「監査」と聞くと、書類の山とスーツの人たちが浮かびますよね。数字を目で追う仕事・・・そんなイメージだと思います。
ところが audit の真ん中にいるのは、aud(聞く) です。
そう、オーディオ、オーディエンス、オーディションの aud。耳の仲間です。数字の話なのに、なぜ「聞く」なのか。ここが分かると、audit はもう忘れません。
audit を分解してイメージで覚える|”aud” は「聞く」
audit をパーツで見ると、こうなります。
aud(聞く/ラテン語 audire)+ it(〜されたこと)
つまり audit は、もともと 「聞き取られたこと」「一度の聞き取り」。
思い浮かべてほしいのは、こんな場面です。
帳簿を預かった係の人が、数字を一つずつ声に出して読み上げる。領主や上役は、それを黙って耳で追いながら、おかしなところがないかを確かめている。
印刷も計算機もない時代、帳簿の確認は読み上げを「聞く」作業でした。だから会計の確認が audit(聞き取り)と呼ばれ、そのまま現代の「監査」になった・・・という流れです。
覚え方と語源が、きれいに一致している単語です。オーディオを思い出せば、そのまま audit の中身にたどり着けます。
audit の基本の意味と使い方
audit は名詞でも動詞でも使えます。中心にあるのは「中身を確かめる」という感覚です。
- an internal audit(内部監査)
- a tax audit(税務調査)
- The firm audits our accounts every year.(その会計事務所が毎年うちの帳簿を監査する)
もう一つ、学校で使う意味があります。
- audit a class(単位を取らずに授業を聴講する)
試験もレポートも出さず、ただ座って聞く。こちらは aud(聞く)がそのまま残った使い方で、アメリカの大学ではごく普通の制度です。学び直しの文脈でも出てくる言い方なので、覚えておくと得をします。
さらに、自分自身に向けても使えます。
- audit your own schedule(自分の予定を点検してみる)
「点検する」「棚卸しする」くらいの軽い気持ちで使える語でもあります。
使い分け|check・inspect・audit
「調べる・確かめる」を表す語は複数ありますが、場面がはっきり違います。
| 語 | 感じ | 使う場面 |
|---|---|---|
| check | 軽い | ちょっと確認する |
| inspect | 現物を見る | 設備・製品を目で点検する |
| audit | 公式・記録 | 帳簿や記録を、第三者が体系的に確かめる |
audit は記録に対して、公式に行う確認です。「ちょっと見ておきますね」の意味では使いません。ビジネス文書で audit が出てきたら、それなりに正式な手続きだと考えてよいです。
“aud(聞く)” でつながる単語ネットワーク
aud の正体が「聞く」だと分かると、別ジャンルに見えていた単語が一気につながります。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| audio | 音声の | 聞くための装置・信号 |
| audience | 聴衆、観客 | 聞いている人たち |
| audible | 聞き取れる | 聞くことができる |
| inaudible | 聞き取れない | in(否定)+audible |
| audition | オーディション | 聞いて選ぶ場 |
| auditorium | 講堂、客席 | 聞くための場所 |
| auditory | 聴覚の | 耳に関する |
| audiovisual | 視聴覚の | 聞く+見る |
そしてもう一つ、意外なところに aud が隠れています。
| 単語 | 意味 | イメージ |
|---|---|---|
| obey | 従う | ob(〜へ)+aud=相手の方へ耳を傾ける |
| obedient | 従順な | 聞き入れる姿勢がある |
| obedience | 服従、素直さ | 聞き入れること |
「従う」は、もともと「ちゃんと聞く」だった・・・そう言われると、腑に落ちませんか。言うことを聞く、という日本語とも重なります。
派生語 Word Family
| 単語 | 品詞 | 意味 | 発音 |
|---|---|---|---|
| audit | 名詞・動詞 | 監査、監査する/聴講する | オーディット /ˈɔːdɪt/ |
| auditor | 名詞 | 監査人、聴講生 | オーディター /ˈɔːdɪtər/ |
| auditing | 名詞 | 監査業務 | オーディティング |
| auditory | 形容詞 | 聴覚の | オーディトリー |
| auditorium | 名詞 | 講堂、客席 | オーディトーリアム |
| audible | 形容詞 | 聞き取れる | オーディブル |
| audience | 名詞 | 聴衆、観客 | オーディエンス |
TOEIC・英検での出題傾向
audit は、TOEIC と相性のいい語です。会計・総務・社内連絡の文脈でよく出ます。
- internal audit(内部監査)
- audit report(監査報告書)
- an independent auditor(独立監査人)
Part 7 の社内メールや告知文で「監査が入るので、○日までに記録を揃えてください」という形で登場します。読み取りのポイントは、誰が監査するのか/いつまでに何を出すのかの2つだけです。
品詞の違いにも注意しておくと安心です。audit(監査・監査する)と auditor(監査する人)は、空所の前後を見れば見分けられます。「人」が入る位置なら auditor です。
英検では準1級あたりから見かける語で、2級までの必須語ではありません。ただしビジネス英語では避けて通れないので、学び直しの人は押さえておく価値があります。
英文で確認|翻訳練習10問
英文を見たら一度止めて、和訳を書いてみてください。答え合わせは記事の最後にまとめてあります。
- The company passed its annual audit without any trouble.
