PR

【語源で覚える】advertise|広告の「アド」は、人を振り向かせる vert

著者情報
【著者:鈴木一世(イッセー)】

現役大学教員・カウンセラー。
  専門の「第二言語習得理論」と「心理学」に基づき、氷河期世代・非正規雇用・転職に関わるリスキリング戦略をデータで解説。挫折しそうな人のための、脳と心の攻略ガイド。  

▶︎ 詳しいプロフィールはこちら

アドセンス、アドネットワーク、アドブロック。ネットを使っていると、「アド」という言葉によく出会います。この「アド」は、英語の ad、つまり advertisement(広告)を短くした形です。

少し懐かしいところでは、デパートの屋上に浮かんでいた「アドバルーン」の「アド」も同じです。空に大きな気球が上がっていると、道行く人はつい顔を上げてしまいますよね。

実は、この「思わず見上げる」という動きこそが、advertise(宣伝する)の語源そのものです。広告の「アド」をほどいていくと、中から vert(回す・向ける) が出てきます。人の顔を、こちらへぐるりと振り向かせる。宣伝とは、もともとそういう言葉でした。

※ この記事は、vertical(バーティカル)の記事と同じ vert 一族の一本です。vertical が「渦巻くてっぺんから、まっすぐ上下へ」の話なら、こちらは「人の注意をこちらへ向ける」の話です。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
スポンサーリンク

advertise を分解してイメージで覚える|”vert” が人を振り向かせる

advertise をパーツで見ると、こうなります。

ad(〜の方へ)+ vert(回す・向ける)+ ise

  • ad・・・「〜の方へ」。こちらに向かう方向を表します
  • vert・・・「回す・向ける」。vertical、convert、reverse と同じ仲間です

合わせると、「(人の注意を)こちらの方へ向ける」。

イメージは、街を歩いている人の肩を、そっとこちらへ回すような感じです。「ねえ、こっちを見て」。気づいてもらうために、相手の顔をこちらへ振り向かせる。それが advertise です。

アドバルーンは、この動きを空の上でやっていたとも言えます。見上げた瞬間、人の注意はもう広告の方を向いています。

語尾の ise には、少しだけ注意があります。「〜にする」という接尾辞に見えますが、実はフランス語から入ってきたときの語形の名残りです。くわしくは記事後半の語源メモで触れています。覚えるときは、ad + vert の二つだけで十分です。

スポンサーリンク

advertise の基本の意味と使い方

advertise は「宣伝する・広告する」を表す動詞です。商品やサービスだけでなく、求人やイベントの告知にも使います。

  • advertise a new product(新商品を宣伝する)
  • advertise a job opening(求人広告を出す)
  • advertise on TV / online(テレビで/ネットで広告を出す)

名詞の形が三つあるので、使い分けも押さえておきましょう。

形意味使い方のポイント
advertisement(一つひとつの)広告数えられる名詞。an advertisement のように使う
ad広告(くだけた言い方)advertisement の短縮形。会話やネットでよく使う
advertising広告(全般)、広告業数えられない名詞。「広告という活動・業界」を指す

「広告を1本見た」なら an ad / an advertisement、「広告の仕事をしている」なら I work in advertising。こう分けて覚えると迷いません。

advertise と adverse|同じ ad+vert、向きの意味が逆

姿がよく似ているのが adverse(不利な、逆の)です。実はこの二つ、同じラテン語の動詞 advertere(〜の方へ向ける)から生まれています。

  • advertise・・・相手の注意を「こちらへ向けさせる」→ 宣伝する
  • adverse・・・向こうが「こちらへ向かって立ちはだかる」→ 逆らう、不利な

同じ「こちらへ向く」でも、振り向いてくれるのか、立ちはだかってくるのかで、意味が正反対になります。adverse については、別の記事でくわしく扱っています(記事末の関連記事からどうぞ)。

