「クラック」・・・カタカナでも耳にする言葉ですよね。ゲームを「クラックする」、壁に入った「クラック(ひび)」。どちらも、頭のどこかで「パキッ」という音が鳴っていませんか。
おやつでおなじみのクラッカーも割ると「パキッ」と音がしますよね。
じつは、その音の感覚こそが crack という単語のすべてです。パーツに分けて覚えるタイプの単語ではなく、「パキッと音を立てて割れる」という擬音そのものが意味になっている・・・そう捉えると、多義語に見える crack が、一本の線でつながります。
そして意外なのが、この単語には「爆笑する」という意味もあること。壁のひびと大笑いが、なぜ同じ crack なのか。読み終えるころには、その理由もすっと腑に落ちます。
crack を音でイメージして覚える|”パキッ”がぜんぶの中心
crack は、a・an・one のようにパーツへ分けるのではなく、口に出した音がそのまま意味になっている単語です。
c・r・a・ck ・・・「クラッ」と、最後に息を止めるように切れる破裂音
この「何かが鋭く弾ける・裂ける音」が、crack の意味の中心にまるごと入っています。
- 窓が割れる音・・・crack
- 枝がポキッと折れる音・・・crack
- 声が裏返る「あの一瞬」・・・crack
- 笑いが「ぷっ」と弾ける・・・crack(up)
割れるのも、折れるのも、笑い出すのも、「何かがこらえきれずに弾ける」という一点で同じ。音のイメージを握っておくと、意味を一つずつ暗記しなくてよくなります。
crack の基本の意味と使い方
crack は動詞にも名詞にもなります。
動詞
- The window cracked in the cold.(寒さで窓にひびが入った)
- She cracked an egg into the bowl.(彼女は卵をボウルに割り入れた)
- He finally cracked the code.(彼はついに暗号を解いた)
「割れる・割る」から広がって、crack a code / crack a problem で「難しいものを”パキッ”と解く」という比喩にもなります。硬い殻を割るイメージですね。
名詞
- There’s a crack in the wall.(壁にひびがある)
- Let me have a crack at it.(ちょっとやらせてみて=一発試させて)
名詞では「ひび・裂け目」のほか、「一回の試み(ひと当て)」という口語もよく使います。
“crack up” の意味と使い方
crack の意味で日本人がいちばん「へえ」と思うのが、この crack up です。
- 自動詞:大笑いする、吹き出す・・・I cracked up.(爆笑しちゃった)
- 他動詞:〜を爆笑させる・・・Her joke cracked me up.(彼女の冗談で吹き出した)
「割れる」と「爆笑する」が同じ crack なのは、笑いも”こらえきれずに弾ける”ものだから。真顔をたもてず、ぷっと崩れる。あの感覚が crack up です。
“音で割れる” でつながる単語ネットワーク
crack の「パキッと音を立てて割れる」を知っておくと、まったく別ジャンルに見える単語が一気につながります。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| cracker | クラッカー、割るもの | パリッと音がして割れる食べもの/殻を割る道具 |
| firecracker | 爆竹 | パンッと音が弾ける |
| nutcracker | くるみ割り器 | ナッツを”割る”もの |
| crackle | パチパチ鳴る | 小さな crack を繰り返す音(暖炉やたき火) |
| crackpot | 変わり者 | 頭が”ひび割れた”人、というイメージから |
| cracking | 最高の、見事な | 勢いよく弾けるほどすごい(英口語のほめ言葉) |
「crack が入っていたら、たぶん”音を立てて割れる・弾ける”話」・・・そう見えるようになると、初見の単語でも意味が推測できます。
使い分け|break・split・fracture との違い
似た「壊れる」系の単語とは、こう住み分けます。
| 単語 | 意味 | ニュアンス |
|---|---|---|
| break | 壊す・壊れる | いちばん一般的。割れ方は問わない |
| split | 割れる・分ける | 二つ(以上)にパカッと分かれる |
| fracture | 骨折する・ひびが入る | 医療・科学など、かたい素材の破断に |
| crack | 音を立てて割れる・ひびが入る | 鋭さ・急さ・「音」のイメージがある |
crack は「完全に真っ二つ」ではなく、**「ひびが入る」「一瞬の音とともに裂ける」**あたりが得意な単語です。
派生語|crack まわり
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| crack | 動詞・名詞 | 割れる、ひび | クラック /kræk/ |
| cracker | 名詞 | クラッカー、割るもの | クラッカー /ˈkrækər/ |
| crackle | 動詞 | パチパチ鳴る | クラックル /ˈkrækl/ |
| cracked | 形容詞 | 割れた/(口語)いかれた | クラックト /krækt/ |
TOEIC・英検での出題傾向
crack は日常会話に強い単語です。TOEIC では 600点以上をねらう段階で押さえておきたい語で、Part 5・Part 7 に顔を出すことがあります。英検では2級以上の読解・リスニングで見かけます。
とくに crack up のような句動詞は、準1級〜1級の長文や英作文で問われやすいので、意味とセットで覚えておくと安心です。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- The window cracked in the cold last night.
- Her joke cracked everyone up.
- There was a small crack in the old mug.
- You can crack this problem — just take it one step at a time.
- Even the hardest nut will crack someday.
- Don’t worry if your voice cracks; everyone’s did once.
- A tiny crack let the morning light into the room.
- He cracked a smile, and the whole room felt warmer.
- She cracked the code that no one else could solve.
- Keep going, and one day you’ll crack it.
語源メモ|「音を立てて壊れる」から生まれた言葉
crack は、古英語 cracian「鋭い音を立てる、大きく突然の音を発する」にさかのぼります。さらにゲルマン祖語 *krakojan にたどれ、オランダ語 kraken、ドイツ語 krachen(鳴り響く・壊れる)とも同じ仲間です。
この語群は、もともと擬音語(音まね)から生まれたと考えられています(諸説はありますが、辞書もおおむねこの見方です)。「パキッ」「バキッ」「パーン」という音そのものが言葉になり、そこから「割れる・裂ける・弾ける」へと意味が広がっていった・・・というわけです。
だから crack は、音の仲間をたくさん連れています。cracker(割れる音のする食べもの・道具)、firecracker(パンッと鳴る爆竹)、crackle(パチパチ鳴る)。ぜんぶ、あの「パキッ」から派生した一族です。
まとめ
crack は、パーツ分解ではなく 「パキッと音を立てて割れる」という擬音のイメージひとつで、意味のぜんぶがつながる単語です。
- 音のイメージ・・・鋭く弾ける・裂ける音。それが割れる・折れる・声変わり・笑いへ
- 音で割れる一族・・・cracker/firecracker/nutcracker/crackle
- 比喩へ・・・crack up(爆笑する)/crack a code(解く)
窓のひびも、こらえきれない大笑いも、根っこは同じ「パキッ」。音を握れば、crack はもう手のうちです。

