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【語源で覚える】certification|certain の奥にある「ふるいにかける」一族

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

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研修の修了証に「Certificate of Completion」、履歴書に「certification」。資格や認定の場面で、必ずといっていいほど顔を出す一語です。

この単語、頭の cert を見て「certain(確かな)の仲間だな」と気づく人は多いと思います。そこまでは、わりと素直です。

ところが、その certain をもう一段さかのぼると、思いがけない場所に出ます。「ふるいにかける」。穀物をふるいにかけて、実と殻を分ける・・・あの動作です。そして同じ根から、まったく別ジャンルに見える crisis(危機) が出てきます。

資格の certification と、危機の crisis。この2語が血縁だと分かると、cert の意味の中心が一気に立ち上がってきます。

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certification を分解してイメージで覚える

パーツで見ると、こうなります。

cert(certus=確かな・決まった)+ fic(facere=作る)+ ation(〜すること)

つまり「確かなものにすること」。ここまでは辞書どおりです。

面白いのはこの先。certus は、ラテン語の動詞 cernere の過去分詞が変形したものです。そして cernere の文字どおりの意味が、「ふるいにかける・選り分ける」。

ふるいにかけて、残るものと落ちるものを分ける。分け終わったら、もう迷いがない。だから certus=「決まった・確かな」。

certification は、その流れの終点にあります。試験や審査という「ふるい」を通して、「この人は確かだ」と決める・・・それが認定です。資格試験を受けたことがある方なら、この感覚は体で分かるはずです。

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certification の基本の意味と使い方

certification は「認定」「証明すること」を表す名詞です。行為・制度そのものを指します。

  • obtain a certification(認定を取得する)
  • renew your certification(認定を更新する)
  • a certification program(認定プログラム)
  • ISO certification(ISO認証)

英語に入ったのは15世紀初め、最初の意味は「通知すること」でした。15世紀半ばに「証明・立証」の意味が加わり、今いちばんよく使う「法的な証明書を与えること」という意味が記録されるのは 1881年。資格社会の言葉としては、意外と新しい層です。

使い分け|certification・certificate・license

日本語ではどれも「資格」でひとくくりにしがちですが、英語では役割が違います。

語指すものイメージ
certification認定という行為・状態審査を通って「確か」と認められたこと
certificate紙そのもの手元に残る証書・修了証
license法的な許可それがないと業務ができない免許
qualification資格要件・学歴を含む広い語英国系の文書でよく使われる

I have a certification in project management.(認定を持っている)と、I received a certificate.(証書をもらった)。この2文の差が見えていると、履歴書でも面接でも迷いません。

ついでに一つ、知っておくと安全な語があります。certifiable。字面は「証明できる」ですが、英語では「正気とは思えない」という意味で使われることが多い語です(1870年ごろからの用法)。「私の経歴は certifiable です」とは書かないほうが無難です。

cert(ふるいにかけて決める)でつながる単語ネットワーク

cernere(ふるいにかける・選り分ける)をたどると、「分ける」「判断する」という同じ動作が、いろいろな姿で出てきます。

単語意味イメージ
certain確かなふるい終わって、もう決まっている
ascertain確かめるad(〜へ)+certain=確かなところまで持っていく
concern関わる、心配con(一緒に)+cern=一緒にふるいにかける
discern見分けるdis(離して)+cern=ふるい分けて見分ける
discreet慎重な、思慮深い見分けられる人=軽々しく動かない
discrete別々の、離散的な分けられて、つながっていない
decree布告、判決de(決定的に)+cern=ふるい切って決める
secret秘密se(脇へ)+cret=脇へよけて分けておいたもの
secretary秘書もとは「秘密を任された人」

concern の成り立ちは、知ると少し優しくなれる一語です。「一緒にふるいにかける」が原義で、そこから「自分に関わること」、さらに17世紀に「気がかり・心配」へ。誰かを心配するというのは、その人の問題を自分の手元にも分け入れることなんだな・・・と、語源の側から読めます。

discreet と discrete は、もとは同じ一語でした。1600年ごろを境に、綴りの違いで役割を分け合った双子です。

もう一方の家族|crisis・critic・criterion

ここが今日の本題です。cernere のギリシャ語側の兄弟が krinein(分ける・決める・判断する)。ラテン語の cert 系と、ギリシャ語の crit 系。同じ祖先から、二手に分かれた家系です。