“advert(注意を向ける)” でつながる単語ネットワーク

advertise のまわりには、「注意を向ける」という同じイメージでつながる単語が集まっています。

単語意味イメージ
advertise宣伝するad(〜へ)+vert=人の注意をこちらへ向けさせる
advertisement広告人を振り向かせるための一つひとつの告知
ad広告(略)advertisement の短縮形
advertising広告(全般)、広告業振り向かせる活動そのもの
advertiser広告主振り向かせる側の人・企業
advert広告(主にイギリス英語)advertisement の短縮形
inadvertentlyうっかり、不注意でin(〜ない)+advert=注意が向いていない状態で

いちばん意外なのは inadvertently(うっかり)かもしれません。「注意をこちらへ向ける」に in(〜ない)が付いて、「注意が向いていないまま」・・・つまり「うっかり」。宣伝と「うっかり」が同じ家族だと知ると、ちょっと楽しくなりますよね。

さらに広く見ると、vert は convert(変える)、reverse(逆にする)、universe(宇宙)、anniversary(記念日)などの大家族につながっています。そちらは vertical の記事でまとめています。

カタカナ語で広がる「アド」

日本語になっている「アド」も、たどればみんな advertisement です。

カタカナ語英語使われ方
アドセンスAdSenseGoogle のネット広告サービス
アドネットワークad network複数の広告枠をまとめて配信するしくみ
アドブロックad blockerネット広告を表示させない機能
アドバルーン(和製英語)広告の垂れ幕を下げて空に揚げる気球

※ アドバルーンは advertising balloon を略した日本生まれの言葉で、英語で ad balloon とは言いません。
※ アドバルーンには「本格的に動く前に、反応を見るために情報を小出しにする」という比喩の意味もあります。英語では float a trial balloon(観測気球を上げる)と言います。
※ テニスやカードゲームで使う「アド」は advantage(アドバンテージ)の略で、advertise とは別の単語です。

派生語 Word Family

単語品詞意味発音
advertise動詞宣伝する、広告するアドバタイズ /ˈædvərtaɪz/
advertisement名詞広告アドバタイズメント /ˌædvərˈtaɪzmənt/(米)、アドヴァーティスメント /ədˈvɜːtɪsmənt/(英)
advertising名詞広告(全般)、広告業アドバタイジング /ˈædvərtaɪzɪŋ/
advertiser名詞広告主アドバタイザー /ˈædvərtaɪzər/
ad名詞広告(略)アド /æd/
inadvertently副詞うっかり、不注意でイナドバーテントリー /ˌɪnədˈvɜːrtəntli/

advertisement は、アメリカ英語とイギリス英語でアクセントの位置が変わります。リスニングで戸惑いやすいポイントです。

TOEIC・英検での出題傾向

advertise の一族は、TOEIC ではとてもよく出会う単語です。Part 7 では、問題文が「次の広告についての設問です」という形で advertisement そのものを読ませることがあります。求人広告の advertise a position(職の募集を出す)や、advertising campaign(広告キャンペーン)、advertiser(広告主)もビジネス文書の定番です。

英検でも、準2級あたりから advertise や advertisement を見かけるようになります。動詞・名詞・広告業の advertising をセットで押さえておくと、どの形で出ても慌てずに済みます。

英文で確認|翻訳練習10問

英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。

  1. The shop advertises its sale in the newspaper.
  2. The company advertised the job online.
  3. We need to advertise our new café.
  4. She saw the concert advertised on a poster.
  5. Every advertiser wants you to turn and look.
  6. A good product does not need loud advertising.
  7. You don’t have to advertise your kindness.
  8. Your hard work will advertise itself.
  9. Advertise your strengths with confidence.
  10. Keep doing good work; it advertises you better than words.