- 語源・中心:crack = 古英語 cracian(鋭い音を立てる)=「パキッと音を立てて割れる」
- 覚え方のヒント:口に出した「クラッ」という破裂音が、そのまま意味
- 音で割れる一族:cracker/firecracker/nutcracker/crackle
- 比喩で使う仲間:crack up(爆笑)/crack a code(解く)/cracking(最高の)
関連記事(内部リンク)
- crackle の語源(パチパチ鳴る)→ (近日中に公開)
- break・split・fracture の使い分け → (近日中に公開)
- 英単語の語源・パーツ分解 全リスト

翻訳練習の解答例
- 昨夜の寒さで、窓にひびが入った。
- 彼女の冗談で、みんな吹き出した。
- その古いマグカップには、小さなひびがあった。
- あなたなら、この問題を解ける。一歩ずつ進めばいい。
- どんなに硬いナッツも、いつかは割れる。
- 声が裏返っても気にしないで。みんな一度は経験している。
- 小さなひび割れが、朝の光を部屋に入れてくれた。
- 彼が少し笑うと、部屋ぜんぶが温かく感じられた。
- 彼女は、誰にも解けなかった暗号を解いた。
- 続けていれば、いつかきっと、うまくいく。

癒しの色彩心理 イッセーのホームページ