- An audit is really just a careful listening to the numbers.
- You can audit a class without taking the final exam.
- The auditor smiled and said the records were clean.
- Before you change anything, audit your own week.
- Our team prepared for the audit together, step by step.
- An honest audit protects the people inside the company.
- She decided to audit a history course just for fun.
- What you audit today becomes easier to manage tomorrow.
- The audit showed that your small efforts had added up.
語源メモ|audire から audit へ
audit は、ラテン語の動詞 audire(聞く) から出ています。その過去分詞形 auditus が「聞かれたこと/一度の聞き取り」という名詞になり、中世のラテン語で「会計の聞き取り」を指すようになりました。英語には、アングロ・フランス語を経て入っています。
背景には、当時の会計のやり方があります。帳簿を提出する側が内容を声に出して読み上げ、受け取る側がそれを聞いて確かめる。文書を黙読して突き合わせる現代のやり方とは違い、確認作業そのものが「聞く」行為でした。audit という語には、その時代の手順がそのまま残っています。
同じ audire からは、audio・audience・audible・audition・auditorium が生まれています。さらに ob-(〜の方へ)+ audire の形から obey(従う)・obedient(従順な)が出ました。「相手の方へ耳を傾ける」から「従う」へ・・・意味の移り方としては、無理のない道筋です。
なお、audit a class(聴講する)という使い方は、語源の「聞く」がほとんどそのまま残った例です。監査よりも、むしろこちらのほうが audire に近いと言えます。
まとめ
audit は、aud(聞く)+ it で「聞き取って確かめること」=監査。
- aud(audire)・・・聞く。audio/audience/audible/audition/auditorium の一族へ
- 隠れた aud・・・obey/obedient も、もとは「耳を傾ける」
- audit a class・・・語源がそのまま残った「聴講する」
数字を目で追う前に、まず耳で確かめる。audit という語は、その順番を今も覚えています。

- 語源・中心:aud(audire=聞く)+ it =「聞き取って確かめる」
- 覚え方のヒント:オーディオ・オーディエンスと同じ aud
- aud(聞く)一族:audio/audience/audible/audition/auditorium/auditory
- 隠れた aud 一族:obey/obedient/obedience/inaudible/audiovisual
TSL(TOEIC Service List)・BSL(Business Service List)収録語
この単語は TSL(TOEIC) と BSL(ビジネス) の両方に集録されています。ビジネスでもTOEICでも頻出する、汎用性の高い一語です。
出典:New General Service List Project
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翻訳練習の解答
- その会社は、年次の監査を問題なく通過した。
- 監査とは、つまり数字にていねいに耳をすますことだ。
- 期末試験を受けなくても、授業を聴講することはできる。
- 監査人はにっこりして、記録はきれいだと言った。
- 何かを変える前に、自分の一週間を点検してみよう。
- 私たちのチームは、一歩ずつ一緒に監査の準備をした。
- 誠実な監査は、社内の人たちを守ってくれる。
- 彼女は楽しみのためだけに、歴史の授業を聴講することにした。
- 今日点検しておいたことは、明日もっと扱いやすくなる。
- 監査によって、あなたの小さな積み重ねが実を結んでいたとわかった。