語源メモ|「気づく」から「宣伝する」へ

advertise は、15世紀のはじめに英語に入りました。古フランス語の advertir(知らせる・注意を向けさせる・向きを変える)を経ていて、元はラテン語 advertere(〜の方へ向ける・注意を向ける)です。advertere は、ad(〜の方へ)+ vertere(回す・向ける)でできています。

おもしろいのは、意味の移り変わりです。

  • 15世紀はじめ・・・「(自分が)気づく・注意を払う」。この意味は今は使われていません
  • 15世紀半ば・・・「(人に)知らせる・警告する」
  • 18世紀後半・・・「商品などに人の注意を向けさせる」= 今の「宣伝する」

自分が振り向く、から、人を振り向かせる、へ。向きの主語が入れ替わって、今の advertise になりました。

語尾の ise についても整理しておきます。これは organize などに付く「〜にする」の -ize とは別もので、フランス語 advertir の活用形の語幹 advertiss- から来ています。見た目が似ているため、分解するときに間違えやすいところです。

関連語の成り立ちも見ておきましょう。

  • advertisement・・・15世紀はじめは「何かに注意を向けさせる文書・公示」。新聞などに載る「(お金を払って出す)広告」の意味は1580年代からです
  • ad・・・advertisement の略として、1841年から記録があります
  • advertiser・・・1560年代は「知らせる人」。1712年から「公示を出す人」の意味で使われるようになりました

まとめ

advertise は、ad(〜の方へ)+ vert(回す・向ける)で「人の注意をこちらへ向けさせる」=宣伝する。

  • ad + vert・・・注意をこちらへ向ける。advertisement/advertising/advertiser/ad へ
  • in + advert・・・注意が向いていない。inadvertently(うっかり)へ
  • 同じ advertere から・・・adverse(こちらへ立ちはだかる → 不利な)

思わず見上げたアドバルーンのように、人の顔をこちらへ振り向かせる。advertise は、そんなイメージの単語です。

advertise の語源ワードマップ。中心は advertise(=人の注意をこちらへ向けさせる・宣伝する)で、ad(〜の方へ)+ vert(回す・向ける)に分解しています。語源・中心(ラテン語 advertere)、注意を向ける系(advertisement/advertising/advertiser/ad/advert/inadvertently)、vert(回す・向ける)系(vertical/convert/reverse/adverse)、覚え方のヒント(アドバルーン=思わず人が見上げる)の4クラスタに整理した図です。
  • 語源・中心:ad(〜の方へ)+ vert(回す・向ける)=「人の注意をこちらへ向けさせる」
  • 覚え方のヒント:アドバルーン = 思わず人が見上げる
  • 注意を向ける系:advertisement/advertising/advertiser/ad/advert/inadvertently
  • vert(回る・向ける)系:vertical/convert/reverse/adverse

関連記事

【タイパ最強】英単語の語源・パーツ分解全リスト|語源×記憶フックで芋づる式に覚える
英単語を最小限の労力でマスターする「語源+パーツ分解」の全リスト。学術的に正確な語源データと、タイパ(時短)を追求した記憶フックを完全分離して掲載。芋づる式に派生語を暗記し、実務やニュースで使える英語力を最速で身につけましょう。

翻訳練習の解答

  1. その店は、新聞でセールを宣伝している。
  2. その会社は、ネットで求人を出した。
  3. 私たちの新しいカフェを、宣伝しないといけない。
  4. 彼女は、ポスターでそのコンサートの告知を見た。
  5. どの広告主も、あなたに振り向いて見てほしいと思っている。
  6. よい商品に、派手な宣伝はいらない。
  7. あなたのやさしさは、わざわざ宣伝しなくていい。
  8. あなたの努力は、黙っていても自然と伝わっていく。
  9. 自分の強みは、自信をもってアピールしよう。
  10. いい仕事を続けよう。それが言葉よりも、あなたのことを伝えてくれる。

収録リスト

関連語のadvertiserは以下のリストに収録

TSL(TOEIC Service List)収録語

この単語は TOEIC Service List(TSL) に収録されています。TSLはTOEICの出題語彙を分析して作られた1,200語のリストで、これらを押さえればテストに出る語彙の約99%をカバーできます。スコアアップに直結する一語です。出典:New General Service List Project

BSL(Business Service List)収録語

この単語は Business Service List(BSL) に収録されています。BSLはビジネス英語のコーパスから抽出された1,700語のリストで、これらを覚えればビジネス文書・会議・メールで使われる語彙の約97%をカバーできます。仕事で英語を使う場面で効いてくる一語です。出典:New General Service List Project