary
- crit(ギリシャ語側)一族:crisis/critic/critical/criterion/hypocrisy/endocrine
ふるいにかけられるのは、落とされることではなく、分かれ目に立つことです。資格試験も、転職も、同じ動詞の上にあります。
TSL(TOEIC Service List)・BSL(Business Service List)収録語
この単語は TSL(TOEIC) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。ビジネスでもTOEICでも頻出する、汎用性の高い一語です。
出典:New General Service List Project
※ この記事で扱った crisis は、基礎語彙リスト NGSL(New General Service List)の収録語です。certification と同じ語根から出た、押さえておきたい一語です。
関連記事
- effect の語源(ex+fect)
- defect の語源(de+fect)
- satisfactory の語源(satis+factory)
- 👇 【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶術で芋づる式に覚える

翻訳練習の解答
- 彼女は先週、ついに認定を取得した。
- あなたの資格は、あなたが何を学んできたかを示してくれる。
- その認定を取るには、半年ほどかかる。
- 彼はデータ分析の資格取得に向けて勉強している。
- 今年、資格の更新を忘れずに。
- 資格はゴールではなく、スタートだ。
- 履歴書の一番上に、その資格を書いていい。
- その会社は、社員の資格取得費用を負担している。
- 彼女は50歳で、資格を手に転職を実現した。
- あなたが取った資格の一つひとつが、歩み続けた証拠だ。