単語意味イメージ
crisis危機、転機良いほうか悪いほうか、分かれる瞬間
critic批評家良し悪しを選り分ける人
critical重大な、批判的な分かれ目に関わる
criterion判断基準分けるときの物差し
criticism批評選り分ける行為
hypocrisy偽善もとは「役を演じること」
endocrine内分泌のendo(内へ)+crine=内側に分け出す

crisis は、もともと医学の言葉でした。ギリシャ語の krisis は「病気の転換点・回復か死かが分かれる変わり目」。ヒポクラテスやガレノスが、その意味で使っています。医学を離れて「重大局面」の意味で使われ出すのは1620年代です。

だから crisis は、本来は「おしまい」ではありません。分かれ目です。どちらに転ぶかがまだ決まっていない瞬間を指す語でした。

覚え方のヒント:crisis=危機は「ふるい」にかけられる瞬間。日本語でも、危機に直面すると「身震い(みぶるい)」します。「ふるい」の音を重ねて、crisis=ふるいにかけられる、と覚えてしまう手があります。
※ これは日本語の音を借りただけの覚え方で、英語の語源とは関係ありません。英語側の事実は「cernere/krinein=ふるいにかける」で、そこは本物です。

ちなみに crime(犯罪) も同じ家系で、ラテン語 crimen はもともと「判断・告発」の意味でした。裁いて選り分けた結果が、罪という言葉になっています。

思いがけない親戚|garble と riddle

もう2語だけ、寄り道を。

garble(事実や言葉をゆがめて伝える)は、15世紀初めには「香辛料から混ざり物を取り除く」という意味でした。アラビア語の gharbal(ふるいにかける)経由で、その先はラテン語 cribrum(ふるい)だと考えられています。中世のヨーロッパでは、胡椒も生姜もアラビア語圏からの輸入品。品質を見るには、まずふるう必要がありました。「選り分ける」が「都合よくより分ける」になり、やがて「ゆがめる」へ。

riddle には同じ綴りで別の語が2つあります。「なぞなぞ」の riddle とは別に、「目の粗いふるい」を指す riddle があり、こちらが古英語 hriddel(ふるい)の系統です。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
certification名詞認定、証明サーティフィケイション /ˌsɜːrtɪfɪˈkeɪʃn/
certificate名詞証明書、修了証サティフィキット /sərˈtɪfɪkət/
certify動詞証明する、認定するサーティファイ /ˈsɜːrtɪfaɪ/
certified形容詞認定されたサーティファイド /ˈsɜːrtɪfaɪd/
certifiable形容詞証明できる/正気と思えないサーティファイアブル
certainty名詞確実性サートゥンティ
certitude名詞確信サーティチュード
ascertain動詞突き止める、確かめるアサテイン /ˌæsərˈteɪn/

TOEIC・英検での傾向

certification・certificate は、求人広告・研修案内・社内通知という TOEIC の定番シーンに、そのまま出てきます。

  • 品詞問題:certify / certified / certification / certificate の選択。空所の前が所有格や冠詞なら名詞、名詞の前なら certified。ここだけで1問取れることがあります。
  • 頻出コロケーション:obtain / renew / require a certification、certification program、certified public accountant(公認会計士・1896年から使われている言い方)、certified mail(配達証明郵便・1955年から)。
  • 言い換え:本文の certificate が設問で document や proof に言い換えられるパターン。

英検では準1級あたりの長文、とくに職業訓練・リスキリングを扱う文章で見かけます。意味は分かる語なので、使い分けと品詞を押さえておくと得点源になります。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. She finally received her certification last week.
  2. Your certification shows what you have learned.
  3. The certification takes about six months.
  4. He is studying for a certification in data analysis.
  5. Remember to renew your certification this year.
  6. A certification is not the goal; it is a start.
  7. You can put your certification at the top of your resume.
  8. The company pays for staff certification.
  9. Her certification helped her change careers at fifty.
  10. Every certification you earn is proof that you kept going.

語源メモ

certification は、中世ラテン語 certificatio に由来します。さかのぼると後期ラテン語 certificare(確かにする)で、これは certus(確かな・決まった)+ facere(作る)。

その certus が、ラテン語の動詞 cernere(ふるいにかける・選り分ける・決める)の過去分詞の変形です。そしてさらにさかのぼると、印欧祖語 *krei-(ふるいにかける)。ここから「区別する・判断する」の意味が育ちました。

この *krei- は、ラテン語側で cernere(certain / concern / discern / secret / decree)に、ギリシャ語側で krinein(crisis / critic / criterion)に分かれています。一本のふるいから、二つの言語をまたいで、資格の語と危機の語が生まれたことになります。

英語での意味の層はこうです。certification が「通知」(15世紀初め)→「証明・立証」(15世紀半ば)→「法的な証明書を与えること」(1881年)。certificate のほうは「証明する行為」(15世紀初め)→ 証明書という文書(15世紀半ば)→「その人の資格を証明する署名入り文書」(1540年代)。紙としての資格証は、16世紀にはもう存在していたわけです。

注意点を2つ。

後半の fic(facere=作る) は、effect・defect・satisfactory などと共通するパーツですが、この記事の主役ではありません。facere 側の広がりは、そちらの記事に譲ります。

もう一つ。certain の -tain は、contain・maintain の tain(tenere=持つ)とは無関係です。綴りが似ているだけで、certain は cert(ふるい)+ -ain という切れ目になります。ここを混ぜると、語源で覚える利点が消えてしまうので要注意です。

なお concert は、*krei- の語根一覧に名前が挙がるものの、由来に諸説があるため、この記事の表には入れていません。

まとめ

certification は、cert(certus=確かな/もとは「ふるいにかけて選り分けた」)+ fic(作る)+ ation で「確かだと決めること」=認定。

certification の語源ワードマップ。中心は certification(=ふるいにかけて「確か」と決めること)で、cert(certus=確かな)+fic(facere=作る)+ation に分解。語源・中心(cernere=ふるいにかける/印欧祖語 *krei-)、cert(ラテン語)系(certain / ascertain / concern / discern / discreet / decree / secret / secretary)、crit(ギリシャ語)系(crisis / critic / critical / criterion / hypocrisy / endocrine)、覚え方のヒント(crisis=ふるいにかけられる瞬間)の4クラスタに整理した図。
  • 語源・中心:cert(cernere=ふるいにかける)+ fic(facere=作る)+ ation =「ふるいにかけて、確かだと決めること」
  • 覚え方のヒント:crisis=危機は「ふるい」にかけられる瞬間(身震いの「ふるい」で音を重ねる)
  • cert(ラテン語側)一族:certain/ascertain/concern/discern/discreet/decree/secret/secretary
  • crit(ギリシャ語側)一族:crisis/critic/critical/criterion/hypocrisy/endocrine

ふるいにかけられるのは、落とされることではなく、分かれ目に立つことです。資格試験も、転職も、同じ動詞の上にあります。

TSL(TOEIC Service List)・BSL(Business Service List)収録語

この単語は TSL(TOEIC) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。ビジネスでもTOEICでも頻出する、汎用性の高い一語です。

出典:New General Service List Project

※ この記事で扱った crisis は、基礎語彙リスト NGSL(New General Service List)の収録語です。certification と同じ語根から出た、押さえておきたい一語です。

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翻訳練習の解答

  1. 彼女は先週、ついに認定を取得した。
  2. あなたの資格は、あなたが何を学んできたかを示してくれる。
  3. その認定を取るには、半年ほどかかる。
  4. 彼はデータ分析の資格取得に向けて勉強している。
  5. 今年、資格の更新を忘れずに。
  6. 資格はゴールではなく、スタートだ。
  7. 履歴書の一番上に、その資格を書いていい。
  8. その会社は、社員の資格取得費用を負担している。
  9. 彼女は50歳で、資格を手に転職を実現した。
  10. あなたが取った資格の一つひとつが、歩み続けた証拠だ。